バレー部の新チームの作り方|引退後1か月でやる5つのこと

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バレー部の新チームの作り方を解説するあげばコーチとれおコーチ
  • 3年生が引退したとたん、体育館の空気が重くなった
  • 新チームで何から手をつければいいのか決められない
  • 新人戦までに間に合うのか不安で仕方がない

こんな悩みを解決します。

新チームづくりで最初にやることは、練習メニューの入れ替えではなく、役割・目標・約束ごとを1か月以内に言葉にすることです。

私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。

10年以上スクールで指導してきましたが、代が替わった直後につまずくチームに共通していたのは、実力不足ではなく決めごとの空白でした。

上級生が抜けた穴は、うまい選手を1人見つけて埋まるものではありません。誰が何を担うかが決まった時、チームはようやく自分たちで回り始めます。

ぜひこの記事を参考にしてみてください。

この記事を読むことで得られる3つのこと
  • 新チームが立ち上がりでつまずく本当の原因がわかる
  • 引退後1か月でやるべき5つの手順がわかる
  • 新人戦までの練習の組み立て方がわかる

それでは、くわしく見ていきましょう。

目次

結論:新チームは技術より先に土台の3つを決める

新チームで先に決める3つの土台を説明するあげばコーチとれおコーチ

先に結論をお伝えします。新チームで最初に整えるのは、プレーではなくチームの土台のほうです。

新チームで最初に決める3つの土台
  • 役割(キャプテンと、それを支える担当)
  • 目標(この代でどこを目指すか)
  • 約束ごと(全員で守る行動のルール)
れおコーチ

3年生が抜けた瞬間、練習がスカスカになってしまって…

あげば

抜けたのは実力だけじゃないよ。誰が何をするかの決まりごとも一緒に抜けているんだ。

前の代では、キャプテンが声を出し、誰かがボールを準備し、誰かが下級生に目を配っていたはずです。その動きはルールではなく、その代の習慣として回っていました。

習慣は代が替わると引き継がれません。だから引退直後のチームは、実力の差以上に頼りなく見えてしまいます。

新チームの立ち上がりで足りないのは、技術ではなく決めごと。

決めごとさえ形になれば、練習の中身は後からいくらでも積み上がります。逆に土台が空白のまま練習量だけ増やすと、指導者が見ていない時間に穴が出ます。

この記事では、失速する理由・1か月でやる5つのこと・やりがちな失敗・新人戦までの練習の順に見ていきます。

引退直後のチームが失速する2つの理由

対策の前に、立ち上がりで失速する原因を整理しておきましょう。大きく2つあります。

上級生と一緒にチームの基準も抜けている

1つ目は、チームの基準が上級生と一緒に抜けてしまうことです。

集合の速さ、ボール拾いの速さ、ミスした後の声。こうしたものは、前の代の上級生が体で示していた基準でした。

バボット

キジュンハ ヒトト イッショニ ヌケル

基準を示す人がいなくなると、残された選手は何を目安にしていいかわからなくなります。手を抜いているのではなく、目印を失っているだけの状態です。

あげば

だらけて見える時ほど、本人たちは何が正解かわからず止まっていることが多いよ。

ここで指導者が声を張り上げても、基準は戻りません。基準は、新しい代の言葉で置き直す必要があります。

置き直し方は難しくありません。集合は何秒以内か、ボール拾いは誰が最初に動くか、練習の開始時に何を確認するか。前の代が体で示していたものを、今の代が言葉で決め直すだけです。

言葉にすると、守れたかどうかを選手自身が判定できるようになります。判定できる基準だけが、次の代へ引き継がれていきます。

役割の空白を誰も埋めにいけない

2つ目は、役割の空白です。新チームでは、前の代の誰かがやっていた仕事が、まるごと宙に浮きます。

仕事が消えたのではなく、担当が消えただけ。ここを取り違えると、指導者がすべて肩代わりすることになる。

宙に浮いた仕事を指導者が拾い続けると、選手は指示を待つ側に固定されます。最初の1か月の関わり方が、その代の自立度をほぼ決めてしまいます。

れおコーチ

気づいたら全部こちらが指示していました…

あげば

急いで穴を埋めるほど、選手が自分で動く機会は減ってしまうんだ。

では、その空白をどう埋めていくのか。ここから具体的な手順に入ります。

新チームの立ち上げでやる5つのこと

新チームの立ち上げで輪になって話し合うバレー部の選手たち

ここからが本題の手順です。ミーティング2回と練習2〜3回で、最初の形は十分に作れます。

STEP
全員で現在地を確認する(できていること・いないことを出し合う)
STEP
キャプテンと副キャプテンを決める
STEP
係の担当を全員に割りふる
STEP
この代の目標を全員の言葉で決める
STEP
守る約束ごとを3つに絞って掲示する

