- ご飯をどれくらい食べればいいのか、自分の量が分からない
- 炭水化物は太りそうで、つい主食を少なめにしてしまう
- 練習の後半になると、足が動かなくなってバテてしまう
こんな悩みを解決します。
バレー選手の炭水化物は、練習量に合わせて体重1kgあたり1日3〜12gが研究の目安です。ふだんの部活の日は、まず5〜7gを基準に考えると分かりやすくなります。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
この記事では、厚生労働省の基準とスポーツ栄養の研究をもとに、自分に必要な炭水化物の量と、それがご飯何杯分になるのかを紹介します。
量の目安が分かると、主食を減らす不安がなくなるはずです。
- 炭水化物が足りないと、練習で何が起きるかがわかる
- 練習量に合わせた、自分の炭水化物の量を計算できる
- ご飯やパンで、1日にどれくらい食べればいいかがわかる
結論:体重1kgあたり5〜7gを基準に練習量で増減する
結論からお伝えします。炭水化物の量は、練習の時間と強さに合わせて、体重1kgあたり1日3〜12gの中で変えるのが基本です。
体重60kgの選手が1日5〜7gをとるなら、300〜420gになります。ご飯に直すと、茶わん大盛り(200g)で4〜5杯くらいの量です。
サルくんそんなに食べるんですか!?



補食のおにぎりも入れて、1日の合計で考えるんだ。
- 国の基準では、炭水化物はエネルギー全体の50〜65%
- スポーツの目安は、練習量で体重1kgあたり3〜12g
- ふだんの部活の日は5〜7gを基準に、きつい日は増やす
- おにぎり1個(ご飯100g)で、炭水化物は約37g
数字は「毎日ぴったりこの量を食べる」というものではありません。練習が多い日と少ない日で主食を調整するための、物差しとして使ってください。



ゴハン ハ レンシュウリョウ デ カエル
炭水化物が足りないと練習で起きること
炭水化物は、ご飯やパン、麺、いも、果物などに多く含まれる栄養素です。なぜバレー選手は、炭水化物をしっかりとる必要があるのでしょうか。
体にためておける量は限られている
1つ目は、ためておける量が少ないことです。炭水化物はグリコーゲンとして筋肉や肝臓にたくわえられ、ジャンプの燃料になります。
スポーツ飲料メーカーの研究機関(GSSI)の資料によると、体にためておける量は、肝臓に約80g、筋肉に300〜500gほどです。
激しい練習が続くと、このたくわえは減っていきます。補わないと、次の日を少ないタンクのまま始めることになるんです。



練習の後半にバテるのは、タンクが空になってきたからかもしれないんですね!



その可能性はあるね。毎日しっかり補うことが大切だよ。
足りないとタンパク質まで燃料にされる
2つ目の理由は、体づくりへの影響です。農畜産業振興機構の情報誌で、公認スポーツ栄養士の小池ゆみえさんは、グリコーゲンが少ないと持久力が落ちることを説明しています。
さらに、エネルギーを確保するために体のタンパク質が分解され、体づくりにも影響が出るとしています。
せっかく食べたタンパク質や筋肉が、燃料として使われてしまうわけです。
GSSIの資料も、持久系の選手の研究をもとに、炭水化物を少なく脂質を多くした食事は、強い運動の練習をしにくくする可能性があると書いています。



シュショク ヲ ヌクト キンニク ガ ネンリョウ ニ
国の基準とスポーツの目安を比べる
炭水化物の量には、大きく分けて2つの目安があります。国が決めている基準と、スポーツ栄養の研究で示されている目安です。
国の基準はエネルギー全体の50〜65%
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、炭水化物の目標量を、1日のエネルギーのうち50〜65%としています。
この割合は、中学生も高校生も大人も同じです。
炭水化物は1gで約4kcalのエネルギーになります。たとえば15〜17歳男子の「ふつう」の活動量の必要エネルギー2,850kcalで計算すると、1日約356〜463gです。
| 年齢・性別(活動量ふつう) | 必要エネルギー | 炭水化物の目安 |
|---|---|---|
| 12〜14歳 男子 | 2,600kcal | 約325〜423g |
| 12〜14歳 女子 | 2,400kcal | 約300〜390g |
| 15〜17歳 男子 | 2,850kcal | 約356〜463g |
| 15〜17歳 女子 | 2,300kcal | 約288〜374g |
この基準は、体格や活動量ごとの平均的な人を想定した数字です。毎日長い時間練習する選手は、必要なエネルギーそのものが多くなることがあります。



