- シッティングバレーという名前は聞いたことがあるが、中身がよく分からない
- 座ったままでバレーボールが成り立つのか想像できない
- 体験してみたいが、どこでできるのかが分からない
こんな悩みを解決します。
シッティングバレーは、お尻の一部を床につけたまま行うバレーボールです。コートもネットも6人制より小さく、座ったまま6人で戦います。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
10年以上スクールで指導してきましたが、バレーボールの面白さは、跳べる高さではなく、ボールをつないでいくところにあります。
シッティングバレーは、その部分だけをまるごと残した競技です。だからこそ、障害の有無や年齢に関係なく、同じコートに立てます。
ぜひこの記事を参考にしてみてください。
- 6人制バレーとどこが違うのかが、5つの点で分かる
- 座ったままで何が起きるのか、プレーの中身が分かる
- 体験するまでの手順と、最初に気をつけることが分かる
6人制のバレーボールのしくみは、こちらの記事でまとめています。
それでは、くわしく見ていきましょう。
結論:お尻を床につけたまま行うバレーボール
先に結論をお伝えします。シッティングバレーの姿は、次の5点をおさえればつかめます。
- お尻の一部が床についた状態でプレーする
- コートは片側が縦5m×横6mと、6人制より狭い
- ネットの高さは男子1.15m・女子1.05m
- 1チーム12人で登録し、コートに立つのは6人
- 障害のある選手と、そうでない人が一緒にプレーできる
得点の数え方は6人制と同じで、25点先取のラリーポイント制・5セットマッチ(最終セットは15点)で行います。
つまり、バレーボールとしての骨組みはそのままなんですよね。立つか座るかだけが入れ替わっている、と考えると分かりやすいでしょうか。
サルくん座ったままでラリーが続くの!?



続きますよ。むしろコートが狭いぶん、ボールはすぐ返ってきます。
日本でこの競技をまとめているのは、日本パラバレーボール協会です。大会の情報やくわしい規則は日本パラバレーボール協会の公式サイトで公開されています。
もともとは、足にけがを負った人がリハビリを兼ねて楽しめるようにと、ヨーロッパで考え出された競技です。
座ってできる形にしたことで、立てるかどうかという線引きがそのまま消えました。
その後パラリンピックの正式競技になり、世界中に広がっています。日本でも協会が地域ごとの大会を開いていて、体験会も各地で行われています。



最初からパラリンピックの競技だったわけじゃないんですね。



そうなんです。楽しむための工夫が、そのまま世界の競技になりました。
6人制と違うのはコート・ネット・お尻の3つ
6人制バレーとの違いは、大きく3つに分かれます。ここを押さえると、あとの話がすっと入ってきます。
コートは片側が縦5m×横6mと狭い
コートは全体で縦10m×横6mです。6人制の縦18m×横9mと比べると、面積は3分の1ほどになります。
ネットから2mの位置にアタックラインが引かれている点は、6人制と同じ考え方です。後ろの選手が前に出て打つ、という約束ごともここで決まります。
狭いので、1歩ぶんの位置取りが大きく効いてきます。少し動くだけで守れる範囲が変わるからです。
ネットは男子1.15m・女子1.05m
ネットは男子が1.15m、女子が1.05mに設定されています。6人制の男子2.43mと比べると、半分以下の高さです。
座った姿勢の目線から見ると、この高さは決して低くありません。手を伸ばせば届く位置にネットの白帯があるので、ブロックもスパイクも成立します。
ネットの高さがカテゴリごとにどう決まっているかは、次の記事で一覧にしています。
お尻の一部が床から離れると反則になる
この競技のいちばん大事な決まりが、お尻です。ボールを打つ瞬間にお尻の一部が床から離れると反則になります。
立ち上がる・跳び上がるのはもちろん、勢い余って腰が浮くのもいけません。スパイクでもブロックでも、床との接点は残したまま打ちます。
ただし、レシーブのときだけは短い時間なら離れてもよいとされています。とっさに動く場面まで縛ってしまうと、拾えるボールが拾えなくなるためです。



オシリガ床カラ離レタラ反則
選手の立ち位置も、足ではなくお尻の位置で決まります。ローテーションの順番を守れているかどうかも、お尻がどこにあるかで判断されるわけです。
この1点さえ守れば、あとはバレーボールとして自然に進みます。難しい決まりを覚え直す必要はほとんどありません。



覚えることが少ないなら、初めてでも入りやすいですね。
座ると、プレーの中身はこう変わる
ルールが変わると、プレーそのものも変わります。6人制の感覚のままでは通用しない部分が3つあります。
サーブがブロックされる
6人制では、サーブをブロックすることは反則です。ところがシッティングバレーでは、前衛の選手が相手のサーブをブロックしてよいことになっています。
ネットが低いぶん、まっすぐ打ったサーブはネット際で止められてしまいます。だから、サーブは弾きにくいコースへ打ち分ける技術が求められます。
サーブを打った瞬間に勝負がつくこともある、というのはこの競技ならではの面白さでしょう。
移動は腕と腰で行う
足で走れないので、移動は腕と腰の力で行います。手を床について体を押し、お尻を滑らせるように動くのが基本です。
この動きは想像よりずっと体力を使います。上半身と体幹を使い続けるので、初めての人は数分で腕が張ってくるはずです。



