- 練習から帰ってくると、毎回声がかすれている
- 試合の日の夕方には、声がほとんど出なくなっている
- のどが痛いのに、声を出さないと怒られると本人が言う
こんな悩みを解決します。
バレー部で声がかれるのは、のどを絞って長い言葉を張り上げていることがいちばんの原因です。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
10年以上スクールで指導してきましたが、声がよく通る選手ほど、実は大きな声を出していません。
短い言葉を早く出しているだけで、のどにかかる負担はまったく違っていました。
ぜひこの記事を参考にしてみてください。
- バレー部で声がかれる理由がわかる
- のどを痛めずに、届く声を出す方法がわかる
- 耳鼻咽喉科に相談したほうがいい目安がわかる
それでは、くわしく見ていきましょう。
結論:大きくするより、短くして早く出す
先に結論をお伝えします。のどを守りながら声を届けるには、次の3つです。
- 言葉を短く切る(1回2音から4音まで)
- 息を吐きながら、お腹から押し出す
- のどを乾かさない
いちばん大事なのが1つ目です。声がかれる選手のほとんどは、声が大きいのではなく、言葉が長いのです。
たとえば「そっちのボール、任せた!」を叫べば、1回で息を使い切ります。息が足りなくなると、人はのどを締めて音を絞り出そうとします。
これが、のどを痛める正体です。
サルくん声を出せって言われるから、がんばって叫んでるんだけど…。



がんばる方向が少しずれているかもしれないね。
そもそもバレーの声かけは、気合いを見せるためのものではありません。声かけは、短い言葉で相手に動いてもらうための情報共有の技術です。
「ワンチ」「任せた」「抜けた」。これだけで味方は動けます。
短い言葉が届きやすいのには理由があります。人は最初の1音をいちばんはっきり聞き取るので、言葉が短いほど、その1音の割合が大きくなるからです。
逆に「そっちのボール、任せた」のように前置きが長いと、いちばん伝えたい言葉が後ろに回ります。味方が動き出す前に、ボールは落ちてしまいます。
声かけの具体例は、こちらの記事にまとめています。
この記事では、かれる理由・出し方・ケアの5手順・失敗例・相談の目安の順に見ていきます。
バレー部で声がかれる3つの理由
同じ中学生でも、バレー部の子は声がかれやすい傾向があります。理由は3つあります。
体育館が広くて、声が届いた実感がないから
1つ目は、練習する場所の広さです。
体育館では、音が天井と壁に散ってしまいます。教室と同じ音量で話しても、相手にはほとんど届きません。
すると選手は「聞こえていないのかもしれない」と感じ、もっと大きくしようとします。この積み重ねで、1回の練習の後半には声が変わってくるんです。



トドイテナイトカンジルトオオキクスル



届かない原因は音量ではなく、言葉の長さとタイミングのことが多いです。
届かせたいなら、大きくするより早く出すほうが効きます。ボールが上がりきる前に言えば、小さな声でも味方は反応できます。
目安は、ボールが相手コートを離れた瞬間です。ここで「任せた」が出れば、味方は落下点に入りながら聞けます。
反対に、ボールが自分の頭上に来てから叫んでも、判断の時間はもう残っていません。だから大声になり、のどだけが削れていくんです。
空気が乾いていて、口で呼吸しているから
2つ目は、のどそのものの状態です。
練習中は激しく動くので、ほとんどの選手が口で呼吸します。鼻を通らない空気は、加湿も温めもされないまま、のどに直接あたります。
さらに体育館は空気が乾きやすい場所です。乾いたのどは、声を出したときの摩擦を受けやすくなります。



練習中、ずっと口が開いてる気がする。



だから給水は、水分をとるだけでなく、のどを湿らせる時間でもあるんです。
長い言葉を、最後まで叫びきってしまうから
3つ目は、言葉の長さです。
息は、吐き終わりに近づくほど残りが少なくなります。それでも声を出し続けようとすると、のどを締めて音を作るしかありません。
締めた状態で出す声は、のどの粘膜に強くあたります。この出し方をくり返すと、声はかすれ、痛みが出てきます。
長い言葉を叫びきるより、短い言葉を2回に分けるほうが、のどへの負担は小さくなります。



「そっちの、任せた!」じゃなくて「任せた!」だけでいいんだ。



そう、短いほうが味方も早く動けるよ。
そして、声がかれたまま練習を続けると、声の問題では終わらなくなります。指導の現場で先に気づくのは、のどではなくプレーのほうです。
声が出せない選手は、だんだん譲る側に回ります。どちらも取れるボールで黙っていると、相手も遠慮してお見合いが起きます。
私の指導現場でも、声が出なくなった時期に急にミスが増える選手がいました。



お見合いは、どちらも取れるボールで声が消えたときに起きるんです。
声は気合いではなく、チームを動かす情報。だからこそ、出し続けられる出し方に変える必要があります。
のどを守る5つのケア手順
ここからは、練習の前後でやることを順番に紹介します。特別な道具はいりません。
この5つをくり返すだけです。なかでも効き目が変わるポイントが2つあります。
練習前に、声を慣らしてから使う
1つ目のポイントは、練習が始まる前の30秒です。
体と同じで、のども急に全力で使うと傷みます。着替えのあとに、隣の人と普通の会話をするだけで十分です。
いきなりアップの号令で大声を出す選手ほど、後半にかすれが出やすくなります。
私はスクールの選手たちにも、コートに入る前にひと言かわしておくよう伝えています。特別なことをしなくても、普通に話していれば十分です。



