- 塩分タブレットと経口補水液、どちらを持っていけばいいか迷う
- 経口補水液は体によさそうだから、毎日の水筒に入れようか考えている
- スポーツドリンクとの違いがよく分からない
こんな悩みを解決します。
練習中の水分と塩分の補給はスポーツドリンクが基本で、経口補水液は脱水状態になったときのための飲み物、塩分タブレットは水と一緒にとる補助です。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
この記事では、日本スポーツ協会の「スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック」(第6版)と、消費者庁が出している経口補水液の資料をもとに解説します。
3つの違いに加えて、練習の場面ごとにどれを選べばいいかも紹介していきます。
読み終わるころには、自分のバッグに何を入れておけばいいか、自信を持って決められるはずです。
- スポーツドリンク・経口補水液・塩分タブレットの違いがわかる
- 経口補水液を普段の水分補給に使わない理由がわかる
- 練習の場面ごとに、どれを選べばいいかがわかる
結論:練習中はスポーツドリンクが基本
結論からお伝えします。練習中の水分と塩分の補給は、スポーツドリンクが基本です。
日本スポーツ協会のガイドブックでは、0.1〜0.2%の食塩と糖質を含んだ飲み物が効果的で、一般のスポーツドリンクが使えるとされています。
一方で、経口補水液は、脱水状態の人のために作られた飲み物です。消費者庁は、脱水状態でない人が普段の水分補給として飲むものではないとはっきり書いています。
塩分タブレットは、水分そのものは補給できません。水やお茶と一緒にとって、塩分を足すための補助と考えましょう。
サルくん経口補水液って、普段飲むものじゃなかったんですね!



そう。名前は似ていても、役わりがまったく違うんだ。
- 練習中の基本は、食塩0.1〜0.2%・糖質4〜8%のスポーツドリンク
- 経口補水液は、脱水状態のときのための病者用の飲み物
- 経口補水液は、塩分などがスポーツドリンクの約3〜4倍
- 塩分タブレットは、水分の代わりにならない
- 具合が悪いときは自分で判断せず、すぐに大人に伝える



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3つの飲み物・食べ物の違い
まずは、3つの違いを表で整理しておきます。
| 種類 | 何のためのもの? | 使う場面 |
|---|---|---|
| スポーツドリンク | 運動中の水分・塩分・糖分の補給 | 長い練習、暑い日、汗が多い日 |
| 経口補水液 | 脱水状態のときの水分と塩分の補給 | 脱水状態になったとき(医師などに相談) |
| 塩分タブレット | 塩分を足すための補助 | 水やお茶と一緒に、汗が多い日 |
どれも「汗で失った塩分を補う」というイメージがあるかもしれません。でも、作られた目的と、塩分の濃さがまったく違うんですよね。
ここから、1つずつくわしく見ていきます。
スポーツドリンク:練習中の補給はこれが基本
最初は、練習中にいちばん出番の多いスポーツドリンクです。
汗で失った水と塩分と糖分を補える
汗の99%以上は水ですが、塩分などの電解質も含まれています。
ガイドブックによると、汗の量が少ないときは、塩分は皮膚に出る前に体の中に戻されます。
ところが、汗が多くなると戻しきれない塩分が増え、汗の塩分の濃さが上がるそうです。
汗を多くかいたときに、塩分を含む飲み物がすすめられるのはこのためです。
さらにガイドブックでは、適度な濃さの糖質は、水分や塩分を吸収する効率を高めるとされています。スポーツドリンクは、水・塩分・糖分の3つを一度にとれるのが強みです。



甘いのにも、ちゃんと意味があったんですね。
ラベルで食塩相当量と糖質を確かめる
ガイドブックが示している目安は、次のとおりです。
| 確かめるところ | 目安(100mlあたり) |
|---|---|
| 食塩相当量 | 0.1〜0.2g |
| 炭水化物・糖質 | 4〜8g |
糖質の濃さが高すぎると、胃にたまりやすくなります。ジュースや炭酸飲料は、練習中の水分補給のメインにしないほうがよいでしょう。
1時間前後の軽い練習なら、水やお茶でもかまいません。
練習中に飲む量とタイミングは、こちらの記事でくわしく紹介しています。



