- バレーの試合の後半で足が止まってしまう…
- 走り込みをしているのに試合で動けるようにならない…
- スパイダーランって聞くけど、何をどうやればいいの?
こんな悩みを解決します。
バレーの体力は、長い距離をただ走るのではなく、前後左右への切り返しをくり返す練習でこそ伸びます。その代表が、スパイダーランという練習。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
10年以上スクールで指導してきましたが、試合後半で動けなくなる選手ほど、走り込みの「中身」がバレーに合っていないことが多いです。長距離走の持久力と、コートで止まる持久力は、別ものなんですね。
ぜひこの記事を参考にしてみてください。
- スパイダーランがバレーの体力にきく理由が分かる
- センターラインを起点にした正しいやり方と負荷の目安が手に入る
- ケガをせず続けるための足の置き方と注意点が分かる
基本動作の全体像も合わせて読むと、動きの土台がより深く理解できます。
それでは、まずスパイダーランがなぜ効くのかから見ていきましょう。
結論:スパイダーランはバレー専用のスタミナ練習
スパイダーランは、コートのラインを使って前後の往復ダッシュをくり返す、ハードなフットワーク練習です。
結論から言うと、スパイダーランで鍛えられるのは次の3つです。
- 止まって動いてをくり返す「切り返し」の力
- 試合の後半でも落ちない「バレー専用の持久力」
- 急に止まっても崩れない「下半身の安定」
ふつうのランニングとちがって、何度も止まって向きを変えるのが最大の特徴です。
サルくん走り込みなら毎日してるのに、なんで試合で動けないんだろう…?



それはね、長い距離をまっすぐ走る力と、コートで止まって動く力が別ものだからだよ。
バレーの試合では、まっすぐ長く走り続ける場面はほとんどありません。数歩動いて止まり、また逆方向へ動く。この連続です。
だからこそ、止まる・向きを変える・また動き出すをくり返すスパイダーランが、試合の動きに直結します。
スパイダーランは「長距離走」ではなく「切り返しの持久力」を鍛える練習、とおぼえておいてください。
なぜスパイダーランがバレーの体力にきくのか


ここを理解すると、練習へのやる気が変わります。
バレーは、自分の方に飛んでくるボールに反応して、止まって、コントロールするスポーツです。
つまり、反応→ストップ→ボールコントロールのくり返しなんですね。
この「ストップ」の回数が、試合では数えきれないほどあります。



バレー=止マッテ動クノくり返シ
長距離走では、この「止まる動き」がほとんど出てきません。
だから長い距離を走れても、試合の後半で急な切り返しに足がついてこなくなります。
後半に動けなくなるのは心肺機能が原因
試合の後半でプレーが乱れる選手は、技術よりも先に心肺機能(心臓と肺の力)が落ちていることがよくあります。心肺機能が低いままだと、後半のプレー精度もガクッと落ちてしまう、ということ。
これを防ぐには、心拍数が上がった状態を一定時間キープする練習が効果的です。目安は、心拍数がおおむね140くらいまで上がった状態で動き続けること。
スパイダーランは、まさにこの状態を作り出せる練習です。
息が上がったままだと、ボールの落下点を見極める判断や、細かい足の運びがどうしても雑になってしまいます。だからこそ、走り込みの「中身」を変えることこそ、後半の失速を防ぐいちばんの近道。



息が少し上がってキツい、くらいが効いているサインだよ。
逆に言えば、心拍数があまり上がらないペースでダラダラ動いても、後半に強い体は作りにくくなります。短い時間でしっかり追い込み、しっかり休む。このメリハリが心肺機能を育てます。
切り返しが速い選手はボールに早く触れる
スパイダーランでもう1つ鍛えられるのが、止まってから逆方向へ動き出す「切り返し」の速さです。向きを変えるたびに、体重を一度止めて、逆方向へ移しかえます。
この体重の移しかえ、つまり重心移動がスムーズな選手ほど、ボールに早く触れるという仕組み。
切り返しの動きは、レシーブやブロックの横移動にもそのままつながります。
この切り返しの一歩目でひと役買うのが、一瞬だけ体重を軽くする抜重という感覚です。抜重をうまく使えると、動き出しがひとまわり軽く、速くなるということ。
重心移動の使い方そのものは、こちらの記事でくわしく解説しています。
具体的なやり方|センターラインを起点に往復する


それでは、基本のスパイダーランのやり方を見ていきます。コートのラインをそのまま使うので、特別な道具はいりません。
基本のスパイダーランの手順
センターラインを起点にして、近いラインから遠いラインへ順番に往復していきます。
近いライン・遠いラインへ交互にダッシュして戻る、これが1セットの流れです。



ラインにタッチして戻るだけなら、すぐできそうです!



