- 思い切り打っているのに、いつもブロックに止められてしまう
- ネットにかかる日とアウトになる日があって、原因が分からない
- 若い頃のように跳べないから、スパイクは無理だと思っている
こんな悩みを解決します。
大人になってから決まるスパイクを打つために必要なのは、ジャンプ力ではなく、助走の順番とボールの押し出し方をそろえることです。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
現役時代はスパイカーとして戦ってきましたが、指導の現場で見てきたのは、跳べないことより先に助走で崩れている方の多さでした。
学生時代に打っていた方も、大人から始めた方も、つまずく場所はほとんど同じです。
ぜひこの記事を参考にしてみてください。
- 高さに頼らずスパイクを決めるための考え方が分かる
- 助走から着地までの順番を、5つの段階で整理できる
- ネットにかかる・アウトになる症状ごとの直し方が分かる
ママさんバレーの全体像から知りたい方は、こちらの記事もあわせてどうぞ。
結論:高さではなく「助走・押し出し・コース」で決まる
スパイクが決まらないとき、多くの方は「もっと高く跳べたら」と考えます。
けれども試合で決まっているスパイクの多くは、いちばん高い打点から打たれたものではありません。
ブロックの届かない場所へ、狙って運ばれたボールです。
だから最初に取り組むのは、跳ぶ力を上げることではなく、毎回同じ場所で踏み切り、同じ当て方で押し出せるようにすることになります。
- 助走の最後の一歩が、ボールの少し後ろで踏み切れている
- 手のひらでボールを包み込み、押し出す方向を作れている
- 相手のブロックとレシーバーを見て、打つ場所を選べている
この3つは、それぞれ独立したコツではありません。
踏み切る場所が決まるからボールを体の前でとらえられ、前でとらえられるから押し出す方向を選べる、という順につながっています。
逆に言えば、踏み切りがずれた時点で、その後の当て方もコース取りも選べなくなります。
スパイクが日によって別ものになる方は、たいてい助走のリズムが日によって別ものになっています。
うさママ跳べないからだと、ずっと思っていました…。



跳ぶ高さより、踏み切る場所のほうが結果に効いてきますよ。
ここからは、なぜ助走で決まってしまうのかを見ていきましょう。
大人のスパイクが決まらない3つの理由
原因が分からないまま打ち続けても、決まる日と決まらない日の差は埋まりません。
ママさんバレーの現場で多い理由は、大きく3つに整理できます。
最初から全力で走って、ボールをかぶっている
いちばん多いのが、助走の1歩目から全力で走ってしまうパターンです。
勢いをつけようとして走り出すと、ボールを追い越して自分が前に出すぎてしまいます。
この状態を「かぶる」と言い、ボールが頭の後ろに来るので、腕を伸ばしても押し出す方向が作れません。
助走は最初の1歩をゆっくり、最後の1歩を速くするのが基本の配分です。
等速で走ると、ボールの落下に合わせて調整する余地がなくなります。
最初をゆっくり入っておけば、トスが乱れたときに歩幅で微調整できます。



最初ハユックリ 最後ヲ速ク
腕を伸ばしたまま振っている
決まらない方に多いのが、腕をまっすぐ伸ばしたまま大きく振り回す打ち方です。
伸ばしたまま振ると、腕全体が重い棒のようになり、スピードが出ません。
正しくは、ひじを一度たたんでから、当たる直前で伸ばしていきます。
ムチがしなるように、内側から外側へ順番に力が伝わるイメージです。
この使い方ができると、腕力に自信がない方でもボールに勢いが出ます。
高さで勝負しようとしている
もうひとつが、ブロックの上を越そうとして、真上に高く打ち上げてしまう打ち方です。高さで勝てる場面はもちろんありますが、それは相手より打点が上にあるときだけです。
打点で並んでいる、あるいは下から打っている場面で上を狙うと、ブロックの正面に当たります。
大人から再開した方に必要なのは、上を越す発想ではなく、横を抜く発想です。



