- 筋トレをすると身長が止まると聞いて、ジャンプ力のトレーニングを始めるのが不安
- まわりの人によって言うことがちがい、何を信じればいいのか分からない
- 身長を気にせずに筋トレを続けるには、何に気をつければいいのか知りたい
こんな悩みを解決します。
正しいやり方で行う筋トレで身長が止まる、という科学的な根拠は見つかっていません。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
スクールの選手たちには、身長を心配して筋トレを避けるより、自分に合った重さと正しいフォームを守ることのほうが大切だと伝えています。
この記事では、海外の研究や専門家の声明をもとに、うわさの本当のところと、安全に続けるためのルールを紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
- 「筋トレで身長が止まる」と言われる理由が分かる
- 研究や専門家の見解で、実際に何が分かっているかを知れる
- 身長を気にせず筋トレを続けるための4つのルールが分かる
結論:正しいやり方なら身長が止まる根拠はない
結論からお伝えします。年齢に合った重さと正しいフォームで、見守られながら行う筋トレが、身長の伸びを止めるという証拠はありません。
子どもや中高生の筋トレについては、海外の研究者や専門家の団体がくり返し調べてきました。そのどれもが、適切に組み立てた筋トレなら身長の伸びに悪い影響は見られない、という立場です。
サルくんでも、先輩には「まだ早い」って言われました…。
一方で、どんなやり方でも安全というわけではありません。重すぎる重さ、くずれたフォーム、だれも見ていない環境でのトレーニングは、けがにつながりやすいことが分かっています。
- 正しいやり方の筋トレで、身長が止まるという根拠はない
- 気をつけたいのは身長より、事故や無理な重さによるけが
- 中学年代は自分の体重で行う種目から始めれば十分



筋トレで背が伸びなくなるわけじゃないんですね!



大事なのは、やるかどうかより「どうやるか」だよ。
ここからは、うわさが生まれた理由、研究でわかっていること、本当に気をつけたいこと、安全に続けるルールの順に見ていきます。
「筋トレで身長が止まる」と言われる理由
まずは、なぜこのうわさが広まったのかを整理しておきます。理由が分かると、何に気をつければいいのかも見えてきます。
骨の端に「伸びる場所」があるから
成長期の骨の両端近くには、骨が長く伸びていくための軟らかい部分があります。レントゲンでは線のように見えるため、「骨端線(こったんせん)」とも呼ばれます。
この部分は、大人の骨とくらべてやわらかく、強い力を受けるとけがをしやすいところです。



そこを痛めたら、背が伸びなくなりそうで怖いです…。
「重いものを持つと、この伸びる場所がつぶれてしまうのでは」という心配が、うわさの大もとになっていると考えられます。
重いものを持つと縮みそうなイメージがあるから
重いバーベルを肩にかついで、ぐっとしゃがむ。そんな場面を見ると、体が上から押されて縮んでしまいそうに感じますよね。
また、筋肉がついてがっしりした体型になると、見た目の印象から「背が伸びなくなった」と結びつけて考える人もいます。
ただ、これはあくまでイメージの話です。体がどう感じるかと、実際に身長がどうなるかは、分けて考える必要があります。
一部のけがの話が広まったから
筋トレ中のけがの報告が、過去にまったくなかったわけではありません。
ただ、後で紹介する専門家の声明では、そうしたけがの多くは、だれも見ていない環境や、正しく教えられない人の指導、体に合わない重さで起きていたとまとめられています。



ゲンインハ キントレ ソノモノデハナイ
つまり、問題は筋トレそのものではなく「やり方」にあった、ということ。この点が、うわさでは抜け落ちてしまいがちです。
研究でわかっていること
次に、筋トレと身長について、研究や専門家の団体がどう考えているかを紹介します。
22の研究をまとめた報告:身長の伸びに影響なし
Malina の報告(2006年・スポーツ医学の専門誌)は、思春期の前から始まったばかりの子どもを対象にした、22の筋トレの研究をまとめて調べました。
これらの研究では、多くが器具やダンベルを使い、週2〜3日、8〜12週間ほどのトレーニングを行っていました。
その結果、筋トレをしたグループでも、身長と体重の伸びに影響は見られませんでした。一方で、筋力はしっかり伸びています。
けがを記録していた10の研究では、報告されたけがは3件だけでした。報告は、器具を使う場合でも、指導者が見守り、1人の指導者が見る人数を少なくすれば、比較的安全だとまとめています。



