- 同学年の子が上手くなっていくのを見ると、胸がざわざわする
- 自分より後から始めた人に追いつかれて焦っている
- 比べても意味がないと分かっているのに、やめられない
こんな悩みを解決します。
人と比べてしまうのは、性格の問題ではありません。比べる相手と、比べる中身を決めていないことが原因です。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
10年以上、中学生から一般まで幅広い世代を指導してきましたが、「あの人と比べて自分はダメだ」という相談は、技術の相談と同じくらい多く受けてきました。
そのときにお伝えしているのは、比べるのをやめようとしなくていい、ということです。比べ方を変えるほうが現実的で、そのほうが伸びます。
ぜひこの記事を参考にしてみてください。
- なぜ比べると苦しくなるのか、その仕組みが分かる
- 焦りを練習の中身に変える具体的な手順が分かる
- 比べてもいい場面と、見ないほうがいい場面の線引きが分かる
メンタル面の整え方をまとめて知りたい方は、こちらの記事もあわせてどうぞ。
それでは、くわしく見ていきましょう。
結論:比べるのをやめるのではなく、比べ方を変える
結論からお伝えします。
比べてつらくなったときの直し方は、① 比べる相手を「先月の自分」に置き換える。
② 人の動きは、盗む目的でだけ見る。この2つです。
人と比べるのをやめるのは、そもそも難しいことです。同じコートに立っていれば、上手い人の動きは自然と目に入ります。
無理に見ないようにすると、かえって気になります。だから、比べる相手と目的を変えるほうが現実的です。
サルくん比べないようにしていたのに、つい見てしまいます…。



見るのは悪くありません。何のために見るかを変えましょう。
もう1つ知っておいてほしいのは、比べて焦る気持ちは、上手くなりたい気持ちの裏返しだということです。どうでもいい相手には、人は焦りません。
焦りそのものは燃料になります。向ける先を間違えなければ、練習の質は上がります。



アセリ ハ ムケル サキ ガ ダイジ
なぜ比べると苦しくなるのか
同じ「比べる」でも、苦しくなる比べ方と、役に立つ比べ方があります。まずは自分がどちらをしているかを見てみてください。
苦しくなる比べ方の特徴
比べて落ち込むときは、たいてい次のどれかに当てはまります。
| 比べ方 | 何が起きるか | 変えどころ |
|---|---|---|
| 結果だけを比べる | 出番・勝敗しか見えず、自分の伸びが消える | 経過を比べる |
| 全体をまとめて比べる | 「あの人はすごい」で終わり、学べない | 1つの動きに絞る |
| 過去の相手と比べる | 今日の自分の課題が分からない | 先月の自分と比べる |
| いちばん上手い人と比べる | 差が大きすぎて手が止まる | 少し上の人を見る |
とくに多いのが、1つ目の結果だけを比べるパターンです。出番の有無や勝敗は、自分の伸びとは別の軸で決まります。



試合に出ているかどうかばかり見ていました。



そこは指導者が決める部分です。自分が動かせる場所を見ましょう。
人の伸びは見えて、自分の伸びは見えない
もう1つの理由が、見え方の差です。人の伸びは結果として目に入りますが、自分の伸びは体の中で起きるので気づきにくいのです。
先月より1歩目が早く出ていても、自分では分かりません。数えて残しておかないと、伸びていないように感じてしまいます。
だから、記録が効きます。数字が残っていれば、焦っている日でも自分の変化が見えます。
もう1つ覚えておきたいのが、伸び方は人それぞれ違うということです。少しずつ上がる人もいれば、半年変わらずに急に上がる人もいます。
変わらない時期は、体の中で動きの形が作られている時間です。外から見えないので、止まっているように感じます。



変わらない時期にも、進んでいるんですね。



ええ。そこで止める人が多いだけなんです。
同じ時期に始めても、体の成長の早さや前の競技の経験で進み方は変わります。同じ月数だけ練習したから同じ位置にいるはず、とはなりません。
自分の伸びは、数えて残さないと見えません。焦りの半分は、見えていないことから来ています。
比べた相手も、誰かと比べている
上手く見える人も、その上の誰かを見て焦っています。私が関わってきた選手たちでも、順番が入れ替わる場面を何度も見てきました。
今の順番は、そのまま固定されるものではありません。中学や高校の3年間でも、入れ替わりは何度も起きます。



イマノ ジュンバン ハ カワル
焦りを練習に変える5つの手順
ここからは具体的な進め方です。1日で全部やる必要はなく、上から順に置き換えていきます。
3番目と4番目が、この手順の中心です。上手い人を見るのは、落ち込むためではなく、盗むためだと決めておきます。
構えの高さ、1歩目の向き、打つ前の目線。どれか1つに絞ると、真似できる形になります。



全体を見ていたから、すごいで終わっていたんだ!



