- 子どもが急に「バレーを辞めたい」と言い出して戸惑っている
- 続けさせるべきか、辞めさせるべきか判断がつかない
- 「せっかく続けてきたのに」と、つい引き止めてしまう
こんな悩みを解決します。
「辞めたい」と言われたときにまず大切なのは、すぐに引き止めず、続ける・辞めるを決める前に理由を丁寧に聴くことです。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
多くの選手を見てきて感じるのは、「辞めたい」という言葉の裏には、本当の辞めたい気持ち以外の理由が隠れていることが多いということです。
言葉をそのまま受け取って慌てる前に、順を追って気持ちをほどいていけば、親子ともに納得できる答えにたどり着けます。
ぜひこの記事を参考にしてみてください。
- 「辞めたい」と言われたときの正しい対応手順がわかる
- 言葉の裏に隠れた本当の理由の見極め方がわかる
- 続ける場合・辞める場合それぞれの支え方がわかる
それでは、くわしく見ていきましょう。
結論:まず聴く、決めるのはあと
先に結論からお伝えします。「辞めたい」と言われたときの対応は、次の順番で進めます。
- 否定せずに聴く:まず気持ちを受けとめる
- 理由を探る:本当の原因を一緒にほどく
- 一緒に決める:続ける・休む・辞めるを本人と選ぶ
いちばんやってはいけないのは、理由を聴かないまま「もったいない」「根性がない」と引き止めたり、逆にその場で突き放したりすることです。
「辞めたい」は結論ではなく、多くの場合、助けを求めるサインです。
子どもは、うまく言葉にできない困りごとを「辞めたい」の一言に込めることがあります。まずはその奥にある気持ちに耳を傾けることが出発点です。
本当に辞めたいのではなく、「つらい気持ちに気づいてほしい」だけのこともあります。ここで頭ごなしに引き止めると、そのサインを見逃してしまいます。
反対に、「わかった、辞めていいよ」とすぐ突き放すのも危険です。
子どもは、本当は続けたかったのに引き止めてもらえなかった、と受け取ることがあるからです。
うさママ突然「辞めたい」と言われて、頭が真っ白になってしまって…。



驚くよね。でも慌てて結論を出さず、まず理由をゆっくり聴くところからで大丈夫だよ。
結論を急がないこと。続けるか辞めるかを決めるのは、理由が見えてきたあとで十分間に合います。
次の章から、まずやるべき「聴き方」から見ていきましょう。
ステップ①:否定せずに気持ちを聴く
最初にやることは、アドバイスでも説得でもありません。ただ、否定せずに聴くことです。
「そうなんだ」から始める
「辞めたい」と言われたら、まず「そうなんだ、そう思ってるんだね」と受けとめます。いきなり理由を問い詰めず、気持ちを口に出せたこと自体を認めます。
否定から入ると、子どもは心を閉じます。「ダメ」「もったいない」と返した瞬間、本当の理由は語られなくなります。



辞めたいって言っただけで怒られると、もう何も言えなくなっちゃう…。



だよね。だからまずは、話してくれてありがとう、っていう気持ちで聴くんだ。
問い詰めず、待つ
理由を聞くときも、「なんで?」と詰めるのではなく、「何かあった?」とやわらかく尋ねます。すぐに答えが返ってこなくても、急かさず待ちましょう。
子ども自身も、理由をはっきり言葉にできていないことがよくあります。話しながら、少しずつ整理されていくものです。
まず聴く姿勢を見せるだけで、子どもは本音を話しやすくなります。
親が落ち着いて聴いてくれるとわかると、子どもは安心して胸のうちを開きます。ここを飛ばして解決策に進んでも、的外れになりがちです。
聴くときは、家事の手を止めて、子どもの方を向くだけでも印象が変わります。ながら聞きだと、本気で向き合ってもらえていないと感じさせてしまいます。
夜寝る前や車の中など、二人きりで落ち着ける時間を選ぶのもおすすめです。まわりに人がいると、本音は出しにくいものです。



つい「ちょっと待ってね」と後回しにしがちでした。手を止めて聴いてみます。



うん。話したいと思ったその瞬間に向き合ってあげると、子どもは安心するんだよ。
ステップ②:本当の理由を見極める
「辞めたい」の裏には、さまざまな理由が隠れています。ここを見極めることが、対応の分かれ道になります。
私の経験では、辞めたい理由は大きく次のように分けられます。
| 隠れた理由のタイプ | よくある背景 |
|---|---|
| 人間関係 | 友達とのトラブル・チーム内の居心地の悪さ |
| 自信の低下 | 伸び悩み・レギュラーになれない・ミスが怖い |
| 疲労・忙しさ | 練習や勉強との両立がきつい・体が疲れている |
| 一時的な感情 | 直近の試合や練習での悔しさ・気分の波 |
一時的な感情かどうかを見る
まず確かめたいのは、それが一時的な感情かどうかです。負けた直後や叱られた日など、気持ちが落ちている場面での「辞めたい」は、時間をおくと変わることがよくあります。
数日たっても気持ちが変わらないか、様子を見てみましょう。翌日にはけろっとしているなら、深刻に受け取りすぎなくて大丈夫なこともあります。