22ノ ケンキュウデ シンチョウニ エイキョウナシ



器具を使っても、身長には影響がなかったんですね。
ただし、この報告で調べた研究の多くは8〜12週間という限られた期間のもので、対象も思春期の前から始まったばかりの子どもでした。
だからこそ、「どんなやり方でも大丈夫」とは考えず、このあと紹介するルールを守ることが大切です。
世界の専門家の共同声明:身長への悪影響の証拠はない
Lloyd らによる声明(2014年・イギリスのスポーツ医学誌)は、子どもや中高生の医学、運動の科学、体育の専門家たちがまとめた国際的な共同声明です。
この声明では、筋トレで骨の伸びる場所が傷つくという心配は、研究や医療の現場の報告では支持されていないと書かれています。
さらに、成長期の身長の伸びに悪い影響があることや、大人になったときの身長が低くなることを示す科学的な証拠はない、とも述べています。
むしろ、子どもから中高生の時期は骨を強くするのに大切な時期で、体重がかかる運動が骨づくりに役立つ可能性がある、という見方も示されています。



心配されていたことと、逆の話も出てきているんだ。
アメリカの学会や小児科の団体も同じ立場
アメリカの筋力トレーニングの専門団体(NSCA)は、2009年の声明で、年齢に合った方法で行えば、子どもや中高生も筋トレの効果を得られるという立場を示しています。
また、アメリカ小児科学会は2020年の報告で、正しいフォームと指導者の見守りのもとなら、子どもや中高生も筋トレの効果を得られるとし、技術と見守りの大切さを強調しました。
どの団体も共通しているのは、「やってはいけない」ではなく「正しくやろう」というメッセージです。



「やらない」より「正しくやる」が、世界の考え方なんだ。
心配すべきは身長より「けが」
ここまでの研究から分かるのは、気をつけるべきなのは身長ではなく、けがだということです。どんなけがが多いのかを見ておきましょう。
中高生のけがは「落とす・はさむ」が多い
Myer らの研究(2009年・アメリカの筋力トレーニング専門誌)では、アメリカの救急外来に、筋トレのけがで来た8〜30歳の4,111人のデータを調べました。
その結果、年齢が低いほど、重りを落とす・器具の使い方をまちがえるといった「事故」によるけがの割合が高くなっていました。
8〜13歳のけがの3分の2は手と足で、多くが「落とした」「はさんだ」という内容です。
研究チームは、若い選手のけがの多くは、見守りと安全のルールを強めれば防げる可能性があるとまとめています。



筋トレそのものより、事故が多いんですね!
重すぎる重さとくずれたフォームが危ない
先ほどの Lloyd らの声明でも、フォームを無視して重すぎる重さを扱うと、急なけがにつながるおそれがあると注意しています。
疲れてフォームがくずれてきたときも同じです。回数をこなすことにこだわると、最後の数回で腰やひざに無理な力がかかりやすくなります。



オモサヨリ フォーム ガ サキ
身長を心配して筋トレを避けるより、重さとフォームを正しく管理するほうが、ずっと大切なんです。
身長を気にせず筋トレを続けるための4つのルール
ここからは、研究とこのサイトの考え方をふまえて、安全に続けるためのルールを4つ紹介します。
ルール1:中学年代は自分の体重の種目から始める
研究では、指導者がついた環境なら器具を使っても身長に影響はなかった、と報告されています。
それでもこのサイトでは、中学年代は自分の体重で行う種目と走るトレーニングで十分、重いバーベルやダンベルは高校年代からをすすめています。
理由は、フォームが固まる前に重さを足すと、けがのリスクが上がるからです。まずは自分の体を思いどおりに動かせるようになることを優先しましょう。



