- バレー未経験なのに顧問を任されて、何から手をつければいいかわからない
- 練習メニューを作れず、その場しのぎの声かけしかできていない
- 生徒や保護者にどう見られているか不安で、体育館に行くのが少し怖い
こんな悩みを解決します。
未経験の顧問がまずやるべきことは、上手い指導をすることではなく、安全な練習環境を整えることにしぼられます。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
10年以上スクールで指導してきた経験から感じるのは、選手が育つかどうかは、指導者の競技経験の有無よりも、正しい方向性を示せているかどうかで決まるということです。
未経験の顧問は、いきなり技術を教えようとせず、環境を整えることから始めれば十分に選手を伸ばせます。
ぜひこの記事を参考にしてみてください。
- 未経験の顧問が最初の90日で何をすべきか、時期ごとの順番がわかる
- 安全管理・部の現状把握・練習メニューの作り方の基本がわかる
- やってはいけない指導と、保護者との関係づくりのコツがわかる
指導全体の地図を先に押さえておきたい方は、こちらもあわせてどうぞ。
それでは、くわしく見ていきましょう。
結論:未経験の顧問の仕事は「教える」より「環境を整える」
先に結論からお伝えします。未経験で顧問になった先生がまずやるべきことは、技術指導ではありません。
- 安全に練習できる環境を整える
- 部の現状(部員の学年・経験・人間関係)を正しく把握する
- 練習を見学し、選手をよく観察する
バレーボールの技術は、あとから本や動画、経験者の力を借りて少しずつ身につければいいんです。
れおコーチ自分は未経験なのに、この子たちを指導していいのかって、ずっと不安なんです。



最初から上手く教えられる先生なんていないよ。まずは安全に練習できる場を作ることが、いちばんの仕事なんだ。
顧問の役割を「教える人」ではなく「環境を整える人」と捉え直すと、気持ちがぐっと楽になります。
以降では、最初の90日を30日ごとの3段階に分けて、やるべきことを順番に紹介していきます。
最初の30日:安全管理と部の現状把握を最優先する
最初の30日でやることは、安全管理の仕組みづくりと部の現状把握の2つです。まだ練習メニューを工夫する段階ではありません。
体育館の危険箇所と熱中症・怪我への備えを確認する
安全管理でまず確認したいのは、体育館そのものの危険箇所です。
熱中症対策も、シーズン前に仕組みとして決めておく必要があります。給水のタイミングを選手任せにせず、休憩と給水を練習計画に組み込んでおくと安心です。
万が一の怪我や体調不良が起きた時、誰が救急車を呼び、誰が保護者に連絡し、誰が現場に残るのかという連絡フローも、事前に紙に書き出しておくことをおすすめします。
とっさの判断に自信が持てない時ほど、決めておいた手順どおりに動くしかありません。
あわせて、練習の出欠と体調の変化を簡単に記録しておく習慣もつけておきたいところです。特別な様式は必要なく、日付・参加人数・気になった選手のひと言メモがあれば十分に役立ちます。
記録が残っていれば、何かが起きた時に経過を順序立てて説明できますし、特定の選手の調子の波にも早く気づけるようになります。



