- ネットの上で相手と押し合いになったとき、反則なのかどうかわからない
- 押し合いのあと自分のコートに落ちてきたボールを、何回触っていいのか迷う
- 押し合いに負けて、相手コートにボールを押し込まれてばかりいる
こんな疑問を解決します。
バレーボールの押し合いとは、ネットの真上で、両チームの選手が同時にボールに触れて押し合う状態のことです。
ブロックに跳んだ選手と、ネット際のボールを処理しようとした相手の選手がぶつかる場面でよく起こります。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
押し合いは、ルールを知らないと「今のは反則?」「何回触れる?」と、コートの中で迷いやすいプレーの1つです。迷っている間にボールが床に落ちてしまえば、そのまま失点につながります。
とはいえ、決まりそのものはそれほど複雑ではありません。判定の考え方を先に知っておけば、ネット際でも落ち着いてプレーを続けられます。
ぜひこの記事を参考にしてみてください。
- 押し合いが反則にならない理由と、競技規則での決まりがわかる
- 押し合いのあとに何回触れるのか、アウトの時はどちらの失点かがわかる
- 押し合いに負けないための体の使い方と、やりがちな失敗がわかる
それでは、くわしく見ていきましょう。
結論:押し合いは反則ではなく、落ちてきた側がもう一度3回使える

先に結論をお伝えします。
ネットの上で両チームの選手が同時にボールに触れても、それだけでは反則になりません。
押し合いのあとボールが落ちてきたチームは、そこから新しく3回までボールに触れることができます。
つまり押し合いは、いったん「リセット」がかかるプレーだと考えるとわかりやすくなります。それまでに自分のチームが何回触っていたかは関係ありません。
サルくんえっ、3回目で押し合いになっても、また3回触れるんですか?



そうなんだ。ボールが自分たちの側に落ちてきたら、そこから数え直しになるよ。
押し合いについて、まず覚えておきたい決まりは次の3つです。
- 両チームが同時に触れて押し合いになっても、プレーはそのまま続く
- ボールが落ちてきた側のチームは、新しく3回までヒットできる
- ボールがアウトになったら、落ちた場所の反対側のチームの反則になる
この3つを知っているだけで、ネット際で判断が止まる場面はぐっと減ります。反対に知らないままだと、4回目だと思いこんで返せるボールを見送ってしまうこともあるでしょう。
押し合いは、背の高さだけで勝ち負けが決まるプレーではありません。ルールを正しく知り、落ちてきたボールを落ち着いてつなげるチームのほうが、結果として点を取れると私は考えています。



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押し合いのルールを競技規則で確認しよう
押し合いの決まりは、日本バレーボール協会の6人制競技規則の「同時の接触」という項目に書かれています。
ここでは、中学生や高校生にもわかる言葉に置きかえて確認していきます。
同時に触れて押し合いが長引いてもプレーは続く
競技規則では、相手チームの2人の選手がネットの上で同時にボールをヒットし、その接触が長引いた場合でも、プレーは続行されると決められています。
ふだんのプレーでは、ボールを手の中に長くとどめると「キャッチ」の反則になりますよね。ところが押し合いでは、両チームの手でボールが挟まって止まったように見えても、それだけで笛が鳴ることはありません。
さらに規則では、押し合いの接触が相手コートの上で終わった場合でもプレーは続く、とされています。ボールがどちら側で離れたかにこだわる必要はない、ということです。