1か所に絞ると、そのまま練習に持って行けますよ。
1週間の進め方の例
言葉だけだと動きにくいので、1週間の形にしてみます。月曜に比べる相手を決めて、日曜に振り返るイメージです。
月曜と火曜は、上手い人の動きを1か所だけ見る日にします。見るだけで、まだ真似はしません。
水曜から金曜は、見た1か所を自分の練習で試します。ここで成功本数を数えておくと、あとで変化が分かります。
見る日と、試す日を分けるのがコツです。同じ日にやると、どちらも中途半端になります。
土曜と日曜は、数えた本数を先週と比べます。増えていれば続け、変わらなければ見る場所を別の1か所に変えます。
この形なら、焦りが出た日も「今週は何を見る週か」がはっきりしています。やることが決まっていれば、人の動きを見ても沈みにくくなります。



1週間ごとに区切ると分かりやすいです。



区切りがあると、比べても迷わなくなりますよ。
比べる相手は「少し上の人」にする
いちばん上手い人を基準にすると、差が大きすぎて手が止まります。目安は、頑張れば追いつけそうな少し上の人です。
その人ができていて自分ができていないことは、たいてい1つか2つに絞られます。そこが今日の課題になります。
比べる相手は、追いつけそうな少し上の人にすると、課題が具体的になります。
記録は数字と1行メモで足りる
記録は難しく考えなくてかまいません。サーブが10本中何本入ったか、レシーブが何本セッターに返ったか。それだけで変化は追えます。
そこに、できた場面を1行だけ足しておきます。落ち込んだ日にその1行を読むと、進んでいることが自分で確認できます。
書き方の型はバレーノートの書き方|伸びる選手の振り返り3項目にまとめました。
見ないほうがいい場面もある
比べ方を変えても、どうしても苦しい場面があります。そのときは距離を取ってかまいません。
大会直前と、疲れている日は見ない
試合が近い時期に人の動きを気にすると、自分の準備が崩れます。直前にフォームを変えたくなるのも、たいていこのときです。
大会前の1週間は、自分が決めた1つだけに集中します。人の動きを研究するのは、大会が終わってからで十分です。
疲れている日も同じです。体が重い日は、どんな比べ方をしても悪い方向に考えが進みます。
大会直前と疲れている日は、人と比べる作業を止めます。判断が悪いほうへ進みます。
SNSで人の練習を見続けない
同じ年代の選手の動画を見続けると、比べる材料が無限に増えます。上手い人だけが目に入るので、平均が上がって見えます。
見る時間を決めて、そこから1つだけ真似するものを選ぶ。そう決めておくと、材料として使えます。



見ているうちに、落ち込むだけの時間になっていました。



見る目的と時間を決めれば、道具として使えますよ。
出番の話は、自分で決められない
レギュラーを外れているときは、比べる気持ちがいちばん強くなります。ただ、出番を決めるのは指導者です。
自分で動かせるのは、練習でできることを増やすところまでです。ここを分けておくと、気持ちの消耗が減ります。
考え方はバレーでレギュラーになれない|選ばれる選手になる4手順とバレーで控えのときの過ごし方|ベンチから出番に備える5つにまとめています。
やってしまいがちな4つの失敗
比べることに向き合うとき、遠回りになりやすい行動があります。よく見る順に挙げます。
失敗1:練習量で追いつこうとする
焦ると、真っ先に増やしたくなるのが練習量です。ですが、量を増やしても、やっている中身が同じなら差は変わりません。
先に見るのは、何を練習しているかです。同じ時間なら、中身を1つ入れ替えるほうが効きます。
体の疲れが先に来ると、判断も動きも落ちます。そこから調子を崩す選手を、私も何人も見てきました。
失敗2:自分を下げる言葉を口にする
「自分は下手だから」と言葉にすると、その場は楽になります。ですが、口にするほど、挑戦する場面で手が出なくなります。
言い方を変えるだけで動きは変わります。下手だから、ではなく、まだやった回数が少ないから、と置き換えてみてください。



口ぐせになっていました…。



言い換えるだけで十分です。回数の話にしましょう。
失敗3:比べる範囲を広げすぎる
同じチームの選手だけでなく、他校の選手、全国大会に出ている選手まで並べて見ると、比べる相手はきりがなくなります。
範囲を広げるほど、上手い人の数は増えます。どれだけ伸びても、自分より上の人は必ず見つかります。
比べる範囲は、同じ体育館にいる人までで十分です。その中で少し上の人を1人決めれば、今週やることは決まります。
失敗4:比べた相手を避ける
気になる相手を避けると、学べる機会も失います。同じチームなら、その人と組む練習がいちばん近道です。
上手い人と組むと、自然と基準が上がります。避けるより、隣でやったほうが伸びます。
自信そのものが落ちているときはバレーで自信をつける方法|自信がないを変える習慣を先に読んでみてください。
よくある質問
まとめ:比べる相手を変えれば、焦りは燃料になる
人と比べてしまうのは、上手くなりたい気持ちがあるからです。やめようとするより、比べる相手と目的を変えるほうがうまくいきます。
① 比べる相手を「先月の自分」に置き換える。
② 人の動きは、盗む目的でだけ見る。
| 今の状態 | やること | 見るポイント |
|---|---|---|
| 結果ばかり比べてしまう | 成功本数を数えて記録する | 先月の自分と比べているか |
| すごいで終わってしまう | 見る場所を1か所に絞る | その日の練習で試したか |
| 差が大きすぎて手が止まる | 少し上の人を基準にする | 課題が1〜2つに絞れたか |
| 大会前に落ち着かない | 人を見る作業を止める | 自分の1つに集中できているか |
| 自分を下げる言葉が出る | 「回数が少ない」に言い換える | 挑戦する場面で手が出ているか |
私の指導の現場でも、人と比べて苦しくなっている選手には、まず上手い選手の動きを1か所だけ真似してみることをすすめています。
まずは次の練習で、上手い人の動きを1か所だけ見て、その日のうちに試してみてください。



明日は構えの高さだけ見て、真似してみます!



それなら、見た時間がそのまま練習になりますよ。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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