- バレーの試合で、自分が1試合に何回くらい跳んでいるのか知りたい
- ポジションによって、跳ぶ回数にどれくらい差があるのか気になる
- 跳ぶ回数が多いと膝を痛めやすいと聞いて、不安を感じている
こんな悩みを解決します。
バレーで1試合に跳ぶ回数はポジションと選手によって大きく違い、セッターでは100回をこえるという研究報告もあります。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
スクールの選手たちには、ジャンプ力を伸ばすことと同じくらい、自分がどれだけ跳んでいるかを知っておくことが大切だと伝えています。
この記事では、海外の研究をもとに、ポジション別のジャンプ回数と、跳ぶ量と膝の負担の関係を紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
- 1試合や1回の練習で跳ぶ回数の目安が、ポジション別に分かる
- 跳ぶ量が膝の痛みとどう関係するのか、研究で分かっていることを知れる
- 自分の跳ぶ量を知って、膝を守るための工夫が分かる
結論:1試合で跳ぶ回数はポジションと選手で大きく違う
結論からお伝えします。バレーで跳ぶ回数は、同じチームの中でも選手によって何倍もの差があります。
台湾のトップリーグの男子を調べた研究では、セッターが1試合に平均で約105回跳んでいました。一方で、アタッカーは1試合あたり約20〜80回と、選手によって幅がありました。
サルくんセッターが100回以上も跳んでいるんですか!?
そして、跳ぶ量が多いほど、膝のお皿の下が痛むジャンパー膝(膝蓋腱の痛み)になりやすいことも、研究で分かってきています。
- いちばん多く跳ぶのはセッターという報告が多い
- 同じポジションでも、跳ぶ回数は選手ごとに大きく違う
- 跳ぶ量が急に増えると、膝の負担も大きくなる



跳ぶ回数を知ることは、膝を守る第一歩だよ。
ここからは、ポジション別の回数、選手ごとの差、膝への負担、自分の跳ぶ量の知り方、膝を守る工夫の順に見ていきます。
ポジション別のジャンプ回数|研究でわかった数字
まずは、ポジションごとに何回くらい跳んでいるのかを見ていきましょう。数字は研究ごとに対象や測り方がちがうので、目安として読んでください。
セッターがいちばん多く跳ぶという報告
Hsieh らの研究(2025年・男性の健康を扱う専門誌)では、台湾のトップリーグの男子選手9人を調べました。
体につける計測器を使い、20試合で合計9,180回のジャンプを記録しています。
その結果、セッターは1試合に平均で約105回跳んでいて、全ポジションでいちばん多いという結果でした。1点ごとに見ても、0.6〜0.7回のジャンプをしていた計算です。



セッターハ 1シアイ ヤク105カイ
セッターは、ジャンプトスに加えて、前衛にいるときはブロックにも跳びます。ボールにさわるたびに跳ぶ場面が多いので、回数が増えやすいのでしょう。
ただし、この研究のセッターは1人だけです。人数が少ない研究なので、「セッターなら必ず100回をこえる」とまでは言えません。



数字は目安として受けとっておこう。
プロのチームを1シーズン追った Skazalski らの研究(2018年・スポーツ医学の専門誌)でも、いちばん多く跳んでいたのはセッターでした。
こちらは練習1回あたりで、セッターが平均121回跳んでいたと報告されています。
ミドルブロッカーとアタッカーの回数
同じ Hsieh らの研究では、ミドルブロッカーは1試合あたり約53〜77回、アタッカーは約20〜80回でした。
アタッカーの幅が大きいのは、トスが集まる選手と、そうでない選手で跳ぶ回数が大きく変わるためと考えられます。



