疲労骨折の予防と食事|骨を強くするカルシウムとビタミンDの摂り方

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骨を強くする食事 カルシウムとビタミンDをとる食卓(鮭・小松菜・納豆・豆腐のみそ汁・ヨーグルト・牛乳)
  • ジャンプが多いので、疲労骨折にならないか心配
  • 骨を強くするには牛乳を飲めばいいと聞くけれど、それだけでいいのか分からない
  • カルシウムを1日にどれくらいとればいいのか知りたい

こんな悩みを解決します。

骨を強くする食事の基本は、カルシウムをしっかりとり、ビタミンDとビタミンKを一緒にとり、そもそもの食べる量を減らさないことです。

中学生・高校生のいまは、一生のうちでいちばん骨がたくわえられる時期でもあります。

私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。

この記事では、厚生労働省の基準や骨の研究をもとに、バレー選手が骨のためにとりたい栄養と、毎日の食べ方を紹介します。

読み終わるころには、今日の食事のどこにカルシウムを足せばいいかが分かるはずです。

この記事を読むことで得られる3つのこと
  • 10代が骨にとって大切な時期である理由がわかる
  • カルシウム・ビタミンD・ビタミンKの1日の目安と、多い食べ物がわかる
  • 疲労骨折が心配な選手が気をつけたい食べ方がわかる
目次

結論:骨は「カルシウム+ビタミン+食べる量」でつくる

結論からお伝えします。骨を強くするには、カルシウムだけでなく、ビタミンD・ビタミンKと、体を動かすのに足りるだけの食事量をそろえることが大切です。

厚生労働省のe-ヘルスネットでは、骨がもろくなる原因のうち、自分で取りのぞけるものとして次のようなものを挙げています。

食事・生活で取りのぞける骨の危険因子(e-ヘルスネットより)
  • カルシウム不足・ビタミンD不足・ビタミンK不足
  • リンのとりすぎ・食塩のとりすぎ
  • 極端な食事制限(ダイエット)
  • 運動不足・日照不足
  • 多量のコーヒー

カルシウムが足りないことだけでなく、ビタミン不足や食事を減らしすぎることも、骨にとってよくないとされているんですよね。

サルくん

牛乳だけ飲んでいればいいわけじゃないんですね!

あげば

牛乳は大切だけど、ほかの栄養や食べる量もセットで考えよう。

この記事のポイント
  • 骨の量は成長期にふえ、20歳ごろに最大になる
  • 12〜14歳男子のカルシウム推奨量は1日1,000mgで、全年代でいちばん多い
  • 牛乳・乳製品は、カルシウムの量も吸収のよさもすぐれた食べ物
  • ビタミンDはさけ・さば缶・卵、ビタミンKは納豆・小松菜に多い
  • 食べる量が足りない状態が続くと、骨にも悪い影響が出るおそれがある
バボット

ホネ ハ セットデ ツクル

中高生のいまが骨をたくわえる時期

骨の話をするとき、まず知っておきたいのが「骨をたくわえられる時期は決まっている」ということです。

骨の量は20歳ごろに最大になる

厚生労働省のe-ヘルスネットによると、骨の量は成長期にふえ、20歳ごろに最大になるとされています。そのあとはしばらく安定し、年をとるにつれて減っていきます。

つまり、中学生・高校生の時期は、骨の「貯金」をふやせる貴重な期間です。同じページでは、骨を守る基本として、若いうちに最大の骨の量を大きくしておくことを挙げています。

バレーはジャンプと着地をくり返す競技なので、骨には毎日大きな力がかかります。いまの食事が、今シーズンだけでなく、この先ずっとプレーを続ける体の土台にもなるわけです。

サルくん

いまのうちに骨の貯金をしておくんですね!

身長がぐんと伸びる前後は特に大事

アメリカの子ども・若者約2,000人を追いかけた研究(McCormackら、2017年)があります。

この研究では、身長がいちばん伸びる時期をはさんだ前後4年間に、大人になったときの骨の量のおよそ3分の1がたくわえられていたと報告されています。

骨がいちばんふえるのは、男子で14歳ごろ、女子で12歳ごろでした。

また、アメリカ骨粗鬆症財団の声明(2016年)では、骨の量をふやすことに対して、カルシウムの摂取と運動が最も強い根拠をもつとされています。

特に、小学校の高学年から中学生ごろの時期が大切だと書かれています。

身長が伸びる時期と骨の育ち方の関係は、こちらの記事でもくわしく紹介しています。

カルシウム:1日の量と多い食べ物

ここからは、骨の材料になるカルシウムのとり方を見ていきます。数字は厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」、食べ物の値は文部科学省の「日本食品標準成分表(八訂)」のものです。

12〜14歳男子がいちばん多い

カルシウムは、骨をつくる大事な材料です。e-ヘルスネットでは、カルシウムが足りない状態が続くと、骨からカルシウムが取り出される量がふえ、骨の量が減っていくと説明されています。

