- ボールばかり見てしまって、味方や相手の動きが見えない…
- コート全体を見ろと言われるけど、どう見ればいいのか分からない…
- 周辺視野って鍛えられるの? どんな練習をすればいい?
こんな悩みを解決します。
コート全体を見るコツは、ボールを中心で見ながら、その周りの人を間接視野でぼんやり捉えるという目の使い方にあります。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
10年以上スクールで指導してきましたが、視野が広い選手ほど、判断が速く、無駄のない動きをします。
「目が良い」というより、目の使い方の意識が違うんですよね。視野は生まれつきの才能だけで決まるものではなく、意識と練習で広げていけるものです。
ぜひこの記事を参考にしてみてください。
- ボールと人を同時に捉える「目の使い方」が分かる
- 自宅や練習前にできる周辺視野トレーニングが手に入る
- 視野が広がると、プレーがどう変わるのかがイメージできる
視野の使い方は、構えや反応とセットで身につけると効果が高まります。基本動作の全体像はこちらでまとめています。
それでは、まず「周辺視野とは何か」から見ていきましょう。
周辺視野とは「ぼんやり見えている範囲」のこと

人の目には、大きく分けて2つの見え方があります。1つは、見ようとしたものをハッキリ捉える中心視野。もう1つが、その周りに広がる周辺視野です。
周辺視野とは、視線の中心からはずれた、ぼんやりと見えている範囲のことなんですね。
サルくんぼんやり見えてるところって、ちゃんと使えるんですか?



使えるよ。むしろバレーでは、そのぼんやりがすごく大事なんだ。
例えば本を読んでいるとき、文字はハッキリ見えていますが、ページの端や机の上もなんとなく見えていますよね。このなんとなく見えている部分が、周辺視野です。
中心視野は「点」、周辺視野は「面」
中心視野で見られるのは、実はとても狭い範囲だけです。
指1本を立てて腕を伸ばし、その爪の細かいところまでハッキリ見ようとしてみてください。意外と狭い範囲しか、くっきりとは見えていないはずです。
その代わり、周辺視野はとても広く、左右で180度近くまで広がっています。



中心視野=点、周辺視野=面ノ情報
つまり、ボールを中心視野でしっかり見ながら、コート全体を周辺視野という広い面で捉える。これがコート全体を見るための土台になります。
「動き」をとらえるのが得意な目
周辺視野には、もう1つ大きな特長があります。
それは、色や形より「動き」をとらえるのが得意だということ。
視界の端で何かがサッと動くと、ハッキリ見えていなくても「動いた」と気づけますよね。
バレーでは、相手スパイカーの助走や、味方の飛び出しなど、コート上のあらゆる場面で人が動きます。その動きを周辺視野で感じとれると、次のプレーへの反応が一歩速くなります。
なぜバレーでコート全体を見る目が必要なのか


バレーボールは、自分の方向に飛んでくるボールに360度反応して触るスポーツです。ボールだけを追いかけていると、味方の位置も相手の動きも見えないまま、その場その場で慌てて対応することになります。
視野が広い選手は、状況が先に見えているぶん、判断と準備に余裕が生まれます。



上手い選手ほど、慌てていないように見えるよね。あれは先が見えているからなんだ。
ボールだけ見ていると判断が遅れる
ボールに視線を固定しすぎると、視野がボール周りだけにしぼられてしまいます。すると、味方がどこにいるか、相手のブロックが何枚そろっているかが、ボールが自分に来てから分かることになります。
来てから探すのでは、どうしても動き出しが遅れますよね。



レシーブしたあと、味方がどこにいるか分からなくて困ること、よくあります…



それはボールを見すぎているサインだね。周りを感じる練習で変わっていくよ。
視野が広いと「次の動き」に余裕が出る
周辺視野で味方と相手をなんとなく捉えておくと、ボールが来る前から「次はこう動こう」と心の準備ができます。
レシーブする前に、トスを上げる味方の位置が頭に入っている。スパイクを打つ前に、相手コートの空いている場所が見えている。この準備の差が、プレーの落ち着きと精度につながっていきます。



先ニ見エテイル=先ニ動ケル
ボールを見ながら人を捉える「目の使い方」


ここが、この記事の一番大事なところです。
コート全体を見るといっても、視線をキョロキョロ動かして全部をハッキリ見るわけではありません。
正しいのは、ボールを中心視野で見つつ、その周りの人を周辺視野でぼんやり捉えるという見方です。
視線はボールに、意識は周りに
基本は、視線そのものはボールに置いておきます。そのうえで、意識だけを視界の外側に広げて、味方や相手の動きを感じとります。
目を動かすのではなく、意識を広げる。この感覚がつかめると、ボールを見失わずに周りも分かるようになります。



目じゃなくて、意識を広げるんですね!



そう。視線はボールに残したまま、気持ちだけ周りに配るイメージだよ。
キョロキョロ見るのは逆効果
「全体を見よう」と意識しすぎて、視線を素早くあちこちに動かす選手がいます。
ですが、これはおすすめしません。視線を動かすと、その瞬間ボールから目が離れ、かえってボールへの対応が遅れてしまうからです。
バレーは、自分の方向に飛んでくるボールへ素早く反応するスポーツ。目の上下動や左右の動きは、なるべく少なくするのが基本です。



視線ノ動カシスギ=ボールヲ見失ウ原因
ボールは「見る」、周りは「感じる」。この役割分担を覚えておいてください。
上半身の向きで視野を作る
もう1つのコツは、体の向きです。味方や相手を視界に入れたいときは、目だけで見ようとせず、上半身をその方向へ少し開いておくと、自然に視界へ入ってきます。
レシーブの構えのとき、ネットや味方に対して胸を少し開いておくと、ボールと味方の両方が視界におさまりやすくなるんですよね。
体の向きで、見たいものを視界の中に置いておく。これも立派な「目の使い方」です。
自宅でできる周辺視野トレーニング


周辺視野は、意識と練習で少しずつ広げていけます。
ここでは、ボールがなくてもできるものから、2人で楽しめるものまで紹介します。いきなり完璧を目指さず、遊び感覚で続けてみてください。
練習①:指の本数あてトレーニング
これは、2人で向かい合ってできる定番の練習です。
やり方はシンプルなので、ステップで確認しましょう。
ポイントは、視線は相手の目に固定したまま、周辺視野だけで指を読みとること。
慣れてきたら、指を立てる位置をだんだん外側へ広げていきます。すると、感じとれる範囲が少しずつ広がっていきます。



これなら友達と楽しくできそうです!



