- 強豪校が何をどれだけ練習しているのか、中身が分からない
- うちの部活と何が違うのかを知って、できることから変えたい
- 長い時間をとれないチームでも、追いつける方法があるのか知りたい
こんな悩みを解決します。
強い部活とそうでない部活の差は、練習時間の長さではなく、1本のボールの使い方にあります。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
10年以上スクールで中学生以上を指導してきましたが、伸びるチームの練習はいつも音が途切れません。
ボールが止まっている時間の長さが、そのまま差になっていくんですよね。
ぜひこの記事を参考にしてみてください。
- 強い部活との差が、時間ではなくどこにあるのかが分かる
- 今日の練習からそのまま変えられる3つの手が手に入る
- 練習時間と休養日の、公的に示された目安が分かる
それでは、くわしく見ていきましょう。
結論:差がつくのは練習時間ではなく1本の使い方
先に結論からお伝えします。強い部活との差は、同じ60分でも、1人がボールに触った回数と、1本ごとの狙いの数で開いていきます。
長く練習しているから強い、という順番ではありません。時間を増やしても、並んで待つ時間が一緒に増えるだけだからです。
同じ60分の練習でも、中身はこれだけ変わります。
| 見る場所 | 差が出やすい形 | 取り入れたい形 |
|---|---|---|
| 1人が触る回数 | 12人が1列に並んで順番を待つ | 2人1組・3人1組で同時に動く |
| 1本ごとの狙い | とりあえず打つ・とりあえず拾う | 落とす場所・返す先を先に決める |
| 練習の終わり方 | ドリルのまま時間切れになる | 試合の形で狙いを確かめて終わる |
れおコーチやっぱり、練習時間を増やすしかないのでしょうか…。



増やす前に、待っている時間を削るほうが先ですよ。
私は選手として全国から集まった選手たちと練習し、指導者としても強化の合宿に関わってきました。
そこで共通していたのは、特別なドリルではありません。1本を無駄にしない決まりごとが、チーム全体で共有されていたことでした。



ヒミツノメニューハ ナイ 1本ノ使イ方ガ チガウダケ
ここからは、触る回数・1本の狙い・終わり方の3つと、練習時間と休養日の目安をまとめました。
取り入れ方①:並んで待たせない配置で触る回数を増やす
1つ目は、配置を変えて、1人がボールに触る回数を増やすことです。
部員が20人いて、コートに1列に並ぶ練習を組むと、自分の番が回ってくるのは数分に1回になってしまいます。
立って見ている時間は、どれだけ集中していても上達には変わりません。
まずは、今の練習で自分が何本触っているかを、1人だけ数えてみてください。想像していた数より、ずっと少ないはずです。
ボールの数を先にそろえる
配置を変える前に、ボールの数を見直します。数が足りないと、どう並べても待ち時間が生まれるからです。
目安は、部員1人につき1球です。全員が同時にボールをもてる数があると、待たせないメニューが組めます。
バレーボールは6個入りのケースで売られるのが基本なので、6の倍数でそろえると管理が楽になります。
- 部員20人なら24球(6個入り×4ケース)
- ボールカゴは2つ
- 私のスクールではコート1面につき36球を使っています
数がそろうとメニューの幅は確実に広がります。とはいえ、用具の数が練習の質を決めるわけではありません。
予算がすぐに動かないチームは、買いそろえるより先に、次の2つの形に組み替えてみてください。
2人1組・3人1組でボールを止めない
次に、列を作る練習を、小さな組に割ります。
12人が1列に並ぶ練習は、6組の2人1組に分ければ、同じ時間で触る回数が単純に6倍になります。



同じメニューのままでも、そんなに変わるのですか!?



待ち時間が消えるぶん、まるごと本数になりますよ。
球出しをする人が1人しかいなくても、コートを4つのエリアに区切って、それぞれで同時に回す形なら止まりません。
3人1組にする場合は、受ける人・上げる人・返す人の役を1本ごとに交代させます。全員が3つの動きを経験できます。
待つ側にも役割を持たせる
どうしても順番待ちが出るメニューもあります。その場合は、待っている側に役割を渡してください。
数える係・声をかける係・球拾いの係を決めておくと、コートの外でも練習が続きます。
私の指導現場では、数える係を置いた日から、選手の声の中身が変わりました。「がんばれ」ではなく「今3本連続」と、情報が飛ぶようになるからです。



待ってるあいだも、やることがあると眠くならない!
部員が多くてコートが1面しかないチームは、班を分けて回す形が向いています。
取り入れ方②:1本ごとに狙いを決めて打つ・受ける
2つ目は、1本ごとに狙いを決めてから動くことです。
同じ100本でも、なんとなく打った100本と、狙いを決めて打った100本では、残るものがまったく違います。
狙いのない1本は、練習ではなく運動になってしまいます。
これは用具も時間もいらない変更なので、今日の練習からそのまま入れられます。



本数ヨリ 1本ゴトノ 狙イガ 記憶ニ残ル
打つ前に、落とす場所を1つ決める
打つ側は、ボールに触る前に落とす場所を決めます。
コートを6つに区切って、番号で呼ぶ方法が分かりやすいです。打つ前に番号を1つ言ってから打ちます。
外れても構いません。大事なのは、外れたことが本人に分かる状態を作ることです。
狙いを決めずに打つと、入ったか外れたかしか残りません。狙いがあると、どちらにどれだけずれたかが残ります。



