- トスが乱れた場面で、つい強打してアウトしてしまう
- ブロックがついているのに無理に強打して捕まる
- セッターのトスのせいだと諦めて、得点機会を逃してしまう
こんな悩みを解決します。
乱れたトスを毎回強打しようとすると、アウト・ネット・ブロック被弾が増えます。
大事なのは決め切る技術よりも、失点しにくい選択肢を瞬時に選ぶ判断です。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
10年以上スクールを運営してきた経験から、伸びるアタッカーに共通しているのは打つ前から複数の選択肢を持てていることです。
ネット際ならプッシュ・分厚いブロックならリバウンド・後方ならフェイントというように、状況で技術を打ち分けると失点が減ります。
ぜひこの記事を参考にしてみてください。
- 乱れたトスの6つの典型場面と、それぞれの第一選択が一目で分かる
- 5つの技術(フェイント/プッシュ/ブロックアウト/リバウンド/ハーフショット)の使い分け基準が手に入る
- 練習で意図的にこの判断力を鍛える3つの方法が分かる
助走から着地までの基本フォームが整っていると、乱れたトスへの対応もぐっと安定します。
それでは、まず強打で返してはいけない理由から見ていきましょう。
結論:乱れたトスは強打ではなく5つの技術で打ち分ける
先に結論からお伝えします。
ネット際ならプッシュ。遠いトスならハーフショット。サイド際ならブロックアウト。厚いブロックならリバウンド。後方レシーバーならフェイント。
これが乱れたトス対応の基本判断です。
理想的でないトスに対して、強打1択で挑むのは勝率の低い選択です。
体勢が崩れている時に強打しようとすると、次の3つが起こります。
- ミート位置がズレて、アウト・ネットにかかる
- コースが読まれて、ブロックに正面から食われる
- 無理なフォームで肩・肘・腰を痛める
つまり、強打への固執は得点も身体も両方を失う選択になりがちなんです。
バボット乱レタトス+強打=失点+怪我リスク



「打てる/打てない」の2択ではなく、「何で返すか」の選択肢を持つこと。これがアタッカーの本当の強さですよ。
このあと、6つの乱れパターンと5つの技術の使い分けを順番に見ていきます。
乱れたトスの6パターン別・おすすめの打ち方
乱れたトスを打つ瞬間に最も困るのは、この場面ではどの技術を選べばいいのかが分からないことです。
ここでは、指導現場で多い6つの乱れパターンと、それぞれの第一選択を表にまとめました。
| 乱れ方 | 第一選択 | 第二選択 | 理由 |
|---|---|---|---|
| ネットに近すぎる | プッシュ | リバウンド | 振り抜くと手がネットに触れる |
| ネットから遠い | ハーフショット | フェイント | 強打の威力が出ない |
| 低すぎる(速攻系の乱れ) | プッシュ | ハーフショット | ジャンプ最高点が使えない |
| 体の後ろに流れた | フェイント | リバウンド | 腰を反ると怪我リスクが高い |
| サイドライン外・アンテナ際 | ブロックアウト | リバウンド | 強打はアウトの確率が高い |
| 高すぎ・タイミング合わず | ハーフショット | プッシュ | コース重視で確実に置く |



乱レ方ヲ見ル→対応技術ヲ選択→失点リスク減少



6パターンを覚えれば、試合中に「これだ」と即座に判断できるようになりますよ。
ここからは、それぞれの場面で何が起きているのかを詳しく見ていきます。
場面①:ネット際のトス
トスがネットに近すぎると、強打すれば自分の手がネットに触れる(タッチネット)リスクが高まります。
無理に振り抜くと、フォームが崩れて手首にも負担がかかります。



ネット際のトスって、つい手で叩き落としたくなるんですよね…



その叩き落とす感覚は危険なんだ。プッシュやハーフショットでボールを置きに行く発想に切り替えるよ。
場面②:ネットから遠いトス(二段トス)
レシーブが乱れた後の二段トスは、ネットから2〜3m以上離れて上がってくることが多いです。
このまま強打しようとすると、助走の勢いだけで遠くから無理に叩く形になり、ミートが浅くなります。
クロスにもストレートにも厳しい角度から打つことになるため、コースで勝負するハーフショットの方が安全です。
場面③:ブロックが先回り
相手ブロッカーが完璧についてきている場面では、強打が正面から食われる確率が高くなります。
ワンタッチを狙うか、無理せずブロックの外や上を狙う技術に切り替えるのが賢明です。
場面④:低いトスが乱れる
速い攻撃(クイック・パイプ・ハイブリッド)用の低いトスがズレると、自分の踏み切りタイミングが合わなくなります。
ジャンプの最高点で打てないので、ハーフショットやプッシュで置きに行く選択肢が現実的です。
場面⑤:体の後ろやサイドライン外に流れたトス
体の後ろに流れたトスを無理に強打すると、腰を反らせて打つことになり、腰や肩への負担が大きくなります。
サイドライン外・アンテナ際のトスも、強打するとアウトかオーバーネットになりやすいです。
このような場面では、フェイントで前に落とすか、ブロックアウトで外側に弾く判断が現実的です。
場面⑥:高すぎ・タイミングが合わないトス
トスが高すぎてジャンプの最高点で叩けない時や、セッターとのタイミングが合わない時もあります。
このような場面では、強打にこだわらずハーフショットやプッシュでコース重視で確実に置くのが安全です。



