食べる順番は意味がある?|アスリートの考え方とベジファースト

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食べる順番は意味がある?選手は量が先
  • 「野菜から先に食べるといい」と聞くけれど、選手も同じでいいのか分からない
  • 野菜を先に食べると、お腹がふくれてご飯が入らなくなる
  • 練習の前やあとにも、食べる順番を気にしたほうがいいのか知りたい

こんな悩みを解決します。

食べる順番には、たしかに意味があります。野菜やおかずを先に食べると、食後の血糖値の上がり方がゆるやかになることが研究で分かっています。

ただし、バレー選手にとっていちばん大切なのは、順番よりも「必要な量を食べきること」です。

私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。

この記事では、食べる順番についての研究と、スポーツ栄養の声明をもとに、選手が食べる順番をどう考えればいいかを紹介します。

読み終わるころには、ふだんの食事・練習前・練習後で、自分に合った食べ方を選べるようになるはずです。

この記事を読むことで得られる3つのこと
  • 「野菜から食べる」が血糖値にどう影響するのか、研究の中身がわかる
  • 選手が順番にこだわらなくていい場面と、その理由がわかる
  • ふだんの食事・練習前・練習後の、場面ごとの食べ方がわかる
目次

結論:選手は「量」が先、「順番」はその次

結論からお伝えします。バレー選手は、まず必要な量を食べきることを優先し、食べる順番はその次に考えるのがおすすめです。

野菜やおかずを先に食べる「ベジファースト」は、食後の血糖値の上がり方をおだやかにする方法として知られています。研究でも、その効果は確かめられています。

一方で、そうした研究の多くは、糖尿病の人や、ふだんあまり運動をしない人を対象にしたものです。毎日練習でたくさんのエネルギーを使う選手とは、目的が少しちがいます。

サルくん

野菜から食べるのが、いつでも正解だと思っていました!

あげば

順番には意味があるけど、選手は「食べきれるか」をいちばんに考えよう。

この記事のポイント
  • 野菜やおかずを先に、ご飯を最後に食べると、食後の血糖値の上がり方がゆるやかになる
  • 研究は大人が対象で、1回の食事で調べたものが中心
  • 野菜でお腹がいっぱいになり、ご飯が食べられないなら本末転倒
  • 練習の前は、順番より消化のよい炭水化物を選ぶことが大切
  • ふだんの夕食では、汁物や野菜から食べ始めると、野菜の食べ忘れを防げる
バボット

リョウ ガ サキ ジュンバン ハ ツギ

「野菜から食べる」と言われる理由

まずは、なぜ「野菜から先に食べるといい」と言われるのかを見ていきましょう。もとになっているのは、食後の血糖値を調べた研究です。

血糖値は「ご飯を最初に食べる」と上がりやすい

ご飯やパンなどの主食には、炭水化物(糖質)が多く含まれています。食べた糖質は体の中でブドウ糖になり、血液に入って血糖値が上がります。

血糖値が上がると、すい臓からインスリンというホルモンが出て、ブドウ糖を筋肉や肝臓に取りこみます。

この上がり方が急すぎると体に負担がかかるため、ゆるやかにする方法として研究されてきたのが、食べる順番です。

野菜に多い食物繊維は、小腸で消化されずに大腸まで届く成分です(厚生労働省 e-ヘルスネット)。

こうした食べ物やおかずを先にお腹に入れておくと、あとから食べた主食の糖が吸収されるスピードが、おだやかになると考えられています。

サルくん

先に食べたものが、あとのご飯の吸収に影響するんですか?