トスがたくさん上がるエースほど、跳ぶ回数も多くなるんですね。
また、Skazalski らの研究では、オポジットは回数こそセッターより少ないものの、自分の最高の高さに近いジャンプを多くしていました。
回数が多いポジションと、1回ごとの強さが大きいポジションがあるということです。膝の負担は、回数と強さの両方で考える必要があります。
同じポジションでも跳ぶ回数は選手ごとに大きく違う
ポジションの差よりも大きかったのが、選手1人ひとりの差です。ここが、膝を守るうえでいちばん知っておきたいポイントになります。
練習で跳ぶ回数は1週間で50回から666回まで
Bahr らの研究(2014年・イギリスのスポーツ医学の専門誌)では、ノルウェーのバレー強化校に通う16〜18歳の選手44人を調べました。
1週間の練習と10試合をビデオで撮影し、1人ひとりのジャンプを数えています。
数えたジャンプは合計11,943回です。その結果、1週間の練習で跳んだ回数は、男子で50〜666回、女子で11〜251回と、選手によって10倍以上の差がありました。



同じチームなのに、そんなに差があるんですか!?
1時間あたりの平均は、練習では男子が約36回・女子が約14回でした。試合では男子が約62回・女子が約42回で、練習より試合のほうが短い時間にたくさん跳んでいます。
研究チームは、選手ごとの差は、ポジションによる差よりもずっと大きかったとまとめています。



ポジションだけで、跳ぶ量は決められないんだ。
1週間ごとに跳ぶ量が2倍になることもある
先ほどの Skazalski らの研究では、プロの選手14人が1シーズンで合計129,173回跳んでいました。
注目したいのは、週ごとの変化です。28週のうち18週で、跳ぶ量が前の週の2倍以上になった選手か、前の週に1回も跳ばずに復帰した選手がいました。
さらに、すべての選手に、跳ぶ量が2倍以上に増えた週が少なくとも1回ありました。



ハネル カイスウハ シュウゴトニ オオキク カワル
研究チームは、跳ぶ量は個人ごとに見ていく必要がある、と結論づけています。チーム全体の練習時間が同じでも、1人ひとりの跳ぶ量は同じではないということです。
跳ぶ量が多いほど膝の負担は大きくなる
ここからは、跳ぶ量と膝の痛みの関係を見ていきます。成長期の選手は特に気をつけたいところです。
バレーはジャンパー膝が多い競技
Lian らの研究(2005年・アメリカのスポーツ医学の専門誌)では、ノルウェーのトップレベルの選手を9つの競技で調べました。
その結果、ジャンパー膝の症状がある選手の割合は、バレーボールが約45%でいちばん高かったと報告されています。2番目はバスケットボールの約32%でした。



バレーの選手の半分近くに、膝の症状があったんですか…。
ジャンパー膝は、跳んだり着地したりするたびに、太ももの前の筋肉が膝のお皿の下の腱を強く引っぱることで起こりやすくなります。
練習時間と試合のセット数が多いほどなりやすかった
Visnes と Bahr の研究(2013年・スポーツ医学の専門誌)では、16〜18歳の強化校の選手141人を4年間追いかけました。
その間に28人がジャンパー膝になっています。調べてみると、男子は女子より3〜4倍なりやすい結果でした。
さらに、1週間のバレーの練習時間が長いほど、また1週間に出る試合のセット数が多いほど、ジャンパー膝になりやすかったと報告されています。



シアイノ セットスウガ イチバン エイキョウ
この結果を受けて、先ほどの Bahr らの研究チームは、練習時間よりも跳ぶ回数そのもののほうが、ジャンパー膝の大きな原因かもしれないと述べています。
ただし、これはまだ研究が続いている段階です。跳ぶ回数が多い選手が必ず膝を痛めるわけではない点も、知っておいてください。
ジャンパー膝の症状や、練習を休む目安については、こちらの記事でくわしく解説しています。
自分の跳ぶ量を知る2つの方法
研究のように計測器を使わなくても、自分の跳ぶ量はある程度つかめます。ここでは、選手が自分でできる方法を紹介します。
練習で跳んだ回数をメニューごとに書き出す
いちばん手軽なのは、その日の練習メニューから、跳んだ回数を書き出す方法です。スパイク練習で何本打ったか、ブロック練習で何回跳んだかをバレーノートにメモしておきます。
最初は正確でなくてもかまいません。「今日はいつもより多く跳んだ」と分かるだけでも、十分に役に立ちます。