ボールが止まって見えても、キャッチにならないんですね。



押し合いは両チームの力がぶつかっているだけだからね。笛が鳴るまでは、プレーを止めないことが大事だよ。
ボールが落ちてきたチームはさらに3回ヒットできる
押し合いのあと、ボールがインプレーのままどちらかのコートに向かった場合は、そのボールを受けるチームにさらに3回のヒットが許されます。
たとえば、3回目のスパイクを打とうとした選手が、相手のブロッカーと押し合いになったとします。
その結果ボールが自分のコートに戻ってきても、「4回目だから触れない」とはなりません。落ちてきた側のチームは、そこからレシーブ・トス・スパイクと、もう一度組み立て直せます。
アウトになったら落ちた場所の反対側のチームの反則
押し合いのあと、ボールがコートの外に落ちることもあります。このとき、アウトになった場所の反対側にいるチームの反則になります。
少しわかりにくいので、例で考えてみましょう。
自分のチームのコートの後ろ、つまり自分たちの側の外にボールが落ちたら、反則になるのは相手チームです。反対に、相手コートの後ろに落ちたときは、自分たちの失点になります。
「最後に押し出したのは、落ちた場所の反対側の選手」と覚えておくと、判定がすっと頭に入ってきます。
味方どうしの同時接触とは数え方が違う
同じ「同時の接触」でも、味方どうしで触れた場合は数え方が変わります。2人のチームメイトが同時にボールに触れたときは、ブロックを除いて2回のヒットとして数えます。
違いを表にまとめました。
| 同時に触れた選手 | ヒットの数え方 | そのあと |
|---|---|---|
| 相手チームの選手どうし(押し合い) | 数え直しになる | 落ちてきた側のチームがさらに3回ヒットできる |
| 味方どうし(ブロック以外) | 触れた人数ぶん数える | 2人なら2回、3人なら3回として数える |
| ブロックでの接触 | チームのヒットに数えない | ブロック後もチームは3回ヒットできる |
味方どうしで同時に触ると回数が一気に増えるので、フォアヒットの反則につながりやすくなります。回数の数え方は、こちらの記事でくわしく解説しています。
押し合いでよくある4つの場面と判定
ここからは、試合でよく起こる押し合いの場面を4つ取り上げます。どれも、コートの中で迷いやすいケースばかりです。
場面1:ネットの真上でボールが止まったように見える
両チームの手でボールが挟まれ、一瞬ネットの上で止まったように見える場面です。この場合も、押し合いの接触が長引いただけなのでプレーは続きます。
止まって見えたからといって、力を抜いてはいけません。笛が鳴っていない以上、ボールはまだ生きています。最後まで押し続けるか、自分のコートへ落とすかを決めて動きましょう。
場面2:押し合いのあと自分のコートに落ちてきた
押し合いに負けて、ボールが自分のコートに戻ってきた場面です。ここで大切なのは、それまでに何回触ったかを気にせず、新しく3回使えると判断することです。
コートにいる味方は、押し合いが始まった瞬間に、ボールが落ちてきそうな場所へ体を向けておきます。ネットの近くに落ちてくるボールは、低い姿勢で待っていたほうが拾いやすくなります。



押し合いが始まったら、落ちてくる前にカバーに入ればいいんですね!



その通り。ブロックに当たったボールを拾う動きと同じで、準備が早いほど楽につなげられるよ。
場面3:押し合いのあとアンテナの外やコートの外へ出た
押し合いのあと、ボールがサイドラインの外や、エンドラインの後ろに落ちた場面です。この場合は、先ほど紹介したとおり、落ちた場所の反対側のチームの反則になります。
ボールがアンテナに触れたり、アンテナの外側を通って相手の側へ飛んだりした場合も、アウトとして扱われます。インかアウトかの見きわめ方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
場面4:押し合いの最中にネットに触れた
押し合いに夢中になり、腕や体が両アンテナの間のネットに触れてしまった場面です。押し合い自体は反則ではありませんが、ボールをプレーする動作中のネットへの接触は、タッチネットの反則になります。
同じように、着地したときに足が完全にセンターラインを越えて相手コートに入ると、パッシング・ザ・センターラインの反則です。
押し合いは、ネットやセンターラインに近い場所で起きるプレーだということを忘れないようにしましょう。
押し合いに負けないための4つのコツ


ルールがわかったら、次は押し合いの場面での体の使い方です。ここで紹介するのは、ネット際で慌てないための基本の考え方になります。
1つずつ見ていきます。
コツ1:ボールより先に跳ぶ準備をする
押し合いは、ボールに先に触れた選手のほうが有利になりやすいプレーです。ネットの上にボールが来てから跳ぶと、相手にいい位置を取られてしまいます。
相手のパスがネットに近づいてきた時点で、足を止めてジャンプの準備をしておきましょう。助走をつけるより、真上にまっすぐ跳べる姿勢をつくるほうが、ネットに触れる心配も少なくなります。
コツ2:ネットより高い位置でとらえる
同じ押し合いでも、ボールをとらえる位置が高いほど、力を相手コートの方向へ伝えやすくなります。ボールが下がってからでは、上から相手に押し込まれる形になりがちです。
跳んだら、ボールが落ちてくるのを待たずに、手を上へ伸ばして先にとらえに行きます。
ただし、相手の空間にあるボールに先に手を出すとオーバーネットの反則になるので、とらえるのはネットの真上か自分の側と決めておきましょう。
コツ3:腕だけで押さず体全体で押す
押し合いで負けやすいのは、手首や肘がゆるみ、腕の力だけで押そうとしているときです。ボールの勢いに手が負けて、そのまま自分の側へ押し戻されてしまいます。
指をしっかり広げて手首と肘を固め、体全体の力をボールに伝えることを意識してみてください。腕だけに頼らないぶん、空中でバランスを崩しにくくなります。



