- タイムアウトを頼んだのに、審判に断られた理由がわからない
- 「不当な要求」と言われたけれど、罰則なのかどうか知りたい
- 遅延の反則と、何が違うのかを整理しておきたい
こんな疑問を解決します。
不当な要求は、頼んではいけないタイミング・人・回数で、タイムアウトや選手交代を求めることです。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
10年以上スクールで指導してきましたが、練習試合でタイムアウトを断られて、ベンチが固まってしまう場面は毎年のように見かけます。
断られる場面は3つに分けられます。そこさえ押さえておけば、試合中に慌てることはなくなります。
ぜひこの記事を参考にしてみてください。
- どんな場面で不当な要求になるのかがわかる
- 1回目と2回目以降で、扱いがどう変わるのかがわかる
- 断られないために、ベンチとコートで準備することがわかる
それでは、くわしく見ていきましょう。
結論:不当な要求は「時・人・回数」を外した要求

先に結論をお伝えします。
不当な要求になるのは、① ラリー中やサーブの笛のあとに頼んだ。
② 頼む権利のない人が頼んだ。
③ 回数を使い切ったあとに頼んだ。この3つです。
タイムアウトや選手交代は、試合を正式に止める「中断の要求」です。決められた時・人・回数のどれかを外すと、審判はその要求を受け付けません。
サルくん頼んだのに断られて、何が悪かったのかわかりませんでした…。



時・人・回数のどれかを外していたんだよ。
もう1つ知っておきたいのが、1回目の不当な要求では、点は動かないということです。試合を遅らせていなければ、断られて記録に残るだけで終わります。
ただし、同じ試合で2回目をくり返すと扱いが変わります。ここは後の章でくわしく見ていきます。



トキ ヒト カイスウ ノ 3ツヲ ミル
不当な要求になる3つの場面
ここからは、3つの場面を1つずつ見ていきます。どれも、ルールを知っていれば防げるものばかりです。
場面1:ラリー中やサーブの笛のあとに頼んだ
中断の要求ができるのは、ラリーが終わってから、主審が次のサーブを許可する笛を吹くまでの間です。
ボールが動いている最中に頼んでも、試合は止まりません。主審がサーブの笛を吹いたのと同時、またはそのあとに頼んだ場合も同じで、サーブが優先されます。
とくに多いのが、点を取られた直後に少し迷ってから合図を出すパターンです。迷っているうちに、サーブの笛が鳴ってしまいます。



笛と同時でも、もう間に合わないんですね!



そう。頼むなら、ラリーが終わった直後が合図のタイミングだよ。
場面2:頼む権利のない人が頼んだ
タイムアウトや選手交代を頼めるのは、原則として監督です。監督がいないときは、コーチかコート上のゲームキャプテンが頼みます。
コートの選手が自分の判断で手を挙げても、正式な要求にはなりません。応援席や控えの選手が声をかけた場合も同じです。
頼み方も決まっています。公式戦では、監督がブザーを押し、タイムアウトなら両手でTの字を作るハンドシグナルを審判に見せます。ブザーのない練習試合では、声とハンドシグナルで副審に伝える形が多いです。
合図がはっきりしないと、審判は要求があったと受け取れません。遠慮して小さく手を挙げるより、副審の目に入る位置で大きく示すほうが確実です。
チームによっては、誰が頼むかを決めていないことがあります。試合の前に、監督がいないときは誰が合図を出すのかまで決めておくと安心です。
タイムアウトを誰がどう頼むのかは、別の記事でもくわしくまとめています。
場面3:回数を使い切ったあとに頼んだ
タイムアウトは1セット2回、選手交代は1セット6回までが一般的な決まりです。使い切ったあとに頼むと、不当な要求になります。
試合が競ってくると、何回使ったかを忘れがちです。ベンチの誰かが数えていないと、3回目のタイムアウトを頼んでしまうことがあります。
回数はセットごとに0に戻ります。前のセットで何回使ったかは関係ありません。
交代の回数の数え方は、交代のルールの記事で確かめておいてください。
不当な要求をしたあとの扱い


不当な要求をしたからといって、すぐに失点するわけではありません。何回目か、試合を遅らせたかどうかで扱いが変わります。
1回目は断られて記録に残る
同じ試合で初めての不当な要求で、試合を遅らせていなければ、要求は断られるだけです。点は動かず、試合はそのまま続きます。
ただし、断られたことはスコアシートに記録されます。日本バレーボール協会の6人制審判実技マニュアルでも、断ったあとにラリーが終わってから記録員に伝えて書かせる流れになっています。



