- 主審を任されたけれど、何から始めればいいのかわからない
- 笛をいつ吹けばいいのか、タイミングに自信がない
- どこを見て判定すればいいのかを整理しておきたい
こんな悩みを解決します。
主審の仕事は、試合を始める笛と終わらせる笛を出すことと、ネットの上で起きるプレーを判定することの2つが柱になります。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
10年以上スクールで指導してきましたが、審判台に上がった選手がいちばん困るのは、反則の種類ではなく笛を吹く順番です。
進める手順を先に覚えてしまえば、判定はあとからついてくるんです。
ぜひこの記事を参考にしてみてください。
- 主審の立ち位置と、目の高さの基準がわかる
- サーブ許可からラリー終了までの進め方が手順でわかる
- 笛とシグナルを出す順番が整理できる
それでは、くわしく見ていきましょう。
結論:主審は試合を動かす笛とネットの上を受けもつ
先に結論をお伝えします。主審が受けもつのは、試合を動かす笛と、ネットの上で起きるプレーの判定の2つです。
コートで起きるすべてを1人で見るわけではありません。低い位置で起きることは副審が受けもつので、主審は上に集中できます。
- サーブを許可する笛とラリーを止める笛で、試合の進行を決める
- ボールの落下点・ネットの上のプレー・ボールの扱いを判定する
サルくん審判台に立つと、どこを見ればいいのか固まってしまいます…。



上から見えるものだけ見ればいいんだよ。下は副審が見てくれるからね。
主審には、試合全体をまとめる権限もあります。ほかの審判の判定と食い違ったときに最終的に決めるのは主審です。
だからといって、すべてを疑ってかかる必要はありません。線審や副審が見た情報を受けとって、最後に1つの結論にまとめるのが役目になります。



主審ハ 上ヲ見テ 試合ヲ動カス
ここからは、立ち位置・試合前の準備・進め方・判定・笛の順に見ていきます。
主審の立ち位置と目の高さ


まず決めておきたいのが、立つ場所です。ここが決まると、見える範囲が安定します。
審判台の上でネットの端に立つ
主審が立つのは、ネットの一方の端にある審判台の上です。副審とは向かい合う形になり、コートを挟んで反対側から見ることになります。
高い位置から見おろすのは、ボールとネットの上端を同時に見るためです。低い場所からでは、ボールがネットの上を通ったのか、白い帯に触れたのかが判断できません。



高サハ 見エ方ノタメ
台に上がったら、まず両方のコートを見わたしてください。選手が並ぶ位置、線審の場所、記録員の席が見えるかを確かめておきます。



高いところに立つのは、こわいだけじゃないんですね。



見え方のための高さなんです。低いと判定できないんですよ。
目の高さはネットの上端より高くする
台の高さには目安があります。主審の目の高さが、ネットの上端よりも50cmほど高くなる位置が基準です。
この高さがあると、ネットの上を通るボールを上から見おろせます。ネットの白い帯とボールの重なりも見えるので、判定に迷う回数が減るわけです。
台が低い会場では、背筋を伸ばして目線を上げてください。姿勢が崩れると、そのぶん見える角度も浅くなってしまいます。
台に上がる前には、脚のぐらつきも確かめておきます。試合中に体を大きく動かすので、安定していない台は危ないからです。
体育館によっては、審判台がない状態で試合を進めることもあります。その場合は少しネットから離れて立ち、ネットの上端とボールが同時に見える位置を探してみてください。



目ノ高サハ ネットノ上端ヨリ 50cm上
試合前にやる3つの準備
試合が始まる前にやることは3つです。ここを飛ばすと、始まってから止まる回数が増えます。
コイントスでは、勝ったチームがサーブかコートのどちらかを選びます。選ばれなかったほうを相手チームがとる形です。
そのあとのウォームアップの時間も、主審が管理します。長引きそうなときは早めに声をかけて、開始時刻に間に合わせてください。



準備が整っていれば、試合は勝手に流れていくよ。



最初の3つ、覚えました!
打ち合わせでは、線審にラインの担当を確認してもらいます。自分1人で全部を見ようとしないことが、結果として正確な判定につながるんです。
メンバー表の受けとりも忘れないでください。記録員と副審が並びを確認できていれば、開始直後のポジションの反則をほとんど防げます。



