一人時間差の打ち方|ブロックを先に跳ばせる3つのコツ

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一人時間差の打ち方の解説。クイックのふりで踏み込んだサルくんと、先に跳んだ黒子のブロッカー、見守るあげば
  • 一人時間差を打ってみたいけれど、どう動けばいいのか分からない
  • 跳ぶふりをしても、相手のブロッカーが一緒に跳んでくれない
  • 止まってから跳び直すと、打点が低くなってネットにかかる

こんな悩みを解決します。

一人時間差の打ち方は、クイックとまったく同じ入り方で相手ブロッカーを先に跳ばせ、その落ち際に自分が跳ぶことがすべてです。

私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。

一人時間差でつまずく選手の多くは、跳ぶタイミングより前に「跳ぶふり」の段階でつまずいています。ふりが小さいと、ブロッカーはそもそも跳んでくれません。

ぜひこの記事を参考にしてみてください。

この記事を読むことで得られる3つのこと
  • 一人時間差がブロックを外せる仕組みが分かる
  • 跳ぶふりから本当のジャンプまで、打ち方の順番をつかめる
  • ブロッカーが跳ばない・打点が落ちるといった失敗を自分で直せる

それでは、くわしく見ていきましょう。

目次

結論:クイックのふりでブロックを跳ばせ、落ち際に跳んで打つ

一人時間差でブロッカーが落ちてきたあとに跳んでスパイクを打つ図解

まず結論からお伝えします。一人時間差は、クイックに入る動きで相手を跳ばせてから、自分はワンテンポ遅れて跳ぶ攻撃です。

相手のブロッカーは、一度跳んでしまうと空中で待つことができません。その跳んだあとの時間に打つので、高いブロックがあっても相手の手が届かない状態を作れます。

サルくん

2回ジャンプするわけじゃないんですか?

あげば

1回目は跳ぶふりだけで、跳ぶのは1回ですよ。

一人時間差の打ち方3つのコツ
  • 助走から踏み込みまでを、クイックとまったく同じ形で入る
  • 踏み込んだら膝を曲げたまま床に残り、跳ぶふりだけを見せる
  • ブロッカーが落ち始めたのを見てから、両足でもう一度踏み切る

この3つは別々の動きではなく、ひとつながりの流れです。どれか1つが崩れると、その次の動きも必ず崩れていきます。

バボット

跳ブフリデ 相手ヲ 先ニ 跳バセル

一人時間差とは|1人でブロックのタイミングを外す攻撃

打ち方に入る前に、この攻撃のしくみを整理しておきます。しくみが分かると、どこに力を入れて練習すればいいかが見えてきます。

ふつうのクイックとの違いは跳ぶ瞬間

一人時間差は、同じ選手がクイックを打つふりをして、わざと遅れて打つ攻撃です。おもにセンターの選手が使う攻撃で、セミと呼ぶチームもあります。

クイックは、セッターがボールに触れる前後にもう跳んでいて、低く速いトスを打ちます。一人時間差は入り方までは同じで、跳ぶ瞬間だけを遅らせるのが違いです。

クイックと一人時間差の違い
  • 助走・踏み込み:どちらも同じ
  • 跳ぶ瞬間:クイックはすぐ跳ぶ/一人時間差はブロッカーが跳んだあと
  • トスの高さ:一人時間差のほうが少し高い

ほかの選手と組む時間差攻撃とは違い、ずれを作るのも打つのも1人です。仲間との複雑な約束が少なく、時間差攻撃の入門として取り組みやすい形になります。

サルくん

1人でおとりと本命の両方をやるんですね!

時間差攻撃全体のしくみは、セッター側から見た記事にまとめてあります。

ブロッカーは一度跳ぶと空中で待てない

一人時間差が決まる理由は、ブロッカーの体の動きにあります。人は一度床を離れると、空中で止まることも、もう一度跳ぶこともできません。

センターのブロッカーは、クイックに間に合わせるため、アタッカーの助走に合わせて早めに跳ぼうとします。

そこで跳ばせてしまえば、ブロッカーが着地して跳び直すまでの間はネットの上が空きます。

この空いた時間に打つので、身長で勝てない相手でも勝負ができます。高さではなく、時間で勝つ攻撃と考えてください。

あげば

相手が速く反応するほど、よく決まる攻撃ですよ。

一人時間差の打ち方|クイックの入りから本当のジャンプまで

一人時間差の打ち方で膝を曲げたまま跳ぶふりで止まる姿勢の図解

ここからは、打ち方を4つの段階に分けて見ていきます。右利きの選手で説明しますので、左利きの人は左右を逆にして読んでください。

助走はクイックとまったく同じにする

最初の段階が、いちばん大切な助走です。一人時間差は、相手に「クイックが来る」と信じさせられるかどうかで決まります。

走り出しのタイミング、歩数、スピード、腕の引き方まで、ふだんのクイックとそろえてください。

少しでも助走がゆっくりになると、ブロッカーは「今回は違う」と気づいて跳ばなくなります。

この考え方は、強打と同じフォームで入るフェイントとよく似ています。相手をだますのは、形の細かさではなく「本気に見えるかどうか」です。

サルくん

打たないのに、本気で走るんですか!?