1回目は、点を取られないんですね。



うん。でも記録には残るから、2回目は気をつけよう。
2回目からは遅延行為の罰則になる
同じチームが、同じ試合でもう一度不当な要求をすると、今度は遅延行為として罰則の対象になります。
遅延行為の罰則は、その試合で初めてならディレイウォーニング(警告)です。すでに警告を受けていれば、ディレイペナルティとなり、相手チームに1点とサーブ権が入ります。
1回目は記録だけ、2回目からは遅延の罰則。この段階の違いを覚えておきます。
試合を遅らせたら1回目でも罰則になる
1回目でも、断られたあとに選手がベンチに戻ってしまうなど、試合を遅らせたと主審が判断すれば、遅延行為の罰則になります。
たとえば、副審が要求に反応して笛を吹き、選手が交代の準備で動いてしまった場合です。すぐに再開できるなら、主審はサーブの笛を吹き直して、ラリーのあとで不当な要求として扱います。
試合の遅れにつながる行動は、カードの記事の遅延の章でも解説しています。
不当な要求と遅延行為の違い
名前が似ているので混ざりやすいのが、不当な要求と遅延行為です。どちらも試合の進み方に関わる決まりですが、見ているところが違います。
不当な要求は「頼み方」の誤り
不当な要求は、頼むタイミング・人・回数が決まりから外れていることを指します。見ているのは、要求の出し方そのものです。
たとえば、タイムアウトを2回使ったのに、3回目を頼んだ。サーブの笛が鳴ったあとに、交代の合図を出した。こうした場面が当てはまります。
1回目で試合が止まっていなければ、断るだけで試合は進みます。まずは「頼み方がまちがっていた」と知らせる扱いです。



頼み方の間違いなら、1回目は記録だけですむんですね。



うん。ただ、くり返すと扱いが重くなるよ。
遅延行為は「試合を遅らせる」行為
遅延行為は、試合の再開を遅らせる行いを指します。見ているのは、試合がきちんと進んでいるかどうかです。
タイムアウトが終わる合図があったのにコートに戻らない。交代の選手の準備ができていなくて、入るのに時間がかかる。こうした場面が当てはまります。
遅延行為は、1回目から警告の対象です。同じ試合で2回目になると、相手に1点が入ります。
不当な要求は頼み方の誤り、遅延行為は試合を遅らせる行い。見ているところが違います。
不当な要求も、くり返したり試合を遅らせたりすると、遅延行為として扱われます。軽いほうから重いほうへつながっている、と考えると整理しやすくなります。



タノミカタノ ミス ト オクラセル コウイ ハ ベツ
断られたあとに頼めること・頼めないこと
要求を断られたあと、次に何なら頼めるのかも知っておくと、ベンチが落ち着いて動けます。
| 状況 | 次のラリーまでの扱い |
|---|---|
| 不当な要求を断られた | 同じ種類はだめ・別の種類は頼める |
| ディレイウォーニングを受けた | 中断の要求はすべてだめ(けが・病気の交代は別) |
| ノーカウントでやり直しになった | 中断の要求はすべて認められない |
たとえば、タイムアウトを断られたあとでも、選手交代なら頼めます。頼む種類を切りかえれば、作戦を立て直す手はまだ残っています。
一方で、遅延の警告を受けたあとは、次のラリーが終わるまで待つ必要があります。ここを混同すると、また要求を出して流れを悪くしてしまいます。



タイムアウトがだめでも、交代なら出せるんですね!



そういうこと。種類を変えるのが立て直しの近道だよ。
不当な要求を出さないための準備
ここまでの内容をふまえて、試合の前にやっておく準備をまとめます。ベンチとコートで分けて考えると、抜けがなくなります。
ベンチでやっておく準備
ベンチの準備は、要求する人と回数の管理を決めることが中心です。
回数を数える係は、控えの選手に任せても大丈夫です。ボードに線を引くだけでも、3回目を頼んでしまう失敗はほぼ防げます。
私がベンチに入るときも、タイムアウトを取るかどうかは、ラリーが終わる前に決めておくようにしています。
コートの選手がやっておく準備
コートの選手は、自分で要求を出さないことがいちばんの準備です。止めてほしいときは、ベンチの監督に目で合図を送ります。
監督がいない試合でゲームキャプテンを任されたら、合図の出し方を試合前に確かめておきます。副審に向かって、はっきり見える形で出すのが基本です。
もう1つは、タイムアウトが終わる合図が出たら、すぐにコートへ戻ることです。話の途中でも、続きは次のタイムアウトやセット間に回します。再開を促されても戻らないと、遅延行為の対象になります。



止めてほしいときは、ベンチを見ることにします!



それがいちばん確実だよ。頼むのはベンチに任せよう。
よくある質問
まとめ:時・人・回数を守れば要求は通る
不当な要求は、時・人・回数のどれかを外したタイムアウトや交代の要求です。1回目は断られるだけでも、くり返すと遅延の罰則につながります。
① ラリーが終わった直後に頼む。
② 頼むのは監督か、決めておいた人だけ。
③ 回数はベンチで数えておく。
| 場面 | 何が起きるか | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| サーブの笛のあとに頼んだ | 要求は断られ、サーブが優先 | ラリー直後に合図を出す |
| 権利のない人が頼んだ | 正式な要求にならない | 頼む人を試合前に決める |
| 回数を使い切っていた | 不当な要求として記録 | ボードで回数を数える |
| 同じ試合で2回目 | 遅延行為の罰則 | 1回目のあとに原因をそろえる |
私は元日本代表として多くの試合を戦ってきましたが、ベンチの段取りがそろっているチームほど、苦しい場面で落ち着いて手を打てていました。ルールを知ることは、流れを取り戻すための準備でもあります。



次の試合では、回数を数える係をやってみます!



いい役目だね。ベンチの落ち着きは、数える人から生まれるよ。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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