始まる前にやることが多いんですね。
用具の確認では、ネットの高さとアンテナの位置を見ます。アンテナが曲がっていたり、ネットがたるんでいたりすると、判定そのものが揺らいでしまうからです。
試合の進め方|サーブ許可からラリー終了まで
ここからが実際の進行です。1回のラリーは、決まった順番でくり返されます。
この流れを崩さないことが、テンポのよい試合につながります。
サーブ許可の笛が8秒の起点になる
サーブの制限時間は、主審の笛から数えます。サーバーは主審の笛のあと8秒以内にサーブを打たなければいけません。
だからこそ、準備が整う前に笛を吹かないでください。受ける側が構えていない状態で時間が動き出すと、公平ではなくなります。
笛を吹いたあとは、サーバーの足とトスに目を配ります。ラインを踏んでいないか、ボールが手から離れたかを見る場面です。
ラリーが切れたらためらわずに笛を吹く
ラリーが終わる瞬間は、迷いが出やすい場面です。ボールが落ちた、反則があった、と思ったらすぐに笛を吹いてください。
止めるのが遅れると、選手はプレーを続けてしまいます。あとから止めるほうが、コートは混乱するんです。
笛を吹いたら、次は得点したチームを腕で示します。ここまでが1つのラリーの区切りになります。
得点を示したあとは、記録員の手もとに目をやります。書き終わったのを確かめてから次のサーブを許可すると、点数の食い違いが起きません。
セットが終わったときも、進行を決めるのは主審です。コートを入れ替える場面では、両チームが動き終わるのを待ってから次のセットを始めてください。



自信がないと、つい吹くのが遅れてしまいます…。



見えたら吹く。それだけでいいんだよ。
主審が判定する主な反則
主審が受けもつ反則は、大きく3つのグループに分かれます。副審が下を見ているぶん、主審は上とボールに集中できます。
サーブとサーブ側の並びの反則
まず見るのがサーブです。サーバーの足がエンドラインを踏んでいないか、8秒を超えていないかを確認します。
サーブを打つ側の並びは、サーバー以外の選手はサーブの前から自由な場所に立ってよいことになりました。位置の反則を気にせず、次の攻撃に向けた場所へ先に動いておけます。
だからこそ主審が見るのは、サーバー本人の足とサーブの順番です。
受ける側の並びは副審が見ています。こちらはサーバーがトスを上げるまでの位置関係で判定されるので、同じ場所を2人で見ないことが審判どうしの分担になっているわけです。
サーブの順番そのものは記録員が管理します。順番を間違えた選手が打った場合は、記録員からの合図を受けて処置を決める流れになります。



3人で1つの判定を作っているんですね。
ネットの上と白い帯のプレー
次がネットの上です。相手コートに手が出るオーバーネットや、ネットの上の部分に触れる反則は主審が判定します。
ボールがアンテナの外を通ったかどうかも、高い位置から見るほうが確実です。線審の合図と合わせて判断してみてください。
ネットの下の部分や、センターラインを越えた足は副審の担当になります。上と下で分けると覚えやすくなります。
ネット際でよく迷うのが、ブロックの手が相手コートに出る場面です。相手が打ち終わったあとに触れたのであれば、オーバーネットにはなりません。
打つ前のボールに手が触れたかどうかが分かれ目になります。高い位置にいる主審だからこそ、この前後関係が見えるんです。
ボールの扱いとタッチの回数
3つ目がボールの扱いです。ボールが止まって見えるキャッチや、同じ選手が2回続けて触るダブルコンタクトを判定します。
チームが4回触ったかどうかも主審が数えます。ブロックでの接触は回数に入らないので、ここを間違えないようにしてください。
判定の基準は試合を通してそろえます。同じプレーを前半と後半で違う判定にすると、選手の迷いが大きくなるからです。
チームの1回目のタッチは、体の複数の場所に続けて当たっても反則になりません。レシーブで腕から胸に当たった球を、ダブルコンタクトと取らないように気をつけてください。
2回目のオーバーハンドパスも同じです。味方に上げるパスなら、手の中で少し長く感じても反則にはならない場面があります。



基準ハ 試合ヲ通シテ 統一スル
笛とシグナルの出し方
判定が正しくても、伝わらなければ試合は進みません。笛とシグナルには決まった形があります。
笛は強く短く1回だけ
笛の音は、強く短く出します。ためらいながら弱く吹くと、選手には届きません。
音の大きさは自信の表れではなく、伝えるための道具です。長く吹き続ける必要もないので、1回で区切ってください。
複数の反則が同時に起きたときも、笛は1回です。そのあとのシグナルで、どの反則だったのかを示します。
両チームが同時に反則をした場合は、どちらの得点にもなりません。その場合はダブルファウルのシグナルを示して、ラリーをやり直す形になります。



