- 紅白戦をやっても、勝ったチームが喜んで終わるだけになっている
- 実力差が大きく、同じ選手ばかりが活躍して他の子が動かない
- 部員数が少なく、そもそも2チームに分けられない
こんな悩みを解決します。
紅白戦が練習になるかどうかは、選手の力量ではなく、始める前に「今日そこで見るもの」を1つ決めてあるかで決まります。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
10年以上スクールで中学生を指導していますが、紅白戦が伸びる時間になっているチームは、決まって始める前の説明が短く、はっきりしていました。
逆に「ゲームやるぞ」だけで始まる日は、上手い選手が打って終わる時間になりがちです。
ぜひこの記事を参考にしてみてください。
- 紅白戦と練習試合の違いと、使い分けがわかる
- 実力差や人数に合わせたチーム分けの型がわかる
- 紅白戦で指導者が見るべき5つの点がわかる
それでは、くわしく見ていきましょう。
結論:紅白戦は勝敗ではなく課題を見つける時間
先に結論をお伝えします。紅白戦でいちばん大事なのは、始める前に「今日はここを見る」と1つだけ決めて、選手に伝えておくことです。
紅白戦は、身内どうしの試合です。相手の情報がそろっているので、勝敗そのものにはあまり意味がありません。
意味があるのは、練習でやってきたことが試合の形になるかどうかを確かめられる点です。ここを見ずに点数だけを追うと、ふだんの練習とつながらない時間になります。
たとえば、その週にサーブレシーブの入り方をやってきたなら、見るのはそこだけで十分です。
れおコーチつい全部を見ようとして、終わったあとに何も言えなくなるんだ。



見る点を1つに絞ると、その場で具体的な言葉が出せますよ。
選手の側にも同じ効果があります。何を見られているかが分かっていれば、点を取られた場面でも次にやることが残ります。
分からないまま負けると、残るのは「今日は勝てなかった」という結果だけです。
もうひとつ大事なのが、勝ったほうを大きく持ち上げすぎないことです。
身内の勝敗で序列がはっきりすると、負けた側のチームに残るのは悔しさではなく、あきらめになりやすくなります。
紅白戦のあとに拾うのは、勝敗ではなく「できていた場面」。最初はできないところばかりなのが当然なので、できたところを見つけて渡すほうが次につながります。



勝敗ヨリ デキタ場面ヲ拾ウ
紅白戦と練習試合はどう違うのか
同じ「試合形式」でも、紅白戦と練習試合では役割が違います。ここを分けておくと、どちらを組むべきかで迷わなくなります。
目的が違う:確認する場か、ぶつける場か
紅白戦は、自分たちの中で確認する場です。相手のクセも配置も分かっているので、狙ったプレーが出るかどうかを純粋に見られます。
練習試合は、外の基準に当てる場です。知らない相手のサーブやブロックに対して、練習してきたことが通用するかを試します。
この2つは順番で使います。紅白戦で形になってきたものを、練習試合で外に当てる。この流れだと、負けた試合からも持ち帰るものが残ります。



中で固めてから、外へ出すという順番だな。



その順番だと、練習試合の負けが次の練習につながりますよ。
準備の重さが違う
準備の面でも違います。練習試合は相手校との日程調整や会場の確保、移動の手配が必要になります。
紅白戦は、その日の練習の中に組み込めます。だからこそ回数を重ねられますし、うまくいかなかった週にすぐ差し込めるのが強みです。
週に1回、練習の後半に30分だけ入れる形でも十分に機能します。
チーム分けの3つの型と選び方
紅白戦がうまくいかない原因の多くは、チーム分けにあります。目的によって型を変えてください。
実力を均等に分ける:接戦をつくりたいとき
1つ目が、両チームの力を近づける分け方です。学年やポジションを混ぜて、点数が競るように組みます。
競った展開になるので、終盤の1点の重さを体験させたいときに向いています。サーブの入りや、リードされた場面での声のかけ方を見るのにも適しています。
分けるときは、セッターと守備の中心になる選手を先に振り分けてから、残りを配置すると近い力になります。
上級生対下級生:役割をはっきりさせたいとき
2つ目が、A対Bの形です。実力差は出ますが、下級生に「今の自分たちの位置」を体感させる意味があります。
ただし、点差が開いたまま最後までやるのは避けてください。10点差がついた時点で区切る、下級生側のサーブから再開する、といった調整を入れます。
差がついたまま押し切る展開は、下級生の側に何も残りません。練習がきつくてバレーが嫌いになってしまうのが、いちばん避けたい形です。