足を使わないだけで、こんなにきついとは思いませんでした…



そこがいちばんの発見なんですよ。普段どれだけ足に助けられているかが分かります。
ラリーが途切れにくくなる
コートが狭く、選手同士の距離も近いので、落ちるボールが減ります。手を伸ばせば届く範囲に味方がいるからです。
そのぶんラリーは長く続きます。初めて触った人同士でも、3回でつないで返す形が早い段階で作れるでしょう。
バレーボールで最初につまずくのは、たいてい返らないことです。その壁が低くなっているのは、この競技の大きな利点だと思います。
障害の有無に関係なく同じコートに立てる
シッティングバレーは、もともと足に障害のある人のために作られた競技です。今ではパラリンピックの正式競技になっています。
一方で、日本国内では障害のある選手とそうでない人が一緒に戦える場として広がってきました。健常者だけで作ったチームが出られる大会もあります。
ただし、全国規模の大会では、チームに障害のある選手が在籍していることを条件にしているものもあります。出たい大会が決まったら、要項を必ず確かめてください。
座ってしまえば、身長差も跳躍力の差も関係がなくなります。
同じ床の高さから、同じネットを見るというのが、この競技の芯にある考え方です。
学校の授業や地域の交流行事で取り上げられることが多いのも、この性質があるからでしょう。
年齢の差も同じように小さくなります。中学生と大人が同じチームで組んでも、力の差が試合を決めてしまうことは少ないはずです。
跳べる人が有利になる要素が減るぶん、ボールをどこへ落とすかという読み合いが前に出てきます。バレーボールの駆け引きの部分だけが残る、と言い換えてもいいでしょう。
私がバレーボールでいちばん面白いと感じるのは、背の高さだけでは決まらない場面です。シッティングバレーには、その要素がぎゅっと詰まっています。



高さで押し切れないので、考えて打つ人が強くなる競技です。
部活動や授業で取り入れるときの準備
体育館とネットがあれば、特別な用具をそろえなくても形になります。準備するのは3つだけです。
- 低くできるネット(支柱の高さを下げるか、バドミントン用の支柱を使う)
- 床に貼れるラインテープ(縦10m×横6mが目安)
- 長ズボンなど、床とこすれても痛くない服装
人数がそろわない日は、4人対4人でも問題ありません。コートを少し狭めれば、そのまま試合の形になります。



雨で外の部が体育館に入ってきた日にも使えそうです。



半面でも十分できます。人数が多い日こそ回しやすいですよ。
普段は立ってプレーしている選手が座ると、ボールの落下点を早く決めないと間に合わなくなります。足で運べないぶん、判断が前倒しになるわけです。
交流行事や新入生の歓迎会など、経験の差が出にくい形を探している場面にも合います。取り入れ方は自由に考えてみてください。
始めるまでの4ステップ
やってみたいと思ったとき、進め方はとてもシンプルです。
いきなり試合をする必要はありません。座って向かい合い、アンダーハンドでボールを往復させるだけでも、十分に競技の感覚はつかめます。
体育館さえ借りられれば、部活動の練習の一部として取り入れることもできます。ネットを下げて、床にテープでコートを作れば形になります。
体験会では、経験のない人に合わせて進めてもらえることがほとんどです。
バレーボールをやったことがないから、と気後れする必要はありません。
チームに入るかどうかは、やってみてから決めれば十分でしょう。まずは1回、床に座ってボールを触ってみるところが入口になります。



見学だけでも申し込んでいいんですね!
バレーボール自体をこれから始めたい方は、次の記事もあわせてどうぞ。
初めてやるときに気をつけること
体験する前に知っておくと、けがや痛みを避けやすくなります。
床とお尻・太ももがこすれるので、長ズボンをはいてください。短パンで滑ると、皮膚が擦れて痛みが残ります。
手のひらも床につき続けます。爪を短く切っておくと、体を押したときに指先を痛めにくくなります。
腕と体幹への負担が大きいので、途中で腰や肩に違和感が出たら、そこでいったん止めましょう。無理をして続けても良いことは1つもありません。
痛みが続く場合は医療機関に相談してください。
床が汚れていると、手のひらにそのまま付きます。始める前にモップをかけておくと、気持ちよくプレーできます。



長ズボンと短い爪。この2つだけは、最初に伝えるようにしています。
よくある質問
まとめ:座れば、同じ土俵に立てる
シッティングバレーは、座ったままお尻を床につけてプレーするバレーボールです。コートもネットも小さくなりますが、つなぐ・打つという競技の中身は変わりません。
違いを一度にふり返っておきます。
| 項目 | シッティングバレー | 6人制バレー |
|---|---|---|
| コート | 縦10m×横6m | 縦18m×横9m |
| ネットの高さ | 男子1.15m・女子1.05m | 男子2.43m・女子2.24m |
| 姿勢 | お尻の一部を床につける | 立ってプレーする |
| サーブのブロック | できる | 反則 |
| 移動 | 腕と腰で滑る | 足で走る |
私は元日本代表として長くバレーボールに関わってきましたが、形が変わっても競技の面白さは変わらないと感じています。
同じ床の高さから同じネットを見る、これがシッティングバレーのいちばんの魅力です。まずは座って2人でパスを回すところから始めてみてください。



体育館でネットを下げて、やってみます!



いいですね。座った瞬間に、バレーボールの見え方が変わりますよ♪
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
6人制以外のバレーについては他にも記事を書いています。
気になるテーマがあればぜひ読んで参考にしてもらえたら嬉しいです♪
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