- 声を出さなきゃと思うのに、のどから言葉が出てこない
- 何と言えばいいのかわからず、黙ってボールを目で追ってしまう
- 声が小さいと注意されるたびに、コートに立つのがつらくなる
こんな悩みを解決します。
バレーで声が出せない人がまずやることは、言う言葉を1つだけ決めて、近くの1人に向けて、ボールが来る前に言うことです。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
10年以上スクールで中高生を指導してきましたが、声が出ない選手の多くは、性格が引っ込み思案なのではありませんでした。何を言えばいいのかを教わっていないだけだったんです。
声かけは気合いを見せるためのものではありません。味方に動いてもらうための情報を、短い言葉で渡す技術です。
ぜひこの記事を参考にしてみてください。
- 声が出せなくなる理由が整理できる
- 明日の練習から使える3ステップが身につく
- 場面ごとに使う短い言葉と、練習の進め方がわかる
それでは、くわしく見ていきましょう。
結論:声は気合いではなく情報を渡す技術

先に結論からお伝えします。声が出せない状態から抜け出すために必要なのは、大きな声ではなく、決まった短い言葉です。
- 言う言葉を1つだけ決めておく
- コート全体ではなく、近くの味方1人に向けて言う
- ボールに触る前、つまり早いタイミングで言う
サルくん大きい声を出さないと、やる気がないと思われませんか?



声の大きさより、いつ何を言うかのほうがずっと大事なんだ。
情報が伝わる声は、短くて早い声です。長い言葉やあいまいな言葉は、味方が動く前に終わってしまいます。
たとえば「はい」の2文字は、自分がとるという情報を1秒かからずに渡せます。周りはその瞬間からカバーの準備に入れます。
声かけは性格の問題ではなく、練習で身につく技術です。ここからは、出せなくなる理由 → 3ステップ → 場面別の言葉 → 練習の順に見ていきます。
声が出せなくなる3つの理由
原因がわかると、直す場所も決まります。私の指導現場で多かったのは、次の3つでした。
理由①:恥ずかしさが先に立つ
いちばん多いのが、自分の声がコートに響くのが恥ずかしいという気持ちです。人前で声を出す経験そのものが少ない選手ほど、この壁は高くなります。



声ハ慣レル前ハ誰デモ恥ズカシイ
大切なのは、恥ずかしさをなくそうとしないことです。恥ずかしいまま出せる小さな声から始めれば、それで十分に情報は届きます。
慣れていない時期は、自分の声だけが大きく響いているように感じます。実際には周りは自分のプレーで精一杯で、そこまで聞いていません。
はじめの数回さえ越えれば、体が勝手に反応するようになります。1回目のハードルがいちばん高いだけなんです。
理由②:何を言えばいいのかわからない
2つ目は、言葉のストックがないパターンです。声を出せと言われても、言う内容を知らなければ口は動きません。
コートで使う言葉は、実はそれほど多くありません。自分がとる・任せる・落下点を教える、この3種類でほとんどの場面は足ります。
言う内容が決まっていないうちは、頭の中で言葉を探している間にボールが来てしまいます。だから先に言葉を決めておくほうが先なんです。
よく使う掛け声は、こちらの記事にまとめています。
理由③:間違えたら怒られると思っている
3つ目は、判断を間違えるのが怖いという気持ちです。自分がとると言ったのに落としたら、と考えると声は止まります。
ですが、どちらもとれるボールは、先に声を出して動き出した人がとるのが原則になります。黙って譲り合うほうが、味方の間に落ちる回数は増えていきます。
もう1つの原則は、ボールが近づいてくる側の人がとるという考え方です。遠ざかりながらとる形は体勢が苦しく、面が安定しません。



間違えるのが怖くて黙っていたけど、黙るほうが落ちるんですね…。



そうなんだ。声は正解を宣言するものじゃなくて、味方に動いてもらう合図だからね。
恥ずかしいを抜ける3ステップ


ここが記事の中心です。順番に進めれば、練習1回ごとに出せる場面が増えていきます。
ステップ1:今日使う言葉を1つだけ決める
最初にやるのは、言葉を絞ることです。全部の場面で声を出そうとするから、どれも出せなくなります。
たとえば今日は「はい」だけ、と決めてしまいます。自分がとるボールに対してだけ言うルールなら、迷う時間もありません。
言葉を1つに絞ると、成功したかどうかも自分で数えられます。10本のうち何本で言えたかを数えると、上達が目に見えてきます。



1つだけでいいなら、できそうな気がします!



