- アップが単調で、練習の入りの空気がいつも重い
- 走り込み中心のアップで、選手の表情がどんどん暗くなる
- 遊びを入れたいが、ふざけて収拾がつかなくなるのが怖い
こんな悩みを解決します。
アップは、鬼ごっこなどの遊びで心拍数を上げながら、バレーに大切な反応と足さばきを仕込む時間に変えられます。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
10年以上スクールを運営してきた経験から、最初の10分の空気がその日の練習全体の質を左右すると感じています。
笑いながら全力で走った後の選手は、その後の技術練習でも思い切った挑戦をしてくれます。
ぜひこの記事を参考にしてみてください。
- 明日から使える鬼ごっこ系・ボール系の遊びアップ10種がわかる
- 遊びをバレーの動きにつなげる声かけのコツがわかる
- ふざけと事故を防ぐ運営ルールがわかる
それでは、詳しく見ていきましょう。
結論:アップは「遊び×バレーの動き」で組む
先に結論からお伝えします。アップの目的は、体を温めることだけではありません。
心拍数を上げ、反応・方向転換・低い姿勢といったバレーの動きを、遊びの形で体に入れる時間です。
- 全員が止まらずに動き続けている
- 軽い勝ち負けがあって夢中になれる
- バレーにつながる動きが入っている
れおコーチアップの時間、みんな義務みたいな顔で走っていて…。



アップは遊びでいいんだよ。夢中で走れば、体は勝手に温まるからね。
アップのゴールは、汗ばむ・息が弾む・笑顔が出るの3つがそろうこと。
同じ10分でも、列に並んでジョギングするのと、鬼ごっこで全力の切り返しをくり返すのとでは、体の温まり方も心の温まり方もまったく違います。
この記事では、鬼ごっこ系5種とボールを使う遊び5種、あわせて10種を紹介します。
なぜ遊びのアップがチームを強くするのか
遊びアップは、単なる雰囲気づくりではありません。体と心の両面に、はっきりした狙いがあります。
体の理由:心拍数を上げて動ける体にする
バレーは、短いダッシュとストップをくり返す競技です。心肺の力が弱い選手は、練習や試合の後半でプレーの正確さがガクッと落ちます。
鬼ごっこは、追う・逃げる・切り返すの連続で、自然と心拍数が上がった状態で動き続けることになります。走り込みと違って、本人はきつさをあまり感じません。



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体が温まってから技術練習に入ることは、肉離れや捻挫といったケガを防ぐうえでも大切です。
心の理由:楽しい入りが集中と挑戦を生む
私の指導現場でいちばん避けたいのは、練習がきつくてバレーそのものを嫌いになってしまうことです。
練習の入り口で笑顔を作れれば、その日の練習全体が前向きになる。
最初に声を出して笑った選手は、その後の技術練習でも積極的に声が出ます。心の準備運動としても、遊びアップは理にかなっているんです。



アップで声が出ると、その後も声が出やすいのは実感があります。



そうだよね。最初の10分は、体と心の両方のスイッチを入れる時間なんだ。
鬼ごっこ系の遊びアップ5選
まずは、ボールを使わない鬼ごっこ系です。体育館半面〜1面で、そのまま使えるルールにしてあります。
①しっぽとり鬼:低い姿勢の足さばきを作る
腰にタオルやビブスを挟み、おたがいのしっぽをとり合う定番の鬼ごっこです。
しっぽを守るには、腰を落として相手と正対する動きが増えます。これはそのままレシーブの構えの足さばきです。
声かけ例は「腰を落として守ろう!」。姿勢が高い選手ほど、すぐしっぽをとられることに本人が気づきます。
人数が多いチームは、半面に10人前後ずつ分けて同時に行うと、運動量が落ちません。
②手つなぎ鬼:仲間との連動を作る
鬼にタッチされた人は、鬼と手をつないで一緒に追いかけます。鬼がどんどん増えていく形式です。
2人・4人とつながるほど、声をかけ合わないと追い込めません。「右に回って!」といった短い声かけが自然に生まれます。



