- 勝ちを目指すのか、楽しさを大切にするのか、チームの軸が定まらない
- 選手・保護者・指導者の間で、目指す方向がバラバラだと感じる
- 目標を立てても、いつの間にか忘れられて練習に反映されない
こんな悩みを解決します。
チーム目標が機能する条件は、指導者が1人で決めずに全員で言葉にして、日々の行動まで落とし込むことです。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
10年以上スクールを運営してきた経験から言えるのは、方向性のブレは能力の問題ではなく、目標の作り方の問題だということです。
壁に貼られただけの目標は機能しません。全員の口から同じ言葉が出てくる目標だけが、チームを動かします。
ぜひこの記事を参考にしてみてください。
- 勝利志向と人間形成を対立させずに両立させる考え方がわかる
- 全員が納得するチーム目標を作る5つのステップがわかる
- 決めた目標を日々の練習と行動につなげる仕組みがわかる
それでは、くわしく見ていきましょう。
結論:目標は全員で言葉にして初めて機能する
先に結論からお伝えします。チーム目標づくりで一番大切なのは、決める過程に選手を参加させることです。
- 全員が決める過程に参加している(与えられた目標ではない)
- 成果目標と行動目標がセットになっている
- 定期的に見直す場がある(貼って終わりにしない)
れおコーチ目標は毎年決めているのに、なぜかチームがまとまらないんです…



決めた目標か、与えられた目標か。その違いが効き目の差になるんだよ。
指導者が立派な目標を掲げても、選手にとって他人の言葉のままでは行動につながりません。
人は自分で口にした目標のためにしか、本気で動けない。
自分たちで話し合って決めた目標は、苦しい場面での踏んばりを支えます。誰かに言われたからではなく、自分たちで決めたからと思えるかどうかの差です。
この記事では、方向性がブレる原因、勝利と人間形成を両立させる考え方、目標づくりの5ステップ、行動への落とし込みの順で解説していきます。
なぜチームの方向性はブレるのか
対策の前に、方向性がブレる原因を整理しておきましょう。原因は大きく2つあります。
勝利志向と育成志向が整理されないまま同居している
1つ目の原因は、勝ちたい気持ちと、全員を成長させたい気持ちが、整理されないまま同居していることです。
大会が近づくと勝利優先の采配になり、普段は全員出場を大切にする。この切り替えの基準が言葉になっていないと、選手も保護者も混乱します。



キジュンガ ナイト ハンダンガ ブレル
たとえば、メンバー選考のたびに方針が変わって見えると、選手は指導者の顔色をうかがうようになります。ブレて見える原因は方針の変更ではなく、基準の説明不足であることが多いんです。



場面で使い分けること自体は悪くない。使い分けの基準を先に共有していないことが問題なんだ。
目標が抽象的で行動につながっていない
2つ目の原因は、目標の抽象度です。全力でがんばる、心を1つに、といった言葉は、気持ちは伝わりますが行動を決めてくれません。
行動につながらない目標は、日々の練習と切り離され、やがて壁の飾りになります。
今日の練習の何を変えるかまで決まらない目標は、まだ目標になっていない。
目標と毎日の練習の間をつなぐ仕組みは、あとの章で具体的に解説します。まずは、多くのチームが抱える二択の悩みから片づけましょう。



まさにうちの目標、壁の飾りになっています…
全国か人間形成か:対立ではなく段差で考える
チーム目標の議論で必ず出てくるのが、勝利か人間形成かという二択です。結論から言うと、この2つは対立しません。
二択に見えるのは時間軸が違うだけ
勝利は大会ごとの短期の成果です。人間形成のほうは、競技を通じて時間をかけて育つ長期の成果。時間軸が違うものを同じ土俵で比べるから、二択に見えてしまいます。
私の指導現場では、あいさつ・道具の扱い・仲間への声かけといった生活面が整ってくると、プレーの規律も整ってくる、という順番をよく見ます。



コートノ ソトモ プレーノ ウチ
スクールの選手たちには、コートの外での行動もプレーの一部だと伝えています。ボール拾いの速さと、つなぎのレシーブへの反応は、驚くほど連動するからです。



人間形成は勝利の遠回りじゃない。長い目で見れば一番の近道でもあるんだ。
逆に、勝利だけを追ってバレーボールが嫌いになってしまえば、競技を続ける力そのものが失われます。練習がきつくて嫌いになるのが、一番もったいない結末です。



キライニ ナッタラ ゼンブ トマル
チームの現在地で比重を決める
両立といっても、比重はチームごとに違っていいものです。決め手は、チームの現在地と選手たちの願いです。
初心者中心のチームなら、できた喜びと競技を好きになることが最優先です。経験者がそろい、選手自身が上を目指したいなら、勝利への比重を上げる時期です。
比重を決めるのは指導者の理想ではなく、選手たちの現在地と願い。
大切なのは、その比重を指導者の胸の内にしまわず、チームの共通言語にすることです。ここから、具体的な決め方に入ります。



二択で悩む必要はなかったんですね!
チーム目標を決める5つのステップ
ここからは、実際に目標を決める手順です。ミーティング2回分、合計2時間ほどで最初の形が作れます。
ポイントは、最初に個人の願いから始めることです。いきなりチーム目標を話し合うと、声の大きい選手や上級生の意見に流されがちです。
紙に書いてから出し合う方式なら、控えめな選手や下級生の願いも同じ重さでテーブルに乗ります。
この段階では、どんな願いも否定しないことを先に宣言しておきましょう。楽しくやりたいという願いも、全国に行きたいという願いも、どちらもチームの大事な材料です。



願いの書き出しから始めるんですね。いきなり多数決にしていました!



