- 6人制の練習をそのままやっているが、試合で噛み合わない
- 人数が多くて、練習の待ち時間ばかり長くなってしまう
- 何から手をつければ勝てるチームになるのか分からない
こんな悩みを解決します。
9人制の練習で最初に取り組むべきなのは、味方との距離が近い状態で、迷わず動けるようにすることです。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
6人制を10年以上教えてきた立場から見ると、9人制で起きるミスの多くは技術が原因ではないと感じます。
9人がコートに立つと、1人が守る範囲は6人制よりずっと狭くなります。動く距離が短いぶん、誰が取るのかを決める速さのほうが結果を左右するんです。
ぜひこの記事を参考にしてみてください。
- 9人制だからこそ優先すべき練習の順番が分かる
- 人数が多くても待ち時間を減らす回し方が分かる
- 今日から使える4つのドリルの手順が分かる
結論:9人制の練習は3つに絞ると噛み合う
9人制の練習で優先するのは、次の3つです。
- 近い距離で反応する構え
- 味方とぶつからないための声
- 空いた場所を見つけて突く目
強いスパイクを打つ力や、高く跳ぶ力が要らないという意味ではありません。
ただ、9人で床がほとんど埋まる競技では、決定打より先に崩れない形が必要になります。
拾われ続けてラリーが長くなるほど、細かい約束事の差がそのまま点差に変わっていきます。
サルくん強く打つ練習は後回しでいいの?



打つ力は6人制と同じでいいんだ。9人制で足りなくなるのは別のところなんだよ。
この記事では、3つの力を身につけるためのドリルを4つ紹介します。順番どおりに進めれば、練習の組み立てがそのまま形になります。
順番には意味があります。守る形が固まる前に攻撃の練習を増やしても、拾えないボールが増えるだけで手応えが出ないからです。
先に崩れない形を作っておくと、同じ攻撃練習でもラリーが続き、1回の練習で触れる球数そのものが増えていきます。
なぜ6人制と同じ練習では足りないのか
6人制の練習をそのまま持ち込んでも噛み合わないのには、はっきりした理由があります。
1人が守る範囲が狭くなる
同じ広さのコートに9人が入るため、1人あたりの担当は自然と狭くなります。
6人制なら全力で走って追いつくボールが、9人制では2歩で届いてしまいます。
すると、走りながら形を作る練習より、その場で素早く低い姿勢を作る練習のほうが役に立ちます。
6人制の練習では、遠くのボールに走って追いつくメニューが多くなります。範囲が広いので当然のことです。



走る練習、いっぱいやってきたのに…。
けれども9人制でその練習ばかり積むと、目の前に飛んできた速い球に対して、つい1歩踏み出してしまう癖がつきます。
近い球は動かずに待つほうが取れる、という感覚を練習で上書きしておく必要があります。
味方との距離が近くなる
もう1つの違いが、隣の選手との距離です。
腕を伸ばせば届く位置に味方がいるため、同じボールに2人が入ってしまう場面が増えます。
6人制では起きにくいこの衝突が、9人制では毎日の練習で起こります。だからこそ、声と担当の約束を練習の中に組み込む必要があるんです。



チカイカラコソ ブツカル
ドリル①境目のボールを消す3人パス
最初に取り組むのは、誰が取るのかを迷わないための練習です。
3人が横に並び、その間に落ちるボールを処理します。
私はスクールでも、こうした境目の練習では上がった球の質を見ていません。
大事なのは、ボールを上げられたかどうかではありません。
声が先に出たかどうかだけを見て、出ていなければ上がっていてもやり直します。
慣れてきたら、前後にもう1人を足して、前の人と後ろの人の境目でも同じことをします。
前後の境目は、左右の境目よりも難しくなります。前の人には自分の後ろが見えず、後ろの人には前の人の背中が壁になるからです。
そこで、前後の間に落ちる球は後ろの選手が取る、と先に決めておきます。前を向いたまま入れる後ろの選手のほうが、体勢を崩さずに上げられるためです。
決め方そのものはチームで違って構いません。決まっていることのほうが、決め方の正しさより大切だと考えてください。



声より先に体が動いちゃうよ…。



最初は遅れていい。声を出してから動く順番だけ守ろう。
この順番が身につくと、試合中のお見合いは驚くほど減ります。
ドリル②近い距離で反応する構えづくり
次は、短い距離で飛んでくるボールに間に合わせる練習です。
9人制では相手の攻撃を受ける位置が近いため、構えを作る時間がほとんどありません。
3m の距離から受ける
指導者や味方が3mほどの距離から、やや強めの球を出します。
受ける側は、出す人の手が動く前に低い姿勢を作っておきます。
ここで足を動かして追いかけようとすると、まず間に合いません。腕の面をどこに向けるかだけで対応する感覚をつかみます。
うまくいかない時は、球の速さではなく構える高さを疑ってください。
腰の位置が高いまま待っている選手は、面を作る前にボールが来てしまいます。膝を曲げて重心を落としておくだけで、同じ球でも余裕が生まれます。
左右に1歩だけ動いて受ける
同じ距離から、体の少し横へ出してもらいます。
動くのは1歩までと決めて、それ以上は追いかけません。
追いかけないと決めることで、担当の外は味方に任せるという判断が身につきます。
取れなかった球を悔しがるより、任せる判断が早かったことを褒める、この声かけを指導者側でそろえておくと定着が早くなります。
最初から全部はできません。できているところを見つけて伝えるところから始めると、選手は自分から動くようになります。



