- ボールと体の動きが噛み合わない選手を、どう伸ばせばいいかわからない
- 運動が苦手な子に、技術練習の前に何をさせればいいか迷う
- コーディネーショントレーニングという言葉は知っているが、バレー用のドリルが見つからない
こんな悩みを解決します。
いわゆる運動神経は、ボールを使った遊びのようなドリルで後から育てられる、動きの引き出しの多さです。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
10年以上スクールを運営してきた経験から、ボールに合わせて体を動かす力は、技術練習より前に育てるほど後の伸びが大きいと感じています。
反応して、止まって、コントロールする。バレーの動きの土台は、コーディネーショントレーニングでそのまま鍛えられます。
ぜひこの記事を参考にしてみてください。
- コーディネーション7つの能力とバレーの場面の対応がわかる
- 1人用・2人組それぞれ5種、計10種のドリルがわかる
- 練習への組み込み方と年代別の注意点がわかる
それでは、詳しく見ていきましょう。
結論:コーディネーションは「動きの引き出し」を増やす練習
先に結論からお伝えします。コーディネーショントレーニングとは、見る・判断する・動くを素早くつなぐ力を、遊びに近いドリルで育てる練習法です。
生まれつきの才能ではなく、経験した動きの種類が多いほど育つ力です。だからこそ、指導者がドリルとして計画的に与えられます。
運動神経は才能ではなく、経験した動きの引き出しの数で決まる。
れおコーチ不器用な子には、才能がないのかなと思っていました…。



才能じゃなくて経験の差だよ。引き出しは、練習で後からいくらでも増やせるんだ。
バレーは、自分に向かってくるボールに360度どの方向へも反応して触るスポーツです。ボールに合わせて体を運ぶ力が、すべての技術の下敷きになります。
だからコーディネーショントレーニングは、初心者だけでなく、伸び悩んでいる中級者にも効果的です。
私の指導現場でも、パスの形を直す前にボールへの入り方のドリルを挟む方が、結果的に早く安定する選手が多いと感じています。
コーディネーション7つの能力とバレーの場面
コーディネーション能力は、7つに分けて考える方法が広く使われています。バレーの場面と対応させると、狙いがはっきりします。
| 能力 | 内容 | バレーの場面 |
|---|---|---|
| 定位 | ボールや人との距離感をつかむ | 落下点に入る |
| 反応 | 合図に素早く動き出す | レシーブの1歩目 |
| 変換 | 状況に合わせ動きを切り替える | イレギュラーへの対応 |
| リズム | 動きのタイミングをつかむ | スパイク助走 |
| バランス | 崩れた体勢を立て直す | 空中動作・着地 |
| 連結 | 複数の動きをなめらかにつなぐ | 移動しながらのパス |
| 識別 | 道具や力加減を細かく操作する | ボールタッチの力加減 |
7つすべてを別々に鍛える構成にしなくても大丈夫です。1つのドリルに複数の能力が混ざっているのが普通なので、表は狙いをチェックする地図として使ってください。
選手のプレーを見て、落下点に入るのが遅いなら定位系、1歩目が遅いなら反応系、というように弱い場面から逆算してドリルを選ぶと、練習の狙いがぶれません。



