バレーの短時間練習メニュー|放課後60分で効果を出す組み方

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放課後60分の短時間練習メニューを相談する指導者のイラスト
  • 平日の練習が放課後の60分しかない
  • 準備と片付けを引くと、実質40分くらいしか動けない
  • 短い時間で何を優先すればいいのか分からない

こんな悩みを解決します。短時間練習の答えは、今日のテーマを1つにしぼり、待ち時間をゼロに近づけるの2つにしぼられます。

私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。

10年以上スクールを運営してきた経験から言えるのは、練習の質は長さではなく「1人あたりのボールタッチ数」で決まるということです。

60分でも、テーマをしぼって回し方を工夫すれば、だらだらした2時間より確実に積み上がります。ぜひこの記事を参考にしてみてください。

この記事を読むことで得られる3つのこと
  • 短時間練習で成果を出す「テーマ1つ×待ち時間ゼロ」の考え方がわかる
  • そのまま使える放課後60分のモデルメニューがわかる
  • 1週間でバランスよく強化する曜日別のテーマ配分がわかる

それでは、詳しく見ていきましょう。

目次

結論:短時間練習は「テーマ1つ×待ち時間ゼロ」で決まる

先に結論からお伝えします。60分しかない日の練習は、あれもこれもと詰め込んだ時点で失敗します。

短時間練習の2大原則
  1. 今日のテーマを1つにしぼる(「今日は◯◯ができたら勝ち」)
  2. 待ち時間をゼロに近づける(全員が同時に動く形を作る)

テーマが1つなら、選手は何を意識すればいいか迷いません。先生も観察するポイントが1つになり、声かけの質が上がります。

れおコーチ

60分だと、サーブもレシーブもスパイクも中途半端になるんです…。

あげば

全部やろうとするからだよ。今日はサーブだけ、と決めていいんだ。

もう1つの柱が待ち時間です。列に並んで順番を待つ形式は、30人いれば1人が動く時間は数分になってしまいます。

短時間練習の敵は、練習メニューではなく「待ち時間」。

同じ60分でも、待ち時間を削るだけでボールタッチ数は数倍変わります。ここから、その具体的な方法を見ていきます。

なぜ「しぼった60分」が「詰め込んだ60分」に勝つのか

理由はシンプルで、技術は反復の回数でしか身につかないからです。

3つの技術を20分ずつやると、移動と説明でそれぞれ5分は消えます。実質の反復時間は各10分ほどで、どの技術も「思い出したころに終わる」状態になります。

テーマを1つにすれば、説明は1回で済み、残りの時間をまるごと反復に使えます。私の指導現場でも、テーマを1つにしぼった日ほど選手の集中が最後まで続きます。

バボット

ハンプクスウガ ジョウタツヲ キメル

さらに、テーマが1つだと練習の最後に「できたかどうか」を確認できます。

「今日は◯◯ができたら勝ち」と宣言して始め、終わりに1人1言で振り返る。この小さな達成の積み重ねが、選手のやる気を保ちます。

れおコーチ

たしかに、テーマを宣言した日は選手の顔つきが違います!

あげば

短いからこそ、目的がはっきりした時間になるんだよ。

大切なのは、1回の練習で完結させようとしないことです。今日はトスの一定化、明日は距離、と1週間単位でつなげていきます。

放課後60分のモデル練習メニュー

ここからは、そのまま使える60分のモデルを紹介します。体育館が使える日と使えない日の2系統で用意しました。

年代別・目的別に練習全体を設計する考え方は、次の記事にまとめています。

体育館が使える日の60分

時間中身
0:00〜0:05あいさつ・テーマ宣言「今日は◯◯ができたら勝ち」を1つ
0:05〜0:15アップ+ボール慣れ動的ストレッチ→直上・対人パス
0:15〜0:45メインスキル今日のテーマの反復(全員同時に)
0:45〜0:55ゲーム性の時間的当てゲームなどテーマと関連した遊び
0:55〜1:00振り返り「今日できたこと」を1人1言

ポイントは、メインスキルに30分をまとめて確保することです。60分練習の背骨はこの30分で、ほかの枠は前後の準備と定着だと考えます。

メインスキル30分の進め方には型があります。上手い選手か動画でお手本を見せ、まず形だけをゆっくり反復し、それから本来のスピードで数をこなす、という3段階です。

観察ポイントは1〜2個にしぼる。全部を見ようとすると何も見えない。

サーブのトスなら「頭より前に上がっているか」だけを見る、という具合です。

コートが1面しかなくても、半面をメインスキル、もう半面を対人パスに分ければ、全員が同時に動けます。

最後のゲーム性の時間は、ごほうびではなく定着の仕掛けです。サーブがテーマの日なら的当てサーブ、というようにテーマとつなげます。

れおコーチ

遊びで終わると、次の日も「またやりたい」と言ってくれるんですよね。

あげば

楽しさは練習の質の一部だよ。きついだけの練習が一番もったいないんだ。

体育館が使えない日の60分

時間中身
0:00〜0:10アップストレッチ・ステップワーク
0:10〜0:35ボールスキル壁パス(主役)・サーブの素振りとトス一定化
0:35〜0:50体力 or 座学ダッシュ系・体幹/ホワイトボードでルール学習
0:50〜1:00整理軽い体幹・記録表の記入・振り返り

