- 試合中に急に2人同時に交代しているけれど、あれが何なのかわからない
- セッターが前衛に上がると、なぜか点が取れなくなる
- 2枚替えという言葉は聞くが、自分のチームでやれるのか判断できない
こんな悩みを解決します。
2枚替えとは、セッターとその対角にいるオポジットを同時に入れ替えて、前衛のアタッカーを3枚のまま保つ交代のことです。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
体育館で試合を見ていると、この交代を「強いチームがやる難しい作戦」だと思っている選手がとても多いと感じます。
けれど中身は単純で、攻撃の枚数を減らさないための入れ替えにすぎません。仕組みがわかれば、自分のチームで使えるかどうかも自分で判断できます。
ぜひこの記事を参考にしてみてください。
- 2枚替えで誰と誰が入れ替わるのかがわかる
- どのローテーションで出して、いつ戻すのかがわかる
- 自分のチームで使えるかどうかを判断できる
それでは、くわしく見ていきましょう。
結論:2枚替えは前衛の攻撃を3枚に戻す交代

2枚替えの目的は、たったひとつです。セッターが前衛に上がる時間帯でも、前衛のアタッカーを3人そろえておくことにあります。
セッターが1人の5-1システムでは、そのセッターが前衛にいる間、打てる選手が2人に減ります。相手のブロックはそこで的を絞ってきます。
そこで、前衛にいるセッターをアタッカーと入れ替え、同時に後衛にいるオポジットを控えのセッターと入れ替えます。これで前衛は3人ともアタッカーになり、トスは後衛の控えセッターが上げる形になりました。
- 前衛にいるセッター → 控えのアタッカーへ交代
- 後衛にいるオポジット → 控えのセッターへ交代
- 結果として前衛はアタッカー3枚、トスは後衛から上がる
名前は難しそうですが、やっているのは「打てる人を前に、上げる人を後ろに」という置き換えだけです。
なぜここまでして枚数にこだわるのでしょうか。理由は、相手のブロックの立場になるとはっきりします。
打ってくる選手が2人しかいなければ、相手は2か所だけを見ていれば間に合います。3人が同時に助走に入れば、どこから来るかを最後まで決められません。
つまり枚数は、そのまま相手の迷いの量になります。得点力の差というより、相手に考えさせる時間の差だと考えてください。
サルくん2人同時に替えるから2枚替えなんだ?



そうだよ。1人ずつ替えても意味がないから、必ずセットで動かすんだ。



打ツ人ヲ前ヘ 上ゲル人ヲ後ロヘ
5-1のどのローテーションで攻撃が2枚に減るのかは、こちらで整理しています。
2枚替えの仕組み|誰と誰が入れ替わるのか
ここを間違えると、交代したのに攻撃が増えないという事故が起きます。順番に確認していきましょう。
入れ替えるのは「対角の2人」
セッターとオポジットは、ローテーションの並びで必ず反対側にいます。この関係を対角と呼びます。
つまりセッターが前衛にいるとき、オポジットは必ず後衛にいるということです。この2人を同時に替えるからこそ、前衛と後衛の両方が一度に整います。
対角の考え方そのものがあやふやな場合は、先にこちらを読んでおくと理解が早くなります。
交代後の役割はこう変わる
入れ替えたあと、コートに立つ6人の役割は次のように変わります。
| 交代前 | 交代後 | 立つ場所 | 役割 |
|---|---|---|---|
| セッター | 控えのアタッカー | 前衛 | 3枚目の攻撃として打つ |
| オポジット | 控えのセッター | 後衛 | 後衛からトスを上げる |
大事なのは、控えのセッターが後衛に入る点です。後衛の選手はネットより高い位置のボールを相手コートへ打てませんが、トスを上げることには制限がありません。
だから後衛からでも司令塔の仕事はそのまま続けられます。前衛が3枚そろっているぶん、配れる選択肢はむしろ増えます。



後ろにいるのにトスを上げていいの?



