- 6-2システムという言葉は聞くけれど、5-1と何が違うのか分からない
- セッターが2人いるのに、どちらがトスを上げるのか整理できていない
- 攻撃枚数が減るローテーションをなんとかしたい
こんな悩みを解決します。
6-2システムとは、セッターができる選手を2人コートに入れ、後衛に下がっている方がトスを上げる形のことです。
トスを上げる役が後衛にいるので、前衛はいつでもアタッカー3人。攻撃枚数が減るローテーションが1つもなくなります。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
10年以上スクールで中高生を指導してきましたが、システムの話で混乱している選手は、たいてい「セッターの人数」と「セッターがどこにいるか」を分けて考えられていませんでした。
数字の読み方さえ分かってしまえば、6-2も5-1も一度で頭に入ります。
ぜひこの記事を参考にしてみてください。
- 6-2システムの並び方と、セッター2人の役割の切り替わりが分かる
- 6-2の強みと弱みを比べて、自分のチームに合うか判断できる
- 5-1・4-2との違いから、今のチームが選ぶべき形を決められる
それでは、くわしく見ていきましょう。
結論:6-2は後衛の2人が交代でトスを上げる形

先に結論からお伝えします。6-2システムとは、セッターを2人コートに入れ、そのときに後衛にいる方だけがトスを上げるシステムです。
- セッターができる選手を2人、コートの対角に入れる
- トスを上げるのは、後衛にいる方のセッター1人だけ
- 前衛に上がったセッターは、トスを上げずにアタッカーとして打つ
数字の意味も、覚えてしまえば簡単です。前の数字がアタッカーの人数、後ろの数字がセッターの人数を表します。
6-2なら、6人全員がアタッカーとして打つことがあり、そのうち2人がセッターも兼ねる、という読み方になるわけです。
サルくんセッターが2人いたら、どっちが上げるのか迷いませんか?



迷わないよ。後衛にいる方が上げる、と決まっているからね。
ローテーションが回れば、後衛にいるセッターは必ず入れ替わります。トスを上げる役も自動的に交代していくので、その場で相談する必要はありません。
私は指導の場面でも、まずこの1点だけを覚えてもらうようにしています。ここが分かれば、あとの動きは自然についてきます。
前衛の3人はいつもアタッカーですから、どのローテーションでも打てる枚数は3枚のまま。ここが6-2の最大の狙いです。
ここからは、並び方 → 強み → 弱み → 5-1や4-2との違い → 練習の順に見ていきます。
6-2の並び方|セッター2人を対角に置く


セッター2人は必ず「対角」に入れる
並び方の原則は1つだけです。2人のセッターを、ローテーション上の対角(斜め向かい)に置く。これだけ守れば形は崩れません。
対角に置くと、片方が前衛にいるとき、もう片方は必ず後衛にいます。つまり、どのローテーションでも「後衛にセッターが1人いる」状態が保たれます。
もし2人を隣どうしに並べてしまうと、2人そろって前衛に上がるローテーションが生まれます。そうなると後衛にトスを上げる人がいなくなり、システムそのものが成立しません。



セッター2人ハ斜メ向カイ
対角の考え方そのものは5-1でも使います。詳しくはセッターの対角とは?ローテーション戦術の基礎で図とあわせて確認してみてください。
後衛のセッターは「走って」トスへ入る
もう1つ覚えることがあります。後衛のセッターは、ボールが上がったら前へ走り、ネット際の右寄りでトスを上げます。
このとき、手をおでこの上にセットしたまま走るのは遠回りです。腕をしっかり振って走った方が速く動けるので、まずは落下点へ急ぐことを最優先にしてください。
止まったタイミングで手をセットすれば十分間に合います。ボールに触る前にセットが終わっていれば、トスの精度は落ちません。
入り方の細かいコツはバレーのセッターの役割|司令塔がやっている5つの仕事でも触れています。
レセプションはセッターを外して受ける
3つ目の決めごとが、サーブを受けるときの並びです。後衛のセッターは走ってトスへ向かうので、レセプションの担当から外して、残りの選手で受ける形にします。
多くのチームでは、リベロとアウトサイドヒッター2人の3人で受けます。受ける人数を絞ったほうが、お見合いも減るからです。
セッターは、サーブが打たれる前からネット寄りに準備しておきます。ただしローテーション上の位置は守らなければいけないので、笛が鳴るまでは正しい前後関係を保ってください。



サーブの前から前に立っていても大丈夫なんですか?



