- 練習中に怒られてばかりで、体育館に行くのが重く感じる
- なぜ怒られたのか分からないまま、次のプレーで頭が真っ白になる
- 自分だけ強く言われている気がして、バレーが嫌いになりそう
こんな悩みを解決します。
怒られてつらいときにやることは、言われた中身と、言われ方を分けて受け取ることです。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
10年以上スクールで中学生や高校生を指導していますが、怒られたことをきっかけに相談に来る選手は毎年います。
話を聞いていくと、苦しくなっているのは怒られた中身そのものではなく、中身と言い方がひとかたまりになっている状態でした。ぜひこの記事を参考にしてみてください。
- 怒られた言葉の受け取り方が整理できる
- 怒られた直後と家に帰ってからの立て直し方がわかる
- 我慢しなくていい指導との線引きがわかる
それでは、くわしく見ていきましょう。
結論:中身と言い方を切り分けて受け取る
先に結論をお伝えします。怒られてつらいときにやることは、言われた中身だけを取り出して、言い方は横に置くこと、これに尽きます。
指導者から強い言い方をされたとき、頭の中には2つのものが同時に入ってきます。1つは「どこを直してほしいか」という中身で、もう1つは大きな声や表情といった言い方です。
つらくなっている選手は、この2つがくっついたまま持ち帰っています。
だから家に帰ってからも大きな声だけが再生され、肝心の直す場所が残りません。
逆に、伸びる選手は言われた直後にこの2つを分けています。「今のは足が止まっていたことを言われたな」と中身だけを抜き出し、言い方については、そういう伝え方をする人なんだと処理しています。
サルくん声が大きいと、それだけで頭が真っ白になります…。



最初はみんなそうですよ。中身だけ拾う練習をしていきましょう。
切り分けができるようになると、同じ言葉を受けても残る時間が短くなります。中身は次の1本で試せますが、言い方は試しようがないからです。
もう1つ知っておいてほしいことがあります。指導する側に立つと分かるのですが、強い言い方になっているときほど、伝えたい中身はごく短いものです。
「足を動かせ」「声を出せ」「もう一度」といった、ひと言で終わる内容がほとんどです。長い説教に聞こえても、行動として直せる部分はそのうちの1行しかありません。
その1行を見つけて持ち帰れば、その日の目的は果たせています。
怒られた回数ではなく、持ち帰った1行の数で自分を評価する。この基準に変えるだけで、体育館に向かう足取りは軽くなります。



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怒られるとつらくなる3つの理由
同じように怒られても、平気な選手とひどく落ち込む選手がいます。この差は性格の強さではなく、受け取り方の癖から生まれています。
つらくなりやすいときの理由は、大きく3つに分かれます。
- 人格を否定されたと受け取ってしまう
- 直す場所が分からないまま次のプレーに入る
- 自分だけが言われていると感じている
1つ目は、プレーへの指摘を自分そのものへの評価として受け取ってしまう状態です。
「今のレシーブは腰が高い」という指摘は、そのプレーだけを見た言葉です。ところが落ち込みやすいときは、これを「自分はバレーに向いていない」という意味に読み替えてしまいます。
指摘は1本のプレーに向けられているだけで、その選手の全部を評価したものではありません。ここを分けられるかどうかで、次の1本の入り方が変わります。



プレーヘノ指摘 人格デハナイ
2つ目は、直す場所が分からないまま次のプレーに入ってしまう状態です。
何を直せばいいのか分からないまま動くと、また同じミスが出ます。すると再び同じ言葉が飛んできて、怒られている回数だけが増えていきます。
これは選手の努力不足ではなく、情報が足りていないだけです。あとで説明しますが、その場で聞き返すのがいちばん早い解決になります。



分からないままにするのが、いちばんもったいないですよ。
3つ目は、自分だけが言われていると感じている状態です。
実際には他の選手も言われているのですが、自分に向けられた言葉は記憶に残り、他人に向けられた言葉は流れていきます。だから体感としては、いつも自分だけということになります。



自分にばかり言ってくる気がするんです。



その感じ方は自然なことですよ。記憶の残り方が違うだけです。
3つのうち、自分がどれに当てはまるかを知っておくと、対処の順番が決まります。人格の話として受け取っているなら切り分けが先で、直す場所が分からないなら聞き返すのが先です。
つらさの正体を1つに絞ると、やることが具体的になる。ここまで分かれば、あとは手順どおりに動くだけになります。
怒られた直後にやる3ステップ
いちばん大事なのは、怒られた直後の1分です。ここで動き方が決まっていると、その日の練習が丸ごと崩れることはなくなります。
最初にやるのは、返事をして体を動かすことです。
落ち込んで固まってしまうと、周りからは反省していないように見えてしまいます。すると、さらに強い言葉が飛んでくることがあります。気持ちが追いつかなくても、体だけは先に動かしておきます。
これは気持ちを偽るという意味ではありません。人は動いているときのほうが、止まっているときより落ち込みが長引きにくくなります。走って戻る動作そのものが、切り替えの手助けをしてくれます。



