- 一人時間差を打ってみたいけれど、どう動けばいいのか分からない
- 跳ぶふりをしても、相手のブロッカーが一緒に跳んでくれない
- 止まってから跳び直すと、打点が低くなってネットにかかる
こんな悩みを解決します。
一人時間差の打ち方は、クイックとまったく同じ入り方で相手ブロッカーを先に跳ばせ、その落ち際に自分が跳ぶことがすべてです。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
一人時間差でつまずく選手の多くは、跳ぶタイミングより前に「跳ぶふり」の段階でつまずいています。ふりが小さいと、ブロッカーはそもそも跳んでくれません。
ぜひこの記事を参考にしてみてください。
- 一人時間差がブロックを外せる仕組みが分かる
- 跳ぶふりから本当のジャンプまで、打ち方の順番をつかめる
- ブロッカーが跳ばない・打点が落ちるといった失敗を自分で直せる
それでは、くわしく見ていきましょう。
結論:クイックのふりでブロックを跳ばせ、落ち際に跳んで打つ

まず結論からお伝えします。一人時間差は、クイックに入る動きで相手を跳ばせてから、自分はワンテンポ遅れて跳ぶ攻撃です。
相手のブロッカーは、一度跳んでしまうと空中で待つことができません。その跳んだあとの時間に打つので、高いブロックがあっても相手の手が届かない状態を作れます。
サルくん2回ジャンプするわけじゃないんですか?



1回目は跳ぶふりだけで、跳ぶのは1回ですよ。
- 助走から踏み込みまでを、クイックとまったく同じ形で入る
- 踏み込んだら膝を曲げたまま床に残り、跳ぶふりだけを見せる
- ブロッカーが落ち始めたのを見てから、両足でもう一度踏み切る
この3つは別々の動きではなく、ひとつながりの流れです。どれか1つが崩れると、その次の動きも必ず崩れていきます。



跳ブフリデ 相手ヲ 先ニ 跳バセル
一人時間差とは|1人でブロックのタイミングを外す攻撃
打ち方に入る前に、この攻撃のしくみを整理しておきます。しくみが分かると、どこに力を入れて練習すればいいかが見えてきます。
ふつうのクイックとの違いは跳ぶ瞬間
一人時間差は、同じ選手がクイックを打つふりをして、わざと遅れて打つ攻撃です。おもにセンターの選手が使う攻撃で、セミと呼ぶチームもあります。
クイックは、セッターがボールに触れる前後にもう跳んでいて、低く速いトスを打ちます。一人時間差は入り方までは同じで、跳ぶ瞬間だけを遅らせるのが違いです。
- 助走・踏み込み:どちらも同じ
- 跳ぶ瞬間:クイックはすぐ跳ぶ/一人時間差はブロッカーが跳んだあと
- トスの高さ:一人時間差のほうが少し高い
ほかの選手と組む時間差攻撃とは違い、ずれを作るのも打つのも1人です。仲間との複雑な約束が少なく、時間差攻撃の入門として取り組みやすい形になります。



1人でおとりと本命の両方をやるんですね!
時間差攻撃全体のしくみは、セッター側から見た記事にまとめてあります。
ブロッカーは一度跳ぶと空中で待てない
一人時間差が決まる理由は、ブロッカーの体の動きにあります。人は一度床を離れると、空中で止まることも、もう一度跳ぶこともできません。
センターのブロッカーは、クイックに間に合わせるため、アタッカーの助走に合わせて早めに跳ぼうとします。
そこで跳ばせてしまえば、ブロッカーが着地して跳び直すまでの間はネットの上が空きます。
この空いた時間に打つので、身長で勝てない相手でも勝負ができます。高さではなく、時間で勝つ攻撃と考えてください。



相手が速く反応するほど、よく決まる攻撃ですよ。
一人時間差の打ち方|クイックの入りから本当のジャンプまで


ここからは、打ち方を4つの段階に分けて見ていきます。右利きの選手で説明しますので、左利きの人は左右を逆にして読んでください。
助走はクイックとまったく同じにする
最初の段階が、いちばん大切な助走です。一人時間差は、相手に「クイックが来る」と信じさせられるかどうかで決まります。
走り出しのタイミング、歩数、スピード、腕の引き方まで、ふだんのクイックとそろえてください。
少しでも助走がゆっくりになると、ブロッカーは「今回は違う」と気づいて跳ばなくなります。
この考え方は、強打と同じフォームで入るフェイントとよく似ています。相手をだますのは、形の細かさではなく「本気に見えるかどうか」です。



打たないのに、本気で走るんですか!?