年齢・性別カルシウムの推奨量(1日)
12〜14歳 男子1,000mg
12〜14歳 女子800mg
15〜17歳 男子800mg
15〜17歳 女子650mg

12〜14歳男子の1日1,000mgは、すべての年代の中でいちばん多い量です。骨がぐんぐん育つ時期だからこそ、ここまで多く決められています。

なお、17歳以下のカルシウムには「これ以上とると体に悪い」という上限の量が決められていません。これは安全だからではなく、決めるための研究が足りないためだと書かれています。

サプリメントでたくさんとることを勧めているわけではないので気をつけましょう。

バボット

チュウガクセイ ガ イチバン オオイ

牛乳・乳製品は吸収のよさもすぐれている

e-ヘルスネットでは、牛乳・乳製品は、カルシウムの量だけでなく吸収のよさでもすぐれた食べ物だと紹介されています。

農林水産省などの「食事バランスガイド」では、牛乳・乳製品の1日の目安を「2つ」としています。

よく体を動かす12歳以上の男子なら「2〜3つ」です。1つにはカルシウムが約100mg入っている、という数え方になっています。

サルくん

「つ」で数えるんですか?

あげば

牛乳1杯で2つ分、と覚えておけば大丈夫だよ。

食べ物カルシウム
牛乳コップ1杯(約200g)約220mg
プロセスチーズ1切れ(約20g)約130mg
ヨーグルト(無糖)1個(約100g)約120mg

牛乳1杯で「2つ分」、チーズ1切れやヨーグルト1個で「1つ分」と考えると分かりやすいでしょう。朝の牛乳と、練習帰りのヨーグルトやチーズを組み合わせれば、目安に届きます。

サルくん

練習のあとにヨーグルトを食べるようにします!

乳製品以外からもとれる

牛乳が苦手な選手もいますよね。カルシウムは、乳製品以外の食べ物からもとることができます。

食べ物(100gあたり)カルシウム
さば缶詰(水煮)約260mg
小松菜(生)約170mg
木綿豆腐約93mg

e-ヘルスネットでも、カルシウムをふやす工夫として、小松菜などの緑の野菜、ひじきなどの海藻、豆腐などの大豆製品を取り入れることが挙げられています。

さば缶は骨までやわらかく食べられるので、カルシウムが多い食べ物です。みそ汁に小松菜と豆腐を入れるだけでも、1品でカルシウムをふやせます。

牛乳を飲むとお腹がゆるくなる人は、無理に飲まず、ヨーグルトやチーズ、ほかの食べ物でとる方法を考えてみてください。

ビタミンDとビタミンK:カルシウムを骨に届ける

カルシウムをとっても、骨にうまく使われなければもったいないですよね。そこで一緒にとりたいのが、ビタミンDとビタミンKです。

ビタミンD:カルシウムの吸収を助ける

e-ヘルスネットでは、ビタミンDはカルシウムの吸収を助ける栄養だと説明されています。12〜17歳の目安量は、男女とも1日9.0μgです。

食べ物(100gあたり)ビタミンD
しろさけ(生)約32μg
さば缶詰(水煮)約11μg
鶏卵約3.8μg

さけ1切れ(約80g)なら約26μgとれるので、1日の目安量を大きくこえます。さば缶はカルシウムとビタミンDの両方をとれる、骨にとって心強い食べ物です。

バボット

サバカン ハ ホネ ノ ミカタ

ビタミンDは、日光を浴びると皮膚でもつくられます。厚生労働省は、日常生活の中でできる範囲で適度に日光を浴びることも大切だとしています。

体育館での練習が中心の選手は、通学や休み時間などに外の光を浴びる時間も意識してみてください。

あげば

魚と卵、それに少しの日光でビタミンDをとろう。

ビタミンK:カルシウムを骨に取りこむのを助ける

ビタミンKは、骨にカルシウムを取りこむのを助ける栄養です。e-ヘルスネットでも、骨のために必要な栄養素の1つとして挙げられています。

ビタミンKの1日の目安量は、12〜14歳男子が140μg、女子が150μg、15〜17歳は男女とも150μgです(日本人の食事摂取基準2025年版)。

食べ物(100gあたり)ビタミンK
糸引き納豆約870μg
小松菜(生)約210μg

納豆なら1パック(約40g)で約350μgとれる計算です。小松菜は、カルシウムとビタミンKの両方をとれるので、骨のための副菜にぴったりの野菜といえます。

サルくん

朝ごはんの納豆が骨にも役立っていたんですね!