先に走ると、少し楽になる気がします。
次にやるのが、直す場所を1つだけ言葉にすることです。
頭の中で「次は落下点に早く入る」と短く言い直します。長い反省は要りません。次の1本でできることを1つだけ決めます。
このとき大切なのは、直す場所を動作で決めることです。「もっとがんばる」では次のプレーが変わりません。「一歩目を早く出す」なら、次の1本で試せます。



気持チデナク 動作デ決メル
3つ目が、分からなければその場で聞き返すことです。
言われた意味が分からないまま続けるのが、いちばん時間を無駄にします。練習が切れたタイミングで「さっきのは、入る位置のことですか」と確認すれば、それで終わります。



聞き返したら、また怒られませんか!?



直そうとしている選手を、嫌がる指導者はいませんよ。
聞き返し方には少しコツがあります。「どうすればいいですか」と丸ごと預けるのではなく、「一歩目が遅いということですか」と自分の解釈を添えて確認します。
こうすると、合っていればその場で終わり、違っていれば短く訂正が返ってきます。どちらにしても、直す場所が1つ手に入ります。
その場で聞き返すのは、生意気な行動ではなく、いちばん早い解決です。遠慮して持ち帰るほど、同じ指摘を何度も受けることになります。
家に帰ってからの立て直し方
その場でうまく切り替えられなかった日もあります。そういう日は、家に帰ってからやることを決めておくと、翌日に持ち越さずにすみます。
やることは3つあります。書き出す、比べる、寝るの3つです。
まず、言われたことを1行だけ書き出します。
長々と書く必要はありません。「レシーブの一歩目が遅い」と1行だけ書きます。書いてしまえば、頭の中で繰り返す必要がなくなります。
このとき、言われ方については書かないでおきます。大きな声だった、みんなの前だった、といった部分を書くと、読み返すたびにその場面が戻ってきてしまいます。
書くのは直す場所だけ。言われ方は書き残さない。
書き出す道具としては、バレーノートが向いています。ノートは自分のために書くもので、誰かに見せるためのものではありません。だから、うまく書けなくても大丈夫です。
次にやるのが、動画で自分の動きを見ることです。
スマホで撮ってもらった自分のプレーと、理想とする選手の動きを見比べます。すると、言われた内容が目で確認できます。
これは全ての技術に共通しておすすめしている方法です。言葉だけで受け取ると気持ちの問題に感じますが、映像で見ると単なる動作のずれとして扱えます。



映像デ見ルト 感情ガ消エル
そして最後は、早く寝ることです。
落ち込んでいる日ほど、夜に考え込んでしまいます。ところが疲れているときの思考は、悪い方向にしか進みません。翌朝に同じことを考えると、たいてい半分くらいの重さになっています。
夜に出した結論は、翌朝もう一度確かめてから使う。この習慣があるだけで、勢いでやめる判断をしなくてすみます。
書く、見る、寝るの3つは、どれも5分あれば終わります。時間をかけないことが、続けるための条件になります。
やってはいけない受け止め方3つ
反対に、やってしまうと苦しさが長引く受け止め方もあります。よく見かけるものを3つ挙げます。
- 言い方のほうを何度も思い返す
- 怒られないことを目標にする
- 誰にも言わずに抱え込む
1つ目は、言い方のほうを繰り返し思い返すことです。
大きな声や表情は、思い返しても直せません。直せないものを考え続けると、時間だけが減って気持ちが重くなります。中身を取り出したら、そこで手を止めます。



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2つ目は、怒られないことを目標にしてしまうことです。
これがいちばん危ないと感じています。怒られないようにすると、選手はミスの出ない安全なプレーを選ぶようになります。
サーブは強く打たずに入れにいき、スパイクはコースを狙わずに真ん中へ返す。たしかに怒られませんが、それでは上達が止まります。
練習は失敗する場所です。失敗をなくすことを目標にすると、練習に来る意味がなくなってしまいます。