あげば

本気の助走だから、相手が跳んでくれるんですよ。

踏み込んで沈み、跳ぶふりで止まる

次は、跳ぶふりの段階です。右足→左足の順に、クイックと同じように両足で踏み込みます。

踏み込んだら膝を曲げて沈み、両腕を前へ振り上げかけます。ここで床を蹴らずに、膝を曲げた低い姿勢のまま止まるのがポイントです。

このとき膝を伸ばして立ち上がってしまうと、次のジャンプでもう一度しゃがみ直すことになり、時間がかかります。

低い姿勢のまま止まれば、そのまま次の踏み切りへつなげられます。

なお、跳ぶふりをすること自体は、日本バレーボール協会の6人制競技規則でも反則にはなりません。踏み込んだ勢いでネットに触れるとタッチネットになるので、ネットとの距離には気をつけてください。

バボット

ヒザハ 曲ゲタママ 止マル

ブロッカーが落ち始めてから両足で跳ぶ

いよいよ本当のジャンプです。跳ぶ合図は、トスではなく相手のブロッカーの動きにします。

目安は、ブロッカーが跳び上がりきって、落ち始めた瞬間です。それより早いと、まだ空中にいる相手の手に当たってしまいます。

踏み切りは、ふつうのスパイクと同じく両足でほぼ同時に床を蹴ります。腕を後ろから大きく振り上げ、その勢いも使って真上へ跳んでください。

跳び直す位置は、踏み込んだ場所からあまり動かさないのが基本です。少し横へずらして跳ぶ形もありますが、まずは同じ場所で跳べるようにしましょう。

空中では小さく速く振り抜く

最後はスイングです。一人時間差のトスは低めで、打つまでの時間も長くはありません。

大きく反ってテイクバックを作る時間はないので、背骨を軸にした体のひねりで、コンパクトに腕を引きます。

肘を高く上げ、手のひらを耳の後ろまで引く形は、ふつうのスパイクと同じです。

ミートは、手のひらでボールを包み込んで押し出す感覚で行います。最後は手首を返し、手の甲が打球方向を向くまで振り抜いてください。

サルくん

振りは小さくても、手の甲の向きは同じなんですね。

クイックの助走やスイングの基本は、こちらの記事でくわしく解説しています。

セッターとの合わせ方|トスの高さと合図を決める

一人時間差は1人で打つ攻撃ですが、トスを上げるのはセッターです。2人の約束がそろってはじめて、ずれが得点に変わります。

トスはクイックより少し高く上げてもらう

一人時間差のトスは、ふつうのクイックより少し高く上げてもらいます。跳ぶふりをする時間の分だけ、ボールが落ちてくるのを遅らせる必要があるからです。

ただし、高くしすぎるのは逆効果になります。トスが高いと、跳んだブロッカーが着地して跳び直す時間ができてしまうからです。

目安は、相手のブロッカーが落ちてくるころに、ボールがいちばん高い位置に来る高さです。何本か打ちながら、セッターと高さを言葉で確認し合ってください。

サルくん

高すぎても低すぎてもダメなんですね…

あげば

何本か合わせれば、ちょうどいい高さが見つかりますよ。

サインで打つ回を前もってそろえる

一人時間差を打つかどうかは、プレーが始まる前にサインで決めておきます。ラリーの途中で急に変えると、セッターがクイックのトスを上げてしまい、ずれが生まれません。

チームでよく使われるのは、手の指で出すサインや短い言葉の合図です。相手に聞かれても分からない言葉を、チームの中で決めておきましょう。

コンビ攻撃全体の組み立て方は、こちらの記事にまとめてあります。

一人時間差が決まらない3つの原因と直し方

ここでは、練習を始めた選手がつまずきやすい3つの失敗を挙げます。どれも原因は、その1つ前の段階にあることが多いです。

ブロッカーがつられて跳んでくれない

いちばん多いのが、跳ぶふりをしても相手が跳ばない失敗です。原因の多くは、助走がふつうのクイックより遅いか、ふりが小さいことにあります。

私はフォームを直すとき、スマホで撮影して見比べる方法をすすめています。自分のクイックと一人時間差を撮って、並べて見てください。助走のスピードや腕の振り上げ方に違いがあれば、その違いが相手にも見えています。

