- 口で説明しても、選手のフォームが変わらない
- スマホで撮ってはみたけれど、どこを見ればいいのか分からない
- 動画を見せると選手が落ち込んでしまう
こんな悩みを解決します。
動画でフォームが直るかどうかを決めているのは、機材でも編集でもありません。撮る前に見るポイントを1つに決めておくことです。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
10年以上スクールで中学生を指導してきましたが、フォームの修正がいちばん速く進むのは、選手が自分の動きを自分の目で見た直後でした。
言葉で10回伝えるより、5秒の動画を1回見せるほうが早いことは珍しくありません。ただし、見るポイントを決めずに再生すると、選手は自分の全体像に気を取られて何も残らないんです。
ぜひこの記事を参考にしてみてください。
- 目的に合った撮る角度と高さが決まる
- 撮った動画をどの順番で見るかが分かる
- 選手が落ち込まない見せ方と伝え方が身につく
それでは、くわしく見ていきましょう。
結論:撮る角度と見るポイントを先に1つ決める
先に結論をお伝えします。動画でフォームを直す手順は、次の3つです。
① 直したい動作を1つに決める。
② その動作が見える角度から撮る。
③ 見るポイントを1つだけ伝えてから再生する。
この順番を守るだけで、修正のスピードが変わります。
多くの現場で起きているのは、順番が逆になっている状態です。とりあえず撮って、あとから何を見ようか考えるので、映っていない部分が見たくなってしまいます。
助走の足を見たかったのに、上半身のアップで撮ってしまった。そんな失敗は、目的が決まる前にカメラを構えたときに起こります。
れおコーチとりあえず撮っておけばいいと思っていました…。



何を見るかが決まると、どこから撮るかは自然に決まりますよ。
見るポイントを先に決める効果は、撮影のときだけではありません。選手に見せる場面でも効いてきます。
自分の動きを初めて画面で見た選手は、フォームよりも先に見た目が気になります。そこへ「足のつま先の向きだけ見て」と一言添えれば、視線がその1点に集まります。
つまり動画は、映像そのものではなく、映像に添える一言とセットで初めて指導の道具になります。
なぜ動画だとフォームが直りやすいのか
言葉での指導が届きにくい理由は、選手の頭の中にある自分の姿と、実際の動きがずれているからです。
本人はまっすぐ跳んでいるつもりでも、実際には体が横に流れている。この状態で「まっすぐ跳ぼう」と言っても、本人はすでにまっすぐのつもりなので変わりようがありません。
ずれを埋める手段が動画です。自分の動きを外から見た瞬間に、ずれていた部分は説明なしで伝わります。
私が指導の現場で動画を使うのは、この一致を作るためです。イメージと実際が重なれば、あとは選手が自分で修正の方向を選べます。
- 自分のイメージと実際の動きのずれが一目で分かる
- お手本と並べて見れば、違いが言葉なしで伝わる
- 直したあとの変化を、本人が自分で確認できる
3つ目は見落とされがちですが、練習の継続に直結します。直した実感が持てないと、選手は元のフォームに戻ってしまうからです。
前後の動画が残っていれば、変わったことを本人が確認できます。この確認が、次の練習に向かう力になります。



変わったことが自分で分かるのは大きいですね!



ジブンノ動キヲ見ルト説明ガイラナイ
撮る前に決める3つのこと
カメラを構える前に決めておきたいのは、次の3つです。ここが決まっていれば、撮影は1分もかかりません。
直したい動作は1つだけに絞る
1本の動画で複数の課題を追いかけると、どれも中途半端になります。
助走のリズムを見たい日は助走だけ、着地の膝を見たい日は着地だけ。この割り切りが、結果としていちばん速く進みます。
指示を1回に1つへ絞るのは、動画を使わない指導でも同じです。動画になると情報量が増えるぶん、絞る効果はさらに大きくなります。
同じ条件で3本続けて撮る
1本だけだと、たまたま良かったのか悪かったのかが分かりません。
同じ角度・同じ距離で3本続けて撮ると、その選手の癖が見えてきます。3本とも同じ形になっている部分が、その選手の今のフォームです。
逆に3本でバラバラなら、フォームの問題ではなく、ボールへの入り方やタイミングが安定していない可能性を疑います。



バラバラなときは、フォームより前の段階を見てみましょう。



3本そろえて撮ると、癖かどうかが分かるんですね。
スマホでの撮り方|角度・高さ・距離の基準
撮り方の基準はシンプルです。特別な機材はいりません。
まず画面は横向きにして、スマホは必ず固定する。この2つが撮り方の土台です。
縦向きだと助走の距離が画面から切れてしまい、動作の始まりが映りません。
距離は、選手の全身と足元の床が入る位置まで下がります。目安として、スパイクなら助走の1歩目から着地までが1画面に収まる距離です。
そしてスマホは固定します。手持ちだと画面が揺れ、体が流れているのか手が揺れているのかの区別がつかなくなります。



三脚がなければ、カゴや台の上に置くだけでも十分ですよ。
横から撮る|助走・踏み切り・着地を見るとき
体の前後の傾きや、膝の曲がり方を見たいときは真横からです。
ネットと平行に立ち、選手の腰の高さにスマホを構えます。高さが合っていないと、跳んだ高さや体の傾きが実際と違って見えてしまいます。
助走を見る場合は、1歩目が始まる位置より少し後ろに下がって構えます。踏み切りだけを大きく映したくなりますが、助走の乱れが踏み切りに出ていることが多いからです。
後ろから撮る|体の向きと腕の振りを見るとき
体が横に流れる癖や、腕の振りの左右差を見たいときは真後ろからです。
選手の背中側から、助走のコースの延長線上に立ちます。ここからだと、跳んだあとに体がどちらへ流れたかがはっきり出ます。
ブロックの手の出し方や、レシーブの構えの左右差も、この角度が見やすくなります。目的に応じて横と後ろを使い分けてください。



