- 練習では入るサーブが、試合になると急に入らない
- レシーブもスパイクも、本番だと体が思ったように動かない
- 試合が終わるたびに「なんで練習どおりにできないんだろう」と落ち込む
こんな悩みを解決します。
練習でできて試合でできないのは、技術が足りないからではありません。練習と試合で変わっている「条件」に、体がまだ慣れていないだけです。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
10年以上、中学生から一般まで幅広い世代を指導してきましたが、「練習ではできるんです」という相談は、毎年いちばん多く受けるものの1つです。
そのときにお伝えしているのは、気持ちの持ち方を変える前に、練習の条件を試合に近づけることです。条件が同じなら、出てくるプレーも近づいていきます。
ぜひこの記事を参考にしてみてください。
- 練習と試合で何が変わっているのか、5つの条件で切り分けられる
- 試合でも出せるようにする練習のやり方が分かる
- 試合当日にやる準備の順番と、当日は直さない線引きが分かる
メンタル面の整え方をまとめて知りたい方は、こちらの記事もあわせてどうぞ。
それでは、くわしく見ていきましょう。
結論:直すのは技術ではなく「練習の条件」
結論からお伝えします。
練習ではできるのに試合でできないときの直し方は、① 練習と試合で変わっている条件を書き出す。
② その条件を1つだけ練習に入れて、できる範囲を広げる。この順番です。
多くの選手は、試合でできなかった原因を自分の心の弱さに求めます。緊張したから、ビビったから、集中していなかったから、というふうにです。
ところが、同じ選手が練習では同じ動きをきちんとできています。数分前まで動けていた体が、笛が鳴った瞬間に別物になるわけではありません。
変わっているのは体の能力ではなく、その周りにある条件です。ボールの飛んでくる質、相手の存在、時間の制限、見ている人の数。
ここが練習と試合でまるで違います。
サルくんてっきり自分が本番に弱いだけだと思っていました…。



弱いのではなく、試合の条件で練習した回数がまだ少ないんです。
もう1つ知っておいてほしいのは、この差は誰にでもあるということです。全国大会に出る選手も、練習の100%を試合で出せているわけではありません。
差をゼロにするのではなく、少しずつ縮めていく。そう考えたほうが、取り組みが続きます。



サ ハ ケス ノ デハ ナク チヂメル
練習と試合で変わる5つの条件
まずは、自分の場合はどこが変わっているのかを切り分けます。ここを飛ばして練習量だけを増やすと、できる場面だけがさらに上手になっていきます。
変わっているのはこの5つ
自分の試合を思い出しながら、どれが近いかを確認してみてください。
| 変わる条件 | 練習での状態 | 試合での状態 |
|---|---|---|
| ボールの質 | 味方が同じ高さで同じ球を出す | 高さも回転も速さも毎回違う |
| 相手の存在 | ブロックもいない・拾う人もいない | 目の前に人がいて、コースをふさがれる |
| 判断の量 | 次に何をするか決まっている | 場面ごとに自分で選ぶ必要がある |
| 時間の制限 | やり直しができる | 1本で終わる・戻れない |
| 見ている人 | 味方と指導者だけ | 保護者・相手チーム・審判が見ている |
いちばん多いのは、上から3つ目までの組み合わせです。技術そのものより、決まった球を決まった手順で処理する練習ばかりになっていた、というパターンです。



言われてみると、練習は毎回同じ形でした。



その形だけ上手になっているんです。条件を足していきましょう。
ボールの質が原因のとき
サーブレシーブが試合で乱れる人は、たいていここです。練習では同じ人が同じサーブを打ってくれますが、試合の相手は毎回違います。
打つ人を交代しながら受ける、回転のあるサーブと無回転のサーブを混ぜる。それだけで、試合に近い形になります。
サーブレシーブの考え方はサーブカットのコツ|安定してセッターに返す5つの基準にまとめました。
判断の量が原因のとき
スパイクが試合で決まらない人に多いのがこれです。練習では打つコースを決めてから跳んでいますが、試合はブロックを見てから決める必要があります。
決まった動きを速くする練習と、決める練習は別物です。どちらもやらないと試合ではつながりません。
打つ前に相手を見る習慣づけは試合でスパイクが打てない原因|本番で決めるコツで具体的に解説しています。
見ている人が原因のとき
人の目が気になるタイプは、1人の練習では驚くほど上手にできます。ところが、誰かに見られた瞬間に手先が固くなります。
この場合は、技術ではなく慣れの問題です。見られる回数を意識して増やしていくと、少しずつ落ち着いてきます。