割合で言われても、自分の量がピンときません…。



だからスポーツでは、体重から量を出す目安も使うんだ。
スポーツの目安は体重1kgあたりで決める
スポーツをする人については、国際的なガイドライン(Burkeら、2011年)をもとにした目安があります。農畜産業振興機構の情報誌で紹介された表を、分かりやすくまとめました。
| 練習の強さ | 練習の例 | 1日の目安(体重1kgあたり) |
|---|---|---|
| 軽い | 技術練習が中心で30〜60分 | 3〜5g |
| 中くらい | ふつうの練習で60分前後 | 5〜7g |
| 高い | 中〜高強度の運動を60〜180分 | 6〜10g |
| とても高い | 2部練習などで240〜300分 | 8〜12g |
ポイントは、練習の時間と強さで、必要な量が大きく変わることです。国の基準が割合なのに対して、こちらは体の大きさと練習量に合わせて量を決めます。
なお、資料によって「中くらい」の範囲には差があり、3〜7gとしている資料もあります。
1つの数字にこだわらず、範囲で考えるのが安全です。
また、こうしたガイドラインは主に大人のアスリートを対象にした研究から作られています。中高生は、海外の目安を参考にしつつ、国の基準を最低ラインにするとよいでしょう。



レンシュウ ガ ナガイ ヒ ホド タクサン ヒツヨウ
自分の炭水化物の量を計算する
ここからは、実際に自分の量を計算してみましょう。必要なのは、自分の体重と、その日の練習の内容だけです。
練習量から自分の目安を選ぶ
計算のしかたは、次の3つの手順です。
部活の練習時間は2時間前後になることも多いですが、その中には休けいや説明の時間もふくまれます。
まずはふだんの練習日は5〜7g、試合形式や走り込みが続くきつい日は7g以上、と考えると使いやすくなります。
練習が休みの日は、体を動かす量が減るので、3〜5gくらいで足りることもあります。



練習がきつい日ほど、ご飯を増やせばいいんですね。
体重別の早見表
体重ごとの1日の量を、表にまとめました。真ん中の7gは、ふだんの練習の目安の上の端です。
| 体重 | 5g | 7g | 10g |
|---|---|---|---|
| 45kg | 225g | 315g | 450g |
| 50kg | 250g | 350g | 500g |
| 55kg | 275g | 385g | 550g |
| 60kg | 300g | 420g | 600g |
| 65kg | 325g | 455g | 650g |
| 70kg | 350g | 490g | 700g |
10gの列は、2部練習や合宿のように練習がとても多い日の目安です。毎日この量を食べる必要はありません。



表は「だいたいこのくらい」をつかむために使おう。
ご飯やパンに直すとどれくらい?
グラムで分かっても、食べ物にどれくらい入っているかが分からないと使えません。ここでは、主食や果物に入っている炭水化物の量を紹介します。
主食と果物の炭水化物の量
文部科学省の「日本食品標準成分表(八訂)」の値をもとに、ふだん食べる量に直すと次のようになります。
| 食べ物(量) | 炭水化物 |
|---|---|
| ご飯 茶わん大盛り(200g) | 約74g |
| ご飯 茶わん1杯(150g) | 約56g |
| スパゲッティ ゆで(200g) | 約64g |
| うどん ゆで(200g) | 約43g |
| おにぎり1個(ご飯100g) | 約37g |
| 食パン 6枚切り1枚(60g) | 約28g |
| バナナ1本(食べる部分100g) | 約23g |
ご飯は量が分かりやすく、炭水化物もしっかりとれる主食です。おにぎり1個を「約37g」と覚えておくと、1日の量を数えやすくなります。
うどんは同じ200gでもご飯より炭水化物が少ないので、麺類の日は量を少し多めにするか、おにぎりを足すとよいでしょう。



うどんって、思ったより少ないんですね!?