1ツノ ドリルニ ノウリョク 3ツ 4ツ



レシーブの1歩目も、助走のタイミングも、全部ここに入るんですね。



そうだよ。技術練習の前に、この土台があるかどうかで吸収の速さが変わるんだ。
なぜコーディネーションがバレーに効くのか
バレーの動きの正体を分解すると、コーディネーショントレーニングの狙いが見えてきます。
理由①:バレーは反応→ストップ→コントロールのくり返しだから
バレーのプレーは、反応して、止まって、ボールをコントロールする、という流れのくり返しです。
技術練習で教えられるのは、最後のコントロールの部分が中心です。その前の反応と止まる動きが弱いと、いくらパス練習をしても安定しません。
パスが乱れる原因の多くは、手ではなくボールへの入り方にある。
コーディネーショントレーニングは、この反応と止まるの部分を、ボール遊びの形で集中的に鍛えられます。
理由②:目の高さを保ってボールに入る力が育つから
ボールコントロールの基本は、できるだけ目の高さを変えず、少ない動きで落下点に入ることです。
体が上下に揺れながらだと、ボールとの距離感がつかみにくくなります。落下点キャッチのようなドリルで、静かに速く移動する感覚を体で覚えさせましょう。
高いボールは落ちてくるまで待ち、速い低めのボールは下半身を安定させて受ける。この使い分けも、ドリルの中で条件を変えながら経験させると身についていきます。



上手い選手ほど、頭が揺れずにスッとボールの下に入るんだよね。
この力は、サーブレシーブでもスパイク助走でも、あらゆる場面の土台になります。
1人でできるコーディネーションドリル5選
まずは1人でできるドリルです。ボール1〜2個あれば、家でも体育館の隅でもできます。
①投げ上げ手拍子キャッチ:反応と定位
ボールを真上に投げ、落ちてくるまでに手拍子を3回してキャッチします。慣れたら回数を増やす、床タッチを挟む、と難易度を上げます。
ボールから一瞬目を離しても落下点を予測できる力が育ちます。10回連続を目標にしましょう。
キャッチはおでこの上あたりで、と位置も決めておくと、オーバーハンドパスの形づくりも同時に進みます。
②体まわしキャッチ:識別と連結
ボールを腰や首の周りで回し、合図で頭上に投げ上げてキャッチします。右回り・左回りの両方を行います。
ボールを手のひらで転がすように扱うので、ボールタッチの細かい力加減が育ちます。30秒間で何回まわせたかを数えると、上達が目に見えます。
③片足バランスキャッチ:バランス
片足立ちのまま、自分で投げ上げたボールをキャッチします。軸足を替えて左右均等に行い、慣れたら目線の高さを保ったまま軽く膝を曲げて行います。
崩れた体勢から立て直す力は、着地や切り返しの安定につながります。左右各10回をワンセットの目安にしてください。
④ワンバウンド振り向きキャッチ:変換
ボールを前に投げてワンバウンドさせ、その間に1回転してキャッチします。回転の向きを左右で切り替えます。
視界からボールが消えても位置を予測し続ける練習で、イレギュラーな球への対応力が育ちます。
⑤リズムステップパス:リズムと連結
サイドステップやケンケンで移動しながら、直上に軽くボールを上げ続けます。足のリズムと手の動きを別々にコントロールする練習です。
移動しながらのボールタッチは、実戦の乱れたボールの処理に直結します。



どれもボール1個でできるから、待ち時間の課題にも使えますね!



そのとおり。順番待ちの列で立っている時間を、この5種に置き換えられるよ。
2人組でできるコーディネーションドリル5選
次は2人組のドリルです。相手がいる分、反応の要素が強くなります。
⑥合図反応キャッチ:反応
向かい合って立ち、投げ手が「右」「左」と声を出しながらボールを転がしたり投げたりします。受け手は合図に反応して動き、キャッチします。
1人10球で交代し、キャッチできた数を数えます。声と逆に投げるいじわるルールにすると、見て判断する力がさらに鍛えられます。
キャッチの姿勢も指定しましょう。腰を落として体の正面でキャッチと決めると、そのままレシーブの構えの練習になります。
⑦背中合わせパス:連結と識別
背中合わせに立ち、頭上と股下を通してボールを受け渡しします。上→下→上とリズムよく回し、30秒で何周できるかを競います。
見ないで相手の手にボールを渡すので、手の感覚と力加減が磨かれます。慣れたら左右の脇腹を通す横回しに切り替え、ひねりの動きも加えましょう。



ペア対抗にしたら、すごく盛り上がりそうです!



