- 片脚で跳ぶと、右と左でかなり差がある気がする
- 左右差があると、ジャンプ力やけがに関係するのか知りたい
- 自分の左右差をどう測って、どう直せばいいか分からない
こんな悩みを解決します。
左右の脚の差は、片脚ずつのジャンプで測って数字で確かめ、片脚のトレーニングで少しずつ整えていくのが近道です。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
研究では、左右差は「少しあるのがふつう」で、ジャンプの高さとの関係ははっきりしないと報告されています。ただし、差が大きいまま放っておくと、方向転換やけがのリスクに関わる可能性も指摘されています。
この記事では、こうした研究をもとに、左右差の測り方と、差が大きいときの直し方を紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
- 左右差がジャンプやけがとどう関係するのか分かる
- 自分の左右差を片脚ジャンプで測る方法が分かる
- 差が大きいときに取り入れたいトレーニングが分かる
結論:左右差は測って、大きければ片脚で整える
結論からお伝えします。左右差はだれにでも少しはあるもの。まず片脚ジャンプで測り、差が大きいときだけ片脚のトレーニングで整えます。
左右差を気にしすぎて、両脚のジャンプ練習をおろそかにする必要はありません。大切なのは、感覚ではなく数字で自分の状態を知ることです。
サルくん左足で跳ぶと、右足より明らかに低い気がするんです…。
左右差は少しあるのがふつう
人には利き手があるように、利き足もあります。さらにバレーでは、右利きのスパイクなら右足→左足の順に踏み込むなど、左右の脚の使い方がもともと少しちがいます。
だから、左右の脚の力や跳ぶ高さに多少の差があるのは自然なことです。
けがの後のリハビリでは、左右差が10〜15%以内(弱い脚が強い脚の85〜90%以上)をひとつの目安にすることが多いと、Wellsandt らの論文(2017年・理学療法の専門誌)でも紹介されています。
差が大きいときは見直すサイン
一方で、差が大きすぎる場合は、どちらかの脚に頼りすぎていたり、以前のけがの影響が残っていたりするかもしれません。
たとえば、片脚で跳ぶと毎回ふらつく、弱い脚だけ着地で止まれない、といった様子があるなら、一度きちんと測ってみる価値があります。



ぼくの場合、左足の着地がいつもふらつきます。
- 少しの左右差はだれにでもある
- 気になるときは片脚ジャンプで数字にする
- 差が大きいときは、片脚トレーニングで整える



まずは感覚じゃなく、数字で確かめることが大事だよ。
研究でわかった左右差とジャンプの関係
では、左右差はジャンプ力にどれくらい影響するのでしょうか。研究を見ていきます。
両脚の垂直跳びとの関係は弱い
Fox らのまとめ(2023年・科学の国際誌)は、片脚ジャンプの左右差と運動の成績の関係を調べた研究を集めて分析しました。
その結果、左右差は両脚の垂直跳びの高さとはっきりした関係がなかったと報告されています。一方で、ダッシュや方向転換の速さとは、弱いながらも関係が見られました。
つまり、左右差があっても、両脚で真上に跳ぶ高さにはあまり影響しない可能性があるということです。
ただし、このまとめに入った研究の多くは左右差が平均6〜11%ほどと小さく、もっと大きな差がある人には当てはまらないかもしれません。



サユウサ ト リョウアシジャンプ ノ カンケイ ハ ヨワイ
方向転換やダッシュには影響することも
Bishop らのまとめ(2018年・スポーツ科学の専門誌)でも、脚の筋力の左右差は、ジャンプなどの成績に悪い影響を与えるかもしれないと報告されています。
ただし、どの研究も関係を調べたもので、左右差が原因だと確かめたものではありません。
バレーは、左右に動いてから踏み切る場面が多い競技です。ブロックで横に移動して跳ぶときや、助走の角度を変えるときなど、片脚で踏ん張る力が求められます。



ブロックで右に動くときだけ、踏ん張れない感じがします…。
両脚の垂直跳びには表れにくくても、試合の動きの中では左右差が影響している可能性があるでしょう。
けがとの関係はまだはっきりしない
左右差とけがの関係はどうでしょうか。Guan らのまとめ(2022年・臨床医学の国際誌)は、28の研究を集めて調べました。
その結果、研究によって結果がばらばらで、左右差がけがにつながるかどうかははっきり言えないと結論づけています。
一方で、バレー選手101人を9か月追いかけた Sohrabi と Naderi の研究(2025年・医療系の専門誌)では、片脚幅跳びの左右差が大きい選手ほど、けがをしやすい傾向が見られました。
ただし、左右差で説明できたのはけがの起こりやすさのごく一部でした。



左右差があるからといって、必ずけがをするわけではないんですね!