熱中症とか怪我とか、実際に起きた時にちゃんと動けるか自信がないんです。



起きてから考えるのが一番危ないんだ。誰が何をするかを先に紙に書いておけば、その通りに動くだけで済むよ。
事故が起きた瞬間の具体的な動き方は、こちらで手順としてまとめています。
部員の学年・経験とキャプテンとの対話から現状をつかむ
安全管理と並行して、部の現状把握も進めます。まず知っておきたいのは、部員の学年構成と経験年数です。
初心者が多いのか、経験者が中心なのかによって、練習の組み立て方はまったく変わります。名簿を作り、学年・経験年数・ポジション経験の有無を一覧にしておくと、この先の練習メニュー作りで何度も役立ちます。
もうひとつ欠かせないのが、キャプテンとの対話です。キャプテンは、これまでの練習の流れやチーム内の人間関係を最もよく知る存在だからです。
これまでの練習内容・困っていること・チーム内の雰囲気を、キャプテンに率直に聞いてみることから始めてみてください。
顧問が一方的に方針を決めるのではなく、まず選手側の話を聞く姿勢を見せることが、信頼関係の土台になります。
練習を見学し、口を出さずに観察する
最初の30日でもうひとつ大切なのが、練習を見学して観察する時間です。すぐに指導しようとせず、しばらくは見ることに徹してみてください。
観察するポイントは、誰がどんな動きにつまずいているか、練習中の声の出方、選手同士の関係性の3つです。
技術的な良し悪しがわからなくても、いつもより元気がない選手や、輪に入れていない選手には気づけるはずです。
気づいたことは、その場で伝えずにいったんメモにとどめておくことをおすすめします。判断材料がそろわないうちに口を出すと、これまで部が積み上げてきた流れを壊してしまうことがあるためです。
1か月分のメモがたまるころには、この部で何が足りていないのかが自然と輪郭を持ってきます。未経験だからこそ、先入観なくフラットに部を観察できるという強みもあります。
最初の30日で見えてきたことは、今後90日間の土台になります。
31〜60日:練習メニューの型を持ち、外部リソースを活用する
部の現状が見えてきたら、次の30日では練習メニューの型を作り、外部の力も借りながら中身を充実させていきます。
アップ→基礎→テーマ練習→ゲームの基本構成を覚える
練習メニューをゼロから考える必要はありません。まずは、次の4つの流れという型を覚えてください。
この型さえ持っていれば、あとは基礎練習とテーマ練習の中身を、部のレベルに合わせて入れ替えるだけで済みます。練習メニュー全体を毎回一から考える必要はないんです。
テーマ練習の内容に迷ったら、最初は対人パスやサーブレシーブなど、基本の反復から選ぶと安全です。いきなり難しい練習を取り入れると、怪我のリスクも選手の混乱も大きくなります。
時間配分の目安も、型と一緒にざっくり決めておくと組み立てが楽になります。放課後の限られた時間なら、アップと基礎練習で前半、テーマ練習とゲーム形式で後半、というくらいの大まかな分け方で構いません。
細かく決めすぎると、進みが遅れた時に立て直せなくなるので、最初は大きく2つに分ける程度から始めてみてください。
練習の組み立て方そのものをもう少し詳しく知りたい場合は、こちらも参考になります。
書籍・動画・経験者の保護者の力を積極的に借りる
未経験の顧問がすべてを自分で抱え込む必要はありません。書籍や動画、経験者の保護者の力を、遠慮なく借りてください。
書籍や動画は、フォームの基本や練習メニューの引き出しを増やすのに役立ちます。休日にまとめて見るより、短時間でも継続して見る習慣をつけたほうが定着しやすくなります。
保護者の中に競技経験者がいれば、練習を手伝ってもらうのも有効な手段です。
ただし指導の方針が食い違うと選手が混乱するため、あくまで顧問が方針を決め、経験者にはその範囲で手伝ってもらうという役割分担を最初に伝えておくことが大切です。



経験者の保護者に頼ると、自分の指導力がないと思われないか心配で。



頼ることは弱さじゃないよ。誰の力を借りるかを選ぶのも、顧問の大事な仕事なんだ。
どの本や動画から手をつけるか、技術面の引き出しをどう増やすかは、次の記事もあわせて参考にしてみてください。
61〜90日:大会・審判の基礎知識と保護者との関係づくり
最初の60日で練習の土台ができてきたら、残りの30日では、大会運営に関わる知識と保護者との関係づくりに取り組みます。
公式ルールと審判の基礎を確認しておく
大会に出場するようになると、顧問自身にもルールの理解が求められる場面が出てきます。公式ルールは、日本バレーボール協会(JVA)の情報を基準に確認しておくと安心です。
審判についても、最初から完璧にこなす必要はありません。まずは主審・副審・線審それぞれの役割と、基本的な判定の流れを頭に入れておくだけで、大会での立ち回りがだいぶ楽になります。