上げるのは自由です。制限がかかるのは、後衛の選手が高い位置で打つときだけなんですよ。
セッターが後衛から何を考えて配るかは、こちらでくわしく解説しています。
1人だけ替えても2枚替えにはならない
よくある勘違いが、前衛のセッターだけをアタッカーに替えてしまう形です。これをやると、コートからトスを上げる選手がいなくなります。
反対に控えのセッターだけを入れても、こんどは前衛にセッターが2人立つ形になり、攻撃は2枚のままです。
2人セットで動かして初めて、前衛と後衛のつじつまが合います。だから2枚替えという名前が付いているわけです。



片方だけじゃダメなんだね。



1人ダケノ交代ハ 形ガ崩レル
2枚替えを出すタイミングと戻し方


出すタイミングは、チームごとの好みではなく、ローテーションで決まります。
基本はセッターが後衛から前衛へ上がった時点で出し、前衛を一周して後衛へ戻る時点で元に戻すという流れです。
戻す作業まで含めて1セットの流れです。ここを忘れると、控えのセッターが前衛に上がってしまい、こんどはその選手が打てない形になります。
交代を出す場面にも決まりがあります。ラリーの途中では動かせないので、得点や失点でプレーが切れた瞬間に要求します。
ベンチが慌てて立ち上がってから選手を探しているようでは、その1回で流れが止まります。控えの2人には、あらかじめ準備をさせておいてください。
交代を要求する手順や、交代ゾーンでの入り方はルールで決まっています。試合前に確認しておくと、あわてずにすみます。



出ス場面ト 戻ス場面ハ セット
もうひとつ、サーブの順番も変わります。交代で入った選手は、下がった選手のサーブ順をそのまま引き継ぎます。
控えのセッターは後衛に入るので、そのまま回ればサーブを打つ場面が来ます。ここで急に打たされて崩れるチームは少なくありません。
サーブを含めた並びの作り方は、こちらで整理しています。
2枚替えのデメリット3つ
便利に見える交代ですが、代償もあります。使う前に3つだけ知っておいてください。
デメリット1:交代の回数を4回使う
交代の回数は、選手1人の入れ替えで1回と数えます。2枚替えは2人ぶんなので2回、戻すときにも2回かかります。
つまり1往復で4回ぶんの交代を使う計算です。6人制の一般的なルールでは1セット6回までなので、残るのは2回だけになります。
回数や手続きの正式な決まりは、日本バレーボール協会の競技規則で公開されています。大会ごとの特別ルールは要項で確認してください。
終盤にサーブで流れを変えたい場面や、守備を固めたい場面のカードが減るということです。
デュースまでもつれた終盤に交代カードが残っていないと、けがや極端な不調が起きたときに動けません。回数は作戦の材料であると同時に、非常時の保険でもあります。
- 出すときに2回、戻すときに2回で合計4回
- 6回までのうち残りは2回だけ
- 終盤のピンチサーバーや守備固めが使いにくくなる
流れを変える1本を託す交代については、こちらもあわせてどうぞ。
デメリット2:トスの感覚が途中で変わる
上げる人が替われば、トスの高さも速さも変わります。打つ側は、そのたびに助走のリズムを作り直すことになるわけです。
私が見てきた中でも、うまくいかないチームの原因はほとんどここにあります。控えのセッターと打つ練習をしていないのに、試合だけ交代しているという状態です。
普段の練習で、控えセッターが上げる時間をきちんと確保しているかどうか。そこが分かれ目になります。
目安として、交代で入った控えセッターの1本目が、そのまま強打で決まる形になっているかを見てください。1本目から高さや位置がずれるなら、まだ合わせが足りていません。
デメリット3:同じセットで何度も使えない
交代には、下がった選手ともう一度入れ替わる形しか認められないという決まりがあります。スタメンがコートへ戻れるのも、原則として1セットに1回までです。
そのため2枚替えは、1セットにつき1往復が基本になります。「点が取れないからもう一度」という使い方はできません。



