レシーブでお見合いする心理|遠慮をなくすチーム作り

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レシーブでお見合いをなくす遠慮のないチーム作りのイメージ
  • 2人の間のボールに、遠慮して1歩が出ない
  • ミスしたら責められそうで、ボールに飛び込めない
  • 声を出したいのに、先輩の前だと体が止まってしまう

こんな悩みを解決します。

レシーブでお見合いが起きる本当の原因は、技術不足ではなく仲間への遠慮という心理です。

私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。

10年以上スクールで指導してきましたが、お見合いが多いチームに共通するのは技術の差ではなく、ミスを責める空気なんですよね。

遠慮は性格の問題に見えて、実はチームの空気が作り出すものです。空気と考え方が変われば、同じ選手でも見違えるようにボールへ飛び込めるようになります。

ぜひこの記事を参考にしてみてください。

この記事を読むことで得られる3つのこと
  • お見合いを生む遠慮の正体と3つの原因がわかる
  • ミスを責めないチームの空気の作り方がわかる
  • 遠慮を消す心の持ち方と練習の仕掛けがわかる

それでは、詳しく見ていきましょう。

目次

結論:レシーブのお見合いは遠慮という心理が正体

レシーブのお見合いで2人の間にボールが落ちる場面のイラスト

最初に結論からお伝えします。レシーブのお見合いは、技術が足りないから起きるのではありません。

正体は、仲間への遠慮という心理です。体はボールに届く位置にいるのに、「先輩のボールかも」「ミスしたら怒られる」と心が先にブレーキをかけてしまいます。

サルくん

足は動くのに、気持ちが止まっちゃうんだよね…。

あげば

それがお見合いの正体だよ。心のブレーキは、レシーブ練習の量だけでは外れないんだ。

その証拠に、1人ずつのレシーブ練習では上手に拾える選手が、試合形式になったとたんボールを見送る場面はめずらしくありません。技術はあるのに、仲間が隣に立った瞬間に動けなくなるわけです。

私の指導現場でも、フォームはきれいなのにお見合いをくり返す選手をたくさん見てきました。共通するのは、体ではなく心が止まっていることです。

遠慮が生まれる原因は、大きく3つにしぼられます。

遠慮が生まれる3つの原因
  • ミスを責められる空気がある
  • 上級生や上手な仲間に気をつかっている
  • 自分のレシーブに自信がない

この3つを残したままレシーブ練習だけを増やしても、お見合いはなかなか減りません。逆に空気と考え方が変われば、技術がそのままでも拾える本数は増えていきます。

お見合い対策の第一歩は、練習量を増やすことではなく、遠慮の正体を知ることです。

次の章では、遠慮が生まれる3つの原因を1つずつ掘り下げていきます。

なぜボールに行けないのか|遠慮が生まれる3つの原因

レシーブで遠慮して一歩が出ない選手と上級生のイラスト

対策の前に、なぜ遠慮が生まれるのかを知っておきましょう。原因がわかると、自分とチームのどこを直せばいいかが見えてきます。

原因①:ミスを責められる空気がある

いちばん大きい原因が、ミスを責められる空気です。

飛び込んで落としたときにため息をつかれたり、強い言葉で責められたりする。そんな経験をくり返した選手の頭の中では、挑戦しないことが正解になっていきます。

サルくん

行って落とすくらいなら、行かない方がいいのかなって思っちゃう…。

あげば

そう考えるのは自然なことだよ。責められる場所では、人は挑戦をやめてしまうからね。

人には、得することよりも損すること(責められること)を避けたい性質があります。心理学で損失回避と呼ばれるはたらきで、大人でも逃れられません。

つまりボールに行かない選手は、気持ちが弱いのではなく、責められる環境に正しく合わせているだけです。この状態のまま「思い切って行け」とだけ言っても、心は動かないでしょう。