そうそう。パスをしながら相手の指の本数を当てる、というふうに組み合わせるともっと実戦的だよ。
練習②:1点を見ながら周りを意識する
1人でもできるのが、この練習です。壁や前方の1点に視線を固定して、視線を動かさないまま、周りに何があるかを意識します。
部屋なら、時計や本棚、窓など、視界の端にあるものを「視線を動かさずにいくつ言えるか」とやってみてください。
視線は1点、意識は外へ。これは試合でボールを見ながら周りを感じる感覚と、まったく同じです。



1点固定+周囲ヲ意識=実戦ト同ジ目ノ使イ方
練習③:パスをしながら周りを言葉にする
ボールを使えるなら、味方とのパス練習に一工夫加えます。パスを続けながら、相手が出した指の本数を当てたり、後ろを通った人の数を声に出したりします。
ボールという中心視野の作業をしながら、周辺視野も同時に働かせる。この「ながら」の状態を作るのが目的です。
最初はパスが乱れても気にしなくて大丈夫。だんだん両方を同時にこなせるようになっていきます。



大事なのは、ボールを見ながら別の情報も拾う、という二刀流に慣れること。少しずつでいいよ。
視野が広がるとプレーはこう変わる
周辺視野を意識し続けると、プレーにいくつかの変化が出てきます。ここでお伝えするのは、視力そのものが上がるという話ではありません。あくまで、目の使い方が変わることで生まれるプレー上の変化の話。
味方の位置が自然に分かる
まず変わるのが、味方の位置の把握です。
レシーブする瞬間に、セッターがどこにいるか。スパイクに入るとき、味方が何人攻撃に参加できそうか。こうした情報が、いちいち探さなくても頭に入っている状態になります。
味方の位置が分かると、返球やトスの精度が上がります。



セッターの場所が見えてると、安心してレシーブできますね。
相手の動きに反応できる
周辺視野は動きをとらえるのが得意でしたよね。
その特長が活きると、相手スパイカーの助走や、相手ブロックの枚数、空いているコースなどに、早く気づけるようになります。気づくのが早ければ、それだけ準備の時間が増えます。



相手ノ動キヲ早ク察知=準備時間ガ増エル
お見合いやミスが減る
味方と相手の両方が見えていると、味方との連携もスムーズになります。どちらが取るか迷う「お見合い」は、お互いの位置や動きが見えていないときに起きやすいもの。
周辺視野で味方を感じておけると、譲り合いや重なりが減って、拾えるボールが増えていきます。



視野が広い選手は、声かけもうまくなる。周りが見えているから、的確な一言が出せるんだ。
普段から視野を広げる習慣のつくり方
周辺視野は、コートの上だけで鍛えるものではありません。日常のちょっとした意識でも、目の使い方は育っていきます。
特別な道具は、いらないんです。今日から始められることばかりです。
歩くときに「正面+周り」を意識する
道を歩くとき、進む方向の1点を見ながら、周りの景色や人の動きを意識してみてください。
スマホを見ながら歩くのではなく、顔を上げて、周辺視野を使うクセをつける。これだけでも、目の使い方は変わってきます。
日常の「ながら見」を、視野を広げる練習に変えるイメージです。
スマホでフォームと目線を見比べる
自分の目線の使い方は、自分ではなかなか分かりません。そこでおすすめなのが、プレーをスマホで撮って見返す方法です。
ボールばかり目で追っていないか、視線が落ち着いているか。理想とする選手の落ち着いた目線と見比べて、近づけていきます。



自分のプレー、思ったよりボールばっかり見てました…!



気づけたらもう半分成功だよ。次から少しずつ周りを感じてみよう。
焦らず、少しずつ広げる
最後に、大切な心構えをお伝えします。視野は、一日で急に広がるものではなく、少しずつ育っていくもの。
最初はボールを見るだけで精一杯で当然です。まずは「周りを感じよう」と意識するところから始めて、できる範囲を少しずつ広げていけば十分です。



できないのが当たり前。今日より明日、少し周りが見えたら、それで大きな前進だよ。
周辺視野トレーニング よくある質問
まとめ
この記事では、コート全体を見るための周辺視野の使い方と鍛え方を解説しました。
いちばん大事なのは、ボールは中心視野で「見る」、周りの人は周辺視野で「感じる」という役割分担です。
視線をキョロキョロ動かすのではなく、視線はボールに残したまま、意識だけを外へ広げる。これがコート全体を見る目の使い方の核心です。



これからはボールだけじゃなくて、周りも感じてみます!



その意識が第一歩だよ。指の本数あてから、楽しく続けてみてね。
視野が広がると、味方の位置や相手の動きが先に見えて、判断にも動きにも余裕が生まれます。焦らず、今日より明日、少しずつ広げていきましょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
基本動作については他にも記事を書いています。気になるテーマがあればぜひ読んで、参考にしてもらえたら嬉しいです♪
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