腕の力で勝とうとしてたけど、体ごと押すんですね。



うん。手はボールとつながる面だと考えて、力は体の中心から出すイメージだよ。
コツ4:押し切れないときは自分のコートに落とす
どうしても押し切れないと感じたら、無理に相手コートへ押し込もうとしないことも大切です。押し合いのあと自分の側に落ちたボールは、新しく3回使えるからです。
セッターがネット際の厳しいボールを片手でも上げられないときは、相手のブロッカーと同時に触れてボールを挟み、跳ね返りを自分のコート側に取って味方につなぐのが正解です。
押し合いを「勝ち負け」だけで考えず、つなぐための手段として使ってみてください。



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押し合いでやりがちな3つの失敗
最後に、押し合いの場面でよく見かける失敗を3つ紹介します。どれも、知っていれば防げるものです。
失敗1:押し出しすぎて相手コートの外にアウトさせる
押し合いに勝とうとして力を入れすぎ、ボールが相手コートのはるか後ろまで飛んでしまうパターンです。
相手コートの外に落ちたボールは、落ちた場所の反対側、つまり自分たちの反則になります。押し合いに勝ったつもりが、失点になってしまうわけです。
相手コートの中に落とすことを目標にして、力の方向を調整しましょう。



思いきり押したら、アウトで相手の点になっちゃうんですね…。



そう。押し合いは強さより、ボールをどこに落とすかが大事なんだ。
失敗2:ボールを手の中で運ぶように押し出す
押し合いにならないうちに、ボールを相手のブロックに押しつけて向きを変え、手で運ぶように押し出してしまうパターンです。
両チームが同時に触れて押し合っているのとは違い、1人でボールを持って運ぶ動作は、キャッチの反則と判定されることがあります。押し合いのルールで守られるのは「同時の接触」だけだと覚えておきましょう。
ボールの持ち方の反則については、こちらの記事も参考になります。
失敗3:着地のことを考えずに跳んでしまう
押し合いのあとは、自分も相手もネットのすぐ近くに着地します。ボールばかり見ていると、相手の足の上に着地して、足首をひねってしまうおそれがあります。
跳ぶ前に、真上に跳んで真下に降りることを意識しておきましょう。前に流れるように跳ぶと、センターラインを越えて相手の足の上に降りやすくなります。



ボールに夢中で、着地まで考えてなかったです…。



ネット際はケガが起きやすい場所だからね。真上に跳んで真下に降りる、を合言葉にしよう。
よくある質問
まとめ:押し合いはルールを知っているチームが強い
ネットの上で両チームの選手が同時にボールに触れる押し合いは、それだけでは反則になりません。落ちてきた側のチームは新しく3回ヒットでき、アウトになったときは落ちた場所の反対側のチームの反則になります。
① 押し合いが長引いても、笛が鳴るまでプレーは続く。
② 落ちてきた側は、新しく3回までヒットできる。
③ アウトは、落ちた場所の反対側のチームの反則。
| 場面 | 判定 | 覚えておきたいこと |
|---|---|---|
| ネットの上でボールが止まった | 反則ではなくプレー続行 | 笛が鳴るまで力を抜かない |
| 自分のコートに落ちてきた | さらに3回ヒットできる | それまでの回数は気にせずつなぐ |
| コートの外に落ちた | 落ちた場所の反対側のチームの反則 | 押し出しすぎに注意する |
| 押し合い中にネットに触れた | タッチネットの反則 | 真上に跳んで真下に降りる |
押し合いは一瞬のプレーですが、ルールを知っているかどうかで、そのあとの動きが大きく変わります。コートの全員が「落ちてきたら3回」と共通して理解しておけば、ネット際のボールも落ち着いてつなげるはずです。



次に押し合いになったら、落ちてきても慌てずに3回でつなぎます!



いいね。ルールを味方につけて、ネット際のプレーを得点につなげていこう。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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