水分が多いからね。量で比べるのがコツだよ。
1日の食事で足し算してみる
体重60kgの選手が、ふだんの練習の日にどれくらいとれるか足し算してみましょう。目安の5〜7gなら、1日300〜420gです。
| 食事 | 主食・果物 | 炭水化物 |
|---|---|---|
| 朝 | ご飯200g・バナナ1本 | 約97g |
| 昼 | ご飯200g(弁当・給食) | 約74g |
| 練習前 | おにぎり1個 | 約37g |
| 練習後 | おにぎり1個 | 約37g |
| 夜 | ご飯200g | 約74g |
主食と果物だけで合計は約319gになり、5gの目安(300g)をこえます。実際には、牛乳やいも、野菜のおかずなどからも少しずつ炭水化物がとれます。
練習がきつい日は、夜のご飯を大盛りにしたり、補食のおにぎりを1個増やしたりして調整しましょう。3食の主食に、練習前後の補食を足すのがいちばん現実的な方法です。
練習前後に何を食べるかは、補食の記事でくわしく紹介しています。
炭水化物をとるときの3つの注意点
最後に、炭水化物をとるときに気をつけたいことを3つ紹介します。
注意①:練習の前と後のタイミングを意識する
1つ目は、食べるタイミングです。GSSIの資料では、運動の1〜4時間前に体重1kgあたり1〜4gの炭水化物をとることが目安とされています。
体重60kgなら60〜240gと幅があり、どれくらいがちょうどよいかは人によってちがいます。
同じ資料は、運動の前は食物繊維や脂質の少ない、炭水化物の多い食べ物を選ぶようすすめています。



ウンドウマエ ハ ショウカ ノ ヨイモノ
練習の後は、使ったグリコーゲンを戻すために、主食をふくむ食事や補食を早めにとりましょう。
注意②:甘いものや菓子パンだけでとらない
2つ目は、炭水化物の中身です。お菓子やジュース、菓子パンにも炭水化物は入っていますが、脂質や砂糖が多いものもあります。
厚生労働省の基準でも、炭水化物の上限は、食物繊維が少なくならないように気をつける必要があるとされています。
毎日の炭水化物は、ご飯・パン・麺などの主食を中心にとるのが基本です。



練習後のジュースとお菓子、やめたほうがいいですか…?



ゼロにしなくていいよ。まず主食を先に食べよう。
注意③:自分の判断で主食を減らさない
3つ目は、主食を減らすことです。体型を気にして、ご飯を少なめにしている選手もいるかもしれません。
しかし、ここまで見てきたように、炭水化物が足りないと練習のエネルギーが不足しやすくなります。自分の判断で主食を大きく減らすのはやめましょう。
体重や体型のことで悩んでいる人、食べる量に不安がある人、持病やアレルギーがある人は、医師や管理栄養士に相談するのがいちばん確実です。
チームに指導者やトレーナーがいれば、まずは話してみてください。
炭水化物の量についてよくある質問
試合当日の食べ方は、こちらの記事でくわしく解説しています。
まとめ:練習量に合わせて主食の量を調整しよう
この記事では、バレー選手に必要な炭水化物の量を、国の基準と研究をもとに解説しました。
ふだんの練習日は体重1kgあたり5〜7gを基準に、練習がきつい日は増やし、休みの日は少し減らす。
| 練習の日 | 1日の目安(体重1kgあたり) | 主食の調整 |
|---|---|---|
| 休み・軽い練習 | 3〜5g | 3食の主食をふつうに |
| ふだんの練習 | 5〜7g | 3食+練習前後のおにぎり |
| きつい練習・2部練習 | 7〜12g | 夜の大盛りや補食を追加 |
数字にぴったり合わせるより、練習の量を見て主食を増やしたり減らしたりできることのほうが大切です。
まずは今日の練習前に、おにぎりを1個食べられているか見直してみてください。



練習がきつい日は、おにぎりを1個増やしてみます!



燃料を切らさないことが、最後まで跳べる体につながるんだ。
参考にした資料
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」の策定ポイント(2025年2月)
- 堺市「あなたに必要な1日のエネルギー量の目安は?」(日本人の食事摂取基準2025年版より抜粋)
- 清野隼「アスリートにおけるパフォーマンス向上につながる糖質摂取」農畜産業振興機構『砂糖類・でん粉情報』2017年8月号
- 小池ゆみえ「スポーツと糖質〜アスリートの基本の食事〜」農畜産業振興機構『砂糖類・でん粉情報』2024年7月号
- Burke LM, et al. Carbohydrates for training and competition. Journal of Sports Sciences, 2011
- Gatorade Sports Science Institute「The Science of Carbohydrate」(2024)
- 文部科学省「食品成分データベース」(日本食品標準成分表(八訂)増補2023年)
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
食事・栄養については他にも記事を書いています。
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