- 初心者のオーバーパスが、キャッチみたいになってしまう
- ホールディングの反則が怖くて、持たせる練習をためらっている
- ダメと注意するほど、指先で弾く危ないパスになっていく
こんな悩みを解決します。
初心者のオーバーパス練習は、正しい位置と手の形で、いったんわざとボールを持たせるところから始めるのが結局いちばんの近道です。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
10年以上スクールを運営してきた経験から、キャッチ癖は悪い癖ではなく、正しいフォームに向かう途中の通過点だと考えています。
持たせて形を作り、持つ時間を少しずつ短くしていく。この順番なら、突き指の恐怖もホールディングの癖も同時に解消できます。
ぜひこの記事を参考にしてみてください。
- キャッチ癖を叱らずに直す5ステップのドリルがわかる
- 上達に直結する正しい手の形と迎える位置がわかる
- ホールディングとの付き合い方と声かけの基準がわかる
それでは、詳しく見ていきましょう。
結論:キャッチ癖は禁止ではなく「持たせて」直す
先に結論からお伝えします。キャッチを禁止して直そうとするのは、遠回りです。
初心者がキャッチしてしまうのは、正しい位置で正しい形を作る時間が足りないからです。ならば、その時間をわざと与えてしまえばいい、というのがこの練習法の考え方です。
わざと持たせて正しい形を覚えさせ、持つ時間を少しずつゼロに近づける。
れおコーチキャッチはダメ!と注意し続けていました…。



禁止すると、形ができる前に指先で弾くようになる。それが突き指と手荒れの原因なんだ。
正しいフォームからはミスが起きにくくなります。逆に、間違った形のまま回数だけ重ねても、努力の方向がずれているので大きな成果は出ません。
私の指導現場でも、初心者にはまずキャッチから入らせて、形が見えてきた子から順に持つ時間を縮めています。
最初に形を固める。この順番を守るだけで、その後の伸びがまるで変わります。
なぜ持たせる練習がハンドリングに効くのか
持たせる練習の狙いは、大きく2つあります。
理由①:正しい形を体で覚える時間を作れるから
飛んでくるボールを弾き返しながら、手の形も直す。初心者にとって、これは2つの難題を同時に解くようなものです。
いったんキャッチさせれば、ボールが止まった状態で手の形をゆっくり整えられます。指導者も、その場で手の形を見て直せます。



トマッタ ボールナラ カタチヲ ナオセル
形が身についてから持つ時間を削っていけば、難題を1つずつ順番に解くことになり、習得が速くなります。
理由②:突き指の恐怖を取り除けるから
初心者が指を反らせて危ない受け方をする一番の理由は、ボールへの恐怖です。怖いから、体から遠い位置で早く手を出してしまいます。
包み込んでキャッチする経験を重ねると、ボールは正しく触れば痛くないと体が理解していきます。そこまで来れば、あとは自然とボールを引きつけて待てるようになるんです。



痛くない、を先に教えてあげるんだ。
怖がりの子には、柔らかいボールや軽量球から始めても構いません。使うボールの号数は、小学生なら軽量4号、中学生なら4号が基準です。
恐怖が消えて、ボールを待てるようになることが、ハンドリング上達の入り口。



たしかに、怖がっている子ほど手が先に出ていきます。



そうなんだ。だから最初は、軽いボールや近い距離で恐怖を減らしてあげよう。
先に教えたい正しい手の形と迎える位置
ドリルに入る前に、キャッチさせる時の形を指導者が押さえておきましょう。ここがずれたまま持たせると、間違った形が固まってしまいます。
手の形:三角形を作り、押すのは3本の指と付け根
手は、ボールを包み込むように三角形を作ります。親指どうし・人差し指どうしの間は、手の大きさに応じて2〜4cmほど空くのが目安です。
ボールを押すのは、親指・人差し指・中指の3本と、その3本の指の付け根。指先だけで当てるのではなく、付け根まで含めて押し出させます。薬指はボールの丸みにそっと添え、小指はほとんど触れないことが多いです。



オスノハ 3ボント ソノ ツケネ
キャッチさせる時、指導者が見るべきNGは次の3つです。
- 5本の指で均等に触ろうとしている
- 親指の指先がボールの方を向いている(こぼれる原因)
- 手のひらのど真ん中にべったり吸いついている
親指は、左右の指先どうしが向かい合う形が基本です。指の付け根までは使ってよいですが、手のひらの中央で抱えると押し出せなくなるので、そこだけ注意して見てあげてください。



三角形の基本さえ守れば、細かい持ち方は本人のやりやすい形でいいんだよ。
薬指や小指の触れ方は手の大きさによる個人差が大きい部分です。無理に当てにいかせず、本人の感覚を尊重しましょう。
迎える位置:おでこの上方で、落ちてくるまで待つ
ボールを迎える位置は、おでこの上方(頭の上の方)です。手を動かして、落ちてきたボールがそこに当たるように準備させます。
初心者は待ちきれず、高い位置へボールを取りに行きがちです。しっかり落ちてくるまで待つことを、キャッチの段階から徹底させましょう。
おでこの上方で迎えて、落ちてくるまで待つ。キャッチ練習の間にこの習慣を作る。
飛ばす力は腕ではなく下半身が源です。膝を軽く曲げて構え、足から力を伝えながら押し出す流れも、キャッチの段階から一緒に作っていきます。
ボールを持たせる矯正ドリル5ステップ
ここからが本番のドリルです。1ステップずつ、合格の目安まで達したら次に進みます。
ステップ1〜2:キャッチで形を作り、押し出しを覚える
ステップ1は、自分で真上に投げたボールを、おでこの上方でキャッチするだけです。キャッチした瞬間の手が三角形になっているかを毎回チェックします。
ステップ2では、キャッチして1秒止めたあと、膝の曲げ伸ばしを使って押し出します。手だけでなく、足から力が伝わる感覚をここで作りましょう。
ここまでが形づくりの土台です。
球出しは、最初は本人の投げ上げで十分です。慣れたら2人1組にして、2mほどの距離からふんわり投げてもらう形に進めると、実戦の軌道に近づきます。



テクビハ カタメナイ ヒジト レンドウ
手首は固めさせないでください。肘を伸ばす力に連動させて、手首から指へ順に力が伝わる流れを、ゆっくりの押し出しで体感させます。



止まっているから、子どもも自分の手の形をチェックできますね!