挑戦した失敗は、直す材料になりますよ。



怒られたくないから、無難にやってました…。



気持ちは分かりますが、それは伸びにくい選び方なんです。
3つ目は、誰にも言わずに抱え込むことです。
つらい状態を1人で抱えると、感じ方がどんどん狭くなります。チームメイトに「今のってこういうこと?」と聞くだけでも、見え方が変わることがあります。
同じ言葉を受けた選手が他にもいると分かれば、自分だけという感覚は薄れます。相談は弱さではなく、状況を正しく知るための手段です。
怒られない選手ではなく、直せる選手を目指す。この置き換えができると、練習での挑戦の量が戻ってきます。
やる気そのものが落ちてしまっているときは、先に気持ちを戻す手順から入ったほうが早いこともあります。
自分だけ怒られていると感じたときの考え方
「どうして自分にばかり言うんだろう」という相談は、とても多く受けます。この感覚には、いくつかの背景があります。
まず、期待されている選手ほど言われる回数が増えるという事情があります。指導する側から見ると、直せば変わりそうな選手には言葉が出ます。
反対に、もう何を言っても届かないと感じた相手には、言葉は減っていきます。声がかからなくなったときのほうが、実は難しい状態です。



言われなくなるほうが、こわいんですね!?
とはいえ、これは怒られる側からは分からない話です。だから、そう考えると気が楽になる人だけが使えばよい見方だと思っています。
もう1つは、役割による違いです。
セッターやリベロのように、1本ごとに判断が求められるポジションは、どうしても声をかけられる回数が増えます。同じ本数のミスでも、目に留まりやすい場所があります。



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学年による違いもあります。上級生になるほど、チーム全体に向けた言葉が代表として自分に向けられることが増えます。



回数が多い=下手、ではないんですね。



そうなんです。数え方を変えてみましょう。
私がスクールで選手に伝えているのは、数えるものを変えるという方法です。怒られた回数ではなく、直せた項目の数を数えます。ノートに書いた1行が消せた日を数えていけば、自分の進み具合が見えるようになります。
比べる相手は他の選手ではなく、先週の自分です。ここがぶれると、いくら練習しても気持ちが上向きません。
自信そのものが落ちているときは、小さくできたことを積み上げていく方法が向いています。
我慢しなくていい指導との線引き
ここまでは、受け取り方を変えれば楽になる場面の話でした。ただし、受け取り方の問題ではない場合もあります。
私は、練習がきつくてバレーが嫌いになってしまうことが、いちばん良くないと考えています。だから、我慢する必要のない線もはっきりさせておきます。
- 体をたたく、物を投げるなど、体に危険が及ぶ行為
- 人格や容姿、家族についての言葉
- 水分を取らせない、けがを訴えても続けさせる
- 他の選手の前で長時間さらし続ける
これらは指導ではありません。受け取り方を工夫して乗り越えるものでもありません。
このような場面があったときは、日付とあった出来事だけを短くメモしておきます。そして、保護者や学校の先生、部活動以外の大人に伝えてください。
言いにくいと感じる場合は、話しやすい相手を1人選べば十分です。全員に説明する必要はありません。
身近な大人に伝えにくいときは、外部の相談先もあります。日本スポーツ協会はスポーツにおける暴力行為等相談窓口を設けていて、匿名での事前相談も受け付けています。
私は指導者として選手を預かる立場ですが、こうした窓口を知っていること自体が、選手にとっての安心材料になると考えています。



体と心を守ることが、いちばん先ですよ。
指導者側の立場から言えば、できているところを見つけて伝える指導から入るのがいちばん良いと考えています。最初はできないところばかりなのが当たり前だからです。
強い言い方をされ続けて、バレーそのものが嫌になってしまうくらいなら、環境を変える選択も間違いではありません。
どうしても続けるかどうかで迷っている場合は、決める前に整理する手順を踏んでおくと後悔しにくくなります。
よくある質問
まとめ
怒られてつらいときは、言われた中身と言い方を切り分けるところから始めます。中身は次の1本で試せますが、言い方は試せません。
中身を1行だけ持ち帰り、直せた数を数える。言い方は横に置く。この2つで、練習の意味が変わってきます。
| 場面 | やること |
|---|---|
| 怒られた直後 | 返事をして体を動かす |
| 頭が真っ白なとき | 直す場所を1つだけ言葉にする |
| 意味が分からないとき | 自分の解釈を添えて聞き返す |
| 家に帰ってから | 中身を1行だけ書き出す |
| 動きを確かめたいとき | 動画で自分と理想の選手を見比べる |
| 夜に落ち込んだとき | 結論を出さずに早く寝る |
| 自分だけと感じたとき | 直せた項目の数を数える |
| 体や人格に及ぶとき | 我慢せず大人に伝える |
私は指導する立場として、できているところを先に伝える関わり方がいちばん良いと考えています。
それでも強い言葉を受ける場面はあります。そのときに中身だけを拾える選手は、同じ練習からより多くを持ち帰っていきます。



明日は1行だけ持ち帰ってみます!



それができれば十分ですよ。少しずつでいいんです。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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