そうだね。でも差が大きいなら、整えておいて損はないよ。
片脚ジャンプで左右差を測る方法
左右差は、見た目や感覚だけでは分かりにくいものです。ここでは、体育館や自宅でできる測り方を紹介します。
片脚幅跳びで距離をくらべる
いちばん手軽なのが、片脚で前に跳んで、片脚で着地する「片脚幅跳び」です。
着地で止まれなかったり、手をついたりした回は数えずに、やり直しましょう。



止まれない着地は、記録に入れないのがルールだよ。
片脚の垂直跳びで高さをくらべる
真上に跳ぶ力の左右差を知りたいときは、片脚の垂直跳びも役に立ちます。
壁に手をのばしてタッチする方法や、スマホで撮影して跳んでいる時間から高さを出す方法などがあります。
測り方は両脚の垂直跳びと同じです。片脚で踏み切って、着地も同じ脚で静かに行いましょう。
左右差の計算と見方
記録がそろったら、次の式で左右の差を計算します。
- 弱いほうの脚の記録 ÷ 強いほうの脚の記録 × 100 = 何%か
- 例:右脚150cm・左脚135cmなら、135÷150×100=90%
- 100%に近いほど、左右の差が小さい
ここで注意したいのが、「何%以下ならダメ」という決まった線はないことです。
Parkinson らのまとめ(2021年・スポーツ科学の専門誌)では、よく使われる「左右差10〜15%」という目安は、根拠が十分ではないと指摘されています。



10%ちがったらダメ、というわけではないんですね!
さらに Bishop らの研究(2021年・トレーニング科学の専門誌)では、測る種目によって、強いほうの脚が入れ替わることがあると報告されました。
幅跳びでは右が強いのに、垂直跳びでは左が強い、ということも起こるのです。
だから、ひとつの種目だけで決めつけず、2種類くらいの測り方で確かめるのがおすすめ。そして、同じ方法で定期的に測り、自分の数字がどう変わるかを見ていきましょう。



種目を変えて測ると、本当の左右差が見えてくるんですね!
左右差が大きいときの直し方
測ってみて差が大きかったときは、トレーニングで整えていきます。
片脚のトレーニングを取り入れる
Bettariga らのまとめ(2022年・トレーニングの専門誌)では、トレーニングを続けることで、左右差は少し〜中くらい小さくなったと報告されています。
とくに、片脚の垂直跳びや横への片脚ジャンプの左右差で、変化が大きく見られました。
このまとめでは、片脚で行う筋トレでも、両脚で行う筋トレでも左右差が小さくなる可能性があるとされています。
両脚の練習に加えて、片脚で体を支えるトレーニングを取り入れると、弱い脚を集中して鍛えやすくなります。
筋トレの回数や頻度は、ふだんのスクワットと同じく10回前後×2〜3セット・週2〜3回ほどを目安にし、間に1日休みを入れましょう。中学生は自分の体重を使う種目から始めてください。
- ブルガリアンスクワット:後ろ足を台に乗せ、前の脚1本でしゃがむ
- ステップアップ:台に片脚で上り、ゆっくり下りる
- ケンケン:片脚で跳び、着地でぶれない足首を作る
弱いほうの脚から始める
片脚のトレーニングは、弱いほうの脚から先に行い、左右同じ回数をていねいに行うのが基本です。



強いほうの脚から始めたほうが、気持ちよくできそうですけど…。



元気なうちに弱い脚をやるほうが、形がくずれにくいんだ。
疲れていない最初のうちに弱い脚を鍛えると、フォームをくずさずに取り組めます。強いほうの脚に合わせて無理に回数を増やすより、正しい形でくり返すことを大切にしましょう。
着地の形もいっしょに見直す
左右差がある人は、弱い脚で着地したときに膝が内側に入ったり、体が横に流れたりしやすいものです。
片脚で着地したときに、膝とつま先が同じ方向を向いているかを鏡や動画で確かめてみてください。着地が安定してくると、片脚で踏ん張る力も育ちやすくなります。
練習の動きも左右両方で行う
トレーニングで整えた力を、バレーの動きにつなげることも大切です。
たとえばブロックの横移動は、得意な方向ばかりでなく、左右どちらの方向にも同じくらい練習するようにしてみてください。
苦手な方向に動いてから跳ぶ練習をくり返すと、弱い脚で踏ん張る場面が自然と増えます。筋トレとコートでの動きの両方から、左右差を整えていきましょう。