練習中のため息・舌打ち・にらみ。声に出さなくても、こうした小さな反応が積み重なると、チームの空気は少しずつ重くなります。

指導する側に責めるつもりがなくても、受けとる側が責められたと感じれば同じことです。空気は、発する側ではなく受けとる側の感じ方で決まります。

原因②:上級生や上手な仲間への遠慮

2つ目は、上下関係からくる遠慮です。

先輩のボールに手を出したら失礼かもしれない。上手なあの子にまかせた方が上がる確率は高い。そんな気づかいが、コートの上では致命的な1歩の遅れになります。

サルくん

先輩の守備範囲に入っていいのか、いつも迷うんだよね…。

この遠慮がとくに強く出るのは、新チームになった直後や、学年の違う選手が同じコートに立つ場面です。おたがいの距離感がつかめないまま、2人の間に落ちるボールだけが増えていきます。

覚えておいてほしいのは、生活の中での礼儀と、コートの中での役割は別ものだということです。むしろ遠慮して落とした1点の方が、先輩にとってはよほど困る結果になります。

この遠慮は、下級生の努力だけでは消えにくいのが現実です。カギになる上級生側の働きかけは、次の章でお伝えします。

原因③:自分のレシーブに自信がない

3つ目は、自分のレシーブに自信がないことです。

「自分が触るよりあの子がとった方が上がる」と考えて、体を引いてしまうパターンです。一見チームのための判断に見えますが、失敗の責任をとりたくない気持ちがかくれていることも少なくありません。

あげば

まかせる判断と、逃げる判断は別ものなんだ。分かれ目は、自分が届くボールかどうかだよ。

こわいのは、この遠慮が悪循環を生むことです。届くボールを見送ると触る経験が減り、経験が減るとますます自信がなくなって、さらに見送るようになってしまいます。

自信のなさは、性格ではなく経験の少なさから来ています。逆に言えば、ボールに行く回数さえ増やせば、自信は後から追いついてくるものです。

心の持ち方と練習の仕掛けで行く回数を増やす方法は、後半の章でくわしく紹介しますね。

遠慮をなくすチームの空気の作り方

レシーブで飛び込んだ選手を責めずに拍手でほめるチームの空気のイラスト

ここがこの記事のいちばん大事なところです。遠慮は個人の性格ではなく、チームの空気が作り出すもの。だからこそ、空気を変えれば選手全員がまとめて変わります。

チームの空気は、放っておくと厳しい方へ流れやすいものです。立場ごとにできることを見ていきましょう。

監督・コーチはミスの種類を分けてほめる

指導者にお願いしたいのは、ミスをひとくくりに叱らないことです。

ミスには2種類あります。ボールに飛び込んで届かなかった挑戦のミスと、構えや集中を欠いて落とした準備のミスです。

ミスの2種類と対応
  • 挑戦のミス…飛び込んで届かなかった → 責めずに、まず判断をほめる
  • 準備のミス…構え・集中を欠いて落とした → 理由を一緒に見つけて直す

挑戦のミスを責めると、選手はボールへ行かなくなります。逆に「今の判断は良かった」と声をかけられた選手は、次はもっと速く1歩が出るようになるんです。

私のスクールでは、最初はできないところばかりなのが当然と考えて、できたところをほめる指導から入ります。ほめられた選手から順に、ボールへの1歩が速くなっていくからです。

あげば

落としたことより、行けたことに目を向けてあげよう。その1歩が次の1点につながるよ。

気をつけたいのは、ほめる対象を結果ではなく行動にすることです。上がったからほめるのではなく、行けたからほめるに変えると、選手の中で挑戦そのものの価値が上がります。

もう1つ、練習がきつすぎてバレーボール自体を嫌いにさせないことも、指導者の大切な仕事です。楽しさが土台にあるチームは、思い切りのいいプレーが自然と増えていきます。

キャプテン・上級生は自分から失敗を見せる

チームの空気を実際に決めているのは、監督よりもキャプテンや上級生であることが多いです。

後輩は、先輩がミスをしたときのまわりの反応をよく見ています。先輩が自分のミスを「ごめん、次いくよ!」と明るく処理するチームでは、後輩も安心して飛び込めるようになります。

サルくん

先輩から「どんどん来ていいよ」って言われたら、すごく動きやすい!

