タンパク質の摂取量は1日どれくらい?|体重×2gは本当か

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タンパク質は1日何g?体重×2gは本当?と、卵と牛乳を持って首をかしげるサルくんに、あげばコーチが指を立てて教えているアイキャッチ
  • 体を強くしたいけど、タンパク質を1日に何gとればいいのか分からない
  • 「体重×2g」とよく聞くけど、自分にも当てはまるのか気になる
  • ふだんの食事で、どれくらいとれているのか見当がつかない

こんな悩みを解決します。

運動をする人のタンパク質は、体重1kgあたり1日1.2〜2.0gが研究の目安です。「体重×2g」はその範囲の上の端で、全員がめざす量ではありません。

私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。

この記事では、厚生労働省の基準と、スポーツ栄養の学会の声明や研究をもとに、自分に必要なタンパク質の量を計算する方法を紹介します。数字の意味が分かると、毎日の食事の見方が変わるはずです。

この記事を読むことで得られる3つのこと
  • 国の基準と、運動する人の目安の違いがわかる
  • 「体重×2g」がどこから来た数字なのかがわかる
  • 自分の体重から、1日と1食の量を計算できる
目次

結論:体重1kgあたり1.2〜2.0gを3食に分ける

結論からお伝えします。運動をする人のタンパク質は、体重1kgあたり1日1.2〜2.0gが目安です。

体重60kgの選手なら、1日72〜120gになります。これを一度にとるのではなく、朝・昼・夜の食事と補食に分けてとるのが基本です。

サルくん

体重×2gって、みんなそうするものだと思ってました…。

あげば

2gは範囲の上の端なんだ。まずは毎食とることが先だよ。

この記事のポイント
  • 中高生の国の推奨量は、1日55〜65g
  • 運動する人の目安は、体重1kgあたり1.2〜2.0g
  • 1回の食事では、体重1kgあたり0.25〜0.3gが目安
  • タンパク質より先に、主食でエネルギーを確保する

数字は「必ずこの量を食べる」というものではなく、自分の食事を見直すときの物差しです。ここから順番に見ていきましょう。

バボット

スウジ ハ モノサシ

国の基準と運動する人の目安を比べる

タンパク質の量には、大きく分けて2つの目安があります。国が決めている基準と、スポーツ栄養の学会が出している目安です。

国の推奨量は中高生で1日55〜65g

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、中高生のタンパク質の推奨量(ほとんどの人が足りる量)を、次のように決めています。

年齢男子女子
12〜14歳60g55g
15〜17歳65g55g

この推奨量は、年齢と性別ごとの標準的な体格をもとに決められた1日の量で、一人ひとりの体重や練習量は反映されていません。

足りない状態を避けるための数字なので、たくさん練習する選手にとっては「最低限ここは超えたい量」と考えるとよいでしょう。

同じ基準には、エネルギー全体のうちタンパク質を13〜20%にするという「目標量」もあります。

たとえば15〜17歳男子の「ふつう」の活動量の必要エネルギー2,850kcalで計算すると、タンパク質は1gで約4kcalなので、1日約93〜143gになります。

バボット

スイショウリョウ ハ サイテイライン

運動する人の目安は体重1kgあたり1.2〜2.0g

スポーツをする人については、海外の学会がそれぞれ目安を出しています。

出している団体1日の目安(体重1kgあたり)
米国スポーツ医学会など3団体1.2〜2.0g
国際スポーツ栄養学会1.4〜2.0g

米国スポーツ医学会などの共同声明(2016年)は、運動で傷ついた体の修復や、トレーニングへの適応に必要な量として、体重1kgあたり1日1.2〜2.0gを示しています。

国際スポーツ栄養学会の声明(2017年)は、筋肉をつけたり保ったりするには、多くの運動する人で1.4〜2.0gで十分だとしています。

どちらの数字も「体重1kgあたり」なので、自分の体重をかけると1日の量がわかるのがポイントです。国の推奨量とちがい、体の大きさに合わせて量が変わります。

サルくん

体が大きい人ほど、たくさん必要ってことですね?

あげば

そう。だから自分の体重で計算することが大切なんだ。

「体重×2g」をそのまま信じなくていい3つの理由

ネットや雑誌でよく見る「体重×2g」。この数字は、自分にもそのまま当てはまるのでしょうか。研究を見ると、そのまま信じなくていい理由が3つあります。

理由①:2gは目安の範囲の上の端

1つ目は、2gが目安の「上の端」だということです。先ほどの2つの声明は、どちらも2.0gを範囲の上限においています。

上の端の量は、練習がとても激しい時期などに当てはまるものです。

米国スポーツ医学会などの声明も、必要な量は練習の内容や時期によって変わると書いています。毎日、全員が2gをめざす必要はありません。

サルくん

2gって「最低これだけ」じゃなかったんですね!?

