- サーブ練習の時間はとっているのに、試合になると入らない
- 「集中しろ」としか言えず、直し方を教えられていない
- 部員ごとに入らない理由が違い、同じ声かけでは通じない
こんな悩みを解決します。
サーブが試合で入らない原因は、トスが毎回ばらつく・腕のスピードが上がらないの2つに集まります。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
10年以上スクールで選手を見てきて感じるのは、サーブは打った本数ではなく、練習を組む順番で伸びていくということです。
いきなり10本打たせて成功率を数えても、何が良くて何が悪かったのかは選手に残りません。
ぜひこの記事を参考にしてみてください。
- サーブ練習をどの順番で組めばいいかがわかる
- 入らない選手の原因を、症状別に切り分けられるようになる
- コート1面でも回せる6つのドリルと本数の目安がわかる
それでは、くわしく見ていきましょう。
結論:サーブ練習はトス→スイング→狙いの順で積む
先に結論からお伝えします。サーブ練習は、打つ本数を増やすより、段階を分けたほうが早く入るようになります。
① トスだけを反復して、毎回同じ場所に上げられるようにする。
② 腕のスピードが出るスイングを覚える。
③ そのうえで狙う場所と本数を決める。

この順番には理由があります。トスが安定しないうちに打ち方を直すと、良くなった原因がトスなのかスイングなのか分からなくなるからです。
反対に、トスさえそろえば、あとは同じ動きを繰り返すだけの作業に近づきます。
れおコーチうちはいきなり10本打たせていました…。



打つ前の段階を1つ挟むだけで、直す場所がはっきりしますよ。
サーブは、コート上で唯一、相手に邪魔されずに打てるプレーです。だからこそ、練習の質がそのまま試合の1本目に出ます。
サーブ練習は個人の自主練ではなく、チームの得点源を育てる時間だと考えてみてください。
入らない原因は3つに切り分ける
「サーブが入らない」とひとまとめにすると、処方も1つになってしまいます。指導では、まず症状を分けるところから始めます。
トスが毎回ばらついている
いちばん多いのが、トスが前後左右に散っている場合です。上げる位置が変われば、打点も変わります。
右利きなら、トスは右肩の前方へ上げます。左利きは左右を入れ替えて考えてください。
構えでボールを持つ手はおへそのあたりに置き、床と垂直に、肩の高さくらいまでまっすぐ持ち上げます。



トスガ散レバ打点モ散ル
腕のスピードが上がらない
スクールで指導していると、サーブが入らない選手は腕のスピードが上がらないことがほとんどです。ボールに強い力が加われば、そのぶん遠くまで飛びます。
腕をスムーズに振れない原因は、肘の動きにあることが多いと感じています。肘をどう動かすかをレクチャーしたところ、素早く腕を振れるようになり、サーブが一気に飛ぶようになって喜んでいた選手もいました。



力が足りないのではなく、振り方が分かっていない場合が多いんです。
野球のピッチャーのように利き手の肘を後ろへ引き、体のひねり戻しを使ってムチのように振る。この形が作れているかを、まず見てあげてください。
打点より前でボールを叩いている
ネットにかかる選手は、自分の打点より前でボールを叩いていることがよくあります。
前で叩くと、ボールをコートの奥へ水平に押しながら打てず、下方向にしか力が伝わりません。
選手本人は「もっと下を打たなきゃ」と考えがちですが、直すのはトスの位置です。少し手前に上げれば、体の前でとらえて水平に押し出せるようになります。
| 症状 | よくある原因 | 練習で直す場所 |
|---|---|---|
| ネットにかかる | 打点より前で叩いている | トスの位置をそろえる |
| アウトになる | 力みでスイングが大きい | 歩幅とスイングの速さ |
| 飛ばない・届かない | 腕のスピード不足 | 肘の引きと体のひねり戻し |
| 日によって差が大きい | トスの高さが不安定 | 打たないトス練習 |
サーブ練習メニュー6つのドリル
ここからは、コート1面で回せる6つのドリルを紹介します。順番に積み上げる構成なので、上から進めてください。


ドリル1:トスだけ10本(打たない)
最初のドリルは、打たずにトスだけを上げます。右肩の前方へ、毎回同じ高さで上げられるかだけを見ます。
トスは高く上げすぎず、頂点で打てる高さにそろえます。踏み込みを入れると、そのぶんトスはやや前になります。
リズムは、イチでトスを上げながら踏み込み、ニでヒット。打たない段階では、イチまでを繰り返します。
慣れてきたら、上げたボールが落ちる場所に印をつけてみてください。10本のうち何本が同じ場所に落ちたかで、安定度がそのまま数字になります。