声かけは気合いじゃなくて、情報を伝える技術。遊びの中で練習できるよ。
③ジャンケンダッシュ:反応の速さを磨く
センターラインを挟んで2人1組で向かい合い、ジャンケンをします。負けたら自陣のエンドラインへ逃げ、勝った人が追いかけてタッチを狙います。
勝ち負けを判断して、追うか逃げるかを瞬時に切り替える練習です。判断して動き出すまでの速さは、レシーブの1歩目に直結します。
あいこの時は動かないルールにすると、フライング(早く動きすぎる失敗)が減り、見てから動く習慣がつきます。
④ライン鬼:ラインを意識した足の運び
コートのラインの上だけを移動できる鬼ごっこです。鬼も逃げる側も、ラインから外れたらその場で3秒停止します。
ラインを見ながら走るので、自然と足元と周囲の両方に目を配る練習になります。コートのラインの位置を体で覚える効果もあり、初心者の多いチームにおすすめです。
⑤増え鬼:短時間で全員の運動量を確保する
タッチされた人が次々と鬼になり、最後の1人まで逃げ切れるかを競います。1回1〜2分で決着がつくので、テンポよく数回まわせます。
全員が「追う」と「逃げる」の両方を経験でき、運動量のばらつきが出にくいのが長所です。



どれも道具いらずで、明日からすぐできますね!



まずは1つ、練習の頭に1分だけ入れてみるといいよ。
ボールを使う遊びアップ5選
次は、ボールを使う遊びです。体を温めながら、ボールに合わせて動く感覚も一緒に温めます。
⑥転がしドッジ:ボールから目を切らない習慣
コーチや選手が床にボールを転がし、コート内の選手は当たらないようにかわし続けます。ボールを2〜3個に増やすと難易度が上がります。
ボールを見ながら別の方向へ動く経験は、レシーブでボールと味方の両方を見る力の土台になります。
⑦ボール集め競争:ダッシュと切り返しをくり返す
コート中央にボールを10個ほど置き、2チームに分かれて自陣のカゴへ1個ずつ運びます。制限時間内に多く集めたチームの勝ちです。
1個ずつしか運べないルールにすると、ダッシュと切り返しを何往復もくり返すことになり、短時間で心拍数が上がります。



ハコブノハ 1カイ 1コ ダケ
⑧落下点キャッチ競争:ボールの下に入る感覚を作る
コーチがボールを高く投げ上げ、名前を呼ばれた選手が床に落ちる前にキャッチします。慣れてきたら、ワンバウンドもさせずおでこの前でキャッチ、と条件を上げます。
高いボールの落下点に素早く入る動きは、オーバーパスやサーブレシーブの入り方そのものです。
キャッチする位置も指定しましょう。胸の前で抱えるのではなく、おでこの上あたりで両手キャッチと決めると、オーバーパスの形づくりにつながります。
遊びのキャッチでも、ボールの落下点に入る力はしっかり育つ。
⑨背中挟みリレー:2人の息を合わせる
2人1組で背中の間にボールを挟み、手を使わずにコートを往復するリレーです。落としたらその場で挟み直して再スタートします。
速く進むには、2人の歩幅と声をそろえるしかありません。ペアの息を合わせる遊びは、チームの雰囲気づくりにも効きます。
⑩壁パスリレー:アップの仕上げにボールタッチを増やす
チームに分かれ、1人が壁パスを10回続けたら次の人に交代するリレーです。オーバーハンドとアンダーハンドを指定して切り替えます。
体が温まった状態でボールタッチを増やせるので、アップから技術練習への橋渡しにちょうどいい種目です。
壁パスの回数は、初心者の上達の目安にもなります。1年生なら、まずオーバー・アンダー各20回を目標にすると励みになります。