短くはっきり。これだけで試合は締まるよ。
順番はポイント・反則・選手
シグナルには順番があります。主審は、はじめに得点したチームを示し、次に反則の種類、必要なら反則をした選手を指します。
副審は逆の順番で、反則のシグナルが先です。主審が進行役、副審が補佐役という役割の違いが、この順番に表れています。
シグナルは胸より上の位置で、いったん止めて見せます。動かしながら出すと、遠くの選手や記録員には読みとれません。
抗議を受けたときの窓口は、コートにいる主将だけです。ほかの選手やベンチから声が上がっても、主将を通してもらうように伝えてください。
説明はできるだけ短くします。判定の理由を長く話すほど試合は止まり、選手の集中も切れてしまうからです。



得点が先、反則があと。覚えました!
主審でやりがちな失敗3つ


最後に、はじめて主審をやる人がつまずきやすい3つをまとめます。私の指導現場でも、この3つはくり返し伝えている項目です。
失敗①:ボールだけを目で追う
いちばん多いのが、ボールばかりを見てしまう失敗です。ボールを追いかけていると、ネットの上端で起きた接触を見のがします。
見るのはボールと、その周りです。ネットの白い帯と選手の手が同じ視野に入る角度を保つと、両方を同時に確認できます。
視線を一点に固定しないことも大切になります。ボール・ネット・落下点をゆっくり回すように見ると、死角が減ります。



見る順番を決めておくと、あわてなくなりますよ。
ラリーが長く続くほど、目線は上に張りつきがちです。相手コートへボールが移るたびに、いったんネットの上端へ視線を戻す習慣をつけてみてください。
失敗②:準備が整う前に笛を吹く
2つ目が、進行を急いでしまう失敗です。受ける側が構えていなかったり、記録員が書き終えていなかったりする状態で笛を吹くと、やり直しになります。
見るのは選手だけではありません。副審と記録員が顔を上げているかを確かめてから、サーブを許可してください。
急いで進めるより、ひと呼吸おくほうが結果的に速く進みます。止まる回数が減るからです。
失敗③:判定の基準が試合の途中で変わる
3つ目が、基準のぶれです。前半は流していたキャッチを後半で取ると、選手は何を直せばいいのかわからなくなります。
最初の数本で基準を決めて、最後まで同じ物差しで見てください。厳しいか緩いかよりも、そろっていることのほうが選手を助けます。
基準がそろっていれば、選手はその試合の中で調整できます。逆にぶれていると、どちらのチームも安心してプレーできません。
セットの終盤で判定が甘くなるのも同じ理由でよくありません。点差が開いていても、最後の1本まで同じ見方を保ってください。



厳シイカ緩イカヨリ ソロッテイルカ
私はスクールの選手たちに、審判を経験するとルールの意味が体で分かると伝えています。判定する側に立つと、自分のプレーの精度も上がるからです。
公式の競技規則や審判の資料は、日本バレーボール協会のページで確認できます。所属する大会の要項とあわせて見ておくと安心です。
よくある質問
まとめ:進める順番を決めれば主審は落ち着ける
最後に要点をふり返ります。主審の仕事は、試合を動かす笛を出すことと、ネットの上のプレーを判定することの2つでした。
| 場面 | 主審の仕事 | 見るポイント |
|---|---|---|
| 試合前 | 用具の確認とコイントス | ネットの高さ・サーブ権 |
| サーブ前 | 準備を確かめて許可の笛 | 両チームと副審・記録員 |
| サーブ | 打つ側の足と並び | 8秒とラインの踏み越え |
| ラリー中 | ネットの上とボールの扱い | 白い帯・4回タッチ・キャッチ |
| ラリー後 | 笛とシグナル | 得点→反則→選手の順 |
私は元日本代表として多くの試合を経験してきましたが、審判を務めた選手はルールの理解が一段深くなります。判定する側から見ると、プレーの意味が変わって見えるからです。



次の大会は、順番どおりに進めてみます!



いい心構えですね。迷ったら手順に戻れば大丈夫ですよ。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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