審判の資格なんて持っていないのに、大丈夫なんでしょうか。



最初は誰でも見様見真似だよ。地域の講習会や周りの先生に頼るだけで、十分やっていけるんだ。
わからないことがあれば、大会運営を担う地域の審判講習会に参加したり、経験のある先生に質問したりすることも、有効な手段のひとつです。
大会の日程やエントリーの締め切りも、地域の連盟や中体連の予定表で早めに確認しておいてください。申し込みの期限は思っているより早いことが多く、うっかり出し忘れると選手の1年に関わってしまいます。
年間の予定を1枚の紙にまとめておくと、いつまでに何を仕上げればいいかが見えて、練習の見通しも立てやすくなります。
保護者会との顔合わせと情報共有の場を作る
保護者との関係づくりも、90日目までに手をつけておきたいテーマです。まずは保護者会の役員と顔を合わせ、チームの方針や今後の活動予定を共有する場を作ってみてください。
未経験であることを隠す必要はありません。正直に伝えたうえで、安全管理と選手の成長を最優先に取り組む姿勢を示せば、多くの保護者は協力的に受け止めてくれます。
連絡事項の共有方法(連絡帳・グループ連絡アプリなど)も、この時期に決めておくと、後々の行き違いを防げます。



保護者の方に何を話せばいいのか、正直まだ想像がつかないんです。



難しい話はいらないよ。今の部の様子と、これから何を大事にするか。この2つを伝えるだけで十分だよ。
やってはいけない指導と、避けたい練習のやり方
未経験の顧問が陥りやすい失敗にも触れておきます。良かれと思ってやってしまいがちな指導ほど、注意が必要です。
- 見よう見まねの根性練習(走り込みのしすぎなど)
- 水分補給を我慢させる、制限する指導
- ミスを怒鳴って正そうとする指導
練習がきつくてバレーボールが嫌いになってしまうのが、指導のうえで一番良くない結果です。走り込みのしすぎなど、根拠のない厳しさで選手を追い込む練習は避けてください。
水分補給を我慢させる指導は、根性論としてよく語られますが、熱中症のリスクを高めるだけで得るものがありません。給水は練習計画の一部として、必ず確保してください。
水分制限に科学的な根拠はなく、熱中症のリスクを上げるだけという点は、指導者として押さえておきたいポイントです。
ミスをした選手に走らせる、いわゆる罰走も避けたい指導のひとつです。走ること自体が悪いのではなく、罰として使うと「走る=つらいこと」という結びつきだけが選手に残ってしまいます。
チーム全員に連帯責任を負わせるやり方も、選手同士の関係をこじらせる原因になりやすいので、慎重に考えたいところです。
ミスを怒鳴って正そうとする指導も避けたいところです。最初はできないところばかりなのが当然で、できるところを見つけて褒めることから入るのが、指導としていちばん良い進め方なんです。
選手のミスは、その場の技術だけでなく前の段階に原因があることも多いので、怒る前に一歩前の動きを見直してみてください。



厳しくしないと締まらない気がして、つい強く言ってしまうことがあります。



厳しさとできないことを怒鳴ることは別なんだ。まず褒めて、直すところは冷静に伝える。それで十分伝わるよ。
よくある質問
まとめ:90日を3段階に分ければ、未経験でも迷わず進める
最後に重要なポイントを振り返ります。未経験の顧問がやるべきことは、最初の90日を3段階に分けて、環境づくりから少しずつ進めることにつきます。
最初の30日は安全管理と部の現状把握、31〜60日は練習メニューの型づくり、61〜90日は大会準備と保護者との関係づくり、この順番を守れば、未経験でも迷わず進められます。
| 期間 | 主にやること |
|---|---|
| 最初の30日 | 安全管理の仕組みづくり・部員の現状把握・練習の見学 |
| 31〜60日 | 練習メニューの型づくり・書籍や動画、経験者の活用 |
| 61〜90日 | 大会・審判の基礎知識・保護者会との関係づくり |
私は元日本代表として、これまで多くの指導者を見てきましたが、競技経験の有無よりも、選手にどう向き合うかのほうがずっと大切だと感じています。
技術は借りてくることができますが、目の前の選手をどう見るかは、その部を預かる先生にしかできない仕事です。90日かけて土台を作れば、そこから先は選手と一緒に伸びていけます。



未経験でも、環境を整えることなら初日から始められますね。少し気が楽になりました。



焦らず1つずつでいいんだよ。90日かけて、少しずつチームに合った形を見つけていこう。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
コーチング・チーム運営については他にも記事を書いています。
気になるテーマがあればぜひ読んで参考にしてもらえたら嬉しいです♪
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