外れ方が分かると、次の1本が変わりますね。



そうなんです。ずれの向きが見えれば、直す場所も決まりますよ!
受ける前に、返す先を1つ決める
受ける側も同じです。触る前に、どこへ返すかを決めておきます。
セッターの位置に返すのか、高く上げて時間を作るのか、先に決まっていれば体の向きが変わります。
- 打つ側:どこへ落とすか(コートの番号で言う)
- 受ける側:どこへ返すか(セッターの位置か、高く上げるか)
正しいフォームからはミスが起きにくくなります。ただし、努力の方向を間違えると、本数を重ねても大きくは伸びません。
指導者の仕事は、本数を増やすことよりも、1本ごとの狙いを言葉にしてあげることなんですよね。



返す先って、毎回変わっちゃうんじゃない?



最初は同じ場所で大丈夫。決めて動く形を先におぼえましょう。
取り入れ方③:練習の最後を試合形式にして狙いを確かめる
3つ目は、練習の最後を試合の形で終わらせることです。
ドリルで身についた動きは、試合の中で一度使ってみないと、本人の中で結びつきません。
時間切れでドリルのまま終わる日が続くと、練習と試合が別のものになってしまいます。
その日に決めた狙いを、最後の試合形式で1回だけ確かめて終わる、この形にしてください。
残す時間は15分あれば十分です。20分とれない日は、10分でも置く価値があります。
条件を1つだけ足す
試合形式には、その日の狙いに合わせた条件を1つだけ足します。
打つ場所を決める練習をした日なら、決めた場所へ打ったときだけ点が入る形にします。



条件を3つ足したら、ぐちゃぐちゃになってしまいました…。



2つ以上は追えなくなります。1つだけにしてくださいね。
条件は、選手が自分で守れているか判断できるものにします。判断に迷う条件は、試合が止まる原因になります。
点の付け方を狙いに合わせる
条件と同じくらい大事なのが、点の付け方です。
ラリーが続いた回数で点を入れる、3本つないでから返したら2点にするなど、狙いをそのまま点数にします。
- つなぎを練習した日:3本使って返したら2点
- サーブの狙いを練習した日:決めたゾーンに入ったら2点
- 守備の位置を練習した日:1本目が上がったら1点
点数の形が変わるだけで、選手の判断は自然にそちらへ動いていきます。



得点ノ決メ方ガ 練習ノ狙イヲ 決メテイル
条件の付け方と、狙い別のやり方はこちらにまとめています。
練習時間と休養日の目安|長くやるほど伸びるわけではない
ここまで読んで、時間を増やせば追いつけるのでは、と感じた方もいるかもしれません。結論からいうと、その方向はおすすめできません。
学校の部活動の活動時間には、公的に示された目安があります。スポーツ庁と文化庁がまとめた学校部活動のガイドラインでは、次の基準が示されています。
| 項目 | 示されている目安 |
|---|---|
| 休養日 | 学期中は週2日以上(平日1日以上・週末1日以上) |
| 1日の活動時間(平日) | 長くとも2時間程度 |
| 1日の活動時間(学校の休業日) | 長くとも3時間程度 |
このガイドラインでは、週あたりの活動時間の上限は16時間未満が望ましい、という研究の結果も引用されています。



平日2時間で、本当に間に合うのでしょうか?



間に合わせるために、待ち時間を削るんですよ。
長い練習には、2つの代償があります。1つは、けがのリスクが上がること。もう1つは、バレーボールそのものを嫌いになってしまうことです。
私が指導のうえでいちばん避けたいのは、後者のほうです。練習がきつくて競技を離れてしまうと、そこから先の伸びしろがなくなってしまいます。
走り込みのやりすぎも同じで、体づくりのつもりが、動きの質を落としている場合があります。



疲れすぎて、練習の後半は何も考えられなかった…。
休養日は、余った日に置くものではありません。先に決めてから、残りの日に中身を入れてください。
よくある質問
まとめ:時間を増やす前に、待ち時間と狙いを見直す
強い部活との差は、触る回数・1本ごとの狙い・練習の終わり方の3つに表れます。どれも、時間を増やさずに今日から変えられるものです。
| 取り入れ方 | やること | 最初の一手 |
|---|---|---|
| ① 触る回数 | 列を小さな組に割る | 1人の触球数を数えてみる |
| ② 1本の狙い | 打つ前・受ける前に決める | コートを6つに区切って番号で呼ぶ |
| ③ 終わり方 | 最後を試合形式にする | 条件を1つだけ足して15分置く |
私は元日本代表として、いろいろなレベルの練習に関わってきました。伸びたチームに共通していたのは、練習の長さではなく、1本に対する約束の細かさです。
そして、休養日は先に決めてから週の予定を組んでください。最初はできないところばかりが目につきますが、できたところを褒めるところから始めるのが、いちばん近道になります。



まずは明日、列を2人1組に割ってみます!



それでいいですよ。触る回数が増えれば、チームは動き出します♪
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
バレーボールの指導については他にも記事を書いています。
気になるテーマがあればぜひ読んで参考にしてもらえたら嬉しいです♪
参考にした情報
スポーツ庁・文化庁 学校部活動及び新たな地域クラブ活動の在り方等に関する総合的なガイドライン
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