あげば

そう。同じメニューでも、食べる順番で血糖値の上がり方が変わるんだ。

研究①:糖尿病の人で調べた結果

アメリカの研究(Shuklaら、2015年)では、2型糖尿病の大人11人に、同じメニューの食事を順番だけ変えて食べてもらいました。

メニューは、パンとオレンジジュース(炭水化物)、鶏むね肉と野菜(たんぱく質と野菜)です。

片方の日は炭水化物を先に、もう片方の日はたんぱく質と野菜を先に食べ、15分後に残りを食べました。

その結果、たんぱく質と野菜を先に食べた日は、食後30分の血糖値が約29%、60分で約37%、120分で約17%低かったと報告されています。

インスリンの量も少なくてすんでいました。

研究②:健康な若い人で調べた結果

日本の研究(今井ら、2023年)では、健康な若い女性18人(平均21歳)を対象に調べています。

メニューは、トマトとブロッコリー、魚のフライ、ご飯200gです。「ご飯を先に食べる」「野菜を先に食べる」「野菜を先に、早食いする」の3通りで比べました。

その結果、野菜を先に食べたときは、ご飯を先に食べたときよりも、食後の血糖値とインスリンの上がり方が小さかったと報告されています。

10分で早く食べた場合でも、野菜を先に食べれば効果が見られました。

バボット

ヤサイ ガ サキ ナラ ケットウチ ハ ユルヤカ

研究で分かっていないこと

ただし、気をつけたい点もあります。

今井らの研究では、著者自身が「1回の食事で調べた結果なので、長く続けたときの効果は分からない」「日本の若い女性が対象なので、ほかの人に当てはまるとは限らない」と書いています。

どちらの研究も、10代のスポーツ選手を対象にしたものではありません。

また、血糖値の上がり方がゆるやかになることが、練習のパフォーマンスにどうつながるかも、調べられていません。

つまり、「野菜から食べると血糖値の上がり方がゆるやかになる」とはいえても、「野菜から食べると選手のパフォーマンスが上がる」とまではいえないということです。

選手が順番にこだわらなくていい3つの場面

ここからは、バレー選手が「野菜から」にこだわらなくていい場面を紹介します。

①野菜でお腹がいっぱいになるとき

1つ目は、野菜を先に食べると、ご飯やおかずが食べきれなくなるときです。

バレー選手は、練習でたくさんのエネルギーを使います。体をつくり、練習で使ったエネルギーを補うには、主食・主菜をしっかり食べることが土台です。

もともと、野菜から食べる方法が広まった理由の1つは「食べすぎを防ぎやすい」ことでした。しかし、量をしっかり食べたい選手にとっては、それが逆にはたらく場合があります。

サルくん

サラダとみそ汁で、もうお腹いっぱいになっちゃうことがあります。

あげば

それならサラダは少しにして、ご飯とおかずを先に食べてもいいんだよ。

食が細い選手や、練習のあとで食欲がわかない選手は、ご飯と主菜を先に食べ、野菜はあとから食べられる分を食べる、という順番でもかまいません。

主食・主菜・副菜をそろえる食事の基本は、こちらの記事でまとめています。

②練習や試合の前

2つ目は、練習や試合の前に食べるときです。

アメリカスポーツ医学会(ACSM)などの共同声明(2009年)では、運動前の食事は脂質と食物繊維が比較的少なく、炭水化物の多いものがよいとしています。

食物繊維や脂質が多いと、胃から腸へ食べ物が進むのに時間がかかり、お腹の不快感につながりやすいからです。

練習の前に食べるおにぎりやバナナに、わざわざ野菜を先に足す必要はありません。この場面では、順番よりも「消化のよい炭水化物を選ぶこと」のほうが大切です。

バボット

レンシュウマエ ハ ヤサイ ヨリ オニギリ

練習の前に何時間前に食べるかは、別の記事でくわしく紹介する予定です。

③練習のあと、すぐに食べるとき

3つ目は、練習が終わってすぐに食べる補食です。

ACSMなどの声明では、運動のあとは、炭水化物とたんぱく質を早めにとることが、体の回復に役立つとされています。

練習帰りのおにぎりや牛乳、ヨーグルトなどは、順番を気にせず、食べやすいものから食べて大丈夫です。

サルくん

練習のあとは、まず食べることが大事なんですね!

炭水化物がなぜ選手に必要なのかは、こちらの記事でくわしく解説しています。

順番を活かしやすい場面

ここまで「こだわらなくていい場面」を紹介しましたが、順番を工夫するとよい場面もあります。

ふだんの夕食で、ゆっくり食べられるとき

練習のない日や、家でゆっくり夕食を食べられる日は、汁物や野菜のおかずから食べ始めるのも1つの方法です。

先ほどの研究のように、食後の血糖値の上がり方はおだやかになりやすくなります。ただし、そのあとにご飯と主菜もしっかり食べることが前提です。

ゆっくり食べられる日の順番の例
  • みそ汁やスープをひと口飲む
  • 野菜・きのこ・海藻のおかずを食べる
  • 肉・魚・卵・大豆のおかずを食べる
  • ご飯をしっかり食べる(途中でおかずと行き来してもOK)

順番は、全部を食べ終えてから次へ進む必要はありません。最初のひと口を汁物や野菜にして、あとはふだんどおりに食べるだけでも十分です。

野菜を食べ忘れがちなとき

順番を工夫するメリットは、血糖値だけではありません。最初に野菜を食べると決めておけば、野菜の食べ忘れを防げるというよさもあります。

ご飯とおかずでお腹がいっぱいになり、野菜を残してしまう選手は少なくありません。そんな人は、最初の数口だけでも野菜にしてみると、自然と副菜までとれるようになります。

サルくん

ぼくは野菜を残しがちなので、最初のひと口を野菜にしてみます!