ぼくは見られると急に力が入ります。



それも練習で作れる条件です。あとで作り方をお伝えします。
試合で出せるようにする練習のやり方
条件が分かったら、その条件を練習に入れていきます。大事なのは、一度に全部入れないことです。
条件を5つ同時に足すと、ただ失敗が増えるだけの時間になります。1つずつ足して、できる範囲を少しずつ広げていきます。
成功率の目安を10本中4〜6本にしているのには理由があります。全部できる設定では集中が続かず、ほとんど失敗する設定では何が良かったのか分からなくなるからです。
半分くらい失敗する難しさが、いちばん集中も上達も進みます。試合の緊張感に近い感覚も、このあたりで出てきます。
条件の足し方の具体例
サーブを例にすると、足す順番はこうなります。まず1人で10本打ち、次に人に見てもらいながら10本打ちます。
そのあと、ミスしたら走る、5本連続で入るまで終わらない、といった条件を足していきます。最後に、点数がかかった場面だと声に出してから打ちます。
同じ10本でも、条件が違えば別の練習になります。体は、やった条件のとおりに動けるようになっていきます。
- 声に出す:「マッチポイント」と口に出してから1本打つ
- 本数を区切る:5本連続で入るまで終わらない、と決める
- 記録する:成功本数をノートに残して前回と比べる
- 見てもらう:チームメイト1人に横で見てもらう
ゲーム形式の練習で条件を付ける方法はバレーのゲーム形式練習6選|条件を付けて狙いを絞るやり方が参考になります。
練習試合と紅白戦の使い方
条件をまとめて試せるのが、練習試合と紅白戦です。ここでは勝ち負けより、試したいことを1つ決めて入るのが大切です。
今日はサーブで2番を狙う、今日はブロックを見てからコースを決める、というくらいで十分です。目的が1つあると、うまくいかなかったときにも次の手が見えます。
練習試合は、勝つための場ではなく、試合の条件で失敗しておく場です。
やり方はバレー部の紅白戦のやり方|チーム分けと見る5つの点にまとめています。
試合当日にできる準備の順番
当日は、新しいことを覚える時間はありません。やるのは、練習でできていた状態に体を戻す作業だけです。
順番を毎回そろえる
会場に入ってからの動きを固定すると、気持ちの上下に関係なく試合に入れます。同じストレッチ、同じパスの相手、同じサーブの本数。この程度で十分です。
私が現役のころも、体育館に入ってからの順番は毎回同じにしていました。調子がいい日も悪い日も同じ入り方をすると、迷う時間がなくなります。



マイカイ オナジ ジュンバン デ ハイル
準備の型の作り方はバレーのルーティンの作り方|本番で力を出す準備動作で解説しています。
当日はフォームを直さない
試合前の練習で入らないと、つい打ち方を変えたくなります。ここで手を加えると、練習で作った形まで崩れてしまいます。
当日に触っていいのは、狙う場所と力の入れ具合だけです。フォームそのものは、次の練習日まで置いておきます。
当日に変えるのはコースと力加減まで。フォームは翌週の練習で直します。
1本目の目標を決めておく
試合の最初の1本を、思い切りいくのか安全にいくのかは、コートに入る前に決めておきます。その場で迷うと、中途半端な動きになりやすいからです。
サーブなら、1本目はコースより確実に入れる。スパイクなら、1本目はブロックを避けて高い打点から打つ。決めておくと、体が勝手に動き出します。



迷う時間をなくすんですね!