上を越すのは、もう無理そうです…。



越さなくていいんです。横は思っているより空いていますよ。
ママさんバレーのネットは多くの大会で2.05mに設定されているので、打点の差はそれほど大きくありません。差がつくのは、どこへ打つかを選べているかどうかです。
ネットの高さやボールの規格は所属する連盟や大会で決まるため、条文を確かめたいときは日本バレーボール協会(JVA)がルールブックの案内を公開しています。
ママさんバレーのルールの全体像は、こちらの記事にまとめています。
助走から着地までを5つの段階で整える
スパイクは、助走・踏み切り・空中姿勢・スイング・着地の5つがひと続きになった動作です。
前の段階の結果が、次の段階のスタート地点になります。
うまくいかないときに直すのは、症状が出た場所ではなく、その前の段階だと考えてください。
※右利きの場合の説明です。左利きの方は左右を入れ替えて読んでください。
段階①:3歩助走のリズムを固める
大人から再開した方は、まず3歩助走から入るとリズムをつかみやすくなります。
歩数を増やすほど合わせる要素が増えるので、最初は少ないほうが安定します。
腕は後ろに引いてから振り上げ、そのバックスイングでジャンプの初動を作ります。
1歩目を出すタイミングは、トスが上がって軌道が見えた瞬間です。
セッターがボールに触った瞬間ではありません。触った瞬間に出ると、ほとんどの場合かぶります。
段階②:両足でほぼ同時に踏み切る
踏み切りでやることは、走ってきた勢いを止めることではなく、真上へ向きを変えることです。
ブレーキをかけると、そこまで作った勢いが逃げてしまいます。
右利きなら右足から左足へ入り、ほぼ同時に両足で踏み切ります。
このとき左足のつま先をやや右方向に向けると、体をひねる軸が作れます。
力を出すのは、太ももの外側とお尻まわりです。腕の力ではなく、この下半身の力が高さになります。



片足で跳ぶものだと思っていました。



最後の左足は寄せ足ではなく、踏み切る足なんです。
段階③:背骨を軸にひねってテイクバック
空中では、打つ側の肩を後ろに引き、反対の肩を前に出します。
野球のバッティングやテニスのフォアと同じで、背骨を軸にした水平方向のひねりです。
打つ側の手は、ひじを高く上げて、手のひらを耳の後ろまで引きます。
腰を大きく反って力を出そうとするのは、大人の体には勧めません。
反りすぎると腰や肩を痛めやすく、目線が動いてミートも下がります。



反ルノデハナクヒネル
段階④:手のひらで包み込んで押し出す
ミートは「叩く」というより、手のひらでボールを包み込んで押し出す動作です。
最後は手首を返して、手の甲が打球方向を向くまで振り抜きます。
当てるのは手のひらの真ん中で、ここがずれるとボールが浮いてコースも定まりません。
力の入れ方には、踏み込みで力を入れ、空中では脱力し、当たる瞬間にもう一度力を入れる、という3段階のリズムがあります。
ずっと力み続けていると、腕の振りが遅くなって勢いが出ません。
段階⑤:両足で着地して膝でクッション
着地は両足同時、膝を軽く曲げてクッションを作ります。
片足着地は膝や足首に負担が集中し、棒立ちの着地は腰に衝撃が残ります。大人になってからは、跳ぶ高さより下りる衝撃のほうが体にこたえます。
着地しながら視線をネットの向こうへ戻しておくと、次の動きにもつながります。
膝や腰に張りが出ている日は本数を減らし、痛みが数日たっても引かないときは医療機関で診てもらってください。
もっと詳しいスパイクの基本を知りたい方は、こちらの記事も参考になります。
高さがなくても決まるコースの選び方
ここからが、大人のスパイクでいちばん差がつく部分です。
同じ打点でも、打つ場所を選べる人は決定率が変わります。
ブロッカーと勝負するか、レシーバーと勝負するか
スパイクを打つときに持っておきたいのが、今から誰と勝負するのかという視点です。
ブロックを弾いて外に出すのか、それともブロックを避けて後ろのレシーバーと勝負するのか。
相手の並びを見て、勝てる可能性が高いほうを選びます。
私が現役だったころも、セットの序盤で相手ブロッカーの反応を試し、後半に向けて決定率を上げていく考え方を大事にしていました。
ママさんバレーでも、1セット目の前半に打ち分けておくと、後半に狙いどころが見えてきます。



とにかく強く打つことばかり考えていました。



相手にとって一番嫌なことは何か、から考えてみてください。
上を越すより、横を抜く
打点で勝てない場面では、ブロックの上ではなく横を狙います。
ブロックの手の外側、いわゆるアンテナ寄りのコースは、大人の試合でもよく空いています。
体を開いてクロスに打ったあと、次に同じ助走からストレートに打てると、相手は的を絞れなくなります。
強く打つ本数を減らしてでも、コースを2つ持っているほうが結果は出ます。
フェイントは強打と同じフォームから
軟らかく落とすフェイントも、大人の試合では有効な武器です。
大事なのは、強打とまったく同じフォームで入ることです。
同じフォームで来るからこそ、ブロッカーは手を固めて跳び、レシーバーも強打に備えて構えます。
最初からフェイントと決めていた場合でも、テイクバックから振り始めまではフルパワーで入ります。
そのうえで、ブロックの横を通すときはボールにやや上から触れ、ブロックの上を越したいときは下から触ってすくい上げます。ひじを少し曲げた状態から伸ばして、持ち上げる動作を入れる形です。
落とす場所は、ブロックに跳ばなかった前衛の選手の前が狙い目になります。跳ばなかった側は下がる動きが遅れやすく、そこにスペースが生まれるからです。
ただし多用すると読まれます。強打があるからこそ効く裏のワザだと考えて、ここぞの場面にしぼってください。