あげば

量を減らさずに野菜もとれるなら、それがいちばんだね。

早食いのくせがあるとき

今井らの研究では、早く食べた場合でも、野菜を先に食べれば血糖値の上がり方がおさえられていました。

それでも、研究ではゆっくり食べたときのほうが、食後30分の血糖値はさらに低くなっていました。時間に余裕がある日は、よくかんで食べることも意識してみてください。

場面別の食べ方まとめ

ここまでの内容を、場面ごとにまとめておきます。

場面食べ方のポイント
ふだんの夕食汁物・野菜から食べ始め、ご飯と主菜もしっかり
食欲がない日ご飯と主菜を先に。野菜は食べられる分
練習・試合の前順番より、消化のよい炭水化物を選ぶ
練習のすぐあと順番は気にせず、食べやすいものから

迷ったときは、「今日は量を食べきれそうか」を自分に聞いてみてください。食べきれそうなら野菜から、不安ならご飯と主菜から。この考え方なら、どの場面でも使えます。

バボット

マヨッタラ タベキレル ジュンバン

家の人に食事を用意してもらっている選手は、「練習の日はご飯を多めにしてほしい」と自分から伝えるのも1つの方法です。

その日の練習量を一番分かっているのは自分なので、自分の言葉で伝えてみましょう。

食べる順番についてよくある質問

ご飯を先に食べると、体に悪いのですか?

体に悪いわけではありません。研究では、ご飯を先に食べると食後の血糖値が上がりやすいことが分かっていますが、健康な選手がご飯から食べてはいけないという意味ではありません。必要な量をしっかり食べることを優先しましょう。

ベジファーストで体重を減らしたほうがいいですか?

この記事では、体重を減らす方法としてはおすすめしていません。選手は練習でたくさんのエネルギーを使うので、食べる量が足りないと体づくりや回復に影響します。体重のことで悩んでいるときは、医師や管理栄養士、指導者に相談してください。

三角食べ(ご飯とおかずを交互に食べる)はよくないのですか?

よくないわけではありません。交互に食べると、ご飯とおかずをバランスよく食べきりやすいというよさがあります。最初のひと口を汁物や野菜にして、そのあとは交互に食べる、という組み合わせもおすすめです。

練習前にサラダを食べても大丈夫ですか?

少しなら問題ないことが多いですが、量が多いとお腹が重く感じることがあります。運動の前は、食物繊維や脂質が少なく炭水化物の多いものがよいとされているので、練習の直前はおにぎりやバナナなどを中心にしましょう。

ふだんの体調管理と食事の関係については、こちらの記事でも紹介しています。

まとめ:食べきれる順番が、選手にとっての正解

この記事では、食べる順番に意味があるのかを、研究とスポーツ栄養の声明をもとに解説しました。

野菜やおかずを先に食べると、血糖値の上がり方はゆるやかになる。でも、選手にとっての優先順位は「量を食べきること」が先。

考え方ポイント
研究で分かっていること野菜・おかずを先、ご飯を最後にすると食後の血糖値がゆるやか
分かっていないこと10代の選手での効果、パフォーマンスへの影響
選手のおすすめ量を優先。食べきれる日は汁物・野菜から食べ始める

まずは今日の夕食で、最初のひと口をみそ汁か野菜にしてみてください。そのうえで、ご飯とおかずもいつもどおり食べきれたら合格です。

サルくん

最初のひと口は野菜、でもご飯もしっかり食べます!

あげば

順番は道具の1つ。いちばん大事なのは、毎日しっかり食べることだよ。

参考にした資料

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

食事・栄養については他にも記事を書いています。
気になるテーマがあればぜひ読んで参考にしてもらえたら嬉しいです♪

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この記事を書いた人

バレーボール・ビーチバレーボール元日本代表。
バレーボールスクールを10年間運営。

【保有資格】
日本スポーツ協会公認バレーボールコーチ4

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