本気の助走だから、相手が跳んでくれるんですよ。
踏み込んで沈み、跳ぶふりで止まる
次は、跳ぶふりの段階です。右足→左足の順に、クイックと同じように両足で踏み込みます。
踏み込んだら膝を曲げて沈み、両腕を前へ振り上げかけます。ここで床を蹴らずに、膝を曲げた低い姿勢のまま止まるのがポイントです。
このとき膝を伸ばして立ち上がってしまうと、次のジャンプでもう一度しゃがみ直すことになり、時間がかかります。
低い姿勢のまま止まれば、そのまま次の踏み切りへつなげられます。
なお、跳ぶふりをすること自体は、日本バレーボール協会の6人制競技規則でも反則にはなりません。踏み込んだ勢いでネットに触れるとタッチネットになるので、ネットとの距離には気をつけてください。



ヒザハ 曲ゲタママ 止マル
ブロッカーが落ち始めてから両足で跳ぶ
いよいよ本当のジャンプです。跳ぶ合図は、トスではなく相手のブロッカーの動きにします。
目安は、ブロッカーが跳び上がりきって、落ち始めた瞬間です。それより早いと、まだ空中にいる相手の手に当たってしまいます。
踏み切りは、ふつうのスパイクと同じく両足でほぼ同時に床を蹴ります。腕を後ろから大きく振り上げ、その勢いも使って真上へ跳んでください。
跳び直す位置は、踏み込んだ場所からあまり動かさないのが基本です。少し横へずらして跳ぶ形もありますが、まずは同じ場所で跳べるようにしましょう。
空中では小さく速く振り抜く
最後はスイングです。一人時間差のトスは低めで、打つまでの時間も長くはありません。
大きく反ってテイクバックを作る時間はないので、背骨を軸にした体のひねりで、コンパクトに腕を引きます。
肘を高く上げ、手のひらを耳の後ろまで引く形は、ふつうのスパイクと同じです。
ミートは、手のひらでボールを包み込んで押し出す感覚で行います。最後は手首を返し、手の甲が打球方向を向くまで振り抜いてください。



振りは小さくても、手の甲の向きは同じなんですね。
クイックの助走やスイングの基本は、こちらの記事でくわしく解説しています。
セッターとの合わせ方|トスの高さと合図を決める
一人時間差は1人で打つ攻撃ですが、トスを上げるのはセッターです。2人の約束がそろってはじめて、ずれが得点に変わります。
トスはクイックより少し高く上げてもらう
一人時間差のトスは、ふつうのクイックより少し高く上げてもらいます。跳ぶふりをする時間の分だけ、ボールが落ちてくるのを遅らせる必要があるからです。
ただし、高くしすぎるのは逆効果になります。トスが高いと、跳んだブロッカーが着地して跳び直す時間ができてしまうからです。
目安は、相手のブロッカーが落ちてくるころに、ボールがいちばん高い位置に来る高さです。何本か打ちながら、セッターと高さを言葉で確認し合ってください。



高すぎても低すぎてもダメなんですね…



何本か合わせれば、ちょうどいい高さが見つかりますよ。
サインで打つ回を前もってそろえる
一人時間差を打つかどうかは、プレーが始まる前にサインで決めておきます。ラリーの途中で急に変えると、セッターがクイックのトスを上げてしまい、ずれが生まれません。
チームでよく使われるのは、手の指で出すサインや短い言葉の合図です。相手に聞かれても分からない言葉を、チームの中で決めておきましょう。
コンビ攻撃全体の組み立て方は、こちらの記事にまとめてあります。
一人時間差が決まらない3つの原因と直し方
ここでは、練習を始めた選手がつまずきやすい3つの失敗を挙げます。どれも原因は、その1つ前の段階にあることが多いです。
ブロッカーがつられて跳んでくれない
いちばん多いのが、跳ぶふりをしても相手が跳ばない失敗です。原因の多くは、助走がふつうのクイックより遅いか、ふりが小さいことにあります。
私はフォームを直すとき、スマホで撮影して見比べる方法をすすめています。自分のクイックと一人時間差を撮って、並べて見てください。助走のスピードや腕の振り上げ方に違いがあれば、その違いが相手にも見えています。



