- 引退する先輩へ何を書けばいいのか、色紙の前で手が止まってしまう
- 「お疲れさまでした」以外の言葉が出てこない
- 寄せ書きをまとめる係になったが、進め方が分からない
こんな悩みを解決します。
引退のメッセージで迷ったときは、うまい言葉を探すのをやめて、その人と過ごした場面を1つ思い出すところから始めます。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
10年以上スクールで中学生以上の選手を指導してきて、引退の時期に色紙を前にして固まっている選手を何人も見てきました。
言葉が出てこないのは気持ちがないからではなく、書き出し方を知らないだけなんですよね。
ぜひこの記事を参考にしてみてください。
- 何を書けばいいか迷わなくなる、メッセージの組み立て方が分かる
- 先輩・同級生・指導者で、書き分けのポイントが分かる
- 寄せ書きや色紙を、期限内にまとめる進め方が分かる
引退の時期そのものを知りたい場合は、こちらの記事が近道です。
それでは、くわしく見ていきましょう。
結論:思い出す場面を1つ決めれば書ける
まず結論からお伝えします。引退のメッセージは、その人と過ごした具体的な場面を1つ選び、そこで感じたことを書けば十分に伝わります。
感謝の言葉だけを並べると、誰に書いても同じ文章になります。読んだ側も、自分宛てだと感じにくくなります。
反対に、場面が1つ入っているだけで、その人にしか書けない言葉になります。うまい表現である必要はなく、思い出せる事実が1つあれば足ります。
体育館で色紙を渡している場面を何度も見てきましたが、読んで足が止まるのは、決まって自分のことが書かれている言葉です。
- 一緒に過ごした具体的な場面(練習・試合・移動中など)
- その場面で自分が感じたこと、助けられたこと
- これからの相手に向けた短い一言
サルくん先輩と特別なエピソードなんて、あったかな…



毎日の練習の中に、必ず1つは残っていますよ。



場面ガ1ツ 入ルダケデ 自分宛テニナル
メッセージが書けなくなる3つの原因
書けないときは、たいてい書く力の問題ではありません。書こうとしている方向に無理があります。原因を知ると、手が動き出します。
原因1:上手な文章を書こうとしている
心に残る言葉を書かなければ、と身構えるほど手は止まります。相手が読みたいのは名文ではなく、自分に向けられた言葉です。
言い回しを考える時間を、思い出す時間に変えてみてください。場面が決まれば、文章は自然に出てきます。
選手から「どう書けばいいか分からない」と相談を受けるとき、話を聞いていくと、場面そのものはちゃんと覚えていることがほとんどです。足りないのは言葉ではなく、思い出す順番だけなんですよね。
原因2:全員に同じことを書こうとしている
寄せ書きでは何人にも書きますが、内容を共通化すると一気に薄くなります。役割も関わり方も、人によって違うからです。
同じ言葉を使いたくなったら、その人と最後に話した場面を思い出してみてください。それだけで書き分けられます。
人数が多くて思い出せない相手がいる場合は、練習で見ていて印象に残った動きを書けば十分です。無理に親しさを装う必要はありません。
原因3:書く場所が狭くて構えてしまう
色紙のスペースが小さいと、失敗できないと感じて手が止まります。これは書く前に下書きをすれば解決します。
紙の切れ端に一度書いてから清書すると、字も内容も落ち着きます。時間がないときほど、下書きの一手間が結果的に早く終わります。



下書きしてもいいんですね!



むしろ、その方が最後まで書ききれますよ。
3ステップで作るメッセージの型
書く内容が決まらないときは、次の3段階で組み立てると形になります。短い文でかまいません。
たとえば「サーブが入らなくて残っていたとき、最後まで球出しをしてくれてうれしかったです」という1文があるだけで、その人にしか書けない色紙になります。
長さは3行から5行で十分です。スペースが足りないときは、場面と感じたことの2つに絞ってください。
反対に、書くことがたくさんある相手には、色紙とは別に手紙を用意する方法もあります。色紙は全員が読むもの、手紙は本人だけが読むもの、と役割を分けて考えてください。



色紙ハ3〜5行 書キキレナイ分ハ手紙ヘ



これなら書けそうな気がしてきました!



書けます。思い出す時間のほうを長くとってくださいね。
相手によって書き分ける3つのパターン
同じ引退でも、相手との関係によって届く言葉は変わります。ここでは3つの相手ごとに、書くときの目のつけどころを整理します。
先輩へ:教わったことを具体的に書く
後輩から先輩へ書くときは、教えてもらった内容を具体的に挙げると伝わります。「優しかったです」より「レシーブの構えを直してくれたおかげで返せるようになりました」のほうが記憶に残ります。
敬語は丁寧すぎなくてかまいません。普段の距離感のままの言葉のほうが、読んだときに顔が浮かびます。
先輩は、後輩が自分の言葉を覚えていたことを知ると、自分の3年間に意味があったと感じられます。教わった内容を書くことは、そのまま相手への報告になります。



教えてもらったこと、ちゃんと覚えてます!