アップの最後にボールを触れると、そのまま練習に入りやすいですね。



そう。遊び→ボール→技術練習と、階段のようにつなぐのがコツだよ。
時間の短いチームは、アップと基礎練習を兼ねるこうした種目が特に役立ちます。短時間練習の組み方もあわせて参考にしてください。
遊びアップの運営ルール:ふざけと事故を防ぐ
遊びアップが失敗する原因のほとんどは、種目選びではなく運営にあります。次の4つを決めておきましょう。
- 時間で区切る(1本1〜2分・全体で10〜15分)
- 笛や合図で一斉に止まる約束を最初に作る
- 負けた側に罰の走り込みをさせない
- エリアを区切り、モップがけで床の汗を管理する
特に大事なのが、負けを罰にしないことです。罰走をつけると、遊びが一気に苦しい時間に変わり、わざと手を抜く選手も出てきます。
勝ちは軽く称え、負けは笑って次へ。罰走はつけない。
安全面では、衝突がいちばんのリスクです。人数に対してエリアが狭いと事故が起きやすいので、鬼ごっこ系は半面から始めて広さを調整してください。
後ろ向きに走る動きは転倒につながりやすいので、逃げる時も進行方向を向く、というルールも最初に伝えておくと安心です。



盛り上がりすぎて、止まらなくなりそうで心配です…。



だから最初に「笛が鳴ったら3秒で集合」を遊びとして練習しておくんだ。
集合の速さ自体をチーム対抗のゲームにしてしまうと、切り替えの習慣が楽しく身につきます。
遊びアップのよくある失敗と直し方
私の指導現場やスクールの見学先で、よく見かける失敗を3つ挙げます。
失敗①:盛り上がりすぎて時間が延びる
楽しいほど「もう1回!」の声が出ますが、延長すると技術練習の時間が削られます。
直し方はシンプルで、始める前に「今日は3本だけ」と回数を宣言することです。少し物足りないくらいで切り上げると、次の練習でも熱が続きます。
失敗②:同じ子ばかり鬼になる・勝つ
足の速い子が勝ち続けると、苦手な子の楽しさが消えていきます。同じ選手ばかりが主役になる状態が続くと、運動が得意でない選手ほど遊びの輪から静かに外れていきます。
そこで、力の差を運営でならしてしまいましょう。
- 鬼を指名制にして全員に順番で回す
- ペアやチームを毎回組み替える
- ハンデをつける(鬼はスキップで移動など)
どれも1分もかからない調整ですが、勝敗の偏りはこれだけでかなり減ります。足の速さで決まらないルールにすると、体の小さい選手や1年生にも活躍の場が生まれます。
失敗③:遊びで終わってバレーにつながらない
遊びアップの価値は、バレーの動きと結びつけて初めて出ます。
遊びの後に「今の低い姿勢がレシーブの構えだよ」と一言つなげる。
この一言があるかないかで、同じ遊びの練習効果は大きく変わります。遊びの中で良い動きをした選手を、その場で名前を挙げて褒めるのも効果的です。



できていないところより、できたところを先に褒める。入り口ではそれが一番効くんだ。



指導者の方からよく聞かれる質問をまとめたよ。
バレーの遊びアップについてよくある質問
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まとめ:楽しいアップはチームの土台になる
遊びアップは、体を温めながら、反応・足さばき・声かけ・雰囲気まで一度に育てられる、コスパの高い時間です。
| 種目タイプ | 代表例 | 主な狙い |
|---|---|---|
| 鬼ごっこ系 | しっぽとり鬼・増え鬼 | 心拍数・低い姿勢・切り返し |
| 反応系 | ジャンケンダッシュ・転がしドッジ | 見てから動く1歩目 |
| ボール系 | 落下点キャッチ・壁パスリレー | 落下点に入る・ボールタッチ |
| ペア系 | 手つなぎ鬼・背中挟みリレー | 声かけ・連動 |
アップの合言葉は、汗ばむ・息が弾む・笑顔が出る。罰走はつけない。
私は元日本代表として多くのチームを見てきましたが、強いチームほど練習の入りが明るく、全員が動いています。
まずは次の練習で、1種目だけ取り入れてみてください。



明日はしっぽとり鬼から始めてみます!



いいね。先生も一緒に走ると、もっと盛り上がるよ。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
バレーの指導・チーム運営については他にも記事を書いています。
気になるテーマがあればぜひ読んで参考にしてもらえたら嬉しいです♪
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