ブロックシステムの種類|バンチ・スプレッドの違い

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ブロックシステムのバンチ・スプレッドの違いを解説するアイキャッチ画像
  • ブロッカーの立ち位置を、どう決めればいいのか分からない
  • バンチ・スプレッドという言葉は聞くけど、使い分けが曖昧
  • 相手の攻撃に合わせて、守りの陣形を変えたい

こんな悩みを解決します。

ブロックの陣形選びの核は、バンチ・スプレッド・デディケートという3つの「初期配置」を、相手の攻撃に合わせて選ぶことにあります。

私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。

現役時代も、相手のセッターやエースの傾向を見て、試合前にブロックの初期配置を決めていました。

立ち位置を変えるだけで、間に合う攻撃と間に合わない攻撃がはっきり変わります。

ぜひこの記事を参考にしてみてください。

この記事を読むことで得られる3つのこと
  • バンチ・スプレッド・デディケートの違いがわかる
  • どんな相手にどの陣形が向くかがわかる
  • 自分のチームに合う初期配置の選び方がわかる

それでは、詳しく見ていきましょう。

この記事は「3つの初期配置(バンチ・スプレッド・デディケート)の比較」に特化しています。

バンチ配置そのものを深掘りしたバンチブロックとは|中央に固まる利点とスプレッドの違い、跳ぶタイミングを扱ったリードブロックのやり方|トスを見てから跳ぶコツも合わせてどうぞ。

攻撃と守備の組み立て全体から確認したい方は、こちらの記事も参考にしてください。

目次

結論:3つの陣形は「どこに固まって待つか」で分かれる

先に結論からお伝えします。ブロックの初期配置は、ブロッカーが最初にどこに立って待つかの違いで3種類に分かれます。

3つは対立する作戦ではなく、相手に応じて選ぶ「引き出し」です。まずはそれぞれの特徴を、ざっくりつかんでおきましょう。

陣形立ち位置得意な相手
バンチ中央寄りに固まる速攻(センター)が強い
スプレッド左右に広がる両サイドの攻撃が強い
デディケート特定の攻撃を狙う決まったエースがいる
サルくん

3つも覚えるの、ちょっと大変そう…

あげば

大丈夫。「どこに固まって待つか」だけの違いだよ。1つずつ見れば、すぐ整理できるからね。

この3つを、これから順番に見ていきます。それぞれの利点と弱点をセットで覚えると、使い分けが一気にわかりやすくなります。

バンチ:中央に固まって速攻を止める

バンチは、ブロッカーが中央寄りに固まって待つ配置です。バンチは英語で「房(ふさ)」を意味し、選手が中央にまとまっている様子を表します。

狙いは、相手の速攻(センターのクイック)にすばやく反応することです。中央に近い所で待っていれば、真ん中の速い攻撃にも間に合いやすくなります。

バンチが向いている場面
  • 相手のセンターの速攻が強い
  • 相手のトスが速く、サイドに広く展開しない
  • 中央からのコンビ攻撃を警戒したい
サルくん

真ん中に固まったら、両サイドが空いちゃわない?

あげば

いい所に気づいたね。そこがバンチの弱点なんだ。だからサイドが強い相手には向かないんだよ。

バンチの弱点は、両サイドへの対応が遅れやすいことです。中央に寄っている分、レフトやライトの端まで移動する距離が長くなります。

だからバンチは、速攻中心のチームや、サイドにまだ広く展開してこない相手に向いています。

多くのチームがまずこのバンチを土台にするのは、現代バレーで速攻の警戒が欠かせないからです。

もう少しくわしく言うと、バンチには「バンチリード」という形がよく使われます。中央寄りに固まって待ちつつ、トスが上がってからサイドへ動き出す形です。

固まって待つのは速攻に間に合わせるため、動き出すのはサイドを守るためです。この2つを両立させるのが、バンチリードの狙いになります。

サルくん

固まって待って、トスを見てから動くんだね。

あげば

そう。だから足の速さと、トスを見る目の両方が大事になるんだ。

サイドへの移動が間に合うかどうかは、選手の横移動の速さで決まります。だからバンチは、機動力のあるブロッカーがいるチームほど生きてくる配置です。

スプレッド:左右に広げて両サイドを守る

スプレッドは、ブロッカーを左右に広げて待つ配置です。スプレッドは英語で「広げる」を意味し、バンチのちょうど逆の考え方になります。

狙いは、両サイドからの強い攻撃に、それぞれ最短距離で間に合わせることです。最初から広がっているので、サイドへの移動が少なくてすみます。

スプレッドが向いている場面
  • 相手の両サイドのアタッカーが強い
  • 相手が高いトスで大きく展開してくる
  • 速攻より、サイドの強打を警戒したい
サルくん