上級生ができることは、この2つです。

上級生ができる2つのこと
  • 自分のミスを明るく認めて、切り替える姿を見せる
  • 「自分の範囲に入ってきていい」と後輩に先に伝えておく

守備範囲に入られるのを嫌がる先輩のとなりで、後輩は動けません。逆に、かぶってもいいから来てと先に言われていれば、後輩は遠慮なくボールを追えます。

下級生の遠慮は、上級生の一言で消えるものです。だからこそ、声をかける順番は上の学年からがいちばん効きます。

チーム全員でミスの後の合言葉を決める

最後は、チーム全員でできる仕掛けです。ミスが出た直後に使う合言葉を、あらかじめ決めておきます。

「ドンマイ、次!」「切り替え!」など、言葉は何でもかまいません。大切なのは、誰がミスしても同じ言葉で再開すると全員で約束しておくことです。

合言葉には、責める言葉が入り込むすき間をなくす効果があります。ミスの後の空気が軽くなり、次のプレーへの切り替えも速くなります。

バボット

コトバヲ キメルダケデ クウキハ カワル

責めないと決めたチームでも、とっさの場面では感情が顔に出てしまうことがあります。だからこそ先に言葉を決めて、感情より先に約束が口から出る状態を作っておくわけです。

なお、誰がとるかの優先順位や、とっさに使う声かけのフレーズをルール化しておくことも、遠慮を仕組みでカバーする強力な方法です。具体的な決め方はこちらの記事でくわしく解説しています。

個人でできる心の持ち方3つ

迷わずボールに飛び込んでレシーブする選手のイラスト

チームの空気がすぐには変わらなくても、自分の心の持ち方は今日から変えられます。おすすめの考え方を3つ紹介します。

迷ったら行くと先に決めておく

1つ目は、迷ったら行くと先に決めておくことです。

お見合いは、ボールが飛んでくる一瞬の迷いから生まれます。飛んできてから考えるのではなく、コートに入る前に答えを決めておけば、迷う時間そのものがなくなります。

あげば

判断を試合中にしないで、コートに入る前に済ませておくイメージだよ。

仲間とかぶってぶつかりそうで心配になるかもしれません。でも、2人とも行ってかぶるのは、2人とも見送って落とすよりずっと良い失敗です。

かぶった経験は、おたがいの守備範囲を知る材料になります。見送った失点からは、何も学べません。

遠慮は優しさではないと知る

2つ目は、遠慮と優しさを切り分けることです。

ボールをゆずるのは、一見やさしい行動に見えます。しかし、チームの目標が勝つことなら、とれるボールをとることこそ本当の貢献です。

サルくん

ゆずるのが優しさだと思ってた…。

あげば

気持ちはわかるよ。でもコートの中では、届くボールに全力で行くことが仲間への礼儀なんだ。

考えてみてください。あなたが逆の立場なら、遠慮して見送る仲間と、思い切って飛び込んでくる仲間の、どちらと一緒に戦いたいでしょうか?