場面を整理しておくと、試合中の判断が早くなるよ。
乱れたトスを打ち分ける5つの技術
ここからは、5つの技術それぞれの中身と、選ぶ場面・選ばない場面を順番にお伝えします。
技術①:フェイント(指で前にチョン)
フェイントは、ブロックの手前やコート前方に落とす技術です。
ブロックがついている場面で、強打を見せかけてから指の先でちょこんと前に落とします。
- 相手ブロッカーが完璧についている時
- レシーバーが後方に下がっている時
- 自分の体勢が悪く、強打の威力が出ない時
ポイントは強打のフォームから入ること。フェイントだと最初からバレると簡単に拾われます。
逆に、相手レシーバーが前に詰めている時は選びません。早い段階で意図がバレると、目の前のレシーバーに拾われて反撃を受けます。



フェイント=強打ノフリ→指デ落トス=ブロックノ前
技術②:プッシュ(押し込み)
プッシュは、ブロックの奥へ押し込む技術です。
フェイントが前に落とすなら、プッシュは奥に運ぶ。両者は使う方向が逆です。
- 相手レシーバーが前に詰めている時
- ブロックの上を越えられる高さがある時
- 自分の体勢が悪くて強打が無理な時
手のひらでボールを運ぶ感覚で、奥のラインぎりぎりまで押し込みます。
逆に、相手レシーバーが後方で構えている時は選びません。よくある失敗は、軽く押そうとして方向がブレ、サイドラインを割って失点するケースです。
技術③:ブロックアウト
ブロックアウトは、相手ブロックの外側の手(コート外側の角)に当てて、そのままコート外へ弾く技術です。
強打したいけどブロックがついている時、いちばん点になりやすい選択肢です。
- 相手ブロックが完璧についている時
- コート両端のサイドアタッカーがブロックを抜けない時
- 自分の打点がブロックよりわずかに低い時
ポイントはブロックの手のひらの外側(コートの外側に向いた指)を狙うこと。
正面から強打すると食われますが、わざと外側に当てればコートの外に弾けて1点になります。
逆に、相手ブロッカーの手が低くて完成していない時は選びません。中途半端に当てると、コート正面に戻ってきて簡単に返球されます。



ブロックアウトは狙って弾く技術。偶然じゃなくて、相手ブロックの形を見て決めるんだ。
技術④:リバウンド(やり直し)
リバウンドは、ブロックにわざと当ててコートに戻し、自チームで攻撃をやり直す技術です。
得点を狙うのではなく、ラリーをリセットしてもう一度組み立て直す選択肢。
- ブロックが分厚くて強打もブロックアウトも厳しい時
- 自チームの攻撃陣形が崩れていない時
- 体勢が悪く、無理に決めようとして失点するリスクが高い時
これは逃げではなく、勝率を上げるための戦術的選択です。
逆に、自チームの陣形が崩れている時は選びません。強く当てすぎるとアウトになり、リセットどころか1失点に直結します。
技術⑤:ハーフショット(コントロール優先)
ハーフショットは、強打の威力を抑えてコース重視で打つ技術です。
軟打・コースシュートとも呼ばれます。
- トスがネットから遠く、強打のミート位置が取れない時
- 低いトスでジャンプ最高点が使えない時
- ブロックの隙間(クロスやストレートの空きコース)を確実に通したい時
威力ではなくコントロールを優先することで、レシーバーのいないエリアに確実に置く選択肢です。
逆に、ブロックが分厚く完成していて隙間がない時は選びません。中途半端な威力で正面ブロックに食われ、リバウンドにもつながらない結果になります。