早く重いのを持ちたい気持ちもあります…。



自分の体重を使いこなせたら、それが次への合図だよ。
ルール2:回数と頻度の目安を守る
ジャンプ力のための筋トレは、量を増やせば増やすほどいい、というものではありません。
- スクワット:10回前後を2〜3セット・週2〜3回・間に1日休む
- 跳ぶトレーニング:週1〜2回・1回ごとに全力で少ない回数
部活の練習でもたくさん跳んでいるので、練習が多い週はトレーニングのほうを減らしましょう。
ルール3:フォームを見てもらえる場でやる
研究でけがが少なかったのは、指導者が見守っている環境でした。
自主練習でも、はじめのうちは顧問の先生やトレーナー、チームメイトにフォームを見てもらいましょう。スマホで横から撮影して、自分の動きをチェックするのも効果的です。
- ひざとつま先が同じ方向を向いている
- 背中が丸まらず、胸を張れている
- しゃがんだときに、かかとが浮いていない
この3つがくずれてきたら、その日はそこで終わりにするのがおすすめ。疲れた状態で回数を重ねるより、正しい形で終えるほうが次につながります。



見てもらえる場所でやるのが、いちばんの安全策だよ。
ルール4:痛みが出たら休んで医師に相談する
ひざの下やかかとなど、成長期の選手に出やすい痛みがあります。痛みがあるのにがまんして続けると、休む期間がかえって長くなりかねません。
- トレーニング中や後に、関節や骨の近くが痛む
- 次の日の朝まで痛みが残っている
- 腫れている、押すと痛い場所がある
痛みが続くときや腫れがあるときは、自分で判断せずに整形外科を受診してください。身長が急に伸びている時期のトレーニングの量については、こちらの記事でくわしく解説しています。
よくある質問
まとめ:身長より重さとフォームに気をつけよう
この記事では、「筋トレで身長が止まる」といううわさについて、研究でわかっていることを解説しました。
正しいやり方の筋トレで身長が止まる根拠はない。気をつけたいのは、重すぎる重さ・くずれたフォーム・事故によるけが。
| 項目 | おすすめ | 避けたいこと |
|---|---|---|
| 重さ | 中学は自分の体重から | いきなり重い器具 |
| フォーム | 見てもらえる場でやる | 1人で重さを追う |
| 量 | 回数と頻度の目安を守る | 疲れても回数をこなす |
| 痛み | 休んで整形外科へ | がまんして続ける |
私は元日本代表として、身長を心配して何もしないより、正しいやり方で体の土台を作っておくことが、ジャンプ力を伸ばす近道だと考えています。
まずは今日、自分の体重で行うスクワットのフォームを、スマホで撮ってチェックしてみてください。



安心してジャンプ力のトレーニングを続けます!



フォームを大切に、一歩ずつ積み上げていこう。
参考にした研究・資料
- Malina RM. Weight training in youth-growth, maturation, and safety: an evidence-based review. Clinical Journal of Sport Medicine, 2006
- Lloyd RS, Faigenbaum AD, Stone MH, et al. Position statement on youth resistance training: the 2014 International Consensus. British Journal of Sports Medicine, 2014
- Faigenbaum AD, Kraemer WJ, Blimkie CJ, et al. Youth resistance training: updated position statement paper from the National Strength and Conditioning Association. Journal of Strength and Conditioning Research, 2009
- Myer GD, Quatman CE, Khoury J, Wall EJ, Hewett TE. Youth versus adult “weightlifting” injuries presenting to United States emergency rooms: accidental versus nonaccidental injury mechanisms. Journal of Strength and Conditioning Research, 2009
- HealthyChildren.org(アメリカ小児科学会)「Guidance on Resistance Training for Children」2020
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
パフォーマンスアップについては他にも記事を書いています。
気になるテーマがあればぜひ読んで参考にしてもらえたら嬉しいです♪










