- 練習では入るのに、試合になるとサーブが入らない
- ネットにかかる日とアウトになる日があって、原因が分からない
- 打ち方を教わるたびに違うことを言われて、混乱している
こんな悩みを解決します。
サーブが安定しないとき、直すべきなのは腕の振り方ではなく、毎回同じトスを上げることと、打つ順番を決めてしまうことです。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
現役時代はジャンプサーブを武器にしていましたが、指導の現場で見てきたのは、フォームの細部よりも先にトスがそろっていない選手の多さでした。
大人から始めた方も、学生時代の感覚が残っている方も、つまずく場所はほとんど同じです。
ぜひこの記事を参考にしてみてください。
- サーブが入らない原因を、自分で切り分けられるようになる
- フローターサーブを打つ順番が4つの手順で整理できる
- ネットにかかる日とアウトになる日で、直し方を変えられる
ママさんバレーの全体像から知りたい方は、こちらの記事もあわせてどうぞ。
結論:サーブは「トス→踏み込み→回旋→体重移動」の4手順
サーブが入らないとき、多くの方は腕の振り方から直そうとします。
けれども腕は、動作の最後に出てくる部分です。
その前にあるトスと踏み込みがそろっていなければ、腕をどれだけ工夫しても打点は毎回変わってしまいます。
だから最初にやることは、打ち方を変えることではなく、打つまでの順番を4つに決めて、そこから外れないようにすることです。
- ①ボールをおへその前で構え、右肩の前方へトスを上げる
- ②「イチ」でトスを上げながら、利き手と逆の足を踏み込む
- ③「ニ」で体を2時方向から正面へ回旋させて打つ
- ④打ち終わりに、前の足の母指球へ体重が乗っている
※右利きの場合の説明です。左利きの方は左右を入れ替えて読んでください。
この4つは、ばらばらのコツではなく、ひと続きの流れになっています。
トスの位置が決まるから踏み込む場所が決まり、踏み込みが決まるから体を回す方向が決まる、という順序です。
逆に言えば、どこか1つが崩れると、後ろの3つも自動的に崩れます。
サーブが日によって別ものになる方は、たいてい1番目のトスが日によって別ものになっています。
うさママ腕の振り方ばかり気にしていました…。



腕は最後です。まずはトスと足の位置をそろえてみてください。
ここからは、なぜトスと踏み込みで決まるのかを見ていきましょう。
サーブが入らない3つの理由
原因が分からないまま打ち続けても、入る日と入らない日の差は埋まりません。
大人から始めた方に多い理由は、大きく3つに整理できます。
トスが毎回違う場所に上がっている
いちばん多いのが、トスが日によって前後左右にばらついているパターンです。
トスの位置が変われば、当然ながらボールをとらえる高さも位置も変わります。
同じフォームで振っているつもりでも、当たる場所が違えば飛び方は変わってしまいます。
トスが安定しないうちに打ち方を直すと、何が良かったのか分からなくなるわけです。
トスを上げる手は、ボールを持ったままおへそのあたりで構えます。
そこから床と垂直に、肩の高さくらいまでまっすぐ引き上げて、ボールを手から離します。
腕を扇のように振り上げると、上げるたびに軌道が変わりやすくなります。



トスハ扇デハナク垂直ノ直線
打点より前でボールを叩いている
ネットにかかる原因としていちばん多いのが、自分の打点より前でボールを叩いてしまうことです。
打点より前で当てると、ボールを奥の方向へ押しながら叩くことができません。押す方向が下だけになるので、勢いのあるサーブほど手前に落ちてしまいます。
本人の感覚としては「もっとボールの下を打たなければ」と感じやすい場面ですが、直すのは当てる高さではありません。
トスを少しだけ自分側に上げ直して、体の前でとらえられるようにすると、水平方向へ押せるようになります。
押せるようになると、力を足さなくてもネットを越えるようになります。



