- 練習で疲れた子がエナジードリンクを買うようになって、体に悪くないか心配
- まわりの子が飲んでいるので、うちだけ止めるのが正しいのか迷う
- どこまでなら許していいのか、線の引き方がわからない
こんな悩みを解決します。
先に大事なところをお伝えします。エナジードリンクは疲れを取る飲み物ではなく、疲れを感じにくくするだけの飲み物です。
だから、飲んで元気になったように見えても、体が回復したわけではありません。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
10年以上スクールで中高生を指導するなかで、保護者の方から「試合の日に飲みたがるのですが、いいのでしょうか」という相談を何度も受けてきました。
この記事では、体に悪いか悪くないかという話ではなく、家庭で線を引くときの考え方をまとめます。
ぜひ参考にしてみてください。
- エナジードリンクが部活の体に何をしているのかがわかる
- 我が家の線引きを決める3つの基準がわかる
- 飲みたがる日に差し出せる代わりの手が見つかる
それでは、くわしく見ていきましょう。
結論:中学生のうちは避ける、高校生も日常の習慣にはしない
結論からお伝えします。中学生のうちは家に置かない、高校生は場面をしぼって例外的に、という線が現実的です。
理由はシンプルで、エナジードリンクの主役であるカフェインは、体を回復させる成分ではないからです。
眠気やだるさを一時的に感じにくくするはたらきがあるだけで、使ったエネルギーが戻るわけでも、傷んだ筋肉が直るわけでもありません。
体はまだ疲れているのに、本人だけが疲れていないと感じている状態になります。この状態で練習を続けると、ケガの入り口に近づいてしまいます。
うさママ元気になったように見えるので、つい飲ませていました。



見えているだけなんです。回復は別のところでしか進みません。
しかも、部活の子が飲むのは「疲れている日」です。つまり、いちばん体を休ませたい日に、休ませない方向のスイッチを押していることになります。
もうひとつ見落とされやすいのが、夜への影響です。夕方に飲んだ分が夜まで残ると、寝つきが悪くなり、翌朝また疲れが抜けていない状態で家を出ることになります。
疲れているから飲む、飲むから眠れない、眠れないからまた疲れる。この輪が回りはじめると、本人の努力だけでは抜け出せません。
睡眠と回復の関係については、こちらの記事で詳しく説明しています。
部活の子がエナジードリンクに手を伸ばす3つの場面
頭ごなしに止める前に、どんな場面で手が伸びているのかを知っておくと、話し合いがぐっと楽になります。私が体育館や遠征先で見てきた場面は、だいたい次の3つに分かれます。
朝練の前や、授業のあとに眠気と戦っている
朝練がある日は、家を出る時間が6時台になることもあります。前の晩に宿題や動画で夜ふかしをしていれば、当然眠いまま体育館に着きます。
その眠気を消したくて、通学路のコンビニで買う。これがいちばん多いパターンです。
ここで押さえておきたいのは、眠気の正体が睡眠不足だということです。飲み物で消せるのは眠気の感覚だけで、足りていない睡眠そのものは残り続けます。
朝の準備の順番を整えるだけで、眠気が軽くなる子もいます。
試合当日、気合いを入れるために飲む
遠征先の会場に着くと、試合前に缶を空けている選手を見かけることがあります。本人にとっては、スイッチを入れる儀式のようなものです。
気持ちはよくわかります。私も現役のころ、試合前に何かを口に入れて気持ちを整えたい感覚はありました。
ただ、試合当日の体に必要なのは、動くためのエネルギーと水分です。カフェインには、そのどちらの役割もありません。
さらに、利尿作用があるため、飲んだ量ほど体に水分が残らないことがあります。夏の体育館で長時間戦う日には、ここが効いてきます。