同ジフォームカラ入ルコトガ命
やりがちな失敗3つと直し方
スパイクのミスは、症状ごとに直し方が変わります。
同じ「入らない」でも、ネットにかかる日とアウトになる日では、見る場所が違います。
ネットにかかるときは、ひじの高さから見る
ネットにかかる原因は、ひじが下がって打点が下がっている、ジャンプが前へ流れている、ボールを点で叩いている、の3つが代表的です。
直す順番は、ひじの高さ、ジャンプの方向、当て方の順です。
まずテイクバックで手のひらが耳の後ろまで引けているか、ひじが肩より下がっていないかを確認します。
打点が上がるだけで越えることも珍しくありません。
アウトになるときは、手首の返りを見る
アウトが続くときは、手首を返せていないか、腕が振り切れていないか、かぶっているかのどれかです。
手の甲が打球方向を向くまで振り抜けているかを、まず確認してください。
振り切る前に力を抜いてしまうと、ボールは前ではなく上へ飛びます。
かぶっている場合は、助走のスタートを少し遅らせ、ボール位置をやや前に感じて打ちます。
ボールが浮くときは、当てる位置を見る
打った球がふわりと浮いてしまうのは、ボールの中心より下を叩いているか、手首を返せていないかです。
正しくは、上から覆いかぶせるように当てて、手の甲を打球方向へ振り抜きます。
直すのは1回にひとつだけ、と決めておくと、何が効いたのかが自分で分かるようになります。



いっぺんに全部直したくなってしまいます。



ひとつずつのほうが、結果的に早く仕上がりますよ。
週1回の練習でも積み上がる進め方
ママさんバレーは、週1回の練習というチームも珍しくありません。
その頻度でも、順番を決めておけばスパイクは十分に形になります。
大事なのは、跳びながら腕も直そうとしないことです。
跳ばずに立ったままフォームを固める
最初にやるのは、跳ばずに立ったまま、ひねりと腕振りとミートを行う練習です。
右利きなら左足を前に出し、その場で体をひねってからスイングします。
動かない状態でフォームを固めてから下半身を足すほうが、遠回りに見えて近道になります。
跳びながら腕も振ろうとすると、どちらも中途半端になります。



跳ばない練習に意味があるんですか?



跳ぶと腕に意識が回らなくなるので、先に形を作るんです。
2歩助走を足して、最後に着地を確認する
立位で振れるようになったら、2歩の助走と踏み切りを足します。
ここでは打つことより、毎回同じ場所で踏み切れているかを見ます。
最後に、着地が両足になっているか、膝でクッションを作れているかを確認します。
- 1〜2日目:立ったままひねりとスイングを反復する
- 3日目:壁に向かってミートだけを確認する
- 4日目:2歩助走+踏み切りを足す(打たない)
- 5日目:トスを上げてもらって打つ
- 6日目:ネット・アウトの症状別に直す
- 7日目:10本打って決まった数を数える
練習の終わりに10本打って、決まった数を書き留めておくと、調子を感覚ではなく数字で振り返れます。先月は10本中3本だったのが5本になっていれば、それは確かな前進です。
週1回90分の練習の組み立て方は、こちらの記事にまとめています。
よくある質問
まとめ
この記事では、ママさんバレーのスパイクを高さに頼らず決めるコツをお伝えしました。
見るところをもう一度整理します。
| 段階 | 見るところ | よくある崩れ方 |
|---|---|---|
| 助走 | 最初ゆっくり、最後を速く | 1歩目から全力でかぶる |
| 踏み切り | 両足でほぼ同時・つま先の向き | 片足で跳んで前に流れる |
| スイング | ひじをたたんでから伸ばす | 腕を伸ばしたまま振る |
| コース | 上を越すより横を抜く | 高さで勝負してブロックに当てる |
スパイクは、跳ぶ力を上げるより、毎回同じ場所で踏み切るほうが確実に近道です。
そのうえで、相手のブロックとレシーバーを見て打つ場所を選べるようになると、打点で並ばれても点が取れるようになります。
週1回の練習でも、順番さえ守れば決まる本数は変わっていきます。



まずは跳ばずに、立ったまま振るところから始めます!



それがいちばんの近道です。焦らず、順番どおりに積み上げていきましょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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