トスが安定するまでは、打ち方を直さないほうが早く進みます。



打たない練習に意味があるとは思いませんでした。
ドリル2:遠投10本で腕を振る感覚をつくる
ネットまで届かない選手には、打つ前に遠投を挟みます。体を素早く回旋させ、腕を後ろから前へ持ってくる感覚をつかむための準備です。
遠投の距離を競わせる必要はありません。何メートル飛んだかを数えるのではなく、体の回旋で腕が連れていかれる感覚をつかむことが目的だからです。
感覚をつかんだら、そのままサーブを10本打たせます。感覚が残っているうちに打つほうが、フォームに反映されやすくなります。



腕ダケデ振ルト速サハ出ナイ
ドリル3:短い距離から入れる
アタックライン付近から打ち始め、入るようになったらエンドラインまで下がります。
いきなりエンドラインから打たせると、届かせようとする力みだけが残り、フォームが崩れてしまいます。距離を短くすれば、当てる位置とスイングに意識を向けられます。
下がるタイミングは、5本続けて入ったときが目安です。入る位置まで戻して、そこから積み直すという考え方は、どの技術にも共通します。



近いところからだと、狙う余裕が出ます!
ドリル4:コースを決めて狙う
コートを6つに分けて、狙う場所を宣言してから打たせます。宣言してから打つことで、入ったかどうかだけでなく、狙いどおりだったかを振り返れます。
的にはコーンやマーカーを置くと分かりやすくなります。人数が多い日は、狙う場所ごとに列を分けると待ち時間が減ります。
このドリルでは、入ったかどうかより、狙いと結果がどれだけ近かったかを声に出させてください。少し右にそれた、思ったより浅かった、と本人が言えるようになると、次の1本の修正が速くなります。
| 狙う場所 | ねらい | 難易度 |
|---|---|---|
| コートの真ん中 | まず入れる感覚をつくる | やさしい |
| 前(短いサーブ) | 相手を前に引き出す | ふつう |
| 両サイドの深い位置 | レシーブを崩す | 難しい |
| 選手と選手の間 | お見合いを誘う | 難しい |
ドリル5:サーブ&レシーブでつなぐ
打ちっぱなしで終えず、レシーブ側を入れて1本のプレーにします。サーブを打つ側は、相手の陣形を見てから狙う場所を決めます。
受ける側はサーブカットの練習にもなるので、同じ時間で2つの技術を扱えます。
打つ側には、レシーブが崩れた本数を数えさせると、入れるだけのサーブとの違いが見えてきます。強く打つ必要はなく、相手が動かされたかどうかが基準になります。



入れるだけじゃダメなんですね。
ドリル6:10本の成功率を数える
最後に、10本打って何本入ったかを記録します。数える目的は、順位づけではなく、本人が自分の変化に気づくことです。
前の週より1本増えていれば、それは練習が効いた証拠になります。記録は選手自身に書かせると、振り返りの材料になります。



数字が出ると、練習の意味が伝わりますね。



上手い下手ではなく、変化を見てあげてください♪
- トスだけ:10本
- 遠投:10本
- 短い距離から:10本
- コース狙い:各コース5本
- サーブ&レシーブ:1人5本
- 成功率チェック:10本
症状別の直し方は「極端に振る」
直し方を教えるときは、少しずつ加減させるより、極端に変えさせるほうが伝わります。
学生年代では、いま何を変えて試しているのかを本人が認識できることが、とても大事になります。
ネットにかかる選手
ネットにかかる選手には、アウトを目指して打たせます。振り切る方向が変わり、水平に押し出す感覚が戻ってきます。
そのうえで、トスの位置を右肩の前方に戻せば、自然とコートに収まっていきます。
アウトになる選手
アウトが続く選手には、極端にアタックラインの前を狙わせます。あわせて踏み込みの歩幅をやや小さくし、腕のスイングスピードをやや落として10本打たせます。
力を抜くのではなく、速さだけを落とすのがポイントです。腕全体の力を抜いてしまうと、今度は届かなくなってしまいます。
歩幅が大きいまま打っている選手は、踏み込みの勢いがそのままボールに乗ってしまいます。半歩ぶんだけ小さくするよう伝えてみてください。
打ち方が崩れてしまった選手
いろいろな球種を試して崩れた選手は、シンプルなフローターサーブに戻します。
サーブはフローターから取り組むのが基本で、どうしても入らない選手だけ、アンダーハンドサーブから体重移動の感覚を覚えさせる方法もあります。