決まっていれば、あとは体が覚えた動きをしてくれますよ。
緊張そのものが強い場合は試合の緊張をほぐすコツ|本番で固くならない準備の考え方も読んでみてください。
やってしまいがちな3つの失敗
ここを間違えると、練習しているのに差が縮まりません。私が現場でよく見る順に挙げます。
失敗1:できる練習ばかり続ける
同じ形の練習を続けると、成功率は上がります。それ自体は悪いことではありませんが、上がっているのは「その条件での成功率」だけです。
試合の条件では1本もやっていないので、本番で初めての経験になります。初めてのことがうまくいかないのは、当然の結果です。
失敗2:試合の失敗を性格のせいにする
「自分は本番に弱い」と言葉にすると、直す場所が見えなくなります。性格は練習で変えられませんが、条件への慣れは練習で変えられます。
「本番に弱い」ではなく「その条件でやった回数が少ない」に言い換えると、次の練習が決まります。
言い換えるだけで、やることが具体的になります。



たしかに、弱いと言っても何も変わりませんでした。



回数の話にすると、増やせばいいだけになりますよ。
試合に負けた直後で自分を責めてしまうときは、気持ちと原因を分けて整理する順番を別の記事でまとめています。
失敗3:1回の試合で判断してしまう
1試合でできなかっただけで、練習が間に合っていないと決めるのは早すぎます。試合の出来は相手や体調にも左右されるので、1回では傾向が分かりません。
3試合くらいを並べて見ると、同じ場面で崩れているのか、たまたまだったのかが分かります。記録があると、この判断がぐっと楽になります。
書き方はバレーノートの書き方|伸びる選手の振り返り3項目が参考になります。
それでも出せないときの考え方
条件を足す練習を続けても、すぐには変わらないことがあります。そのときに見るところを整理しておきます。
技術が固まっていない場合もある
条件の差だと思っていたものが、実は基本の形がまだ固まっていない場合もあります。見分け方は、練習でも10本中3本くらい失敗するかどうかです。
練習で成功率が7割を切っているなら、条件を足す前にフォームを固める段階です。ここは急がず戻ったほうが、結果として早く進みます。
練習での成功率が7割未満なら、条件を足す前にフォームの練習に戻ります。
体が疲れていないかを見る
睡眠と練習量が崩れていると、判断の速さが落ちます。判断が遅れれば、動きは自然と間に合わなくなります。
眠い、だるいが2週間以上続いているときは、気持ちの問題ではなく休養の問題として扱ってください。
やる気そのものが落ちているときはバレーのやる気が出ないとき|モチベーションを戻す5つの手順を先に読んでみてください。
眠れない・食べられないが続くときは相談する
試合前に眠れない、食欲がない、涙が出るといった状態が続いているなら、練習の話とは切り分けます。
保護者や学校の先生、スクールカウンセラー、かかりつけの医療機関に早めに相談することをおすすめします。ここは我慢して乗り切る場面ではありません。



ネムレナイ ガ ツヅクトキ ハ ソウダン
集中の入り方を整えたい場合はバレーで集中力を高める方法|目の前の1本に入り込むが参考になります。
よくある質問
まとめ:条件を足していけば、差は縮まる
練習ではできるのに試合でできないのは、心の弱さではなく条件への慣れの問題です。何が変わっているのかを切り分けて、その条件を練習に足していきます。
① 練習と試合で変わっている条件を書き出す。
② その条件を1つだけ練習に入れて、できる範囲を広げる。
| 当てはまる状態 | 最初にやること | 見るポイント |
|---|---|---|
| 決まった球なら返せる | 打つ人と球種を混ぜて受ける | 10本中4〜6本の難しさか |
| 打つコースを決めてから跳んでいる | ブロックを見てから決める練習を入れる | 決める練習を別に取れているか |
| 見られると固くなる | 見てもらう回数を意識して増やす | 人数を段階的に増やしているか |
| 練習でも3割は失敗する | 条件を足す前にフォームを固める | 成功率が7割を超えたか |
| 眠い・だるいが続く | 睡眠と練習量を1週間見直す | 2週間以上続いていないか |
私自身も現役時代、練習の感覚をそのまま試合で出せずに悩んだ時期がありました。
そこから抜けられたのは、気持ちを強くしようとするのをやめて、練習の条件を試合に近づけたときでした。
まずは次の練習で、いちばん当てはまる条件を1つだけ足してみてください。



明日は打つ人を交代してもらって、10本受けてみます!



それが試合の1本につながっていきますよ。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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