疲労骨折が心配な選手が気をつけたい食べ方

ここからは、骨を守るために「とるもの」ではなく「気をつけたい食べ方」を紹介します。

食べる量が足りないと骨にも響く

1つ目は、食べる量そのものです。

国際オリンピック委員会(IOC)の声明(2023年)では、運動で使うエネルギーに対して食べる量が足りない状態が続くと、健康や競技に悪い影響が出るとしています。

この状態は「REDs(スポーツにおける相対的なエネルギー不足)」と呼ばれ、女子だけでなく男子の選手にも起こるとされています。

アメリカスポーツ医学会(ACSM)などの声明(2009年)でも、カルシウムとビタミンDが足りないと、骨密度の低下や疲労骨折のリスクが高まると書かれています。

練習量が多い日に食事を少なくしたり、体重を気にして食事を抜いたりすると、骨の材料もエネルギーも足りなくなります。骨のためにも、まずは3食をきちんと食べることが土台です。

バボット

タベナイ ト ホネ モ コマル

食塩・リン・コーヒーのとりすぎに気をつける

2つ目は、とりすぎに気をつけたいものです。e-ヘルスネットでは、骨の危険因子として「リンのとりすぎ」「食塩のとりすぎ」「多量のコーヒー」が挙げられています。

ふだんの食事を少し気をつけるだけで十分ですが、カップ麺やスナック菓子が続く、コーヒーを何杯も飲む、といった日が重ならないようにしたいところです。

コーヒーやエナジードリンクなどのカフェインについては、別の記事でくわしく紹介する予定です。

痛みがあるときは食事より先に医師へ

3つ目は、食事で何とかしようとしないことです。すねや足の甲などに、練習のたびに同じ場所が痛む状態が続くときは、食事を見直す前に整形外科などの医師に相談してください。

食事は骨を育てる土台ですが、いまある痛みを治すものではありません。疲労骨折のサインや練習を休む目安は、こちらの記事で解説しています。

あげば

痛みは体からのサインだから、がまんせずに相談しよう。

1日のカルシウムをそろえる食べ方の例

最後に、ここまでの食べ物を1日の食事にどう入れるかの例を紹介します。量は目安なので、自分の食事に合わせて置きかえてみてください。

カルシウムをそろえる1日の例
  • 朝:牛乳コップ1杯(約220mg)+納豆1パック
  • 昼:小松菜のおかず(生で約70g分・約120mg)
  • 練習後の補食:ヨーグルト1個(約120mg)+チーズ1切れ(約130mg)
  • 夜:さば缶半分(約90g・約230mg)+豆腐のみそ汁(豆腐100gで約93mg)

この例を足すと、カルシウムは1日で約910mgになります。15〜17歳の推奨量はこえていて、12〜14歳男子なら、夜に牛乳をもう1杯足すと1,000mgに届きます。

さば缶でビタミンDを、納豆と小松菜でビタミンKも一緒にとれる組み合わせです。

毎日この通りに食べる必要はありません。「朝に牛乳」「補食に乳製品」「夜に魚か大豆のおかず」と、3つの場面でカルシウムを足すと覚えておくと続けやすいはずです。

サルくん

まずは朝の牛乳と、補食のヨーグルトから始めます!

骨を強くする食事についてよくある質問

カルシウムのサプリを飲めば、疲労骨折は防げますか?

サプリだけで疲労骨折を防げるとはいえません。17歳以下はカルシウムの上限の量が決められておらず、たくさんとってよいという意味でもないため、まずは食事でとることが先です。サプリには禁止物質がまざる危険(うっかりドーピング)もあるので、使う前に医師や管理栄養士、指導者に相談してください。

牛乳が飲めません。どうすればいいですか?

ヨーグルトやチーズなら食べられる人もいます。乳製品がまったくだめな場合は、さば缶、小松菜、豆腐などからカルシウムをとりましょう。食べられるものが少なくて不安なときは、管理栄養士に相談するのもおすすめです。

背を伸ばすためにも牛乳を飲んだほうがいいですか?

牛乳は骨のためのカルシウムをとりやすい食べ物ですが、牛乳を飲めば身長が伸びるとはいえません。身長には遺伝や睡眠、食事全体の量などいろいろなことが関わります。骨のために、ほかの食事と合わせてとるものと考えましょう。

日焼けしたくないのですが、ビタミンDはどうすればいいですか?

ビタミンDは、さけやさば缶、卵などの食べ物からもとれます。さけ1切れで1日の目安量をこえるので、日光に長く当たらなくても、魚や卵を食べることで補いやすい栄養です。

カルシウム以外のビタミン・ミネラルについては、こちらの記事でまとめています。

まとめ:いまの食事が、ずっと跳べる骨をつくる

この記事では、バレー選手が骨を強くするための食事を、国の基準と骨の研究をもとに解説しました。

カルシウムを3つの場面で足し、ビタミンDとビタミンKを一緒にとる。そして、食べる量を減らさない。

栄養素とりやすい食べ物
カルシウム牛乳・ヨーグルト・チーズ・さば缶・小松菜・豆腐
ビタミンDさけ・さば缶・卵(+適度な日光)
ビタミンK納豆・小松菜

骨の量は20歳ごろまでにふえていくので、中学生・高校生のいまの食事が大切です。まずは明日の朝ごはんに、牛乳かヨーグルトを1つ足してみてください。

サルくん

骨の貯金、今日から始めます!

あげば

毎日の食事でコツコツためた骨が、ジャンプを支えてくれるよ。

参考にした資料

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

食事・栄養については他にも記事を書いています。
気になるテーマがあればぜひ読んで参考にしてもらえたら嬉しいです♪

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この記事を書いた人

バレーボール・ビーチバレーボール元日本代表。
バレーボールスクールを10年間運営。

【保有資格】
日本スポーツ協会公認バレーボールコーチ4

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