あげば

そう。1.2〜2.0gのどこかに入っていれば、まずは十分だよ。

理由②:1.6g前後で効果が頭打ちという研究がある

2つ目は、ある量をこえると効果が増えなくなるという研究があることです。

筋トレとタンパク質の関係を調べた49の研究をまとめた分析(2018年)があります。

この分析では、1日の量が体重1kgあたり約1.6gをこえると、筋肉が増える効果はそれ以上大きくならなかったと報告されています。

ただし、これは多くの研究をまとめた全体の傾向から出した数字で、一人ひとりの必要量を決めたものではありません。「1.6gで絶対に十分」と言い切れるわけではないので、範囲で考えるのが安全です。

バボット

オオク トッテモ キンニク ハ フエツヅケナイ

理由③:研究の多くは大人を対象にしている

3つ目は、ここまでの数字が、主に大人を対象にした研究から出ていることです。先ほどの49の研究の分析も、健康な大人が対象でした。

中高生は、運動のためだけでなく、体が大きくなるためにもタンパク質を使っています。

大人の研究の数字をそのまま当てはめてよいとは限らないので、海外の目安は「参考」として、国の推奨量を最低ラインにすると考えるとよいでしょう。

自分のタンパク質の量を計算する

ここからは、実際に自分の量を計算してみましょう。必要なのは、自分の体重だけです。

1日の量は体重に1.2〜2.0をかける

計算のしかたは、次の3つの手順です。

STEP
自分の体重(kg)を確かめる
STEP
体重に1.2と2.0をかけて、1日の範囲を出す
STEP
国の推奨量(55〜65g)を下回っていないか確かめる

体重ごとの目安を、表にまとめました。真ん中の1.6gは、先ほどの研究で効果が頭打ちになった量の目安です。

体重1.2g1.6g2.0g
50kg60g80g100g
55kg66g88g110g
60kg72g96g120g
65kg78g104g130g
70kg84g112g140g

練習が少ない時期は範囲の下のほう、練習や筋トレが多い時期は上のほう、と考えると使いやすくなります。

1回の食事の量は体重1kgあたり0.25〜0.3g

1日の量が分かったら、次は1回の食事の量です。米国スポーツ医学会などの声明は、1回あたり体重1kgあたり0.25〜0.3gを目安にしています。

体重60kgなら、1回の食事で15〜18gくらいです。国際スポーツ栄養学会も、1回に20〜40gを3〜4時間ごとに分けてとるのが理想だとしています。

一方で、1回に40gをこえる量をとっても、体の中で筋肉をつくる働きがさらに高まるとは、まだ示されていません。

夜にまとめて食べるより、朝・昼・夜・補食に分けてとるほうが理にかなっています。

サルくん

夜だけ多く食べるより、毎回に分けたほうがいいんですね!

あげば

そのとおり。朝ごはんで少ない人が多いから、そこから見直そう。

食べ物でとれるタンパク質の量

数字が分かっても、食べ物にどれくらい入っているかが分からないと使えません。ここでは、身近な食べ物の量を紹介します。

身近な食べ物のタンパク質量

文部科学省の「日本食品標準成分表(八訂)」の値をもとに、ふだん食べる量に直すと次のようになります。

食べ物(量)タンパク質
鶏むね肉(皮なし・生)100g約23g
納豆1パック(40g)約7g
木綿豆腐1/3丁(100g)約7g
牛乳コップ1杯(200g)約7g
卵1個(中身50g)約6g
ご飯茶わん1杯(150g)約4g
ヨーグルト(無糖)100g約4g
おにぎり1個(ご飯100g)約2.5g

肉や魚のおかず(主菜)が1品あるだけで、1回の食事の目安にぐっと近づきます。

ご飯にもタンパク質が少し入っているので、主食をしっかり食べることも量を増やす助けになります。

1日の食事で足し算してみる

体重60kgの選手が、ふつうの食事でどれくらいとれるか足し算してみましょう。

食事食べるものタンパク質
朝ご飯150g・卵1個・納豆1パック・牛乳200g約23g
昼ご飯200g・鶏むね肉100g約28g
補食おにぎり1個・ヨーグルト100g約6g
夜ご飯200g・鶏むね肉100g・豆腐100g・牛乳200g約42g