何回でもできる作戦じゃないんだ…



だからこそ、どのローテで出すかを先に決めておく必要があるんだよ。
中学・高校のチームが2枚替えを使う前に決める3つのこと
そのまま真似すると失敗しやすい交代でもあります。導入の前に、次の3点をチームで決めてください。
①控えセッターを固定しておく
その場でセッターができそうな選手を出す形では、まず合いません。誰が控えセッターなのかを決め、普段からトスを上げる練習をさせておく必要があります。
サーブレシーブの返球からトスまでを、控えセッターと組んで反復しておくと安心です。
固定しておく利点は、練習の量だけではありません。誰が入るかが決まっていれば、控えの選手も自分の役割を意識して試合を見るようになります。
ベンチで座って応援しているだけの時間が、次に自分が入る場面の準備に変わるということです。
②入れ替わる選手の守る場所を決める
前衛に入る控えアタッカーは、ブロックにも入ります。相手のどの攻撃をどこで止めるかを決めておかないと、そこだけ穴になってしまいます。
サーブを打ったあとに守る場所へ入れ替わる動き方も、あわせて確認しておきましょう。
③使わない選択肢も持っておく
無理に2枚替えを使わなくても、前衛が2枚のローテを乗り切る方法はあります。後衛のオポジットにバックアタックを打たせれば、攻撃の枚数はそれだけで3枚になります。
交代のカードを温存できるぶん、こちらのほうが強いという場面も多いものです。
実際、前衛2枚のローテで崩れるチームの多くは、枚数そのものよりも「2枚だから仕方ない」と決めつけて助走をやめてしまうことが原因になっています。
後衛から走る人が1人増えるだけで、相手のブロックは動きます。まずはそこを試してから、交代という手段を検討してください。
- 後衛のオポジットにバックアタックを打たせる
- ミドルブロッカーが決まらなくても毎回助走に入る
- 前衛のセッターがツーアタックを1〜2本混ぜる



交代しなくても3枚にできるんだね!



そう。まずはそこからでいいんだ。2枚替えは、その先の選択肢だよ。



交代ハ 最後ノ手段デモイイ
よくある質問
まとめ:2枚替えは攻撃の枚数を守るための交代
2枚替えは、セッターが前衛に上がる時間帯でも前衛のアタッカーを3枚に保つための交代です。前衛のセッターを控えアタッカーへ、後衛のオポジットを控えセッターへ、同時に入れ替えます。
出すのはセッターが前衛に上がるローテ。
戻すのはセッターが後衛へ回るローテ。
| 見るところ | 内容 |
|---|---|
| 目的 | 前衛の攻撃を2枚から3枚に戻す |
| 入れ替え | セッター↔控えアタッカー / オポジット↔控えセッター |
| 使う回数 | 1往復で4回(1セット6回のうち) |
| 前提 | 控えセッターとの合わせを練習してあること |
私は元日本代表として、そして指導者として、交代の前にまずバックアタックで枚数を足せているかを見てほしいと思っています。それができるチームなら、2枚替えはさらに強い武器になります。



まずは自分のチームがどのローテで2枚になるか調べてみる!



いいね。そこがわかれば、交代が必要かどうかも見えてくるよ。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
バレーボールの戦術については他にも記事を書いています。
気になるテーマがあればぜひ読んで参考にしてもらえたら嬉しいです♪
バレーの練習に使えそうな道具を探すなら
ボールは部員1人に1球が目標です。6個入りのケースで売られているので、チームに20人いるならボール24球・カゴ2つ。この状態をクリアできると、練習が非常に充実するのではないでしょうか。私のスクールでは、コート1面につき36球を使っています。
- ボール…全員が同時に持てると、組めるメニューの幅が広がる
- ボールカゴ2つ…球出しと片づけが一気に楽になる
- ネット・アンテナ…予備がないと、欠けた日の練習が止まる
ケース単位でそろえるなら楽天市場でバレーボールを探すのもおすすめです。
▶ 関連記事: バレー部の用具・備品の管理|数え方・点検・買い替えの基準