ぼくの助走、ぜんぜん違いました…
跳び直すときに打点が低くなる
2つ目は、本当のジャンプで高く跳べない失敗です。これは、跳ぶふりで膝を伸ばして立ち上がっていることが原因です。
一度立ってしまうと、もう一度沈むところからやり直すことになり、跳ぶ力もタイミングも失われます。膝を曲げた姿勢で止まる練習を、ボールなしでくり返してみてください。
打点が低いままだとネットにかかりやすくなります。ネットにかかるときの直し方は、こちらの記事も参考になります。
何度も使って相手に読まれる
3つ目は、うまくいった一人時間差を続けて使い、相手に読まれてしまう失敗です。一人時間差は、クイックという脅威があるからこそ効く攻撃になります。
ふだんは本物のクイックをしっかり打ち、ここぞという場面で一人時間差を混ぜてください。
クイックが決まっている日ほど、一人時間差も決まりやすくなると考えるのがおすすめです。



本物のクイックがあるから、ふりが効くんですよ。
一人時間差が効きやすい2つの場面
打ち方が分かったら、次は使いどころです。どの場面で出すかを決めておくと、決定率が上がっていきます。
相手のセンターがクイックに早く反応してくるとき
相手のセンターのブロッカーが、クイックの助走に合わせて早めに跳んでくるなら、一人時間差の出番です。反応が早い相手ほど、ふりにつられて跳んでくれます。
試合の序盤にクイックを何本か打ち、相手がどれくらい早く跳んでくるかを見ておいてください。早く跳ぶ相手だと分かったら、中盤以降に一人時間差を混ぜていきます。
サーブレシーブがセッターにきれいに返ったとき
一人時間差は、セッターが定位置でそのまま上げられる返球のときに使いやすい攻撃です。サーブレシーブの返球がセッターに返っていれば、クイックも一人時間差も選べます。
反対に、セッターが大きく動かされた返球では、クイックのふり自体が相手にとって脅威になりません。そのときは無理をせず、ほかの攻撃を選びましょう。



まずは返球がいい場面で試してみます!
一人時間差を身につける練習の順番
最後に、練習の進め方をまとめます。いきなりトスを上げてもらうより、動きを分けて覚えるほうが早く身につきます。
1と2は体育館が使えない日でもできます。まずは止まる姿勢と跳び直す動きを、体が覚えるまでくり返してください。
一人時間差は、踏み込みとジャンプで膝を2回使う攻撃です。成長期の選手は本数を増やしすぎず、着地は両足で膝を軽く曲げて受けるようにしましょう。



疲れて着地が雑になったら、その日はおしまいですよ。
着地で膝を痛めないための基本は、こちらの記事にまとめています。
よくある質問
まとめ:クイックと同じ入り方が、一人時間差のいちばんのコツ
一人時間差は、クイックのふりでブロッカーを先に跳ばせ、その落ち際に跳んで打つ攻撃です。高さではなく、相手との時間のずれで勝負します。
助走は本気で、膝は曲げたまま止まり、落ち際を見て跳ぶ。
| つまずき | 出てくる症状 | 直すところ |
|---|---|---|
| 助走が遅い・ふりが小さい | ブロッカーが跳ばない | クイックと同じ助走にそろえる |
| 膝を伸ばして立ち上がる | 打点が低くなる | 膝を曲げたまま止まる |
| 跳ぶのが早すぎる | 相手の手に当たる | ブロッカーの落ち始めを見る |
| 何度も続けて使う | 相手に読まれる | 本物のクイックと混ぜる |
跳ぶ高さより、跳ぶふりの上手さのほうが大切です。



まずは本物みたいな助走から練習します!



その助走が、ブロックを動かす力になりますよ。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
スパイクについては他にも記事を書いています。
気になるテーマがあればぜひ読んで参考にしてもらえたら嬉しいです♪
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