コートの外の気づかいは、そのまま大切にしてください。そのうえで、コートの中だけは、遠慮を置いて入る場所だと決めてしまいましょう。

お見合いの失点は挑戦のミスより重いと考える

3つ目は、失点の重さをくらべる考え方です。

飛び込んで弾いてしまった失点と、2人で見合って落とした失点。点数は同じ1点でも、チームに残るダメージはまったく違います。

サルくん

同じ1点なのに、そんなに違うんだ…。

挑戦して失った1点は、次につながる材料になります。一方でお見合いの1点はコート全体の空気を重くして、次のお見合いを呼び込んでしまうんです。

弾いた1点は前向きな授業料、見合った1点はチームの空気を沈める失点と覚えておいてください。

この考え方が体にしみ込むと、飛び込むことへの心のハードルはぐっと下がります。迷った瞬間に思い出せるよう、練習中から意識してみましょう。

練習でできる遠慮をなくす仕掛け

練習後のふり返りで遠慮した場面を言葉にする選手とコーチのイラスト

考え方がわかったら、練習に落とし込みましょう。遠慮は頭で理解するだけでは消えず、練習の仕組みに組み込むことで少しずつほどけていきます。

ナイスチャレンジをチームの口ぐせにする

まずは、挑戦をほめる声をチームの口ぐせにする練習です。

レシーブ練習中、結果に関係なくボールに飛び込んだ選手へ、まわりが「ナイスチャレンジ!」と声をかけます。上がったかどうかは問いません。

最初は照れくさくても、続けるうちに挑戦はほめられることだと体が覚えていきます。すると、試合でも自然に1歩が出るようになるんです。

サルくん

落としてもほめてもらえるなら、思い切って行けそう!

声を出すこと自体が苦手なチームは、掛け声の種類から見直すのもおすすめです。コートで使える声かけは、こちらの記事にまとめています。

遠慮のふり返りタイムを作る

もう1つは、練習の最後に遠慮をふり返る時間を作る仕掛けです。やり方はかんたんで、3ステップで回します。

今日、遠慮してボールに行けなかった場面を1つ思い出す
なぜ行けなかったのか(誰に・何に遠慮したのか)を言葉にする
次に同じ場面が来たらどう動くかを宣言して終わる

ポイントは、遠慮した場面を責める材料にしないことです。あくまで見つけて、言葉にして、次の宣言につなげるだけにします。

遠慮は、本人も気づかないうちに体を止めています。言葉にして外へ出すだけで、次の練習から1歩の速さが変わってくるものです。

あげば

遠慮はかくすと育つけど、言葉にすると小さくなるよ。

私のスクールでも、ふり返りで「先輩に遠慮しちゃった」と口にできた選手から順に、プレーが積極的に変わっていきます。宣言した内容をまわりが覚えていて、次の練習で後押ししてくれるからです。

よくある質問

お見合いしてしまった直後、仲間にどんな態度をとればいいですか?

責める言葉やため息はさけて、「次は自分が行くね」と役割を先に決め直すのがおすすめです。
原因探しは練習後のふり返りに回し、その場では切り替えを最優先にしてください。

消極的な性格の子でも、ボールに行けるようになりますか?

なります。遠慮の多くは性格ではなく、ミスを責められる空気への反応です。
挑戦をほめる声かけと、迷ったら行くという事前の約束をセットにすると、少しずつ1歩が出るようになります。

ミスを責めない方針にすると、チームの緊張感がなくなりませんか?

なくなりません。責めないのは、飛び込んで届かなかった挑戦のミスだけです。
構えや集中を欠いた準備のミスは理由を分けてきちんと直すことで、ゆるさと厳しさを両立できます。

指導者が厳しくて、チームの空気を変えるのが難しい場合は?

まずは隣を守る仲間と2人だけで「おたがい遠慮しない」と約束するところから始めてみてください。
小さな約束でも、2人の間のお見合いは目に見えて減っていきます。

まとめ

レシーブのお見合いは、技術不足ではなく遠慮という心理から生まれます。だからこそ、練習量よりも先に、チームの空気と心の持ち方を整えることが近道です。

原因ごとの対策を表で整理します。

遠慮の原因効く対策
ミスを責められる空気挑戦のミスと準備のミスを分け、挑戦はほめる
上級生への遠慮上級生から「どんどん来ていい」と先に伝える
自信のなさ迷ったら行くと先に決め、行く回数を増やす

大事なのは、遠慮は性格ではなくチームの空気が作るもので、その空気は今日から変えられるということです。

サルくん

遠慮しないことが、仲間への本当の礼儀なんだね!

あげば

その通り。みんなで空気を作って、全員がボールに飛び込めるチームになろう!

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

レシーブについては他にも記事を書いています。
気になるテーマがあればぜひ読んで、参考にしてもらえたら嬉しいです♪

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この記事を書いた人

バレーボール・ビーチバレーボール元日本代表。
バレーボールスクールを10年間運営。

【保有資格】
日本スポーツ協会公認バレーボールコーチ4

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