先輩が飲んでるのを見ると、飲んだほうが強くなれる気がしちゃって。



気持ちの部分は本物です。だから、代わりの儀式を用意してあげればいいんですよ。
練習後、家に帰るまでの空腹をごまかす
練習が終わって、帰宅まで1時間かかる。お腹は空いているけれど、夕食は家に帰ってから。この空白の時間に、手軽で刺激のあるものを選んでしまう子がいます。
このケースは、実は解決しやすい部類です。空腹に対して用意するものを変えるだけで、手が伸びる先が変わります。
補食として何を持たせるかは、こちらの記事にまとめました。
カフェインの量は体重から考えると見当がつく
「どれくらいなら大丈夫か」は、多くの保護者の方が最初に知りたいところだと思います。ここは感覚ではなく、公的な情報を土台にするのが安全です。
各国が示している子どもの目安
農林水産省のカフェインの過剰摂取についてというページに、海外の機関が示している目安がまとめられています。
たとえば欧州の機関は子どもについて体重1kgあたり1日3mgまで、カナダの機関は18歳未満で体重1kgあたり1日2.5mgまでという考え方を示しています。
日本では国としての明確な上限は示されていませんが、これらの数字が判断の材料になります。
体重40kgの子なら1日100mg前後、体重50kgの子なら1日125mg前後。ざっくりこのくらいが、目安として語られている水準だと考えておくとよいでしょう。
1本でどれくらい入っているのか
市販のエナジードリンクは、商品によってカフェインの量に大きな幅があります。少ないものもあれば、1本で先ほどの目安に届いてしまうものもあります。
ここで大切なのは、平均値を覚えることではありません。商品ごとに違うので、成分表示を見る習慣を親子でつくることのほうが役に立ちます。
パッケージの裏に、100mlあたりの量が書かれていることが多いので、内容量をかけ算すれば1本の量が出ます。



裏を見る、という発想がありませんでした。



そこを一緒に確認するだけで、本人の目が変わりますよ。
お茶やコーヒーとの足し算を忘れない
見落とされやすいのが、1日のなかでほかにも口にしているという点です。
緑茶、紅茶、ウーロン茶、コーヒー、ココア。どれもカフェインを含みますし、チョコレートにも少量入っています。
つまり、エナジードリンクだけを数えていると、実際の合計より少なく見積もることになります。



麦茶ならいいと思ってたけど、お茶も入ってるんだ。



だから合計で見ます。1つだけ我慢しても、意味が薄いんです。
- 緑茶・紅茶・ウーロン茶などのお茶類
- コーヒー、カフェオレ、コーラ類
- チョコレート、ココア
- エナジードリンクや眠気覚まし系の飲料
なお、体調や持病によって影響の出方は変わります。気になる症状があるときは、自己判断で調整せず、医師や薬剤師にご相談ください。
親が決める3つの基準
ここまでを踏まえて、家庭で線を引くときの基準を3つにまとめます。数字を覚えるより、この3つのほうが日々の場面で使えます。
- ①中学生のうちは、家に置かない・買わない
- ②高校生は「夕方以降は飲まない」など時間で決める
- ③飲みたくなった日は、疲れの原因を先に一緒に探す
①中学生のうちは、家に置かない
中学生の時期は、体も睡眠のリズムも大きく変わる途中にあります。ここに刺激の強いものを日常的に入れる必要は、まずありません。
そして、家に置かないという決め方はとても効きます。目の前にないものは、そもそも手が伸びないからです。
禁止の言葉を増やすより、選択肢から外しておくほうが、お互いに消耗しません。



買わないと決めるだけで、そんなに違うものですか。



違います。手が届くところにあるかどうかが、いちばん効きますよ。
②高校生は時間で線を引く
高校生になると、行動範囲も自分で使えるお金も広がります。完全に管理するのは現実的ではなくなります。
そこで、量ではなく時間で決めるのが扱いやすい方法です。たとえば夕方以降は飲まない、と決めておけば、夜の睡眠だけは守れます。
睡眠を削らない線さえ引けていれば、大きくは崩れません。
量で決めようとすると毎回はかることになり、続きません。守れるルールは、いつも単純なものです。
③疲れの原因を先に一緒に探す
いちばん大事なのが、この3つ目になります。飲みたくなるのは、必ず理由があるからです。
寝るのが遅い、朝食が入っていない、練習後に何も食べていない、水分が足りていない。原因のほとんどは、この4つのどれかに当てはまります。