迷ったら、まずラベルの「食塩相当量」を見てみよう。
経口補水液:脱水状態になったときのための飲み物
次は、経口補水液です。ここがいちばん誤解されやすいところなので、ていねいに説明します。
国の許可を受けた「病者用」の飲み物
経口補水液は、水と電解質とブドウ糖でできた飲み物です。脱水で体から失われた水と電解質を、小腸ですばやく吸収できるように、成分の割合が決められています。
消費者庁の資料では、世界保健機関(WHO)がすすめる「経口補水療法」に使う、病者用の飲み物と説明されています。
2023年5月から、経口補水液は国の「特別用途食品」の仕組みに加わりました。
消費者庁の許可を受けた商品だけが「経口補水液」と名乗れるようになり、許可された商品には特別用途食品のマークがついています。



スポーツドリンクと、見た目はそっくりなのに…。
許可には、2つの種類があります。
| 種類 | 対象 |
|---|---|
| 許可基準型 | 感染性胃腸炎による下痢・嘔吐で脱水状態になったとき |
| 個別評価型 | 「熱中症に適した」など、商品ごとに国が認めた用途 |
同じ「経口補水液」でも、どんな場面に向いているかは商品によって違います。使うときは、パッケージの表示をよく確かめましょう。
塩分はスポーツドリンクの約3〜4倍
消費者庁の資料によると、経口補水液は、スポーツドリンクよりもナトリウムやカリウムが約3〜4倍多く含まれています。
たとえば、許可基準型の経口補水液のナトリウムの基準は、100mlあたり92〜138mgです。



そんなに塩分が多いんですね!
脱水状態のときには、この濃さが体に水分を取り戻す助けになります。でも、脱水状態ではないときに飲めば、ただ塩分を多くとることになってしまうんですよね。
毎日の水筒には入れない
消費者庁は、経口補水液を次のように使うよう呼びかけています。
- 脱水状態でない人が、普段の水分補給として飲むものではない
- 医師や管理栄養士などに相談し、指導にそって使う
- 塩分などの量を医師から制限されている人は、必ず医師に相談する
消費者庁の別の通知では、ナトリウムを多く含む飲み物を、脱水ではない状態で大量にとると、塩分のとりすぎにつながるおそれがあるとも書かれています。
「体によさそうだから毎日飲む」は、経口補水液ではまちがった使い方です。練習の日の水筒には、水やお茶、スポーツドリンクを入れましょう。



経口補水液は、ふだん使いではなく「もしものとき」の飲み物なんだ。



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塩分タブレット:水と一緒にとる補助
最後は、塩分タブレットです。塩あめやタブレットなど、口に入れて食べるタイプのものを指します。
水分の代わりにはならない
塩分タブレットは、塩分を補うことはできても、水分は補給できません。
ガイドブックによると、汗をたくさんかいたのに、水だけを補給して血液中の塩分の濃さが下がると、痛みをともなう筋肉のけいれんが起こることがあります。
水やお茶しか用意できない日に、汗をたくさんかくなら、塩分タブレットを一緒にとるのはひとつの方法です。ただし、必ず水分と一緒にとりましょう。



タブレットと水はセットで考えようね。
足がつる原因と防ぎ方は、こちらの記事でまとめています。
1粒の塩分は商品によって違う
塩分タブレットは、1粒にふくまれる塩分の量が商品によってさまざまです。袋の栄養成分表示で、1粒あたりの食塩相当量を確かめましょう。
目安を考えるときは、スポーツドリンクの濃さが参考になります。食塩0.1〜0.2%は、500mlの飲み物なら食塩0.5〜1.0gにあたります。
たとえば、水を500ml飲む間に、ラベルの食塩相当量を足して0.5〜1.0gになるくらいが、スポーツドリンクと同じくらいの濃さです。