それを書けば、先輩にいちばん届きますよ。
同級生へ:一緒に乗り越えた時間を書く
同級生には、つらかった時期を一緒に過ごした事実を書くのが自然です。勝った試合より、負けた後の練習のほうが共通の記憶になっていることが多くあります。
照れくさい相手ほど、うまくまとめようとせず短く書いてください。1行でも、本人には十分に届きます。
同じ学年は、これから進む先が分かれていきます。だからこそ、一緒にいた事実を残しておく価値があります。
指導者へ:結果ではなく関わりに触れる
顧問やコーチへは、勝敗ではなく関わってもらった場面に触れると気持ちが伝わります。叱られた場面を挙げる場合は、そこから自分が変わったところまで書くと前向きにまとまります。
保護者の立場で顧問へお礼を伝える場合の考え方は、顧問へのお礼をまとめた記事で解説しています。
寄せ書きをまとめる係になったときの進め方
色紙や寄せ書きは、集める順番を決めておかないと途中で止まります。係になったら、書く前に段取りを固めてください。
段取り1:締め切りを渡す日の3日前に置く
引退の日に合わせて集めると、必ず間に合わない人が出ます。渡す日の3日前を締め切りにしておくと、抜けた人に声をかけ直す余裕ができます。
書く場所が分からなくならないよう、色紙にうすく区切りを決めておくのも有効です。人数が多い学年ほど効果があります。
締め切りを伝えるときは、日付だけでなく「誰に渡すか」まで決めて共有してください。集める人が決まっていないと、書き終えた色紙が机の中で止まります。
段取り2:回す順番を決めて一方向に流す
色紙を手渡しで回すときは、順番を決めて一方向に流します。誰が持っているか分からなくなる事故を防げます。
部活の時間に回すのが難しい場合は、休み時間に集める係を学年で分担してください。持ち帰らせると戻ってこないことがあるので、学校の中で完結させるのが安全です。
- 渡す日の3日前を締め切りにする
- 書く場所をうすく区切っておく
- 回す順番を決めて一方向に流す
- 最後に空白と書き漏れを確認する



締メ切リハ 渡ス日ノ3日前
書かないほうがいい3つのこと
気持ちを込めたつもりでも、受け取る側が戸惑う書き方があります。最後に見直すときの目安として知っておいてください。
内容1:結果への評価を中心にしない
「最後の大会は残念でしたね」のような書き方は、本人が一番触れてほしくない部分に触れることがあります。結果ではなく、取り組んでいた時間のほうを書いてください。
負けて終わった選手ほど、その時間を認めてもらえる言葉が支えになります。勝ち負けは、本人が誰よりも分かっています。
内容2:他の人と比べる言葉を入れない
「誰よりも上手でした」という言い方は、読む人によっては比較として残ります。その人自身の変化や努力に絞って書くほうが安全です。
色紙は複数の人が目にします。本人以外が読んだときにどう受け取るかまで考えると、書き方が決まります。
内容3:引退後の進路を決めつけない
「高校でも続けてくださいね」と書きたくなりますが、本人がまだ決めていない場合もあります。続けるかどうかは本人が選ぶこととして、応援する言葉で止めておいてください。



よかれと思って書きそうでした…



気持ちは同じでも、書き方を少し変えるだけで届き方が変わりますよ。
よくある質問
まとめ:場面を1つ選べば、言葉は出てくる
引退のメッセージで手が止まるのは、書く力の問題ではありません。上手にまとめようとして、思い出す作業を飛ばしているだけです。
書き出す前に決めるのは、たった1つの場面です。練習中のひとこと、試合前の表情、移動中の会話でもかまいません。そこから書き始めれば、残りの文は後からついてきます。
一緒に過ごした場面を1つ選び、そこで感じたことを書く。この順番にするだけで、その人にしか書けない言葉になります。
色紙や寄せ書きは、あとから書き直せません。だからこそ、渡す前に一度読み返す時間をとってください。
相手別のポイントは、下の表で確認してください。
| 相手 | 書くこと | 避けること |
|---|---|---|
| 先輩 | 教わった内容を具体的に | 敬語をかしこまりすぎる |
| 同級生 | 一緒に乗り越えた時間 | 長くまとめようとする |
| 指導者 | 関わってもらった場面 | 勝敗の評価を中心にする |
私は元日本代表として競技を続け、いまは指導者として体育館に立っています。
その経験から言えるのは、引退の日に受け取った言葉を、何年も持ち続けている選手が多いということです。
まずはペンを持つ前に、その人と過ごした場面を1つ思い出すところから始めてみてください。



今日の練習の帰りに、思い出す時間を作ります!



いいですね。書く前のその時間が、そのまま内容になりますよ。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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