差がついたときこそ、区切り方が大事なんだな。



続けるほど差が広がるので、途中で切ってしまって構いません。
課題別に分ける:特定のプレーを出したいとき
3つ目が、その日の課題に合わせて分ける形です。たとえばレシーブを厚くしたチームと、攻撃を厚くしたチームで組みます。
かみ合わせをずらすと、狙ったプレーが自然に増えます。守備の練習をしたい日に、攻撃力の高い側と当てるといった使い方です。
条件を足すのも有効です。サーブは全部フローターにする、1本目を必ずセッター以外が触る、といった制限を1つだけ加えます。
制限は1つまでにしてください。2つ以上入れると、選手が条件を守ることに気を取られて、試合の判断が止まります。
- その日の練習で何をやったかを確認する
- 見たいプレーが出やすい分け方を選ぶ
- セッターと守備の中心を先に振り分ける
- 残りを人数で調整し、条件は1つだけ足す
紅白戦の進め方5つの手順
実際の流れを整理します。この順番で回すと、時間内に収まって振り返りまで届きます。
3つ目の「先に区切る」は、思っている以上に効きます。終わりが見えていると、選手は最後の1本まで動けます。
4つ目の中断も大事です。1本ごとに止めると、試合の流れを読む練習になりません。気になっても、まとめて後で伝えてください。
5つ目の振り返りは、3分で終わらせます。長く話すほど、覚えて帰るものは減っていきます。



終わったあとに長く話されると、正直あんまり残らないです…。



短いほうが残るのか。逆にしていたな。
記録係を置くと、振り返りの精度が上がります。サーブの成功数と、レシーブがどこへ返ったかを書き留めるだけで十分です。
指導者が見る5つのポイント
紅白戦で見る点は、技術の細かさよりも、試合の中での判断に置くと拾いやすくなります。
1つ目が、サーブを打つ前の準備です。点差や相手の並びを見てからサーブに入っているかを見ます。
2つ目が、1本目の返る位置です。セッターの手前に返っているか、ネットに近づきすぎていないか。ここが崩れると、その後の攻撃はすべて苦しくなります。



1本目の返る位置は、たしかにその後の全部に響くな。



ここが安定すると、攻撃の形は勝手にそろってきますよ。
3つ目が、ミスのあとの1本です。切り替えられているかは、次のプレーへの入り方に出ます。ここで下を向いたまま次のサーブを受ける選手は、練習中も同じ形になっていることが多いはずです。
4つ目が、点が続けて入ったあとの動きです。流れが来ているときに雑になる選手は、大事な場面でも同じことをします。
5つ目が、声の中身です。「ドンマイ」だけで終わっているか、次にどうするかまで出ているかを聞いてください。
見るのは技術の正しさより、判断と切り替えの速さ。ここは練習では見えにくく、試合形式でしか出てきません。



技術は個人練習で直せますが、判断は試合形式でしか鍛えられませんよ。



だから紅白戦を定期的に入れる意味があるんだな。
見た内容は、その場で全部伝えなくて構いません。次の練習メニューに1つ反映させるほうが、言葉で伝えるより早く変わります。
たとえば1本目の返る位置が崩れていたなら、翌日の練習でサーブレシーブの的を1つ置くだけで十分です。言葉で何度も注意するより、練習の形で変えたほうが定着します。
人数が足りないときの回し方
部員が少なく、6人対6人が組めないチームも多いはずです。人数に合わせて形を変えれば、紅白戦は成立します。
4人制にしてコートを狭く使う方法があります。前衛2人・後衛2人にすると、1人あたりが触る回数が増えます。
人数が奇数のときは、一方に1人多く入れて、その選手をサーブ順から外す形にすると回せます。
見学や記録に回る選手が出る場合は、役割を渡してください。ただ座っている時間にすると、その選手のその日の練習量はゼロになります。



人数が足りないと、つい紅白戦を飛ばしてしまうんだ。



形を小さくすれば成立しますし、そのほうが1人あたりの本数は増えますよ。
コートの外に待つ選手が多い形は避けてください。ボールに触らない時間が長いほど、練習の密度は落ちます。
3人対3人でネットを挟む形でも、レシーブからつなぐ流れは十分に作れます。人数が少ない日ほど、コートを狭くして触る回数を増やすほうが練習になります。
用具の面では、予備のボールをコートの外に置いておくと、試合が途切れません。拾いに行く時間がなくなるだけで、同じ30分でも本数が変わります。
よくある質問
まとめ
紅白戦は、身内で勝敗を決める時間ではありません。練習でやってきたことが試合の形になるかを確かめる時間です。
始める前に見る点を1つ決めて伝える。終わったら、できていた場面から先に拾う。この2つで紅白戦は練習になります。
| 場面 | やること |
|---|---|
| 始める前 | 今日見る点を1つ決めて選手に伝える |
| チーム分け | 目的に合わせて均等・A対B・課題別を選ぶ |
| 条件付け | 制限は1つまでにする |
| 試合中 | 同じミスが3回出るまで止めない |
| 点差がついたら | 途中で区切って再開する |
| 終わったあと | 3分で1つだけ振り返る |
| 少人数のとき | 4人制など形を小さくして本数を増やす |
| 次の練習 | 見つけた課題をメニューに1つ反映する |
私は指導者として多くのチームを見てきましたが、紅白戦が機能しているチームは、始まりの説明がとても短いのが共通点でした。
長く説明しなくても、見る点が1つに決まっていれば選手は動けます。決まっていないから、長い説明が必要になるのだと思います。



次の紅白戦は、見る点を1つだけ決めて始めてみるよ。



それだけで、終わったあとに出てくる言葉が変わりますよ。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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