サルくん

ぼくの助走、ぜんぜん違いました…

跳び直すときに打点が低くなる

2つ目は、本当のジャンプで高く跳べない失敗です。これは、跳ぶふりで膝を伸ばして立ち上がっていることが原因です。

一度立ってしまうと、もう一度沈むところからやり直すことになり、跳ぶ力もタイミングも失われます。膝を曲げた姿勢で止まる練習を、ボールなしでくり返してみてください。

打点が低いままだとネットにかかりやすくなります。ネットにかかるときの直し方は、こちらの記事も参考になります。

何度も使って相手に読まれる

3つ目は、うまくいった一人時間差を続けて使い、相手に読まれてしまう失敗です。一人時間差は、クイックという脅威があるからこそ効く攻撃になります。

ふだんは本物のクイックをしっかり打ち、ここぞという場面で一人時間差を混ぜてください。

クイックが決まっている日ほど、一人時間差も決まりやすくなると考えるのがおすすめです。

あげば

本物のクイックがあるから、ふりが効くんですよ。

一人時間差が効きやすい2つの場面

打ち方が分かったら、次は使いどころです。どの場面で出すかを決めておくと、決定率が上がっていきます。

相手のセンターがクイックに早く反応してくるとき

相手のセンターのブロッカーが、クイックの助走に合わせて早めに跳んでくるなら、一人時間差の出番です。反応が早い相手ほど、ふりにつられて跳んでくれます。

試合の序盤にクイックを何本か打ち、相手がどれくらい早く跳んでくるかを見ておいてください。早く跳ぶ相手だと分かったら、中盤以降に一人時間差を混ぜていきます。

サーブレシーブがセッターにきれいに返ったとき

一人時間差は、セッターが定位置でそのまま上げられる返球のときに使いやすい攻撃です。サーブレシーブの返球がセッターに返っていれば、クイックも一人時間差も選べます。

反対に、セッターが大きく動かされた返球では、クイックのふり自体が相手にとって脅威になりません。そのときは無理をせず、ほかの攻撃を選びましょう。

サルくん

まずは返球がいい場面で試してみます!

一人時間差を身につける練習の順番

最後に、練習の進め方をまとめます。いきなりトスを上げてもらうより、動きを分けて覚えるほうが早く身につきます。

STEP
ボールなしで、クイックの助走から踏み込んで膝を曲げたまま止まる動きをくり返す
STEP
止まった姿勢から、両足で真上に跳ぶ動きを足す
STEP
ネット越しに仲間に跳んでもらい、落ち始めを見てから跳ぶ練習をする
STEP
セッターに少し高めのトスを上げてもらい、踏み込みから通して打つ

1と2は体育館が使えない日でもできます。まずは止まる姿勢と跳び直す動きを、体が覚えるまでくり返してください。

一人時間差は、踏み込みとジャンプで膝を2回使う攻撃です。成長期の選手は本数を増やしすぎず、着地は両足で膝を軽く曲げて受けるようにしましょう。

あげば

疲れて着地が雑になったら、その日はおしまいですよ。

着地で膝を痛めないための基本は、こちらの記事にまとめています。

よくある質問

一人時間差はセンター以外の選手でも打てますか?

打てます。
レフトやライトの選手が、速いトスに入るふりをしてから跳ぶ形もあります。まずはクイックの助走を身につけてから取り組んでください。

一人時間差は中学生でも打てますか?

クイックの助走と両足の踏み切りができていれば、中学生でも練習できます。
ただし膝を2回使う動きなので、本数を決めて、着地の形を先に固めてから取り組んでください。

クイックがまだ安定しなくても練習していいですか?

先にクイックを安定させるのがおすすめです。
本物のクイックが打てないと、ふりをしても相手が警戒せず、一人時間差が効きません。

相手のブロッカーが跳ばなかったらどうすればいいですか?

そのままブロッカーと同時に跳ぶことになるので、無理に強打せずコースをねらって打ちましょう。
相手が跳ばないと分かったら、次からは本物のクイックを増やしてください。

まとめ:クイックと同じ入り方が、一人時間差のいちばんのコツ

一人時間差は、クイックのふりでブロッカーを先に跳ばせ、その落ち際に跳んで打つ攻撃です。高さではなく、相手との時間のずれで勝負します。

助走は本気で、膝は曲げたまま止まり、落ち際を見て跳ぶ。

つまずき出てくる症状直すところ
助走が遅い・ふりが小さいブロッカーが跳ばないクイックと同じ助走にそろえる
膝を伸ばして立ち上がる打点が低くなる膝を曲げたまま止まる
跳ぶのが早すぎる相手の手に当たるブロッカーの落ち始めを見る
何度も続けて使う相手に読まれる本物のクイックと混ぜる

跳ぶ高さより、跳ぶふりの上手さのほうが大切です。

サルくん

まずは本物みたいな助走から練習します!

あげば

その助走が、ブロックを動かす力になりますよ。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

スパイクについては他にも記事を書いています。
気になるテーマがあればぜひ読んで参考にしてもらえたら嬉しいです♪

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この記事を書いた人

バレーボール・ビーチバレーボール元日本代表。
バレーボールスクールを10年間運営。

【保有資格】
日本スポーツ協会公認バレーボールコーチ4

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