体育館がない日の主役は壁パスです。校舎の外壁があれば、オーバーとアンダーの形づくりと数値目標の練習が十分にできます。

体育館がない日は「壁パス+トスの一定化」で個人技術を伸ばす日にする。

サーブはボールを打てなくても、毎回同じ場所に上げるトスの反復だけで大きく上達します。床やコンクリートにテープで目印を貼るだけで練習になります。

サーブミスの最大の原因はトスのばらつきなので、この地味な反復が試合のサーブ成功率に直結します。10本連続で目印に落とせたら合格、と基準を決めると熱中して取り組めます。

れおコーチ

体育館がない日も、やれることが意外とあるんですね!

あげば

体育館の日に「コートでしかできない練習」を回すための仕込みの日なんだ。

また、フォームをスマホで撮影して理想の選手と見比べる時間にも向いています。自分の動きを客観的に見る習慣は、全技術に効く上達の近道です。

60分から時間をひねり出す運営の工夫

メニューと同じくらい大事なのが、運営で「動く時間」を増やす工夫です。3つ紹介します。

工夫1:準備と片付けを役割分担で高速化する

ネット張りやモップがけを「早く来た人がやる」にすると、毎日同じ子が損をして時間も読めません。

班ごとの当番制にして目標タイムを決めると、準備そのものがチームワークの練習になります。5分の短縮は、1週間で25分の練習時間になります。

ボールカゴやモップの定位置を決めておくのも効果的です。「どこに何があるか」を全員が知っているだけで、準備の動きは見違えるほど速くなります。

工夫2:説明は30秒・お手本は上手い選手

先生の説明が3分を超えると、選手の集中は切れ始めます。説明は30秒で切り上げ、上手い選手のお手本を見せるほうが伝わります。

バボット

セツメイ30ビョウ オテホンガ イチバン

観察ポイントを1つだけ伝えて動かし、動きながら個別に声をかける。この形が短時間練習の基本です。

短い言葉で選手を動かすには、褒め方・叱り方と問いかけの引き出しが効いてきます。

工夫3:記録表で練習を家や休み時間につなげる

壁パスの連続回数やサーブ10本中の成功数を記録表にして壁に貼ると、選手は自分の数字を伸ばしたくなります。

数字の見える化は、練習時間の外に「自主練」という時間を生む。

短時間練習のチームこそ、練習外の積み上げが差になります。記録表は紙1枚で作れる、費用ゼロの強化ツールです。

記録表を作るときは、学年ごとに到達の目安を置いておくと数字が意味を持ちます。1年生なら、入部が決まった5月末までに壁パスがオーバーハンド20回・アンダーハンド20回続くことがひとつの区切りです。

そこから総体期の7月末には、壁パスが各50回、緩いフローターサーブが10本中9本入るあたりを目標にします。数字が具体的だと、選手は休み時間の5分でも「あと3回」を取りにいくようになります。

れおコーチ

目安があると、声かけも「あと少しだね」と具体的になりますね。

あげば

数字は選手を追い詰める道具じゃなく、伸びを見せてあげる道具だよ。

1週間でテーマを配分して「合計」で強くなる

60分練習は、1回では完結しません。1週間をひとまとまりと考えて、曜日ごとにテーマを割り振ります。

曜日別テーマの実例

曜日テーマ例
サーブ(トスの一定化→距離)
サーブカット(緩い球から段階的に)
休養日
スパイク(立ち姿勢のフォーム→2歩助走)
つなぎ・ゲーム形式(週のテーマを実戦で確認)
練習試合 or 長めの実戦練習
休養日

週の前半に個人技術、後半に実戦形式を置くと、「習った技術をその週のうちに試合形式で使う」流れが作れます。

定期テストの週は思い切って練習を減らし、その分を「テスト明けの週のテーマ」に回します。学業との両立を守る姿勢は、保護者からの信頼にもつながります。

なお、スポーツ庁のガイドラインでは週2日以上の休養日を設けることが求められています。休養日は計画の一部として堂々と組み込みましょう。

出典:運動部活動の在り方に関する総合ガイドライン(スポーツ庁)