迷ッタラ基本ノ形ニ戻ル
練習時間への組み込み方
サーブ練習は、後回しにされやすい種目です。時間が余ったらやる形にすると、いつまでも積み上がりません。
私が見てきたなかでも、サーブが安定しているチームは、練習の中に固定の枠を持っていました。
曜日でテーマを決める
週に3回練習があるなら、1日をサーブとディフェンスの日にして、そこで集中的に扱います。
毎日15分ずつより、テーマを決めた日に30分使うほうが、選手の頭にも残りやすくなります。
サーブは、練習の最後に余った時間でやる種目にしないと決めておくだけでも、扱い方が変わります。疲れ切ったあとに打つと、フォームが崩れた状態で本数だけが積み上がってしまうからです。



最後に残った10分でやっていました…。



疲れた状態のフォームが体に残ってしまうんです。
練習全体の組み立て方は、次の記事で詳しく解説しています。
人数に合わせて回し方を変える
部員が少ないチームは、打つ人と拾う人を交代しながら1面を丸ごと使えます。人数が多いチームは、半面ずつに分けて、球出しの担当を固定すると回転が上がります。
ボールをカゴにまとめておくと、拾いに行く時間を減らせます。1人あたりが打てる本数は、球拾いの動線で大きく変わります。
チームで使うボールカゴなら、たとえばこのような折りたたみ式があります。
打つ人数と球出しの担当を先に決めておけば、練習が止まる時間もなくなります。
相手をイメージさせてから打たせる
私がサーブでいちばん大事にしているのは、相手をしっかりイメージして打つことです。
相手がどういう陣形でレセプションを組んでいるかを考え、ここを狙ってみようというシチュエーションを自分の中で作ってから打つ。それをいろいろなパターンで繰り返すと、本番でも平常心で打てるようになります。
練習でも、打つ前に一言だけ狙いを言わせてください。それだけで、10本の意味が変わります。



明日の練習から、狙いを言わせてみます!



声に出すだけで、集中の質が変わりますよ♪
なお、日本バレーボール協会(JVA)は中学校の部活動向けに指導のガイドラインを公開しています。練習量や休養日の考え方は、そちらもあわせて確認しておくと安心です。
よくある質問
まとめ:サーブは本数より順番で伸びる
サーブ練習は、打つ回数を増やすことよりも、段階を分けて積むことで安定していきます。トスをそろえ、腕のスピードを出し、狙いを決める。この順番が崩れなければ、成功率は上がっていきます。
| つまずき | 練習で先にやること | 症状が出た時の手 |
|---|---|---|
| トスが毎回ちがう | 打たないトス練習を10本 | 右肩の前方へ位置を戻す |
| ネットにかかる | 体の前でとらえる形を作る | アウトを目指して打たせる |
| アウトになる | 歩幅とスイングの速さを調整 | アタックラインの前を狙わせる |
| 飛ばない | 遠投で腕を振る感覚をつくる | 肘の引きを見直す |
| 試合で入らない | 狙いを言ってから打たせる | 狙う場所を1つに絞らせる |
私は元日本代表として活動したあと、10年以上スクールで選手を指導してきました。
サーブが伸びた選手に共通していたのは、たくさん打ったことではなく、何を直しているかを自分で言えたことでした。
まずは次の練習で、打たないトスのドリルを10本だけ入れてみてください。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
チーム運営や練習メニューについては他にも記事を書いています。
気になるテーマがあればぜひ読んで参考にしてもらえたら嬉しいです♪
ボールは部員1人に1球が目標です。6個入りのケースで売られているので、チームに20人いるならボール24球・カゴ2つ。この状態をクリアできると、練習が非常に充実するのではないでしょうか。私のスクールでは、コート1面につき36球を使っています。
- ボール…全員が同時に持てると、組めるメニューの幅が広がる
- ボールカゴ2つ…球出しと片づけが一気に楽になる
- ネット・アンテナ…予備がないと、欠けた日の練習が止まる
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▶ 関連記事: バレー部の用具・備品の管理|数え方・点検・買い替えの基準