力いっぱい打っているのに、ネットにかかるんです。



それは力ではなく、当てる位置の問題かもしれませんね。
腕の力だけで飛ばそうとしている
大人から始めた方に多いのが、腕だけでボールを飛ばそうとする打ち方です。
腕の力に頼ると、疲れてきた後半に飛距離が落ちて、同じフォームなのに届かなくなります。
サーブの勢いは、腕の速さそのものよりも、体のひねり戻しから生まれます。
野球のピッチャーのように利き手のひじを後ろへ引き、そこから体を回して腕を連れていく感覚です。
腕を速く振ろうと力むのではなく、体の回旋が腕を運ぶと考えると、力の入れどころが変わります。
この使い方ができると、9人制の女子ネット2.05mであれば、腕力に自信がない方でも十分に届きます。
ネットの高さやボールの規格は所属する連盟や大会によって決まるため、条文を確かめたいときは日本バレーボール協会(JVA)がルールブックの案内を公開しています。
ママさんバレーのルールの全体像は、こちらの記事にまとめています。
フローターサーブを4つの手順で打つ
ママさんバレーで最初に身につけたいのは、立って打つフローターサーブです。
無回転で相手の手前に落ちるので、力に頼らずに相手を崩せます。
打ち方は、先ほどの4手順をそのまま順番に確認していきます。
手順①:おへその前から、右肩の前方へ上げる
構えの基準は、ボールを持った手がおへそのあたりにあることです。
そこから床と垂直に持ち上げ、肩の高さあたりでボールを離します。
上げる先は、右肩の前方です。
頭の真上に上げると体が反りやすく、ボールの下に入りすぎて上へ飛んでしまいます。
手順②:「イチ」でトスと踏み込みを同時に行う
トスを上げてから踏み込むのではなく、トスを上げながら踏み込むのが正しいリズムです。
右利きなら、利き手と逆の左足をしっかり前に踏み込みます。
踏み込みが入るぶん、トスは少しだけ前方に上がることになります。
この「イチ」でどこまでそろうかが、その日のサーブの安定を決めます。



イチデ上ゲナガラ踏ミ込ム ニデヒット
手順③:「ニ」で2時方向から正面へ回す
トスを上げると同時に右ひじを後ろまで引くと、体が時計の2時方向を向きます。
ここまで引けていれば、テイクバックは合格です。
そこから2時方向を正面の12時方向へ素早く戻しながら、腕を振り抜いていきます。
無回転にしたいときは、当てた瞬間に振り抜かず、止めるか引くようにするとボールが揺れます。
ボールを回転させないぶん、当てる面はできるだけ平らに保ちます。
手順④:打ち終わりに前足へ体重が乗っている
打った後、左足の母指球に体重が乗っていれば、体重移動ができています。
後ろの足に体重が残ったままだと、腕だけで振っている状態です。
打ち終わりの足を見るだけで、体を使えたかどうかが自分で確認できます。



打った後の足を見ればいいなら、ひとりでも確認できますね!
もっと詳しいサーブの基本を知りたい方は、こちらの記事も参考になります。
どうしても届かない人はアンダーハンドサーブから
フローターがどうしてもネットを越えない方は、先にアンダーハンドサーブから入る方法があります。
これは全員が通る最初のステップではなく、届かない方のための入り口です。
体重移動でボールを運ぶ感覚が先につかめるので、そこからフローターへ移ると進みやすくなります。
両手を組むレシーブの形とは別ものです
まず押さえておきたいのは、アンダーハンドサーブは片手で打つサーブだということです。
両手を組んで前腕の面で当てるのは、アンダーハンドレシーブの形です。
名前が似ているので混同されやすいのですが、動きはまったく違います。
アンダーハンドサーブは、片手で、背骨を軸に体を回しながら打つと覚えてください。
横向きに構えて、腰の回転で運ぶ
右利きの場合は、左肩と左半身をネットの方向へ向けて、しっかり横向きに構えます。
ボールは左手に持ち、おへその前あたりで捉えられる高さに軽く離します。
高く上げる必要はありません。
打つ瞬間は、軽く握った拳か、手のひらの付け根でボールの下をとらえます。
腕はあまり曲げず、下から前へ振り子のように振っていきます。



片手デ打ツ 両手ヲ組マナイ
このとき腕の力だけで飛ばそうとせず、後ろ足から前足への体重移動と腰の回転でボールを運びます。
コースを変えたいときは、おへそを打ちたい方向へ向けて調整します。