合計は約99gで、体重60kgの1.6g(96g)をこえています。特別な食べ物を使わなくても、3食に主菜と牛乳・乳製品がそろえば、目安の量は食事でとれることが分かります。

米国スポーツ医学会などの声明も、こうした量はふつうの食べ物でとれると書いています。プロテインは、食事でどうしても足りない日に使うものと考えましょう。

タンパク質をとるときの3つの注意点

最後に、タンパク質をとるときに気をつけたいことを3つ紹介します。

注意①:主食でエネルギーを先に確保する

1つ目は、エネルギーです。米国スポーツ医学会などの声明は、主食などの炭水化物で十分なエネルギーをとってこそ、タンパク質が体づくりに使われやすくなると説明しています。

エネルギーが足りないと、せっかくとったタンパク質が、体を動かす燃料として使われてしまいます。タンパク質のためにご飯を減らすのは逆効果です。

サルくん

ご飯もちゃんと食べないとダメなんですね!?

バボット

ゴハン ヲ ヘラスト タンパクシツ ガ ムダニナル

注意②:たくさんとるほどよいわけではない

2つ目は、量です。国の基準では、タンパク質をとりすぎたときの上限(耐容上限量)は、はっきりした根拠がまだ十分でないとして決められていません。

それでも、目標量の上の値は、エネルギー全体の20%と決められています。先ほどの研究のように、ある量をこえると筋肉への効果は増えにくいので、多ければ多いほどよいわけではありません。

タンパク質ばかりに偏ると、主食や野菜が減ってしまうこともあります。主食・主菜・副菜をそろえる中で、主菜の量を整えるくらいがちょうどよいバランスです。

あげば

主食・主菜・副菜のバランスを先に整えよう。

注意③:体調やケガで迷ったら専門家に相談する

3つ目は、体調です。持病がある人、食べ物のアレルギーがある人、ケガや体調不良が続いている人は、自分の判断で量を大きく変えないようにしましょう。

迷ったときは、医師や管理栄養士に相談するのがいちばん確実です。チームにトレーナーや指導者がいれば、まずは話してみてください。

タンパク質の量についてよくある質問

体重×2gをとらないと、筋肉はつかないのですか?

そんなことはありません。研究の目安は体重1kgあたり1.2〜2.0gで、2gはその上の端です。大人の研究では、約1.6gをこえると筋肉が増える効果が頭打ちになったという報告もあります。まずは毎食に主菜をそろえることから始めましょう。

女子選手も同じ計算でいいですか?

学会が出している体重1kgあたりの目安は、男女に共通の数字として示されています。国の推奨量は女子のほうが少し低く、12〜17歳で1日55gです。体調に不安がある場合は、医師や管理栄養士に相談してください。

タンパク質をたくさんとると、身長は伸びますか?

タンパク質を多くとれば身長が伸びる、とはっきり示されてはいません。身長は、遺伝や睡眠、食事全体などいろいろなことが関わります。特定の栄養素だけに頼らず、必要な量の食事をとることが大切です。

練習がない日もタンパク質は同じ量でいいですか?

練習がない日も、体の修復は続いています。国の推奨量は毎日の最低ラインなので、休みの日も3食で主菜をとりましょう。練習が少ない時期は、目安の範囲の下のほうで十分です。

まとめ:体重から量を出して、毎食に分けてとろう

この記事では、タンパク質を1日どれくらいとればいいのかを、国の基準と研究をもとに解説しました。

体重1kgあたり1.2〜2.0gを目安に、国の推奨量を最低ラインとして、朝・昼・夜・補食に分けてとる。

目安量使い方
国の推奨量1日55〜65g最低限こえたいライン
運動する人の目安体重×1.2〜2.0g自分の1日の量を出す
1回の量体重×0.25〜0.3g毎食の主菜の量を決める

「体重×2g」は、目安の上の端でした。

数字に振り回されるより、毎食に主菜があるかを確かめるほうが、ずっと続けやすいはずです。まずは今日の朝ごはんに、卵や納豆、牛乳が入っているか見てみてください。

サルくん

明日の朝ごはんから、主菜が入っているか確かめます!

あげば

その積み重ねが、ケガに強くて跳べる体をつくるんだ。

参考にした資料

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

食事・栄養については他にも記事を書いています。
気になるテーマがあればぜひ読んで参考にしてもらえたら嬉しいです♪

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この記事を書いた人

バレーボール・ビーチバレーボール元日本代表。
バレーボールスクールを10年間運営。

【保有資格】
日本スポーツ協会公認バレーボールコーチ4

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