そう。2人1組にして、おたがいの三角形を見合うのもおすすめだよ。
ステップ3〜5:持つ時間を削って、パスに近づける
ステップ3から、持つ時間を1秒→触ってすぐ、と段階的に縮めます。「ピタッ、ポン」から「ポンッ」へ、擬音で伝えると子どもに伝わりやすいです。
ステップ4は直上パスです。低めの連続タッチから始め、慣れたら1回ごとに高く上げて、下半身で押し出す動きを引き出します。
ステップ5でようやく壁パスと対人パスです。距離は近くから、丁寧に積み上げてください。パスの感覚が崩れた選手の立て直しも、この近い距離からのやり直しが有効です。



崩れた時も、近くからやり直せばいいんですね。



うん。パスは感覚の技術だから、近い所へ丁寧に、から積み直すのが基本だよ。
壁パスの回数は上達の物差しになります。初心者なら、まず20回連続を目標にし、慣れてきたら50回を目指させると成長が見えます。



チカクカラ スコシズツ トオクヘ
指の力が弱い子には、壁パスを強く速く行う、ボールを思いっきり高く上げる、といった練習で指でボールを弾く力そのものを育てましょう。
ホールディングとの付き合い方と声かけの基準
持たせる練習をためらう指導者の心配は、試合でホールディング(ボールが止まる反則)をとられることだと思います。
結論としては、練習の段階と試合前で、声かけを使い分ければ大丈夫です。
- 矯正期:「持っていいよ。そのかわり形はきれいに」
- 移行期:「触る時間を半分にしてみよう」
- 試合前:「審判に止まったと見えたら反則。ポンと出そう」
反則を怖がらせるより、今はどの段階の練習なのかを本人に伝える方が、安心して取り組めます。
チーム全体の練習計画に落とすなら、シーズン前の基礎期に矯正期をまとめて置き、大会が近づくにつれて移行期→試合前の声かけに切り替えていく形が組みやすいです。



段階を分ければ、持たせることに罪悪感がいらなくなりますね。



うん。ずっと持たせるわけじゃない。ゼロに近づける途中経過だからね。
なお、正確な反則の基準は大会やカテゴリで運用に幅があります。試合が近づいたら、実際の試合形式の中で審判役を立てて慣れさせるのが現実的です。
持たせる練習のよくある失敗と直し方
この練習法にも、つまずきやすいポイントがあります。3つ挙げます。
失敗①:胸の前でキャッチさせている
おでこの上方ではなく胸の前で抱えるキャッチを許すと、パスに移行できない形が固まります。
キャッチの位置だけは最初から一切ゆずらない、が鉄則です。位置が下がる子には、投げるボールをふんわり高くして、待つ時間を作ってあげてください。
失敗②:強いボールで早く進めすぎる
形ができる前に強く速いボールを受けさせると、恐怖が戻って指先で弾く癖が復活します。
軽いトスから段階的に、が原則です。焦りそうになったら、突き指などのケガでバレーを嫌いにさせないことが最優先だと思い出してください。
失敗③:手の形ばかり見て、足が止まっている
手元だけをチェックしていると、棒立ちのパスが身につきます。キャッチの前に1歩動く、押し出す時に膝を使う、という下半身の動きも一緒に見てあげましょう。
慣れてきたら、球出しの位置を左右に少しずらして、動いてからキャッチさせるのがおすすめです。動く→止まる→キャッチの流れができると、実戦のパスに一気に近づきます。
仕上げの一工夫も紹介します。
スマホで撮影して、本人にキャッチの瞬間を見せるのも効果的です。自分の手の形と理想の形を見比べさせると、直りが速くなります。



自分の目で見ると、子どもは一発で納得してくれるよ。
ボールへの入り方が苦手な子には、落下点に入る遊びのドリルが効きます。コーディネーショントレーニングのドリルとセットで取り組むと効果的です。
オーバーパスの矯正についてよくある質問
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まとめ:持たせる勇気がハンドリングを変える
キャッチ癖の矯正は、禁止ではなく、わざと持たせて正しい形を作り、持つ時間をゼロに近づける順番が近道です。
| 段階 | 練習 | 合格の目安 |
|---|---|---|
| 形づくり | 落下キャッチ | おでこの上方で三角形が毎回作れる |
| 押し出し | キャッチ&プッシュ | 足から押し出して山なりに返せる |
| 短縮 | 持つ時間を削る | 触ってすぐ返せる |
| 実践 | 直上パス・壁パス | 直上20回・壁パス20〜50回 |
キャッチ癖は通過点。持たせて形を作れば、ハンドリングは後からしっかり安定していく。
私は元日本代表として、正しい形を先に作った選手ほど、後の伸びが大きいことを何度も見てきました。
まずは次の練習で、落下キャッチ10回から始めてみてください。



明日から、堂々と持たせて教えます!



その調子。形ができたら、少しずつ手ばなしていこうね。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
バレーの指導・チーム運営については他にも記事を書いています。
気になるテーマがあればぜひ読んで参考にしてもらえたら嬉しいです♪
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