たしかに、寝られた日は飲みたいと思わないかも。



そこに気づけたら大丈夫です。飲み物の問題じゃないんですよ。
原因が埋まれば、飲みたい気持ちそのものが小さくなります。禁止だけを増やすより、こちらのほうが早く効きます。
水分のとり方については、こちらで詳しく取り上げています。
飲みたがる日に差し出せる代わりの手
止めるだけでは、本人の中に残るのは我慢だけになります。代わりを用意しておくと、話がずいぶん穏やかに進みます。
コンビニで選ぶなら
遠征や試合の日は、コンビニが唯一の補給地点になることがあります。棚の前で迷わないよう、あらかじめ選ぶものを決めておくのがおすすめです。
エネルギーがすぐ欲しい日ならゼリー飲料、しっかり足したい日ならおにぎりやバナナ。この2択を持たせておくだけで、判断が速くなります。
- ゼリー飲料(食欲がない朝でも入りやすい)
- おにぎり(試合の2〜3時間前に)
- バナナ(合間の短い時間に)
- スポーツドリンクや水(こまめに飲める量で)
ゼリー飲料は種類が多いので、あらかじめ好みの味を見つけておくと当日が楽になります。
家では「儀式」を用意しておく
試合前に何かを飲むという行為には、気持ちを切り替えるはたらきがあります。だから、飲み物そのものを取り上げるより、置き換えるほうがうまくいきます。
冷たいスポーツドリンクを専用のボトルに入れておく、決まった味のゼリーを試合の朝だけ用意する。こうした小さな決めごとで十分に代わりになります。



取り上げるんじゃなくて、置き換えるんですね。



そのほうが本人も納得しやすいですし、続きます。
補食として家に置いておくものの選び方は、こちらにまとめています。
本人にどう伝えるか
最後に、伝え方の話をします。ここを間違えると、正しい内容でも届きません。
中高生は「体に悪いからダメ」と言われると、そこで耳を閉じてしまいます。禁止の理由が自分のためだと感じられないからです。
だから、伝える軸をプレーに置き換えます。飲むと夜の寝つきが悪くなり、翌日の動き出しが遅れる。つまり、うまくなる速度が落ちる。この順番で話すと、ぐっと届きやすくなります。
体に悪いからではなく、うまくなりたいからやめておこう、という伝え方に変える。
そして、まわりの選手が飲んでいる事実は否定しないことです。よその子を悪く言うと、話の中身より、その一言のほうが強く残ってしまいます。



動きが遅くなるって言われたら、そっちのほうが嫌かも。



でしょう?本人の目標につなげるのが、いちばん強いんです。
そのうえで、我が家の線はここ、と一度だけはっきり伝えておきます。毎回言わなくて済むように、最初に決めておくのがコツです。
親子の関わり方全般については、こちらの記事も参考になります。
よくある質問
まとめ:飲み物を変える前に、眠りと食事を埋める
部活の子とエナジードリンクの問題は、飲むか飲まないかだけでは片づきません。手が伸びる背景に、睡眠不足や補食不足があるからです。
中学生のうちは家に置かない。高校生は時間で線を引く。そして、飲みたくなった日は原因を一緒に探す。この3つを決めておけば、毎回もめずに済みます。
疲れは、飲み物ではなく眠りと食事でしか戻りません。
私は元日本代表として活動したあと、10年以上スクールで中高生を指導してきました。会場で缶を持っている選手を見かけるたびに感じるのは、その子が悪いのではなく、休めていないだけだということです。
まずは、この1週間の就寝時間と、練習後に何を食べているかを思い出してみてください。埋められる場所が見つかれば、飲み物の出番は自然と減っていきます。



禁止する前に、やることがあったんですね。



そこが埋まれば、あとは自然と落ち着きます。焦らずいきましょう♪
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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