多数決は最後の手段。まず全員の願いをテーブルに乗せることが納得感を作るんだ。
成果目標の高さは、背伸びして届くラインに置きます。簡単すぎる目標は熱を生まず、非現実的な目標は早々に他人事になります。
過去の成績と現在の力を材料に、選手たちが「きついけど、いけるかもしれない」と口にする高さを一緒に探しましょう。



目標の高さ選びも、選手に判断させる練習の1つだよ。
意見が割れたときは、無理に1つにまとめず、成果目標と価値観の2階建てにする方法もあります。県大会出場という成果目標の下に、全員がコートで役割をもつという価値観を並べる形です。
こうした話し合いのファシリテーションも指導の技術です。学び方は情報収集術の記事でくわしく紹介しています。
目標を行動に落とす:成果目標と行動目標のセット運用
目標が決まったら、次は日々の行動への変換です。ここで使うのが、成果目標と行動目標のセット運用です。
成果目標:結果を示す1つの旗
成果目標は、県大会出場のような結果の旗です。旗は1つに絞ります。複数あると、苦しい場面でどれを優先するかがまたブレるからです。
旗の役割は、日々の判断の基準になることです。練習メニューの選択も、メンバー編成も、この旗に近づくかどうかで説明できるようになります。



判断の説明がしやすくなるのは、指導者としてありがたいです。
行動目標:今日からできる具体的な行動
行動目標は、成果目標を毎日の行動に翻訳したものです。自分たちでコントロールできる行動だけで作るのがルールです。
- サーブ練習の最後10本は、試合を想定してコースを宣言してから打つ
- 練習の準備と片付けを全員で5分以内に終える
- ミスした仲間に、次につながる声を最初にかける
結果は相手にも左右されますが、行動は自分たちで100点にできます。行動目標が回り始めると、勝敗に関係なく成長を確認できるようになります。
行動目標は、練習の見える場所に掲示して、毎回の練習前に1つ読み上げるくらいの近さに置いておくと効果的です。目に入る回数が、行動の定着を左右します。
成果目標は旗として1つ。行動目標は毎日チェックできる形で2〜3個。
なお、声かけに関する行動目標は、チームの雰囲気づくりに直結します。行きすぎた叱責や上下関係の問題を防ぐ意味でも、言葉のルールは早めに整えておきましょう。
方向性を保つ仕組み:見直しと共有をルーチンにする
目標は決めた瞬間から古くなり始めます。方向性を保つには、見直しと共有の仕組みが必要です。
月1回のふり返りミーティング
月に1回、15分でいいので、行動目標のふり返りをチームで行いましょう。
このとき、できていないことを責める場にしないのが鉄則です。最初はできないところばかりで当たり前。できたところを見つけて認めることから、ふり返りの文化が育ちます。



ふり返りは反省会じゃなくて、成長の確認会にしようね。
シーズンの途中で成果目標そのものを見直すのも、負けではありません。怪我や環境の変化で前提が変わったら、目標も現実に合わせて調整するのが健全です。
ふり返りの記録は、ノート1冊に日付と一言だけでも残しておきましょう。数か月後に読み返すと、チームの成長が目に見える財産になります。
保護者との共有で外からのブレを防ぐ
方向性のブレは、チームの外からもやってきます。勝たせてほしい保護者と、楽しませてほしい保護者の声は、どちらも自然なものです。
だからこそ、決めた目標と比重は、文書にして保護者に共有しておきます。年度はじめの保護者会で、目標・出場機会の考え方・見直しの時期をセットで説明しておくと、途中の誤解が激減します。



保護者からの声に、その場その場で答えてブレていた気がします…



個別の声に都度答えるより、先に全体へ基準を示すほうがお互いに楽なんだよ。
目標は、選手と決めて、保護者と共有して、月1回見直す。この3点で方向性は保てる。
指導者の方からよくいただく質問にお答えします。
チーム目標の決め方でよくある質問
まとめ:全員の言葉になった目標がチームを動かす
最後に、この記事の要点を振り返ります。チーム目標は、内容の立派さよりも、作り方と運用で機能するかどうかが決まります。
| 段階 | やること | ポイント |
|---|---|---|
| 決める | 個人の願いから5ステップで | 与えずに全員で決める |
| 落とす | 成果目標1つ+行動目標2〜3個 | 行動は自分たちで完結する形 |
| 保つ | 月1回のふり返り+保護者共有 | できたところを認める場にする |
勝利と人間形成は二択ではない。時間軸の違う2つの成果として、両方を設計する。
私は元日本代表として多くのチームを見てきましたが、強いチームは例外なく、目標が全員の口から同じ言葉で出てきます。



次のミーティングで、まず全員の願いを書き出してみます!



それが方向性の統一の第一歩だよ。チームの言葉を育てていこう。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
バレーボールの指導・チーム運営については他にも記事を書いています。
気になるテーマがあればぜひ読んで参考にしてもらえたら嬉しいです♪
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