最初から広がってれば、端の攻撃にも間に合うんだね。

あげば

そう。そのかわり、真ん中がお留守になりやすいのがスプレッドの弱点だよ。

スプレッドの弱点は、中央の速攻に間に合いにくいことです。左右に広がっている分、真ん中のクイックに集まる時間が足りなくなります。

だからスプレッドは、速攻をあまり使わず、両サイドの高い攻撃が主軸の相手に向いています。相手の攻撃スタイルを見て、バンチとどちらを土台にするかを選ぶイメージです。

デディケート:特定の攻撃に狙いを定める

デディケートは、特定の攻撃に狙いを絞って人を配置する考え方です。デディケートは英語で「専念する」を意味し、その名の通り1つの的に集中します。

狙いは、相手の一番怖いエースや得意なコンビを、確実に止めることです。「この攻撃だけは絶対に止める」と決めて、そこに人数をかけます。

サルくん

1人のエースを、みんなで狙い撃ちするんだ?

あげば

そういうこと。相手に飛び抜けたエースがいるときは、そこを封じるだけで一気に楽になるからね。

たとえば相手にずば抜けたレフトエースがいるなら、そのレフトに2枚以上のブロックを揃えると決めておきます。他の攻撃は多少捨ててでも、主砲を止めにいく作戦です。

デディケートが向いている場面
  • 相手に飛び抜けたエースが1人いる
  • 特定のコンビ攻撃で毎回失点している
  • 他の攻撃はレシーブで拾える見込みがある

ただし、狙いを絞る分だけ、他のコースは手薄になります。だから後衛のレシーブが「エース以外は自分たちが拾う」と覚悟を決められることが前提になります。

デディケートは上級者向けの色が濃く、まずはバンチやスプレッドを使いこなしてから取り入れるのが安全です。

補足すると、デディケートは「1つの攻撃に人数をかける」という点で、他の2つとは発想が少し違います。バンチやスプレッドが全体のバランスを整える配置なら、デディケートは的を絞る配置です。

だから、相手の攻撃が特定の1人に偏っているときほど効果を発揮します。逆に、複数のアタッカーが均等に打ってくる相手には向きません。

サルくん

どんな相手だと、デディケートが効かないの?

あげば

全員がまんべんなく打ってくるチームだね。狙いを絞れないから、無理せずバンチやスプレッドで守る方がいいよ。

どの陣形を選ぶか:相手と自分の両面から決める

3つの陣形は、優劣ではなく「相手に合わせて選ぶ」ものです。選ぶときは、相手の攻撃と自分たちの力の両面から考えます。

STEP
相手の一番強い攻撃はどこか(センターか、サイドか、特定のエースか)を見る
STEP
自チームのブロッカーの機動力(横移動の速さ)を考える
STEP
その2つに合う陣形を、初期配置として選ぶ

相手のセンターが強ければバンチ、両サイドが強ければスプレッド、飛び抜けたエースがいればデディケートが基本の目安です。

サルくん

自分たちの力も関係あるの?

あげば

あるよ。横移動が速いチームは中央に固まっても間に合う。移動が遅いなら、最初から広げておいた方が安全なんだ。

たとえば横移動が得意なチームなら、バンチで中央に固まってもサイドに間に合います。逆に移動が苦手なら、スプレッドで最初から広げておく方が現実的です。

陣形は「正解が1つ」ではない。相手のエースとセッターを見て、その試合に合う配置を選ぶ。

大切なのは、1つの陣形に固執しないことです。強いチームは、相手や場面に応じて初期配置を柔軟に切り替えています。

まずはバンチを土台に置き、相手を見てスプレッドやデディケートを混ぜる。この順で覚えると、無理なく引き出しを増やせます。

ここで1つ知っておきたいのが、陣形は相手のセッターを見ても選べるという点です。セッターが速攻を多用するタイプなら、バンチで中央を固めておくと後手に回りません。

反対に、セッターが高いトスでサイドに大きく展開するタイプなら、スプレッドで最初から広げておく方が対応しやすくなります。

サルくん

相手のセッターまで見るんだ!