全部自分で取ろうとしないのが、9人制のうまさだよ!
1回20球ほどで十分です。人数が多いので、3人1組で球出し役と数える役を回すと待ち時間が生まれません。
ドリル③2本で必ず入れるサーブ練習
9人制はサーブを2本まで打てますが、2本ともネットに触れれば失点です。
だからこそ、練習の段階から2本をセットにして数えます。
1本ずつバラバラに打っても、試合の感覚は身につきません。
外した直後にどう気持ちを切り替えるかまで含めて、2本で1つの練習にします。
数え方にも一工夫します。入った本数ではなく、相手が高く返せない形にできた回数を数えるようにしてください。
入った本数だけを数えると、選手は自然と弱いサーブを選ぶようになります。それでは1本目を攻める意味がなくなってしまいます。



カゾエルノハ 入ッタ数デハナク 崩シタ数
また、練習では必ずネットの上端より高い位置を通す意識で打たせます。9人制はネットに触れた時点で失敗になるため、すれすれを狙う練習に価値がないからです。
この決まりを原文で確かめたい方は、日本バレーボール協会が公開している競技規則(ルールブック)のページを見てみてください。
的として、ネットの上に紐や目印を張っておくと、通す高さが目で分かるようになります。
サーブの狙い方や、入らない時の直し方は、こちらの記事で詳しく解説しています。



2本で1セットって数えると、試合と同じだ!
ドリル④空いた場所を突く攻撃練習
最後は、9人で埋まったコートから点を取るための練習です。
強く打つ練習ではなく、どこが空いているかを見る練習だと考えてください。
黒い的を置いて狙う
相手コートに2〜3か所、目印になる物を置きます。
置く場所は、前の列と後ろの列の境目や、いちばん後ろのライン近くにします。
打つ側は、助走に入る前にどこを狙うかを声に出してから打ちます。
強打とフェイントを交ぜる
同じ助走から、強く打つ場合と、軽く落とす場合の両方を出します。
守る側には、打つ直前まで判断させないことが狙いです。
相手の重心が動いてから決める、という感覚は、この繰り返しでしか身につきません。
守る側にとっても、これは良い練習になります。強打が来ると思い込んで下がった瞬間に、前へ落とされる場面を体験できるからです。



下がった瞬間の前が、いちばん空いているんだよ。
なお、置く的は動かない物なので、慣れてきたら守る人を実際に立たせます。人がいると、同じ場所でも打ちにくさがまったく違ってきます。



9人いても、全部の場所は埋められないんだよ。



探せば空いてるんだ!?
打つ人が固定されないよう、順番に全員が打つ形にしておくと、試合で誰が入っても攻撃が続きます。
人数が多い練習を回す組み立て方
9人制は登録人数が多いぶん、待ち時間が長くなりがちです。
コート1面しか使えない場合は、場所を3つに分けて同時に進めます。
| 場所 | 内容 | 人数の目安 |
|---|---|---|
| コート内 | ドリル④(攻撃) | 6〜9人 |
| コート脇 | ドリル①②(守備) | 6人 |
| 壁ぎわ | ドリル③(サーブ)または壁パス | 3〜6人 |
10分ごとに場所を移ると、1回の練習で全員が3つのドリルを通せます。



待っている時間は、上達していない時間なんだ。
順番待ちの列を作らないことが、そのまま練習量の差になります。
球出しの役も、指導者だけで抱えないほうがうまく回ります。交代選手が球を出す側に入れば、出す位置と速さを考えることになり、それ自体が守備の勉強になります。
もう1つ気をつけたいのが、練習を長くしすぎないことです。
きつい練習でバレーボールが嫌いになってしまうのが、いちばんもったいないからです。集中できる時間で区切って、次の練習を楽しみに終えます。
9人制は長く続けられる競技です。この積み重ねが、結局いちばん強くなります。



短く区切ったほうが、集中できる気がする!
チームの人数が多い時の回し方は、こちらの記事でも解説しています。
よくある質問
まとめ
9人制の練習は、近い距離で迷わず動ける形を作ることから始まります。
境目の声・近い距離の構え・2本セットのサーブ・空いた場所を突く攻撃、この4つを順番に積み上げてみてください。
| ドリル | ねらい | 見るポイント |
|---|---|---|
| ①3人パス | お見合いをなくす | 足より先に声が出ているか |
| ②近距離の構え | 短い時間で形を作る | 1歩で止めて腕の面を向けられるか |
| ③2本サーブ | 2本を使い分ける | 1本目に狙いを言えているか |
| ④空いた場所 | 埋まらない場所を突く | 打つ前に狙いを決めているか |
私は元日本代表として、努力の方向がずれると成果は出にくいと考えてきました。9人制には9人制の伸びしろがあります。



拾われても崩れない形が先なんだね。



そこができたら、打つ力はあとからちゃんと効いてくるよ!
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
9人制バレーについては他にも記事を書いています。
気になるテーマがあればぜひ読んで参考にしてもらえたら嬉しいです♪
ボールは部員1人に1球が目標です。6個入りのケースで売られているので、チームに20人いるならボール24球・カゴ2つ。この状態をクリアできると、練習が非常に充実するのではないでしょうか。私のスクールでは、コート1面につき36球を使っています。
- ボール…全員が同時に持てると、組めるメニューの幅が広がる
- ボールカゴ2つ…球出しと片づけが一気に楽になる
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