- 練習中の声が出ず、コートが重たい空気のまま終わってしまう
- ミスをした選手を、まわりが白い目で見ているように感じる
- 何度ミーティングをしても、次の日には元に戻ってしまう
こんな悩みを解決します。
バレー部の雰囲気が悪いときは、気持ちを変えようとせず、雰囲気を作っている行動を1つだけ変える。ここから手をつけるのがいちばん早い道になります。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
10年以上スクールで選手を指導してきましたが、雰囲気が重いチームに共通しているのは、選手のやる気ではありません。ミスが起きたあとに何をすればいいかが決まっていないことなんですよね。
決まっていないから、選手は下を向いて次の球を待つしかなくなります。
ぜひこの記事を参考にしてみてください。
- チームの雰囲気が悪くなる4つの原因を切り分けられる
- 雰囲気を立て直す5つの手順が、そのまま明日の練習で使える
- 逆効果になる立て直し方を避けられる
それでは、くわしく見ていきましょう。
結論:気持ちではなく行動を1つ変えると空気は動く
先に結論をお伝えします。チームの雰囲気は、選手の気持ちの合計ではなく、コートで実際に起きている行動の合計です。
雰囲気が悪いチームに「もっと声を出そう」と言っても、次の日にはほぼ元に戻ります。何をどう言えばいいのかが決まっていないからです。
反対に、ミスのあとに1人が「ドンマイ」ではなく「次、真ん中しめよう」と言えるようになると、その1球だけで空気は変わります。次にやることが全員に共有されるからなんです。
れおコーチ声を出せと言い続けているのに、練習が進むほど静かになっていきます…。



出す声の中身を決めていないと、選手は何も言えないんですよ。
私はスクールで、声かけを気合いを入れるためのものとしては教えていません。相手に動いてもらうための情報を渡す技術として教えています。
つまり、雰囲気づくりは精神論ではなく練習で身につく技術です。指導者がやることは、選手を励ますことより先に、行動を1つ決めて渡すことになります。
この記事では、その1つを見つけるための原因の切り分けから、順番に見ていきます。
なぜ雰囲気が悪いまま練習を続けてはいけないのか
空気が重いだけなら、放っておけばそのうち戻る。そう考えたくなる時期は誰にでもあります。
それでも早めに手を打ったほうがいい理由が2つあります。
雰囲気が悪いと上達そのものが止まる
バレーボールは、ミスをしないと上手くならない競技です。強い球を受け、届かないボールに跳びつく中でしか、次の一歩は伸びていきません。
ところがミスが責められる空気の中では、選手は取れるボールしか触らなくなります。
手を出せば怒られるかもしれない場面で、あえて跳びつく選手はほとんどいないからです。
雰囲気が悪いチームは、気持ちが落ちているのではなく、挑戦の回数そのものが減っています。
その結果、練習量は同じなのに伸びだけが止まります。指導者から見ると「やる気がない」ように映りますが、実際に起きているのは安全な選択の積み重ねなんですよ。



チャレンジガ減ルト上達モ止マル
放っておくと退部とけがにつながる
重い空気は、体にも出ます。
肩に力が入ったまま長時間動けば、着地や踏み切りの動きが硬くなり、膝や腰への負担が増えていきます。成長期の選手ではとくに気をつけたいところです。
そして何より、練習がつらくてバレーボール自体を嫌いになってしまうのが、いちばん避けたい結末になります。



そこまでは考えていませんでした…。
一度離れた選手が戻ってくることは、ほとんどありません。
チームの雰囲気が悪くなる4つの原因
雰囲気が悪いという言葉は大きすぎて、そのままでは手がつけられません。まず原因を切り分けます。
体育館で見えている行動から、次の4つのどれに近いかを決めてください。原因が違えば、打つ手もまったく変わってきます。
原因①:ミスのあとの1秒が決まっていない
いちばん多いのがこの型です。ミスが起きた直後、誰も何も言えずに数秒の沈黙が生まれます。
沈黙のあいだ、ミスをした選手は自分を責める時間だけを与えられます。
責める言葉が飛んでいないのに空気が重い場合は、この型を疑ってください。悪意ではなく、決めごとがないことが原因だからです。
原因②:役割があいまいで責任の押し付けが起きる
コートの真ん中に落ちた球を、2人が見合って動かない。この場面が続くチームは、そのあと必ず空気が悪くなります。
取れたはずの球が落ちると、選手は無意識に相手のせいにしたくなるからです。
私のスクールでは、どちらも取れるボールは先に声を出して動き出した人が取る、原則としてボールが近づいてくる側が取る、と優先順位を決めています。
決まりがあれば、落ちても責任の押し付けにはなりません。
原因③:勝てない時期が続いて目標を見失っている
負けが込むと、選手は何のために走っているのかを見失います。
このとき指導者が「気持ちで負けている」とだけ伝えると、選手はさらに行き場をなくします。改善のしようがない指摘だからです。
勝ち負け以外にチームで追いかける数字があるかどうかで、この時期の空気は大きく変わります。
原因④:指導者の言葉が日によって変わっている
昨日は攻めろと言われ、今日は無理をするなと言われる。この状態が続くと、選手は判断を止めて指示待ちになります。
指示待ちのチームは、外から見ると覇気がないチームに見えます。
ただ、これは選手の性格ではありません。どう動いても否定される可能性がある環境で、動かないのは合理的な選択だからです。