それでいいんだ。1つ言えるようになったら、次の言葉を足していこう。
ステップ2:近くの味方1人に向けて言う
次は、声を届ける相手を決めます。コート全体に届かせようとすると、どうしても大きな声が必要になります。
隣の1人に届けばいい、と考えれば声量の問題は消えます。相手の名前を短く呼んでから言うと、さらに伝わりやすくなります。
守備範囲が重なる相手は、たいてい両隣の2人です。この2人と話ができていれば、コートの大半の場面は回っていきます。
練習前に「間のボールはお互い声を出そう」と一言決めておくのも有効です。約束があると、出しそびれた時に気づけるようになります。
ステップ3:ボールに触る前に言い切る
最後はタイミングです。触ってから言う声は、報告になってしまい味方は動けません。
ボールが自分の方向へ来ると判断した時点で言い切ります。早い声ほど、味方の準備は整っていきます。



触ル前ノ声ダケガ情報ニナル
具体的には、相手がサーブやスパイクを打った直後が目安になります。ここで言えると、味方はカバーに入る時間を作れます。
場面別に使う短い言葉
言葉のストックがあると、口は動きやすくなります。よく使う場面と言葉を整理しました。
| 場面 | 言葉の例 | 目的 |
|---|---|---|
| 自分がとる時 | はい・自分 | 味方に譲ってもらう |
| 味方にまかせる時 | お願い・任せた | 迷いをなくす |
| 落ちそうな時 | 前・後ろ | 落下点の情報を渡す |
| ミスの後 | 次いこう・切り替え | 空気を止めない |
どれも2文字から5文字ほどです。短い言葉ほど早く言えて、届く速さも上がります。
長い指示は、伝え終わる前にプレーが終わってしまいます。細かい確認は、ラリーが切れてからで十分に間に合うものです。



「もっと前で構えたほうがいいよ」みたいな話は、あとでいいんですね。



そのとおり。ラリー中は短い言葉、切れたら会話、と分けておこう。
とくに味方との間に落ちるボールは、声で解決できる場面が多くあります。境目の考え方は、こちらで解説しています。
やりがちな3つの失敗
出し始めた時期にありがちなつまずきも知っておくと、続けやすくなります。
失敗①:大きさだけを意識してしまう
まず多いのが、とにかく大声を出そうとする形です。声量に意識が向くと、内容が抜けて意味が伝わりません。



声は出しているのに、味方が動いてくれなくて…。



それは大きさではなく、中身のほうを変えるサインだね。
声を出しているのに伝わらない時は、内容が「気持ち」になっていることが多いものです。動き方が変わる情報かどうかで見直してみてください。
失敗②:ボールに触ったあとに言う
2つ目は、タイミングが遅れる形です。触ったあとの声は、味方にとって新しい情報になりません。
言うのは動き出しと同時が理想になります。動きながら言う練習を重ねると、自然と早くなっていきます。
失敗③:命令口調になってしまう
3つ目は、指示が強くなりすぎる形です。責める言い方は、言われた側の動きを固くします。
伝えたいのは事実だけで十分です。前、後ろ、はい、といった短い言葉なら、感情が乗りにくくなります。
声は責めるためではなく、動いてもらうために出すと考えると、口調は自然と落ち着きます。
声が出ると自分のプレーも変わる
声かけは味方のためだけのものではありません。自分の準備を整えるスイッチにもなります。
「はい」と言った瞬間に、自分がとると決まります。決まってから動く選手は、迷いながら動く選手より一歩目が速くなります。
逆に黙ったままだと、行くか行かないかを考えながら足を出すことになります。この迷いが、届いたはずのボールを落とす原因です。



声って、自分のためでもあったんですね!?



そうなんだ。口に出すと決まるから、体が先に動いてくれるんだよ。
集中が切れやすい人にも、声は効きます。言葉を出すたびに意識が次の1本へ戻るので、ミスの直後でも立て直しやすくなります。
声が自然に出るようになる練習
最後に、練習での積み上げ方をまとめます。1人でできるものから始めれば、無理なく続けられます。
1つ目は、声とタイミングを結びつける練習です。触る前に言い切るルールを守れば、テンポは自然に体へ入っていきます。
2つ目は、いちばん実戦に近い形になります。境目のボールは判断が必要なので、声を出す価値がはっきり感じられます。
3つ目は、チームの空気を作る練習です。ミスの直後に一言あるだけで、次の1本への切り替えは早くなります。
どの練習も、上手にやろうとしなくて大丈夫です。回数を重ねるほど、考えずに口が動く場面が増えていきます。
数日で変わるものではないので、1か月ほど同じルールで続けてみてください。声を出す前の一瞬のためらいが、少しずつ短くなっていきます。



練習の中で決めておけば、試合でも出せそうです!



そのとおり。試合で急に出せる声はないから、練習で回数を積んでおこう。
ミスを引きずってしまう人は、切り替えの考え方もあわせて読んでみてください。
よくある質問
まとめ:小さくても早い声から始める
最後に要点をふり返ります。声が出せない状態から抜け出す近道は、言葉を1つに絞り、近くの1人へ早めに言うことです。
| つまずき | 変えるところ | 具体的な行動 |
|---|---|---|
| 恥ずかしくて出ない | 届ける範囲 | 隣の味方1人にだけ言う |
| 何を言うか迷う | 言葉の数 | 今日使う言葉を1つに決める |
| 味方が動かない | タイミング | ボールに触る前に言い切る |
私は元日本代表として多くのチームを見てきましたが、強いチームほど声は短く早いものでした。大きさを競う声ではなく、次の動きを作る声が飛び交っています。



明日の練習は「はい」だけに決めて出してみます!



いいね。1つ出せた日は、それだけで十分な前進だよ。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
メンタルについては他にも記事を書いています。
気になるテーマがあればぜひ読んで参考にしてもらえたら嬉しいです♪
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