競争にすると、動きが自然と速く正確になっていくよ。
⑧ミラードリル:反応と変換
向かい合い、リーダーの動き(サイドステップ・しゃがむ・ジャンプ)を鏡のようにまねします。30秒で交代し、2〜3往復行います。
相手の動きを見て即座に体を切り替える練習で、ブロックやディフェンスの反応の土台になります。
リーダー役には、相手をだますフェイントの動きも認めると、判断の要素が濃くなります。
⑨2個ボール交換:識別と定位
2人が同時にボールを投げ合い、相手のボールをキャッチします。片方は山なり、もう片方はワンバウンドとずらすと難易度が上がります。
まずは連続10回ノーミスを目標にします。2つのボールを同時に視野へ入れる経験は、ボールと相手を同時に見る試合の目の使い方につながります。
⑩数字コールキャッチ:識別と判断
投げ手がボールを投げると同時に指で数字を出し、受け手はキャッチする前にその数字を声に出します。
ボール以外の情報を見ながらプレーする練習です。レシーブしながら相手コートを見る、という実戦の目線配分の入り口になります。
慣れてきたら、キャッチをオーバーハンドパスやアンダーハンドパスでの返球に置き換えると、技術練習への橋渡しになります。



ボール ミナガラ アイテモ ミル



遊びに見えて、試合の動きにちゃんとつながっているんですね。
こうしたドリルはアップと組み合わせると効果的です。遊びアップ10選とセットで練習の前半に置いてみてください。
練習への組み込み方と年代別の注意点
コーディネーショントレーニングは、量より頻度が大事です。週1回20分より、毎回の練習に10分ずつ入れる方が効果的です。
- アップ後の10分をコーディネーション枠にする
- 1回のメニューは2〜3種目にしぼる
- 同じ種目でも条件を少しずつ変えて飽きさせない
神経系の動きの学習は、小学生から中学生の時期に特に伸びやすいと言われています。この年代には、重い器具を使う筋力トレーニングよりも、こうした動きづくりを優先しましょう。
中学年代までは、重さを扱う筋トレより動きの引き出しを増やすことを優先する。
高校生以上や大人のチームでも、動きが固い選手の矯正メニューとして十分に機能します。年齢で諦めることはありません。
大人数のチームなら、体育館の壁際やコート外にコーディネーション枠を作り、班ごとに回すと待ち時間がなくなります。ボールが少なくても回せるのも、この練習の良いところです。



順番待ちの列が、いつも練習の悩みだったんです…。



待ち時間こそコーディネーションの出番。列に並ぶ時間を全部ドリルに変えられるよ。
できたかどうかの判定は、厳密にしすぎないのがコツです。昨日より1回多くできた、を褒める運用にすると、苦手な子も前向きに続けられます。



最初はできなくて当たり前。できた回数を数えて褒めてあげてね。



指導者の方からよく聞かれる質問をまとめたよ。
コーディネーショントレーニングのよくある質問
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まとめ:動きの引き出しが技術の伸びを決める
コーディネーショントレーニングは、反応・定位・バランスといった、技術の下敷きになる力をボール遊びの形で育てる練習です。
| 目的 | おすすめドリル | 目安 |
|---|---|---|
| 落下点に入る力 | 投げ上げ手拍子キャッチ | 連続10回 |
| 反応の1歩目 | 合図反応キャッチ・ミラードリル | 30秒×3本 |
| 体勢の立て直し | 片足バランスキャッチ | 左右各10回 |
| 目線の配分 | 数字コールキャッチ | 10球×2セット |
毎回の練習に10分。動きの引き出しが増えるほど、技術練習の吸収が速くなる。
私は元日本代表として、器用さは練習で変えられることを多くの選手から教わってきました。
まずは次の練習のアップ後に、2種目だけ入れてみてください。



明日は投げ上げキャッチとミラードリルから始めます!



いいね。数週間後のボールへの入り方が楽しみだよ。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
バレーの指導・チーム運営については他にも記事を書いています。
気になるテーマがあればぜひ読んで参考にしてもらえたら嬉しいです♪
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