- ある日を境に、急にサーブが打てなくなってしまった
- トスを上げようとすると手が固まって、いつもの高さに上がらない
- 打つ瞬間に腕が縮こまって、思うように振り抜けない
こんな悩みに寄り添います。
この記事は、コースの狙い方や威力アップの前に、「体が言うことを聞かなくなった」状態からもう一度サーブを取り戻すための考え方をまとめたものです。
ネットにかかる・アウトになるといった技術的な直し方を探している方は、まずサーブが入らない原因と直し方を先に読んでもらうと近道です。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
トップの世界でも、急にサーブが打てなくなる選手を何人も見てきました。だからこそ、これは「気持ちの弱さ」ではないと、はっきりお伝えしたいんです。
イップスのような状態は、あせって強い球を打とうとするほど深くなりがちです。逆に、いちばんシンプルなところまで戻し、一歩ずつ体に思い出させていくと、少しずつ動きが戻ってきます。
ぜひこの記事を、あせらず読んでみてください。
- 急にサーブが打てなくなる状態の正体と、あせらない考え方がわかる
- トスや腕が固まる時に、どこまで戻して立て直すかの手順がわかる
- 練習と試合で再発を防ぎ、少しずつ自信を戻すコツがわかる
それでは、くわしく見ていきましょう。
結論:一番シンプルなサーブまで戻して、体に思い出させる

先に結論からお伝えします。急にサーブが打てなくなった時は、難しい球を打とうとするのをいったんやめて、フローターサーブのような一番シンプルな形まで戻すのが立て直しの入り口です。
立て直しの順番は「戻す→ゆるめる→少しずつ戻す」。強い球で取り返そうとしない。
| 症状 | まずやること | 避けたいこと |
|---|---|---|
| トスが固まる | おへその前で軽く上げる形に戻す | いつもの高さを一発で狙う |
| 腕が振れない | 当てて止める打ち方から再開 | 全力で振り抜こうとする |
| 打点で迷う | トスの頂点で当てるだけに絞る | コースや威力を同時に考える |
体は、うまくいっていた頃の動きを覚えています。それが一時的に取り出せなくなっているだけなので、負荷を下げて成功体験を重ねると、少しずつ引き出しが開いていきます。
サルくん急に打てなくなるなんて、自分だけかと思ってたよ…



大丈夫。トップ選手でも起きることなんだ。弱さじゃなくて、動きが一時的に固まっているだけだよ。
大事なのは、この時期に「なんで打てないんだ」と自分を責めないことです。責めるほど体はこわばり、動きはさらに出にくくなります。まずは「今は戻す時期」と受け止めるところから始めましょう。
なぜ急に打てなくなるのか:考えすぎて体が固まる


サーブが急に打てなくなる背景には、多くの場合「意識のしすぎ」があります。ふだんは無意識でできていた動きを、失敗をきっかけに一つひとつ確認しようとすると、かえって動きがぎこちなくなるんです。



イシキシスギ ウゴキ カタマル
たとえば歩くとき、右足の次に左足を…と考えながら歩くと、急にぎこちなくなりますよね。サーブも同じで、いつもは流れでできていた「トス→振り上げ→打つ」を細かく監視すると、つながりが途切れてしまいます。
無意識でできていた動きを意識で監視すると、流れが途切れて固まる。これがイップス的な状態の正体。
一度大事な場面でミスをした記憶が残ると、「またあの感じになったら」という不安が体に先回りします。
その不安が腕を縮こませ、トスを上げる手を止めてしまう。こうして、技術ではなく動きのつながりの問題として現れるのがこの状態です。



打てなくなったのは、フォームを忘れたからじゃない。流れを止める「監視の目」が強くなりすぎているんだ。
もう一つ知っておいてほしいのは、この状態は真面目でていねいな選手ほど起こりやすいということです。うまくやりたい気持ちが強いほど、動きを細かく確認しようとしてしまうからです。
だから「自分の性格が悪いわけじゃない」と受け止めてもらって大丈夫です。
そしてこの状態は、正しい手順で向き合えば少しずつ戻っていきます。無理に一気に治そうとするのではなく、時間をかけて体に流れを思い出させる、というつもりで取り組むのが結局は近道です。
だからこそ、直し方も「もっと正確に」ではなく「もっとシンプルに、考えずに出せる形へ」という方向になります。次の章から、具体的な戻し方を見ていきましょう。
トスが上げられない時の戻し方


トスを上げる手が固まってしまう時は、いつものトスの高さや位置を一発で再現しようとしないことが大切です。高さを狙うほど手はこわばります。
- ボールを持って、おへその前あたりで軽く離すだけの動きに戻す
- 打たずに、同じ場所へ落ちるトスだけを何度もくり返す
- 落ち着いてきたら、少しずつ本来の高さへ戻していく
まずは打つことを忘れて、トスだけを練習しましょう。フローターサーブのトスは高く上げすぎないのが基本なので、おへその少し上あたりに、軽く置くように離すイメージです。



打たずにトスだけって、意味があるの?