ヒザ ガ ウチガワ ニ ハイル チャクチ ハ キケン
左右差を測るときの注意点
最後に、左右差を測ったり直したりするときに気をつけたいことを紹介します。
痛みがあるときは測らない
膝やかかと、足首などに痛みがあるときは、片脚ジャンプで測るのはやめましょう。痛みのせいで差が出ている場合もあるからです。
とくに成長期の選手は、膝やかかとに痛みが出やすい時期です。痛みが続くときは練習を休んで、整形外科で診てもらってください。
けがのあとは医師の許可を取ってから
けがのあとで片脚の力が落ちているときは、自分の判断で全力の片脚ジャンプを始めないでください。医師や理学療法士の許可を取り、段階をふんで戻していくことが大切です。



焦って全力で跳ぶのは、いちばん避けてほしいことだよ。
毎回同じ条件で測る
測る日によって、疲れや体の温まり方はちがいます。練習前のアップ後など、なるべく同じタイミングと同じ場所で測ると、変化をくらべやすくなります。
1回の結果に一喜一憂せず、1〜2か月ごとに記録を並べて見ていきましょう。



記録を続けると、左右差が縮んでいくのが見えてくるよ。
よくある質問
まとめ:片脚ずつ測って、弱い脚から整える
この記事では、左右の脚の差とジャンプの関係、測り方と直し方を、研究をもとに解説しました。
左右差は少しあるのがふつう。片脚ジャンプで数字にして、差が大きければ弱い脚から片脚トレーニングで整える。
| テーマ | 研究で分かっていること |
|---|---|
| ジャンプとの関係 | 両脚の垂直跳びとの関係は弱い |
| 動きとの関係 | ダッシュや方向転換には弱い関係あり |
| けがとの関係 | 研究によって結果がばらばら |
| 直し方 | トレーニングで左右差は少し〜中くらい縮む |
私は元日本代表として、左右どちらの脚でも踏ん張れる選手ほど、どんなトスにも対応しやすいと考えています。
まずは次の練習で、片脚幅跳びを左右3回ずつ測ってみてください。



さっそく左右の記録を測って、ノートに書いてみます!



数字で分かれば、何をすればいいかもはっきりするよ。
参考にした研究・資料
- Fox KT, Pearson LT, Hicks KM. The effect of lower inter-limb asymmetries on athletic performance: A systematic review and meta-analysis. PLoS ONE, 2023
- Bishop C, Turner A, Read P. Effects of inter-limb asymmetries on physical and sports performance: a systematic review. Journal of Sports Sciences, 2018
- Bishop C, et al. Interlimb Asymmetries: The Need for an Individual Approach to Data Analysis. Journal of Strength and Conditioning Research, 2021
- Guan Y, et al. Association between Inter-Limb Asymmetries in Lower-Limb Functional Performance and Sport Injury: A Systematic Review of Prospective Cohort Studies. Journal of Clinical Medicine, 2022
- Sohrabi A, Naderi A. Inter-limb Asymmetry in Y Balance and Single Leg Hop as a Predictor of Sports Injuries in Volleyball Players. Journal of Clinical Research in Paramedical Sciences, 2025
- Parkinson AO, et al. The Calculation, Thresholds and Reporting of Inter-Limb Strength Asymmetry: A Systematic Review. Journal of Sports Science and Medicine, 2021
- Bettariga F, et al. The effects of training interventions on interlimb asymmetries: a systematic review with meta-analysis. Strength and Conditioning Journal, 2022
- Wellsandt E, Failla MJ, Snyder-Mackler L. Limb Symmetry Indexes Can Overestimate Knee Function After Anterior Cruciate Ligament Injury. Journal of Orthopaedic & Sports Physical Therapy, 2017
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
パフォーマンスアップについては他にも記事を書いています。
気になるテーマがあればぜひ読んで参考にしてもらえたら嬉しいです♪