順番には意味があります。役割より先に現在地の確認を置くのは、話し合いの材料をそろえてからのほうが、選手の発言が具体的になるからです。

1〜2週目:現在地の確認と役割決めまで進める

最初の2週間で、現在地の確認と役割決めまでを終わらせます。

現在地の確認は、紙に書き出す方式がおすすめです。できていること・できていないことを1人ずつ書いてから出し合うと、控えめな選手の視点も同じ重さでテーブルに乗ります。

書き出す項目は、技術・チームの雰囲気・練習の進め方の3つに分けておくと整理しやすくなります。技術だけを聞くと、課題がサーブやスパイクの話に偏ってしまうからです。

出てきた内容は、その場で消さずにすべて残します。この時に出た言葉が、あとで決める目標と約束ごとの材料になります。

サルくん

声は出てるけど、つなぎのレシーブは全然ダメだと思う…

あげば

その自己評価がそのままチームの練習計画になるんだよ。

役割決めでは、キャプテンを人気投票で選ばないことだけ守ってください。うまさや人気ではなく、チームを前に進められるかどうかが基準になります。

選び方と育て方は、こちらの記事でくわしく解説しています。

キャプテンが決まったら、その日のうちに副キャプテンと係も決めます。1人に負荷が集中する形を最初に作らないことが、その後の1年を守ります。

バボット

ヤクワリガ アレバ ゼンイン シュヤク

係の分け方は、ボール・ネット・記録・下級生担当のように、日々の練習で必ず発生する仕事から割りふると迷いません。

3〜4週目:目標と約束ごとを言葉にする

続く2週間で、目標と約束ごとを決めます。役割が動き始めてからのほうが、選手が現実的な目標を出せるからです。

目標は、成果目標を1つと行動目標を2〜3個に絞ります。成果は相手にも左右されますが、行動は自分たちで100点にできるからです。

れおコーチ

目標が多いほど本気に見えると思っていました。

あげば

多いと迷うよ。苦しい場面でどれを選ぶかが決まらなくなるんだ。

決め方の手順は、こちらの記事にまとめてあります。

最後に約束ごとです。ここは3つまでに絞り、練習中に指さして確認できる場所へ掲示します。

新チームの約束ごとの例
  • 呼ばれたら返事をしてから動く
  • ミスした人へ最初にかける言葉を決めておく
  • 準備と片づけは全員でやる

守れているかを毎回確認できる粒度にするのがコツです。抽象的な言葉を掲げると、掲示物が壁の飾りに変わります。

約束ごとは3つまで。守れたかを、その日のうちに全員が判定できる形にする。

新チームでやりがちな3つの失敗

手順がわかったところで、つまずきやすい落とし穴も見ておきましょう。

失敗①:前の代のやり方をそのまま続ける

1つ目は、前の代のやり方をそのまま引き継ぐことです。

去年うまくいった練習は、去年のメンバーに合っていた練習でした。同じ形を続けても、同じ結果は出ません。

サルくん

先輩と同じ練習なのに、うまくいかないよ…

あげば

メンバーが変われば、効く練習も変わるんだ。まず今の課題から選び直そう。

引き継ぐのは、練習メニューではなく約束ごとや準備の速さといった文化のほうです。

失敗②:立ち上がりから戦術を詰め込む

2つ目は、最初から戦術を詰め込むことです。新人戦が近いと、時間短縮のために形から入りたくなります。

ですが、基準が定まっていないチームに複雑な約束ごとを重ねると、選手はどれを優先するか迷います。

戦術は、基本の判断がそろってから乗せる。土台のない戦術は、試合で真っ先に崩れる。

れおコーチ

焦って先にフォーメーションから入っていました…

戦術を入れる時は、1度に1つだけにします。サーブレシーブの陣形を決めたら、それが試合で回るようになるまで次を足さないという進め方です。

1つずつなら、うまくいかない時に原因を特定できます。まとめて入れると、どの決めごとが崩れたのかが誰にもわからなくなります。

失敗③:キャプテン1人に責任を集める

3つ目は、キャプテン1人に責任を集めてしまうことです。

指導者がキャプテンだけに指示を出す形が続くと、他の選手は伝言を待つだけの立場になります。

バボット

ヒトリニ ヨセルト チームハ トマル

副キャプテンと係が機能しているチームは、キャプテンが不調な日でも練習の質が落ちません。役割を分けることは、チームの保険でもあります。

あげば

キャプテンを助ける仕組みまで作って、はじめて役割決めは完成だよ。