ハーフショットを覚えると、急に得点のチャンスが増えるよ。



5つの技術、それぞれ使うタイミングが違うんですね!
判断フロー:コートを見て技術を選ぶ
5つの技術を覚えても、試合中に「いつどれを使うか」が判断できないと、結局使えません。
私の指導現場では、次のシンプルな判断フローを伝えています。
助走中にブロックの位置・自分の体勢・相手レシーバーの位置の3点をひと目でチェック → 技術を選ぶ
具体的には、ジャンプの直前にこの3つを瞬時にチェックします。
チェック①:ブロックがついているか?
- ついている → フェイント / プッシュ / ブロックアウト / リバウンド
- ついていない → 強打 / ハーフショット
チェック②:自分の体勢は十分か?
- 良い → 強打 / ブロックアウト / ハーフショット
- 悪い → フェイント / プッシュ / リバウンド(無理しない)
チェック③:相手レシーバーの位置は?
- 後ろにいる → フェイント(前に落とす)
- 前にいる → プッシュ(奥に押し込む)
- 両サイド空き → 強打 / ハーフショットでクロスかストレートに勝負
5つの技術の判断マトリクス
| 状況 | 第一選択 | 第二選択 |
|---|---|---|
| ブロック有・体勢悪・レシーバー後ろ | フェイント | リバウンド |
| ブロック有・体勢悪・レシーバー前 | プッシュ | リバウンド |
| ブロック有・体勢良 | ブロックアウト | プッシュ |
| ブロック無・体勢良 | 強打 | ハーフショット |
| ブロック無・体勢悪 | ハーフショット | フェイント |



3要素ヲ瞬時ニ見ル→マトリクスデ選択→迷ワズ実行



試合では考える時間が0.5秒もないから、このマトリクスを練習で体に染み込ませておくんだ。
状況判断力を鍛える練習の組み立て方
5つの技術と判断フローは、知っているだけでは試合で出せません。
練習で意図的に判断する場面を作ることで、初めて試合で使えるようになります。
おすすめの練習①:わざと乱れたトスを上げてもらう
ペア練習で、セッターに意図的に乱れたトスを上げてもらいます。
ネット際・ネットから遠い・低い・高すぎる…と、4種類の乱れトスを順番に。
アタッカーは助走中に判断して、5つの技術から選んで実行します。



「打てない」を「選ぶ」に置き換える練習だよ。
おすすめの練習②:練習試合で縛りを入れる
練習試合で、自分にこの1セットは強打禁止のような縛りを設定します。
強打が使えないので、自然と5つの技術を試さざるを得なくなります。
最初は得点率が落ちますが、続けるうちに自然と引き出しが増えて、得点率も安定してきます。



強打禁止は荒療治だけど、引き出しを増やす最速ルートだよ。
おすすめの練習③:試合動画で選択肢を振り返る
試合のビデオを見ながら、自分の各スパイクで他の選択肢があったかを振り返ります。
動画は家族・チームメイト・保護者にスマホで撮ってもらえれば十分です。
「強打で抜けたあのボール、本当はブロックアウトの方が安全だったな」と気づくことで、次の試合で判断が変わります。
乱れたトスの打ち分け よくある質問
ここでは、指導現場でよく寄せられる質問にお答えします。



打ちにくいを何で返すかに変えられる選手が、チームに必要なアタッカーだよ。
まとめ:乱れたトスは判断力が得点を決める
この記事では、乱れたトスへの対処法を5つの技術と判断フローでお伝えしました。
大事なのは、助走中にブロック・自分の体勢・相手レシーバーの位置を見て、強打以外の選択肢を選ぶことです。
場面ごとの第一選択をもう一度まとめておきます。
| 場面 | 第一選択 |
|---|---|
| ネット際 | プッシュ・ハーフショット |
| ネットから遠い | ハーフショット・フェイント |
| 低いトス | プッシュ・ハーフショット |
| 体の後ろに流れた | フェイント・リバウンド |
| サイドライン外・アンテナ際 | ブロックアウト・リバウンド |
| 高すぎ・タイミング合わず | ハーフショット・プッシュ |
5つの技術を引き出しに持っている選手は、試合の大事な場面で冷静に1点をとりに行ける強さがあります。
まずはブロックアウトとフェイントの2つから練習して、セッターのミスを「打てない」で終わらせず、「何で返すか」を選ぶアタッカーになっていきましょう。



まずブロックアウトとフェイントから練習してみます!



その2つができるだけで、試合の見え方が変わるよ。応援しています。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
スパイクについては他にも記事を書いています。 気になるテーマがあればぜひ読んで、参考にしてもらえたら嬉しいです♪
バレーボールをもっと好きになる「ハイキュー!!」
私の指導現場でも、選手のメンタルや戦術理解を深める教材としておすすめしているので、ぜひ一度見てください♪
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