あげば

うん。配球のクセがわかると、次にどこへ上げるか予想しやすくなるからね。

このように、相手のエースだけでなくセッターの配球のクセも、陣形選びの手がかりになります。試合前に相手のセッターを観察しておくと、初期配置の精度がぐっと上がります。

ブロックシステムでよくある失敗と注意点

初期配置を決めても、そのあとの動きでつまずくことがあります。よくある失敗を見ておきましょう。

陣形選びでのよくある失敗
  • 陣形だけ決めて、跳ぶタイミングが揃わない
  • 中央に固まりすぎて、サイドが常に空く
  • 陣形をコロコロ変えて、全員が混乱する

1つ目は、初期配置と「跳ぶ判断」を混同しないことで防げます。陣形はあくまで待つ位置の話で、いつ跳ぶかは別の技術です。

基本はトスを見てから跳ぶリードブロックが土台になります。

2つ目は、バンチに寄りすぎたときに起きます。速攻を警戒するあまり中央に固まりすぎると、サイドが空きっぱなしになります。

相手が速攻を使ってこないなら、思い切って広げましょう。

サルくん

陣形は、試合の途中で変えてもいいの?

あげば

いいよ。ただし、変えるときは全員で確認してからね。1人だけ違う陣形だと、そこが穴になっちゃうから。

3つ目の「コロコロ変える」は、意思統一の不足が原因です。陣形を変えるときは、必ず全員で「次はスプレッドで」と確認してから切り替えましょう。

慣れないうちは、1試合を通して1つの陣形をやり切るくらいでちょうどいいです。少しずつ、場面ごとの切り替えに広げていきましょう。

そしてもう1つ、陣形以前の土台として押さえておきたいことがあります。

陣形の前に整えたい2つの基本
  • ネットに正対して足2足分あけて立つ(足のサイズが25cmならつま先がネットから約50cm)
  • 横へ動くあいだも、進行方向ではなくボールと自分がマークするアタッカーを見続ける

私が選手にまず確認するのは、この立ち位置と目線です。ネットに近すぎても離れすぎても吸い込みの原因になりますし、動く先を見てしまうとトスの軌道を見失います。

あげば

陣形をどれだけ工夫しても、この2つが崩れていたら守れないんだ。まずはここから整えよう。

土台がそろってはじめて、バンチやスプレッドという引き出しが生きてきます。

よくある質問

中学生でも3つの陣形を使い分けるべきですか?

まずはバンチ1つを土台にするので十分です。速攻の警戒を覚えたうえで、相手にサイドの強打が多いときだけスプレッドを試す、という段階で構いません。

人数が2枚しか揃わない時はどうすればいいですか?

2枚でも考え方は同じです。相手の一番強い攻撃に2枚を合わせるのが基本で、これはデディケートの発想に近くなります。

陣形を変えると、レシーブの位置も変わりますか?

はい。ブロックが塞ぐコースが変わるので、後ろのレシーブも立ち位置を合わせます。ブロックとレシーブはセットで動かすのが基本です。

まとめ:陣形は「相手に合わせて選ぶ引き出し」

ブロックの初期配置は、バンチ・スプレッド・デディケートの3つを、相手の攻撃に合わせて選ぶものです。

3つは優劣ではなく引き出しです。相手のどこが怖いかと、自分たちの機動力を見て、その場に合った配置を選びましょう。

陣形立ち位置弱点向く相手
バンチ中央に固まるサイドが遅れる速攻が強い
スプレッド左右に広がる中央が遅れる両サイドが強い
デディケート特定攻撃を狙う他が手薄主砲が1人いる

まずはバンチを土台に。相手を見て、スプレッドやデディケートを混ぜていく。

私は元日本代表として、そして指導者として、ブロックは高さより配置の賢さで差がつくと感じてきました。立ち位置を変えるだけで、守れる攻撃が増えていきますよ。

サルくん

よし、まずはバンチから覚えて、相手を見て変えてみる!

あげば

その順番でいいよ。相手をよく見て、みんなで陣形を合わせていこう♪

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

戦術・システムについては他にも記事を書いています。
気になるテーマがあればぜひ読んで参考にしてもらえたら嬉しいです♪

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この記事を書いた人

バレーボール・ビーチバレーボール元日本代表。
バレーボールスクールを10年間運営。

【保有資格】
日本スポーツ協会公認バレーボールコーチ4

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