後ろから見たら、こんなに流れてたんだ!?
撮った動画は「下から上へ」の順に見る
再生するときの順番にも基準を作っておくと、見落としが減ります。おすすめは足元から順に上へ視線を上げていく見方です。
動作は下から上へつながっています。足の位置や向きが崩れていれば、その上の腰も肩も自然に崩れます。
上半身から見てしまうと、腕の振りを直そうとして原因に届きません。原因はたいてい、症状が出た段階より前にあります。
- つま先の向きと、足を置いた位置
- 膝の曲がりと、腰の高さ
- 肩の向きと、体のひねり
- 腕の振りと、ボールに当たる位置
この順で見ていくと、最初に崩れている段階が特定できます。そこが今日直す1か所です。



つい腕から見ていました…。
スロー再生は1回だけ使う
はじめから遅くして見ると、動作のリズムが分からなくなります。
まず通常の速さで2回見て、リズムのおかしい場所を見つけます。そのあとに、その場面だけをスローで確認します。



マズ通常速度デリズムヲ見ル
お手本と並べて見比べる
理想とするフォームの動画と自分の動画を並べると、違いが説明なしで伝わります。
私の指導でも、選手には自分のイメージや理想とする選手のフォームと見比べて近づけていく方法をすすめています。真似る対象は、体格の近い選手を選ぶと再現しやすくなります。
見せ方と伝え方|できている所を先に言う
動画は使い方を誤ると、選手を落ち込ませる道具になります。
自分の動きを初めて見た選手の多くは、まず自分の見た目に驚きます。そこへ問題点を並べると、フォームの話が届く前に気持ちが閉じてしまいます。
だから最初の一言は、できているところにすると決めておきます。最初はできないところばかりなのが当然なので、できるところを褒める指導から入るのが結局いちばん近道です。



助走のリズム、3本ともそろっていますね!
そのうえで、直す場所は1つだけ伝えます。2つ以上を同時に言われた選手は、どちらも中途半端になります。
伝えるときは、極端に変えさせるのがコツです。少し内側へと言っても本人は動かせないので、行きすぎるくらいに変えてもらいます。
行きすぎた状態で撮り直せば、変化が画面ではっきり見えます。そこから戻していけば、ちょうど良い位置に落ち着きます。



少しだけ、では伝わらないんですね。
きつい練習でバレーボールが嫌いになってしまうことが、いちばん避けたい結果です。動画の使い方も同じで、指摘の道具ではなく、変化を確かめる道具として使ってください。
やりがちな失敗3つと直し方
最後に、現場でよく見かける失敗を3つ挙げます。どれも撮り方より、使い方の問題です。
失敗①:長く撮りすぎる
練習をまるごと撮ると、見返す時間が確保できません。
必要なのは、動作の前後を含めた5秒前後です。長い動画は、結局だれも見返さないまま残ります。
失敗②:全員を一度に撮ろうとする
1日に全員分を撮ると、確認と声かけが追いつきません。
1回の練習で2〜3人に絞り、順番に回していくほうが続きます。撮られる番が回ってくること自体が、選手の集中を高めてくれます。



次はぼくの番だ、ちゃんとやろう!
失敗③:撮りっぱなしで終わる
撮った日に見せないと、選手の記憶と映像がつながりません。
その場で一緒に見て、直す場所を1つ決める。ここまでを1セットにして初めて、動画が練習の一部になります。



撮ルダケナラ撮ラナイ方ガマシ
撮影を練習メニューのどこに入れるかは、時間配分とセットで考えると無理がありません。組み立て方の基本は、練習の構成を扱った記事にまとめています。
よくある質問
まとめ:撮る前に1つ決めれば、動画は指導の道具になる
動画でフォームを直せるかどうかは、機材ではなく段取りで決まります。直したい動作を1つ決め、その動作が見える角度から撮り、見るポイントを1つ添えて見せる。この3つがそろえば十分です。
決めるのは撮る前。伝えるのは1つだけ。
| つまずき | 起きていること | 直す方向 |
|---|---|---|
| 動画を見せても変わらない | 見るポイントを伝えていない | 再生前に見る場所を1つ言う |
| 原因が見つからない | 上半身から見ている | つま先の向きから順に上へ見る |
| 選手が落ち込む | 問題点から話し始めている | できている所を先に言葉にする |
| 撮った動画がたまる一方 | その日に見せていない | 撮った直後に一緒に見る |
私は元日本代表として、また指導者として多くの選手を見てきましたが、伸びる選手ほど自分の動きを客観的に知っています。動画はその近道を作る道具です。



明日は助走だけ、3本ずつ撮ってみます!



それで十分です。1つ決めて撮るだけで、選手の見え方が変わりますよ。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
チーム運営については他にも記事を書いています。
気になるテーマがあればぜひ読んで参考にしてもらえたら嬉しいです♪
ボールは部員1人に1球が目標です。6個入りのケースで売られているので、チームに20人いるならボール24球・カゴ2つ。この状態をクリアできると、練習が非常に充実するのではないでしょうか。私のスクールでは、コート1面につき36球を使っています。
- ボール…全員が同時に持てると、組めるメニューの幅が広がる
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