重心が低いぶん動きがシンプルなので、安定して入れやすい打ち方です。
チームによっては、体を横に向けて振るサイドハンドサーブを教わることもあります。
今それで安定して入っているなら、無理に変える必要はありません。
入る打ち方をひとつ持っておくことが、試合では何よりの強みになります。
やりがちな失敗3つと直し方
サーブのミスは、症状ごとに直し方が変わります。
同じ「入らない」でも、ネットにかかる日とアウトになる日では、やることが逆になります。
ネットにかかるときは、思い切ってアウトを目指す
ネットにかかるミスが続くときは、少しずつ調整しても戻りにくいものです。
いっそアウトを目指すつもりで打ってみると、押す方向が水平に変わります。
それでも越えない方は、遠投を10本してみてください。
体を素早く回旋させて、腕を後ろから前へ持ってくる感覚をつかんでから打ち直します。
遠投は感覚をつかむための手段なので、飛んだ距離を数える必要はありません。
アウトになるときは、歩幅とスイングを落とす
反対にアウトが続くときは、踏み込みの歩幅をやや小さくします。
そのうえで、腕のスイングスピードをやや落として10本打ってみてください。
狙う場所も、極端にアタックラインの前に設定します。
少しずつ加減するより、極端に変えて「今これを直している」と自分で認識できるほうが、修正は早くなるわけです。



極端にやってしまって大丈夫なんですか?



大丈夫です。真ん中に戻すのは、変化を感じ取れてからで間に合いますよ。
フォームを毎回変えてしまう
いちばん遠回りになるのが、うまくいかないたびに打ち方を変えてしまうことです。
先週のアドバイスと今週のアドバイスが違うと、何が効いたのか分からなくなります。
迷ったときは、シンプルなフローターサーブに戻すのが基本です。
そして、直すのは1回にひとつだけと決めておきます。
トスが安定していない時期は、まずトスだけを見ます。トスがそろってから、踏み込み、回旋、体重移動と順番に上げていくほうが、結果的に早く仕上がります。



直スノハ1回ニ1ツダケ
週1回の練習でも身につく進め方
ママさんバレーは、週1回の練習というチームも珍しくありません。
その頻度でも、順番を決めておけばサーブは十分に固まります。
コート全面を使う必要はなく、ボール1個と少しの壁があれば進められます。
打たない日をつくって、トスだけを上げる
最初の2日は、打たずにトスだけを上げます。
右肩の前方へ、同じ高さで上げられるかだけを確認します。
打たないと物足りなく感じますが、ここを飛ばすと後の手順が全部ぶれます。



打たない日があってもいいんですか?



トスがそろわないうちに打つと、直した効果が見えなくなるんです。
3日目は、トスに踏み込みとテイクバックを足します。
まだ打たずに、体が2時方向を向いているかを見ます。
4日目から打ち始めて、5日目に打ち終わりの足を確認します。
6日目に症状別の直し方を試し、7日目に10本打って何本入ったかを数えます。
- 1〜2日目:トスだけを上げる(打たない)
- 3日目:トス+踏み込み+テイクバック(打たない)
- 4日目:2時方向から正面へ回して打つ
- 5日目:打ち終わりの体重移動を確認する
- 6日目:ネット・アウトの症状別に直す
- 7日目:10本打って成功率を数える
練習日には最後の10本を数える
練習の終わりに10本打って、入った数を書き留めておきます。
数を残しておくと、調子の良し悪しを感覚ではなく数字で振り返れます。先月は10本中4本だったのが6本になっていれば、それは確かな前進です。
体に張りや痛みが出ている日は、本数を減らすか、その日は打たない判断をしてください。
痛みが数日たっても引かない場合は、我慢して続けず医療機関で診てもらいましょう。
週1回90分の練習の組み立て方は、こちらの記事にまとめています。
よくある質問
まとめ
この記事では、ママさんバレーのサーブが入る確率を上げる手順をお伝えしました。
直す順番をもう一度整理します。
| 手順 | 見るところ | よくある崩れ方 |
|---|---|---|
| ①トス | 右肩の前方・同じ高さ | 扇のように振り上げて毎回ずれる |
| ②踏み込み | トスと同時に前足を出す | 上げてから踏み込んで遅れる |
| ③回旋 | 2時方向から正面へ | 腕だけを速く振ろうとする |
| ④体重移動 | 打ち終わりに前足の母指球 | 後ろ足に体重が残る |
サーブは、腕の振り方を工夫するより、毎回同じトスを上げるほうが確実に近道です。
そして直すのは1回にひとつだけ、と決めておくと、何が効いたのかが自分で分かるようになります。
週1回の練習でも、順番さえ守れば10本中の入る数は変わっていきます。



まずはトスだけ、10回上げるところから始めます!



それがいちばんの近道です。焦らず、順番どおりに積み上げていきましょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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