ノドモアップガイル
ウォーミングアップに「声のアップ」を30秒足す。これだけで練習後半の残り方が変わります。
円陣で声をそろえる場面があるチームなら、その前に軽く話しておくと安心です。
練習後は、話す量そのものを減らす
2つ目のポイントは、練習が終わってからの過ごし方です。
使い切ったのどは、練習直後がいちばん敏感な状態です。ここで帰り道に大声で盛り上がると、せっかく休ませる時間を失います。
とくに、ささやき声で無理に話すのは避けてください。小さく聞こえても、のどは強く締まっています。



小さい声なら大丈夫だと思ってた!?



ささやき声は、じつはのどを使う出し方なんだよ。
話すなら、普通の高さでゆっくり。これが休ませる話し方になります。
帰りの電車やバスの中も同じです。周りがうるさい場所では、本人が気づかないうちに声を張っています。
痛む日は、その場で話すのをやめて、家に着いてから話すと決めておくと守りやすくなります。
やりがちな3つの失敗
ここでは、かえって長引かせてしまう行動を3つ挙げます。心当たりがあれば、今日から変えてみてください。
失敗1:かれた日に、いつも以上に声を出す
声が出ないと、本人は焦ります。出ないぶんを力で補おうとして、さらにのどを締めてしまうんです。
かれている日は、声の量を増やすのではなく、出すタイミングを早めると決めてください。早ければ小さくても伝わります。
あわせて、味方に「今日は声が小さいから、早めに言う」と先に伝えておくと安心です。事情がわかっていれば、まわりも耳を傾けてくれます。
失敗2:冷たい飲み物で一気に流し込む
汗をかいたあとは、つい冷たい飲み物を勢いよく飲みたくなります。
ただ、のどが痛むときは、常温に近い温度でゆっくり飲むほうが刺激になりません。飲む量を減らす必要はなく、温度と速さだけを変えます。



水筒の中身を全部ぬるくしなくてもいいんですね。



痛む日だけ、別に1本もたせるので十分ですよ。
失敗3:声が出ないのを気持ちの問題にする
3つ目がいちばん残念な失敗です。
声が出ない選手に「やる気がない」と言ってしまうと、本人はのどの痛みを隠すようになります。隠れた痛みは、たいてい長引きます。
恥ずかしさで声が出せない場合は、原因も対処も別になります。こちらの記事を参考にしてください。
のどをうるおす飲み物やタオルは、部活用品と一緒にそろえておくと切らさずにすみます。
🔎 パフォーマンスアップや日頃のケアに役立つ用品は、Amazonでバレーボール用品を探すと見つけやすいです。
耳鼻咽喉科に相談する目安と、そろえておくもの
ここまでは家と部活でできることを紹介しました。ただし、家庭で抱えこまないほうがいい場合もあります。
相談したほうがいい3つのサイン
次のようなときは、早めに耳鼻咽喉科で相談してください。
- 声のかすれが2週間ほど続き、休ませても戻らない
- 声がまったく出ない日がある、または息苦しさがある
- 飲みこむときに強い痛みがある、または熱が続いている
声がかれる理由は、使いすぎだけとはかぎりません。のどの中で起きていることは外から見えないので、自己判断で市販薬を続けず、専門家に見てもらうのがいちばん早いです。



部活を休ませるほどかどうか、いつも迷ってしまって…。



声が戻らない日が続いているなら、それだけで十分な理由になりますよ。
家でそろえておくもの
必要なものは多くありません。次の3つがあれば、ひととおり対応できます。
| もの | 使う場面 |
|---|---|
| 常温の飲み物をもう1本 | のどが痛む日に、冷たい水と使い分ける |
| マスク | 乾いた日の登下校でのどを乾かさない |
| ぬれたタオルか加湿器 | 寝ている間の乾燥を防ぐ |
全部そろえる必要はなく、かれやすい時期だけ足すという考え方で十分です。



カワカサナイコトガサイユウセン
なお、のどの状態は睡眠や体調にも左右されます。声だけを見て考えこまず、生活のリズムもあわせて確認してみてください。
よくある質問
まとめ
声がかれるのは、がんばっている証ではありません。のどが痛いと、声かけが減り、お見合いやミスにつながります。
言葉を2音から4音に切って、ボールが上がりきる前に出す。これだけでのどの負担はかなり変わります。
| 場面 | やること |
|---|---|
| 練習前 | 小さな声で30秒ほど話して慣らす |
| 給水のたび | ひと口ふくんでのどを湿らせる |
| プレー中 | 2音から4音で、早いタイミングで出す |
| 練習後 | 大声を出さない・ささやき声も使わない |
| かれた日 | 常温の飲み物にする・戻らなければ耳鼻咽喉科へ |
私は元日本代表として、また指導者として多くの選手を見てきましたが、声が最後まで残る選手ほど、コート全体を動かせていました。



今日から短く、早く出してみる!



出し方を変えるだけなら、すぐできますね。



いいですね。声は量より速さ、を覚えておいてください。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
コンディショニングについては他にも記事を書いています。
気になるテーマがあればぜひ読んで参考にしてもらえたら嬉しいです♪
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