ラベルを見て、何粒にするか決めればいいんですね。
スポーツドリンクや経口補水液と重ねない
スポーツドリンクや経口補水液には、もともと塩分が入っています。そこに塩分タブレットを何粒も重ねると、塩分が多くなりすぎてしまいます。
塩分タブレットは、水やお茶を飲む日の補助として使うと覚えておくと迷いません。
また、塩分タブレットはおやつのように食べるものではありません。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、1日の食塩の目標量は、15〜17歳の男性で7.5g未満、女性で6.5g未満とされています。
ふだんの食事でも、塩分はとりすぎないほうがよいとされているんですよね。
場面別:何を選べばいいか
ここまでの内容を、練習の場面ごとにまとめます。
| 場面 | 選ぶもの |
|---|---|
| 1時間前後の軽い練習 | 水やお茶 |
| 長い練習・暑い日・汗が多い日 | スポーツドリンク |
| 水やお茶しかない日に汗を多くかく | 水分+塩分タブレット |
| 下痢や嘔吐が続いている | 練習は休み、医師に相談する |
| 頭痛・吐き気・ふらつきがある | 練習をやめて、すぐ大人に伝える |



表にすると、ぐっとわかりやすいです!
具合が悪いときは自分で判断しない
ガイドブックでは、熱中症が疑われるときは、まず涼しい場所に移り、スポーツドリンクなどで水分と塩分を補給するとされています。
ただし、応答が鈍い、言っていることがおかしいなど、少しでも意識の様子がおかしいときは、救急車を呼んで体を冷やす必要があります。
吐き気などで飲めないときも、医療機関での治療が必要です。
具合が悪いと感じたら、何を飲むか自分で決める前に、まず指導者やまわりの大人に伝えることが大切です。
体育館での熱中症の防ぎ方は、こちらの記事を参考にしてください。



がまんしないで、早めに伝えるのがいちばん大事だよ。
家族にお願いするときは表示を伝える
経口補水液や塩分タブレットを家で用意してもらうときは、「特別用途食品のマークがついた経口補水液」「1粒の食塩相当量が書いてあるタブレット」のように伝えてみてください。
確かめたいポイントも一緒に伝えると、まちがいが減ります。
よくある失敗と直し方
最後に、選手がやりがちな失敗と、その直し方を紹介します。
「経口補水液」に似た名前の飲み物を選ぶ
店では、経口補水液とよく似たパッケージの清涼飲料水も売られています。
消費者庁は、許可を受けていない清涼飲料水が、経口補水液とまちがわれるような表示をすることを問題として、注意を呼びかけています。
選ぶときは、特別用途食品のマークと、許可された用途の表示を確かめましょう。
塩分タブレットだけ食べて水を飲まない
塩分タブレットを食べても、水分が足りなければ汗で失った分は取り戻せません。
タブレットを口に入れたら、水やお茶もしっかり飲むことをセットにしましょう。
塩分は多いほどいいと思いこむ
塩分は足りなくても、多すぎても体の負担になります。
ガイドブックでも、決められた量の水を無理に飲み続けることは避けるよう書かれています。塩分も同じで、汗の量に合わせて、必要な分をとるのが基本です。



足りなくても、多すぎてもダメ。ちょうどいい量を見つけよう。
塩分タブレットと経口補水液についてよくある質問
まとめ:目的に合わせて選び、迷ったらスポーツドリンク
この記事では、塩分タブレット・経口補水液・スポーツドリンクの違いと使い分けを、日本スポーツ協会のガイドブックと消費者庁の資料をもとに紹介しました。
練習中はスポーツドリンクが基本。経口補水液は脱水状態のとき、塩分タブレットは水と一緒にとる補助。
| 種類 | 覚えておくこと |
|---|---|
| スポーツドリンク | 食塩0.1〜0.2%・糖質4〜8%。練習中の補給の基本 |
| 経口補水液 | 脱水状態のときのための病者用。毎日は飲まない |
| 塩分タブレット | 水分の代わりにならない。必ず水と一緒に |
まずは、家にあるスポーツドリンクや塩分タブレットのラベルを見て、食塩相当量を確かめてみてください。中身がわかれば、場面に合わせて自分で選べるようになります。



さっそく、家にあるラベルを見てみます!



正しく選べれば、暑い日も最後まで動ける体を作れるよ。
参考にした資料
- 日本スポーツ協会「スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック」第6版(PDF)
- 消費者庁「経口補水液ってなに?」(PDF)
- 消費者庁「ご存じですか?経口補水液の知識」(PDF)
- 消費者庁「特別用途食品たる経口補水液と誤認されるおそれのある表示について」(PDF)
- 消費者庁「特別用途食品たる経口補水液の適切な使用方法について」(PDF)
- 健康長寿ネット「ナトリウムの働きと1日の摂取量」(日本人の食事摂取基準2025年版)
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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