前後・左右の順番さえ守っていれば大丈夫。打たれた瞬間から自由に動けるよ。
受ける人数と立ち位置の考え方はサーブカットのフォーメーション|W型・M型の基本と弱点にまとめてあります。
6-2の強み3つ|攻撃の枚数と高さが落ちない
強み1:攻撃枚数がどのローテーションでも3枚
いちばんの強みは、これに尽きます。前衛にセッターが立たないので、どのローテーションでも前衛のアタッカーが3人そろうんです。
5-1では、セッターが前衛にいる3つのローテーションで打てる枚数が2枚に減ります。その3ローテをどう乗り切るかが毎試合の課題になります。
6-2にはその課題がありません。相手から見れば、6ローテすべてで同じ枚数の攻撃が飛んでくることになります。
サイドアウトを取り切りたい場面で、選択肢が2つしかないのと3つあるのとでは、決まる確率がまるで違うんです。



攻撃2枚ノローテガ消エル
苦しいローテーションが1つもない、というのは、点差が離れた場面で効いてきます。詳しくはバレーのサイドアウトとは|ブレイクとの違いと決め切るコツもあわせて読んでみてください。
強み2:相手ブロッカーが的を絞れない
打てる人が3人いれば、相手のブロッカーは最後まで1人に絞れません。特にミドルブロッカーは、クイックを警戒しながら左右へ動くことになります。
3枚が同時に助走へ入る形を作れば、相手の迷いはさらに大きくなります。この考え方はシンクロ攻撃とは|4人が同時に助走する仕組みと相性が良い部分です。
強み3:高さのある選手を前衛に集めやすい
セッターが前衛に立たない、ということは、前衛の3枠をすべて打てる選手・跳べる選手で埋められるということでもあります。
ブロックも同じで、前衛3人がブロッカーとして機能します。セッターが前衛にいるローテーションで「ブロックが1枚薄い」と感じたことがあるチームには、大きな魅力があるはずです。
背の高い選手が3人そろえば、相手のミドルへの警戒も分散させずに済みます。守りの計算が立ちやすくなる、という言い方もできます。



攻撃もブロックも枚数が減らないなんて、いいことしかないのでは!?



そう見えるよね。でも6-2には、しっかり弱みもあるんだ。
6-2の弱み3つ|覚悟しておきたい負担
弱み1:配球のクセが2人分に分かれる
トスを上げる人が2人いる以上、トスの高さも間合いも完全に同じにはなりません。アタッカーは2種類のトスに合わせる必要が出てきます。
セッターにとって最も大事なのは、アタッカーの調子を落とさないことです。合わないトスが続けば、打つ側の決定率はすぐに下がってしまいます。
だからこそ6-2では、2人のセッターが同じ基準でトスを上げられるまで、合わせる時間を確保しなければいけません。
高さ・ネットからの距離・ボールの回転。この3つをそろえるところから始めると、アタッカーの違和感は小さくなります。
弱み2:セッターにスパイクの力も求められる
6-2のセッターは、前衛に上がったらアタッカーとして打ちます。トスだけでなく、スパイクでも点を取れることが前提になるわけです。
トスの技術とスパイクの技術を両方伸ばすとなると、単純に練習量が2倍必要になります。



セッター2人ハ練習量モ2倍
中学・高校の限られた練習時間では、ここが最大の壁になります。どちらも中途半端になるくらいなら、5-1でセッター1人に集中させたほうが伸びる場合もあるんです。
前衛での役割は、実質的にライトのアタッカーです。求められる動きはオポジット(ライト)とは|役割と攻撃型・守備型の違いとほぼ重なります。
もし2人のうち片方がトス専門になると、そのローテーションだけ攻撃が2枚に減ります。
6-2を選んだ意味が、半分なくなってしまうわけです。



打てないセッターがいたら、6-2にする意味がなくなるんですね…。



そうなんだ。だから人がそろってから形を決める、の順番が大事だよ。
弱み3:ツーアタックとブロックが使えない
見落とされがちですが、ルール上の制約もあります。後衛の選手には、次の2つが認められていません。
- ブロックに跳ぶこと(後衛の選手はブロックに参加できない)
- アタックラインより前で、ネットより完全に高い位置にあるボールを相手コートへ打ち込むこと
つまり6-2のセッターは、5-1のセッターが前衛で見せるツーアタックを、同じようには使えません。相手にとっては、その分だけ読む要素が減ります。
このあたりのルールは、日本バレーボール協会の競技規則(ルールブック)で条文を確認できます。