新人戦までの練習の組み立て方

新チームにとって最初の大きな目標が新人戦です。3年生が抜けた2年生と1年生で戦う、新チームの力試しの場になります。

限られた期間をどう配分するかで、仕上がりは大きく変わります。おすすめは、前半を基準づくり、後半を試合形式に分ける2段構えです。

大会までの期間は地域によって違いますが、配分の考え方は変わりません。残り日数を数えて、半分の日付にしるしを付けるところから始めてみてください。

前半:基本の基準づくりに時間を使う

期間の前半は、基本のプレーの基準づくりに使います。

パス・サーブ・レシーブといった全員が必ず関わる技術で、どこまでできれば合格かを共有します。基準がそろうと、選手同士で修正できるようになります。

私の指導現場では、選手全員が同じ合格ラインを口で言えるかどうかを先に確認します。言えない項目は、まだ共有できていない証拠だからです。

あげば

基準がそろうと、指導者が見ていない時間もチームが伸びていくよ。

この時期は、練習の中で声のかけ方も一緒に整えておくと後が楽になります。

後半:試合形式で決めごとを試す

期間の後半は、試合形式で決めごとを試す時間に切り替えます。

サーブレシーブの守備範囲、つなぎの優先順位、タイムアウト後の合言葉。決めておいた内容が実際に機能するかを、点数のつく形で確認します。

サルくん

練習でできてたのに、試合になると全然できない!?

あげば

だから本番の前に、試合の形で試しておく時間がいるんだよ。

うまくいかなかった決めごとは、その日のうちに書き換えてかまいません。新チームの決めごとは、最初から完成させるものではなく、試して直していくものです。

新人戦は完成披露の場ではなく、決めごとの答え合わせの場。

結果に一喜一憂せず、次の代替わりまでの通過点として位置づけると、選手も指導者も落ち着いて戦えます。

よくある質問

人数が足りず、新チームが6人ぎりぎりです。何から手をつけるべきですか?

役割の割りふりを最優先にしてください。人数が少ないほど1人あたりの担当は増えますが、決まっていれば回ります。並行して、下級生の勧誘を年間の予定に入れておくと翌年が楽になります。

2年生と1年生の間に温度差があり、まとまりません。

温度差は前提として設計しましょう。全員に共通する約束ごとを土台に置き、目標の高さは学年やレベルごとに分けると、熱量が違っても同じチームで動けます。

新チームのキャプテンは、必ず2年生から選ぶべきですか?

学年で固定する必要はありません。ただし学年をまたぐ場合は、選んだ理由をチーム全員へ先に説明してください。基準が共有されていれば、下級生キャプテンでもチームは受け入れます。

立ち上げのミーティングは、どのくらいの時間が適切ですか?

1回30〜40分で、2回に分けるのがおすすめです。長く話し合うほど良い結論が出るわけではなく、間に練習をはさんだほうが具体的な意見が出てきます。

まとめ:新チームは決めごとから作られる

最後に要点をふり返ります。新チームの立ち上がりは、練習量ではなく決めごとの速さで差がつきます。

時期やることポイント
1〜2週目現在地の確認と役割決めキャプテンは人気で選ばない
3〜4週目目標と約束ごとを言葉にする約束ごとは3つまで
新人戦まで前半は基準づくり・後半は試合形式決めごとは試して直す

役割・目標・約束ごと。この3つが言葉になった時、新チームは自分たちで動き出す。

私は元日本代表として多くのチームを見てきましたが、代替わりで伸びるチームほど、最初の1か月を話し合いに使っています。

れおコーチ

まずは全員で現在地を書き出すところから始めてみます!

あげば

それがこの代の第一歩だよ。決めごとを一緒に育てていこう。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

バレーボールの指導・チーム運営については他にも記事を書いています。
気になるテーマがあればぜひ読んで参考にしてもらえたら嬉しいです♪

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この記事を書いた人

バレーボール・ビーチバレーボール元日本代表。
バレーボールスクールを10年間運営。

【保有資格】
日本スポーツ協会公認バレーボールコーチ4

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