そう、動きはシンプル。でも全力でやると、これがかなりキツいんだよ。
ポイントは、ラインに手でタッチすることで、しっかり低い姿勢まで沈み込むこと。
立ったまま向きを変えるのではなく、いったん腰を落として止まるのが大事です。この「低く止まる」動きこそ、試合のレシーブ姿勢そのもの。
ダッシュするときは、最初の1歩を強く踏み出して、一気に加速します。
戻るときも同じで、止まったら間を空けず、すぐ逆方向へ動き出すのがポイントです。止まっている時間が長いと、切り返しの練習にならないからです。
「止まる」と「動き出す」のつなぎ目を、できるだけ短くする意識をもってください。
負荷の目安は30秒全力×3セット
時間と回数の目安は、次のとおりです。
- 30秒間できるだけ多く往復する
- セット間の休みは60秒ほどとる
- これを3セットくり返す
最初は無理せず、20秒や2セットから始めてもかまいません。



30秒全力×3セット ガ目安
大切なのは、休みをはさんで全力を出しきる形をくり返すこと。このように、全力と休みを交互にくり返す練習を、ダッシュやインターバルのトレーニングと呼びます。
短い全力をくり返すこの形は、瞬発力と持久力の両方を同時に鍛えられます。
余裕が出てきたら、休憩を60秒から45秒に短くしてみましょう。負荷が上がるほど、心肺機能もさらに鍛えられます。
ダラダラ長く走るより、短い全力をくり返すほうがバレーには効く、とおぼえておいてください。
慣れてきたら横移動も加える
基本の前後の往復に慣れてきたら、横方向の動きも加えてみましょう。
センターラインの上を、半身の構えのまま左右にサイドステップで往復します。



前後だけじゃなくて、横にも動くんですね!



そう。試合では横の動きも多いから、両方やると効果が大きいよ。
横移動を入れるときは、足をクロスさせず、体の正面をキープしたまま動くのがコツです。前後と横を組み合わせると、コートで使うほぼすべての方向の切り返しを1回の練習でカバーできます。
ただし、その分だけキツくなるので、最初はセット数を1つ減らして調整してください。
やりがちな失敗とケガにつながる足の置き方


スパイダーランで多いのが、向きを変えるときの失敗です。
ここをまちがえると、ケガにつながるので気をつけてください。



急いで戻ろうとして、何回か足がズルッと滑っちゃいました…



それは止まるときの足の向きが原因だね。直し方を説明するよ。
いちばん多いのが、つま先が進行方向を向いたまま止まろうとして、足が滑るパターンです。
止まるときは、進みたい方向に対してつま先を少し外側に開いて、足の裏全体で踏ん張ります。そして、ひざを軽く曲げて腰を落とすことが、ブレーキをきかせるコツ。
ひざがまっすぐ伸びたまま止まろうとすると、滑りやすく、ひざにも負担がかかります。
もう1つの失敗は、上半身が突っ立ったまま動くことです。体を起こしたまま走ると、止まるたびに重心が高くなり、切り返しが遅れてしまうんですね。
止まる直前に腰を落とす。これだけで滑りもケガも減るので、意識してみてください。



止マル直前ニ腰ヲ落トス
3つ目に多いのが、ラインへのタッチをサボってしまうことです。疲れてくると、ラインまで届く前に手を伸ばして向きを変えがちになります。
ですが、しっかり最後まで沈み込んでタッチしないと、低い姿勢で止まる力が鍛えられないためです。
回数を稼ぐことよりも、1回1回ていねいに止まることを優先してください。
続けるコツと安全への配慮


スパイダーランはハードな練習なので、続け方と安全面が大切です。ここを外すと、せっかくの練習が逆効果になってしまいます。
走り込みのしすぎに注意する
体力をつけたい気持ちが強いと、つい量を増やしすぎてしまいます。ですが、走り込みのしすぎはおすすめしません。きつい練習ばかりで、バレーそのものが嫌いになってしまうのが、いちばんもったいないからです。



キツさより、続けられることのほうが大事だよ。
最初は週に2〜3回ほど、できる範囲から始めてください。
体が慣れてきたら、少しずつセット数を増やしていけば十分です。
疲れが何日も抜けない、体がだるくて動きたくないと感じる時は、休むサインです。無理に回数をこなすより、コンディションを整えることを優先してください。
床とシューズのチェックを忘れない
切り返しの多い練習なので、滑る環境はとても危険です。練習の前に、次の点をチェックしておきましょう。
- 床がほこりや水でぬれていないか
- シューズの裏がすり減っていないか
- 軽いジョギングやストレッチで体を温めたか
特に、いきなり全力で始めるのは禁物です。体が冷えたまま急に止まったり向きを変えたりすると、足首やひざを痛めやすくなります。軽く体を動かして、心拍数を少し上げてから本番に入ってください。
練習のあとも、ゆっくり歩いたりストレッチをしたりして、体をクールダウンさせると疲れが残りにくくなります。
なお、重いダンベルやバーベルを使った筋トレは、中学生の年代では必要ありません。成長期に大事なのは、自分の体重を使ったスパイダーランのような練習で土台を作ること。
理由は、体がまだ発達している時期に重い負荷をかけると、骨の成長を妨げたり、ケガにつながったりする可能性があるからです。器具を使った本格的なトレーニングは、高校生になってからでも十分間に合います。
スパイダーランについて、選手や保護者の方からよくいただく質問にお答えします。
よくある質問
まとめ
スパイダーランは、長距離走ではなく、止まって動いてをくり返すバレー専用のスタミナ練習です。
ポイントは、次の3つです。
- センターラインを起点に往復する
- 止まる直前に腰を落とす
- 走り込みすぎない
短い全力を休みをはさんでくり返すことで、試合の後半でも落ちない体力が育っていきます。
長い距離を走るより、コートの中で止まって動く練習を優先する。これがバレーの体力づくりの近道です。



量を増やすより、正しくキツく、続けることが大事なんですね!



そのとおり。無理なく続ければ、後半でも動ける選手になれるよ♪
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
基本動作については他にも記事を書いています。
気になるテーマがあればぜひ読んで、参考にしてもらえたら嬉しいです♪
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