後衛ハブロック不可・ツーアタックモ制限アリ
5-1・4-2との違い|チームに合う形の選び方
3つのシステムの違いは、表で見るといちばん早く整理できます。
| システム | セッターの人数 | トスを上げる位置 | 前衛の攻撃枚数 | 向いているチーム |
|---|---|---|---|---|
| 5-1 | 1人 | 前衛でも後衛でも | 3枚と2枚が入れ替わる | セッターをやれる選手が1人 |
| 6-2 | 2人 | 後衛のみ | いつも3枚 | セッター2人がどちらも打てる |
| 4-2 | 2人 | 前衛のみ | いつも2枚 | 役割を覚えている段階のチーム |
選ぶ基準は、意外なほど単純です。
セッターをやれる選手が1人なら5-1、2人いてどちらも打てるなら6-2、まだ役割を覚えている途中なら4-2。この順で当てはめてみてください。
4-2は前衛のセッターが上げるので攻撃は2枚に減りますが、後衛から走る動きがない分だけ覚えることが少なくて済みます。初めてシステムを導入するチームには扱いやすい形です。



4-2ハ覚エルコトガ少ナイ
一方で、勝ちにいくチームの主流は5-1です。トスの基準が1人にそろい、アタッカーとの合わせを積み上げやすいからです。詳しくはバレーの5-1システムとは|セッター1人で回す並びと攻め方で解説しています。
6-2は、その中間にある選択肢だと考えてください。5-1の弱点である「攻撃2枚のローテーション」を消せる代わりに、練習時間という別の負担を背負う形です。



どれが強いかじゃなくて、うちに合うのはどれか、で選ぶんですね。



そのとおり。人と時間を数えてから決めるのが一番だよ。
なお、5-1のまま攻撃枚数を保ちたい場合には、選手交代を使う手もあります。仕組みはバレーの2枚替えとは|前衛3枚を保つ交代の狙いと手順を読んでみてください。
6-2をチームに入れる練習の順番
いきなり試合形式で回しても、まず混乱します。次の順番で段階を踏むのが安全です。
3つ目までは、相手コートに人を置かなくてかまいません。トスが安定しないうちに相手を入れても、判断の練習になりにくいからです。
ローテーションを回す段階になったら、選手同士で「今はどっちが上げる番か」を声に出して確認させてください。



声に出すだけで、うっかりが減りそうです!
声に出す習慣があるだけで、位置の間違いはぐっと減ります。
サーブを打った直後の入れ替わりも同時に確認しておくと、守備の穴が生まれにくくなります。
動き方はバレーのポジションチェンジ|サーブ後に守る場所へ入れ替わるコツが参考になります。
練習の途中で崩れたときは、形を足すのをやめて1つ前の段階に戻してください。
段階を飛ばしたまま進めると、どこが原因で合わないのかが分からなくなります。



崩レタラ1ツ前ニ戻ス
スマホで後ろから撮影しておくと、位置の間違いは一目で分かります。コートの外から見ると、走り出しの遅れも見つけやすくなります。
見返す時間は、週に一度でも十分です。同じ間違いを2週続けないことのほうが、回数より大事なんです。



トスがそろうまでは、相手を入れなくていいんですね。



そう。順番を守れば、6-2は思ったよりすんなり入るよ。
よくある質問
まとめ:6-2は攻撃3枚と引き換えに練習量を払う形
最後に要点をふり返ります。6-2システムとは、セッター2人を対角に置き、後衛にいる方だけがトスを上げることで、前衛の攻撃を常に3枚に保つ形です。
| 判断したいこと | 6-2を選ぶ | ほかを選ぶ |
|---|---|---|
| セッターの人数 | 2人いて、どちらも打てる | 1人しかいない → 5-1 |
| 練習時間 | トスとスパイクを両方積める | 時間が足りない → 4-2 |
| 今の課題 | 攻撃2枚のローテで崩れる | 配球の質を上げたい → 5-1 |
私は元日本代表として多くのチームを見てきましたが、6-2がはまるのは「打てるセッターが2人いる」という条件がそろったチームだけでした。
人がそろっていないうちに形だけ真似ても、トスもスパイクも中途半端になります。まずは2人のトスをそろえる。そこから始めてみてください。



まずは2人のトスをそろえるところからやってみます!



それが近道だよ。形より先に、合わせる時間を作ろうね。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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