大会前の週は「調整」に切り替える

大会前の1〜2週間だけは、曜日テーマを外して調整に切り替えます。

新しい技術やフォーム修正はせず、サーブからサーブカット、ラリーへの実戦確認が中心です。量も2〜3割減らして疲労を抜きます。

れおコーチ

大会前こそ、たくさん練習させたくなりますが…。

あげば

疲労はミスの最大原因だよ。大会前は「減らす勇気」が采配なんだ。

この切り替えの考え方は、大会から逆算して1年単位の計画に広げると、さらに効果を発揮します。

短時間練習のよくある失敗と直し方

最後に、短時間練習でつまずきやすい失敗を3つ紹介します。

失敗1:全部やろうとして全部が薄くなる

一番多い失敗です。サーブ10分、レシーブ10分、スパイク10分…と刻むと、説明と移動で時間が溶け、どれも反復が足りません。

直し方は「今日は1つ」と決める勇気です。1週間の表があれば、今日やらない技術にも順番が来ると分かるので、安心してしぼれます。

あげば

「やらない」を決めるのも、立派な采配だよ。

選手から「スパイクも打ちたい」と声が出たら、「木曜日はスパイクの日だよ」と返せます。曜日の表は、先生の迷いだけでなく選手の不満も減らしてくれるんです。

失敗2:説明と説教で時間が溶ける

ミスが続くと練習を止めて話したくなりますが、60分練習で3分の説教は全体の5%です。

伝えることは1つにしぼり、動かしながら個別に声をかけましょう。できているところを先に褒めると、短い言葉でも選手に届きます。

失敗3:毎日を体力メニューで締めて燃え尽きる

短い練習を「せめて最後に走らせよう」と締めると、技術練習の記憶がきつさで上書きされます。

体力づくりは大切ですが、毎日ではなく曜日を決めて計画的に入れるものです。走り込みのしすぎで、バレーボールを嫌いにさせてしまうのが一番の損失です。

入れるなら、心拍数が上がった状態で動き続けるダッシュ系やインターバル形式が向いています。試合の後半で精度が落ちる選手は、技術ではなく心肺機能でつまずいていることが多いからです。

後半に崩れる原因は技術ではなく心肺。走らせるなら「量」より「心拍」。

一方で、中学年代に重いダンベルやバーベルを持たせる必要はありません。器具である程度の重量を扱うのは、骨の成長と怪我の予防を考えると高校年代からで十分です。

れおコーチ

思い当たることばかりです…今日から直します。

あげば

気づけたら半分解決だよ。まずはテーマ1つから始めよう!

部員が多くて待ち時間がどうしても減らせない場合は、メニューより先に班分けの回し方を見直してみてください。

待ち時間が減らないときに見直す3点
  • コートの半面をさらに縦に割って、同時に動ける組を増やす
  • ボールカゴを2つに増やして、球出しの列を分ける
  • 球出し役を上級生に任せて、先生は観察と声かけに回る

ここを変えるだけで、メニューを一切いじらなくても1人あたりのタッチ数は増えます。

短時間練習について、指導者の方からよくいただく質問にお答えします。

短時間練習についてよくある質問

60分で体力づくりまでやる時間がありません。

毎日やる必要はありません。週1〜2回、体育館がない日に10〜15分のダッシュ系や体幹メニューを入れるだけでも土台は作れます。日常の練習自体も、待ち時間を減らせば運動量が上がります。

準備と片付けの時間は練習時間に含めるべきですか?

含めて計画するのがおすすめです。「16時集合・16時10分練習開始」のように準備込みの時間割にすると、実際に動ける時間が読めるようになり、メニューの詰め込みすぎを防げます。

テーマを1つにすると、ほかの技術が落ちませんか?

1週間単位でテーマを回せば、主要な技術には週1回ずつ触れられます。中途半端に毎日全部をやるより、週1回でも集中して反復するほうが定着しやすいというのが私の実感です。

選手だけで練習させる日があっても大丈夫ですか?

記録表と「今日のテーマ」が決まっていれば、選手主体の日も機能します。壁パスの回数測定やサーブ10本測定など、数字で振り返れるメニューを指定しておくと、だれずに取り組めます。

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まとめ:60分を「しぼって回す」チームは強くなる

短時間練習は、時間の少なさを嘆くものではなく、しぼる力と回す工夫で質に変えるものです。

原則やること効果
テーマは1つ「今日は◯◯ができたら勝ち」を宣言迷いが消えて反復が増える
待ち時間ゼロ全員が同時に動く形を作るボールタッチ数が数倍になる
週で設計曜日ごとにテーマを配分合計でバランスよく強くなる
数字の見える化記録表を壁に貼る練習外の自主練が生まれる

60分×テーマ1つ×待ち時間ゼロ。この掛け算が短時間チームの勝ち筋。

私は元日本代表として、限られた環境で工夫するチームが大きな体育館のチームを倒す場面を何度も見てきました。

時間のなさは、工夫を生む出発点です。まずは明日の練習のテーマを1つ、決めてみてください。

れおコーチ

明日のテーマは「トスの一定化」に決めました!

あげば

いいテーマだね。1つずつ積み上げていこう!

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

バレーの指導・チーム運営については他にも記事を書いています。
気になるテーマがあればぜひ読んで参考にしてもらえたら嬉しいです♪

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この記事を書いた人

バレーボール・ビーチバレーボール元日本代表。
バレーボールスクールを10年間運営。

【保有資格】
日本スポーツ協会公認バレーボールコーチ4

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