4つ並べてみると、うちは①と②が同時に起きていました…。



同時に直そうとせず、①から手をつけるのが近道ですよ。
雰囲気を立て直す5つの手順
原因を切り分けたら、次の順番で手をつけます。上から順にやるのが大切で、途中を飛ばすと元に戻りやすくなります。
最初の手順が、いちばん効きます。ミスのあとに言う言葉を1つに決めるだけで、沈黙の数秒が消えます。
言葉の中身は、次のプレーの情報が入っているものにしてください。ドンマイだけでは情報が渡らないので、空気は変わりません。
たとえばレシーブが乱れたときは「次、真ん中しめよう」。サーブがネットにかかったときは「もう1本、高さから」。この形なら、言われた側も次の1球で試せます。



決めておけば、下級生でも言えますね。



そこが大事なところなんですよ。
2つ目の手順は、できている行動を名前つきで伝えることです。
最初はできないところばかりなのが当然で、できているところを褒める指導から入るのが、いちばん伸びます。
このとき「いいね」だけで終わらせず、何がよかったのかを短く添えてください。行動が特定されると、選手はもう一度再現できるようになります。



行動ヲ名指シスルト再現デキル
3つ目までできたら、4つ目で勝敗以外の数字を1つ置きます。
サーブレシーブが返った本数でも、ワンタッチを取った回数でも構いません。負けが込む時期でも、チームで喜べる場所が残るからです。
- サーブレシーブがセッターの範囲に返った本数
- ブロックでワンタッチを取れた回数
- 相手のスパイクを1本でも上げた回数
- 連続で得点を許した最大の本数
最後の手順は、2週間後のふり返りです。
期間を先に決めておくと、選手は取り組みを一時的なものだと思わなくなります。変わった点は指導者が言うのではなく、選手の口から出させてください。



順番ヲ守ルト戻リニクイ
立て直しを支える声かけの2つのルール
手順を続けるあいだ、指導者の言葉づかいにも決まりが必要になります。ここが崩れると、選手の側だけ努力する形になってしまうからです。
ミスの直後は事実だけを短く伝える
ミスが起きた直後、選手はすでに自分で気づいています。そこに評価の言葉を重ねても、届く量は増えません。
伝えるのは、見えた事実と次の1つだけにしてください。
たとえば「1歩目が遅れた、次は構えを早く」で十分です。なぜできないのかを問い詰める言葉は、この場面では省きます。
長い説明は、練習の区切りまで待ってから渡すほうが入ります。



ミス直後ハ事実ト次ノ1ツダケ
練習の終わりに良かった場面を1つ言葉にする
練習の最後に、その日いちばん良かった場面を1つだけ挙げてください。
チーム全体でも、特定の選手でも構いません。大切なのは、良い場面を毎日必ず1つ拾うと決めておくことです。
勝てない時期ほど、選手は自分たちが下手になっているように感じています。実際には伸びている場所があるので、それを言葉にして返すのが指導者の仕事です。
やってはいけない立て直し方
よかれと思ってやったことが、空気をさらに重くしてしまう場面があります。次の3つは避けてください。
全体の前で原因になった選手を名指しする
雰囲気が悪い理由を1人の選手のせいにして、全体の前で指摘する。この方法は、その場だけ空気が引き締まって見えます。
ただ、残るのは緊張であって信頼ではありません。
名指しされた選手だけでなく、まわりの選手も次は自分かもしれないと感じます。結果として、挑戦の回数はさらに減っていきます。



引き締まったのではなく、黙っただけなんです。
長時間のミーティングで気持ちを確認する
話し合いそのものは有効です。ただ、長く話すほど良くなるわけではありません。
1時間かけて気持ちを出させても、翌日のコートで使える行動が決まっていなければ、空気は戻ります。
話す時間は10分に区切り、必ず明日やる行動を1つ決めて終わってください。
罰として練習量を増やす
態度が悪いから走らせる、という手も避けたいところです。
きつい練習でバレーボールが嫌いになるのが、いちばん良くない結果になります。走り込みのしすぎは、成長期の膝や腰にも負担を残します。
罰で動いたチームは、指導者が見ていない場面で動かなくなります。



3つとも、去年やってしまっていました…。



気づけた時点で十分です。明日から順番にいきましょう。
よくある質問
まとめ:行動を1つ決めることから空気は変わる
バレー部の雰囲気が悪いときに必要なのは、選手の心を動かす言葉ではありません。明日のコートで全員が実行できる行動を、1つだけ決めることです。
| 原因 | 見えている行動 | まず手をつけること |
|---|---|---|
| ミス後の1秒が空白 | ミスのあとに沈黙が生まれる | 全員が言う言葉を1つ決める |
| 役割があいまい | 真ん中の球でお見合いが起きる | どちらが取るかの優先順位を確認する |
| 目標を見失っている | 練習の目的を聞くと答えが出ない | 勝敗以外の数字を1つ置く |
| 指導者の言葉が日替わり | 選手が指示を待って動かない | その週に伝える基準を1つに固定する |
私は元日本代表として活動したあと、10年以上スクールで選手を指導してきました。
その経験から言えるのは、空気の重いチームほど、変えるべき行動が少ないということです。1つ決まれば、あとは選手が自分たちで増やしていきます。
まずは明日の練習で、ミスのあとに言う言葉を1つだけ決めてみてください。



明日は「次、真ん中しめよう」から始めてみます!



その1球で、コートの空気は動きますよ♪
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
チーム運営については他にも記事を書いています。
気になるテーマがあればぜひ読んで参考にしてもらえたら嬉しいです♪
ボールは部員1人に1球が目標です。6個入りのケースで売られているので、チームに20人いるならボール24球・カゴ2つ。この状態をクリアできると、練習が非常に充実するのではないでしょうか。私のスクールでは、コート1面につき36球を使っています。
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