あるよ。毎回同じ場所に上げられる感覚が戻ると、「次に打てる」という安心につながるんだ。
ここで一つ、大切な前提があります。サーブは一度トスを上げたら打つ動作に入るのが基本なので、練習でも「上げたら打つ」までを一つの流れとして体に入れておきましょう。
そうすると試合でも迷いが減ります。トスを上げ直せる前提で練習すると、本番で崩れやすくなるからです。
トスが安定してきたら、サーブのトスの上げ方で高さや位置の基準も見直しておくと、戻すべきゴールがはっきりします。あせらず、まずは「同じ場所に上げられた」という小さな成功を積み重ねていきましょう。
腕が振れない・縮こまる時の戻し方


打つ瞬間に腕が縮こまってしまう時は、振り抜こうとするのをいったんやめるのが近道です。強く振ろうとするほど、力みが腕を止めてしまいます。
腕が振れない時は「振り抜く」より「当てて運ぶ」へ。力を抜くほど動きは戻る。
おすすめは、フローターサーブの「当てた瞬間に止める」感覚から再開することです。これは無回転を作るための打ち方でもありますが、力みを抜く練習としても効果があります。



アテテ トメル チカラ ヌケル
やり方はシンプルです。腕を大きく振り抜こうとせず、ボールに当てたところで止めるように打ちます。ミートの瞬間だけに集中し、その先を「振り切らなくていい」と自分に許可してあげると、腕が自然に出てきます。



「振り抜かなきゃ」と思うほど固まる人は、「当てるだけでいい」と思うと逆に腕が出る。おもしろいけど、本当なんだ。



近くからなら、こわがらずに振れそう!



その「入った」を積み重ねるのが一番の薬なんだ。あせらず一歩ずつでいいよ。
ネットの近くから始めて「入った」という感覚が戻ってきたら、少しずつ立ち位置を下げていきます。いきなりエンドラインから全力で打とうとせず、成功を確認しながら距離を伸ばすのがコツです。
もし縮こまりの背景に、打つ瞬間の指の当て方の不安がある場合は、サーブで指が痛い原因と直し方もあわせて確認しておくと、当てる部分の迷いが減ります。
練習で立て直す:極端に振って感覚を戻す
シンプルな形が戻ってきたら、次はあえて極端に振ってみるという方法が効きます。細かく加減しようとするより、思い切って変えたほうが感覚は戻りやすいからです。
- ネットにかかりがちなら、思い切って「アウトを目指して」打つ
- アウトが増えるなら、極端にアタックラインの前を狙って打つ
- その中間に、ちょうど入る感覚を見つけていく
たとえばネットにかかってばかりの時、こわごわ「もう少し高く」と微調整すると、また固まりがちです。
それより一度「オーバーしてもいいからアウトを狙う」と割り切って振ると、腕が伸びやかに出て、意外と入るポイントが見えてきます。



わざと大きく外すつもりで打ったら、逆に力が抜けたよ!



そう。「今これを変えて試している」と自分でわかっていることが大事なんだ。目的があると、ミスも怖くなくなるよ。
とくに学生の年代では、少しずつ加減するより、「今このために極端に変えている」と本人がはっきり認識していることがとても大切です。目的を持ってトライしているミスは、失敗ではなく前進だからです。
こうして極端な両側を経験すると、体は「入る幅」を自分で見つけていきます。あせらず、この幅の中に着地させる感覚を取り戻していきましょう。
試合で再発させないための心構え
練習で戻ってきても、試合の緊張でまた固まることがあります。試合では、「うまく打とう」ではなく「いつものシンプルな1本を出すだけ」と考えるのがコツです。
試合の合言葉は「決めにいかない、いつもの1本を出すだけ」。狙いを一つに絞る。
サーブの前に、毎回同じ動きをする短いルーティンを決めておくと、意識を「打てるかどうか」から「いつもの手順」へ移せます。ボールを2回つく、深呼吸を一つする、といった簡単なもので十分です。



緊張してるのは、それだけ真剣にやっている証拠。だからまず「戻せる自分」を信じてあげてほしいんだ。



ルーティンって、なんだか難しそう…



ううん、ボールを2回つくだけでもいいんだ。毎回同じことをするのが大事なんだよ。
試合でのメンタル面の整え方は、サーブのルーティンの作り方や試合でサーブが入らない時の考え方にもくわしくまとめています。
緊張との付き合い方を知っておくと、本番での揺れが小さくなります。
そして何より、うまくいかない時期が続いても自分を責めないこと。バレーが嫌いになってしまうのが一番もったいないので、つらい時は一度距離を置いても大丈夫です。
もし長く続いてつらい場合は、指導者や信頼できる人に気持ちを話してみてください。一人で抱えないことが、回復への近道になります。
よくある質問
まとめ:あせらず、シンプルな1本から取り戻そう
急にサーブが打てなくなる状態は、フォームを忘れたのではなく、無意識でできていた動きが一時的に固まっているだけです。
だからこそ、強い球で取り返そうとせず、一番シンプルな形まで戻すのが立て直しの入り口になります。
| 段階 | やること | 意識すること |
|---|---|---|
| 戻す | フローターのトス・当てて止める打ち方 | 打点の頂点だけに集中 |
| ゆるめる | 近い距離から入る成功を作る | 振り抜かず「当てて運ぶ」 |
| 少しずつ戻す | 極端に振って入る幅を探す | 目的を持ってトライする |
立て直しの合言葉は「戻す→ゆるめる→少しずつ戻す」。責めない・あせらない・一人で抱えない。
私は元日本代表として、一度打てなくなった選手が、シンプルな1本から少しずつ自信を取り戻していく姿を何度も見てきました。
今はつらいかもしれませんが、体はちゃんと覚えています。あせらず、ていねいに戻していきましょう。



まずはトスだけ、当てるだけ。あせらずやってみるよ!



その気持ちがあれば大丈夫。少しずつ、いつもの1本を取り戻していこうね。
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最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
サーブについては他にも記事を書いています。
気になるテーマがあればぜひ読んで参考にしてもらえたら嬉しいです♪