スパイクの本数なら、自分でも数えられそうです!
1週間の合計で増え方を比べる
1日ごとの回数より大切なのが、1週間の合計です。先週と比べて急に増えていないかを見てみましょう。
- 大会の前に、練習の量が上がった週
- ポジションが変わって、ブロックやジャンプトスが増えたとき
- 長い休みのあとに、練習を再開したとき
- 1日に何試合もある大会が続いたとき
国際オリンピック委員会(IOC)の専門家グループの声明(2016年)でも、練習や試合の量が急に変わることを、けがの危険を高める要因の1つとしてあげています。



合計の量より、急に増えることに気をつけよう。
跳ぶ量が多い選手が膝を守る3つの工夫
ここからは、跳ぶ量が多いポジションの選手でもできる、膝を守るための工夫を紹介します。
跳ぶ量は1週間ずつ少しずつ増やす
ポジションが変わったときや、休みあけには、いきなり以前と同じ量を跳ばないようにしましょう。1週間ごとに少しずつ増やしていけば、体が増えた量に慣れる時間をとれます。
チームの練習メニューを自分だけで変えるのはむずかしいものです。膝に違和感があるときは、がまんせずに指導者に伝えて、跳ぶ本数を相談してください。
着地は両足でやわらかく受ける
跳ぶ回数が多いほど、着地の回数も多くなります。1回ごとの着地の衝撃を小さくできれば、膝の負担を減らすことにつながります。
両足で同時に降りて、膝を軽く曲げてクッションにするのが基本です。片足での着地や、膝をのばしたままの着地は、膝や足首に負担がかかります。



ジャンプハ ノボリヨリ クダリニ チュウイ
ジャンプのトレーニングは少ない回数を全力で
ジャンプ力を上げるトレーニングも、跳ぶ量に含まれます。たくさん跳べば伸びるわけではなく、むしろ膝の負担が増えるだけになりかねません。
- 跳ぶトレーニングは週1〜2回
- 1回ごとに全力で、少ない回数にしぼる
- 試合が多い週は、跳ぶトレーニングを減らす
なお、膝の痛みが続くときは、自分で判断せずに整形外科を受診してください。
よくある質問
まとめ:跳ぶ回数を知ることが膝を守る第一歩
この記事では、バレーで1試合に跳ぶ回数と、跳ぶ量と膝の負担の関係を解説しました。
跳ぶ回数はポジションより選手ごとの差が大きい。量が急に増えないようにして、膝を守る。
| ポジション | 研究で分かった傾向 | 気をつけたいこと |
|---|---|---|
| セッター | 回数がいちばん多い | 合計の量 |
| ミドル | 1試合50〜80回ほど | ブロックの着地 |
| アタッカー | 選手で20〜80回と幅 | 打つ本数の増加 |
| オポジット | 全力に近いジャンプが多い | 1回ごとの強さ |
私は元日本代表として、高く跳ぶ力と同じくらい、跳び続けられる膝を守ることも大切だと考えています。
まずは次の1週間、練習で跳んだ回数をバレーノートに書き出して、自分の跳ぶ量を確かめてみてください。



今日から、跳んだ回数をノートにつけてみます!



自分の量を知れば、膝を守りながら跳び続けられるよ。
参考にした研究・資料
- Hsieh MH, Chiu CH, Chang CK. Jump performance in Asian male volleyball players: match demands across player positions in Taiwan’s top-tier competition. Journal of Men’s Health, 2025
- Skazalski C, Whiteley R, Bahr R. High jump demands in professional volleyball—large variability exists between players and player positions. Scandinavian Journal of Medicine & Science in Sports, 2018
- Bahr MA, Bahr R. Jump frequency may contribute to risk of jumper’s knee. British Journal of Sports Medicine, 2014
- Lian OB, Engebretsen L, Bahr R. Prevalence of jumper’s knee among elite athletes from different sports. The American Journal of Sports Medicine, 2005
- Visnes H, Bahr R. Training volume and body composition as risk factors for developing jumper’s knee among young elite volleyball players. Scandinavian Journal of Medicine & Science in Sports, 2013
- Soligard T, et al. How much is too much? (Part 1) International Olympic Committee consensus statement on load in sport and risk of injury. British Journal of Sports Medicine, 2016
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
パフォーマンスアップについては他にも記事を書いています。
気になるテーマがあればぜひ読んで参考にしてもらえたら嬉しいです♪