昨日はあんなに言ってたのに、今日は普通に練習に行きました…。



よくあることだよ。感情の波のときは、そっと見守るのがいちばんなんだ。
背景に困りごとがないかを探る
一方で、繰り返し口にする、表情が暗い、体調に変化があるといった場合は、背景に困りごとが隠れている可能性があります。
とくに人間関係のトラブルや、いじめが疑われるようなサインには注意が必要です。子どもだけで抱え込ませず、学校や指導者と連携して状況を確認してください。
心身の不調が続く場合や、いじめが疑われる場合は、家庭だけで判断せず、学校の先生やスクールカウンセラー、医療機関など専門家に相談することが大切です。
自信の低下や忙しさが背景のこともある
人間関係だけでなく、伸び悩みやレギュラー争いで自信を失っているケースも少なくありません。頑張っているのに結果が出ないつらさが、辞めたい気持ちに変わります。
この場合は、結果ではなく、これまでの取り組みを認める言葉が支えになります。「うまくいかなくても、続けてきたこと自体がすごいよ」と伝えてあげてください。



がんばってるのに試合に出られないと、なんのためにやってるのかわからなくなるんだ…。



その気持ちはつらいよね。でも、その悔しさを感じられるほど本気なんだって、僕は思うよ。
また、練習と勉強の両立で疲れきっているだけのこともあります。この場合は、辞める前にまず休ませる、練習量を調整するといった対応で、気持ちが戻ることも多いです。
理由を見極めるうえで大切なのは、決めつけないことです。「どうせ試合に出られないからでしょ」と親が先回りすると、本当の理由が別にあったときに見逃してしまいます。
タイプはあくまで見当をつけるための目安です。
最後は本人の言葉を丁寧に聴いて、その子ならではの背景を一緒に探っていきましょう。
ステップ③:続ける・休む・辞めるを一緒に決める
理由が見えてきたら、いよいよ今後をどうするかです。ここでも、親が一方的に決めないことが大切です。
選択肢は「辞める」だけではない
「続ける」か「辞める」かの二択で考えると、行き詰まりがちです。実際には、その間にいくつもの選択肢があります。
- しばらく休んで、気持ちを整える
- 練習量を調整して負担を軽くする
- 環境を変える(チームや練習の関わり方を見直す)
- 期限を決めて、もう少しだけ続けてみる
たとえば「テストが終わるまで休む」「あと1つの大会まで続けてみる」といった形で、いったん立ち止まる時間を作るのも1つの方法です。
期限を区切ると、子どもは終わりが見えて気持ちが楽になります。ゴールのないつらさを我慢させるより、いったん立ち止まる方が、結果的に続けられることもあります。
休むことに罪悪感を持たせないのも大切です。
「少し離れてみて、また戻りたくなったら戻ればいい」と伝えるだけで、子どもの肩の力は抜けます。



少し休んでいいって言われたら、気持ちが楽になって続けられるかも。



そうなんだ。辞めるか続けるかの前に、休むという選択肢もあるんだよ。
決めるのは本人、支えるのが親
最終的にどうするかは、できるだけ本人に決めさせます。親が決めた道は、うまくいかないと親のせいになり、本人の成長にもつながりにくいからです。
もちろん、判断材料は一緒に整理してあげてください。そのうえで本人が選んだ答えなら、続けるにせよ辞めるにせよ、納得して前に進めます。
親としては、つい「せっかくここまで続けたのだから」と口を出したくなります。
ですが、続けてきた時間は親のためではなく、子ども自身のものです。
過去の頑張りを理由に今を我慢させるより、これからどうしたいかを本人に選ばせる。その方が、子どもは自分の人生を自分で決める力を育てていけます。
答えを出すのは本人、材料をそろえて支えるのが親の役目です。
なお、辞めるという結論になっても、それは失敗ではありません。1つの区切りをつけて次に進むのも、大切な選択です。
頑張ってきた時間そのものは、決して無駄にはなりません。
バレーで身につけた体力や、仲間と過ごした経験、悔しさを乗り越えた記憶は、この先どんな道に進んでも子どもの財産になります。
大切なのは、辞め方です。逃げるように辞めるのと、納得して区切りをつけるのとでは、その後の子どもの気持ちがまるで違います。
だからこそ、丁寧に話し合う時間が生きてきます。



辞めることを、失敗じゃなく次への一歩と考えられるようになりました。



うん。どの道を選んでも、その子の頑張りは残る。親が信じてあげるのがいちばんの支えだよ。
辞めたいと言われたときの対応まとめ
ここまでの内容を、最後に表で整理します。
| ステップ | 親がやること | 避けること |
|---|---|---|
| 聴く | 否定せず気持ちを受けとめる | もったいない・根性論で引き止める |
| 探る | 本当の理由を一緒にほどく | 表面の言葉だけで判断する |
| 決める | 選択肢を広げて本人に選ばせる | 続ける・辞めるを親が決める |
| 心配なとき | 学校・専門家と連携する | 家庭だけで抱え込む |
まず聴く、次に理由を探る、決めるのは最後。この順番が親子を守ります。
私は元日本代表として、続ける決断も、区切りをつける決断も、たくさん見てきました。どちらの選択にも正解はなく、大切なのは本人が納得して選べたかどうかでした。
「辞めたい」の一言に慌てず、まずはゆっくり話を聴いてあげてください。その時間そのものが、子どもにとって大きな支えになります。
たとえ結論がすぐに出なくても、焦る必要はありません。
親が味方でいてくれるとわかるだけで、子どもは自分のペースで気持ちを整理していけます。
そして忘れないでほしいのは、この対応に完璧な正解はないということです。一緒に悩み、一緒に考える姿勢そのものが、何よりの答えになります。



話を聴いてもらえたら、もう一回がんばってみようって思えた!



うん。聴いてもらえるだけで、人は前を向けるものなんだよ。
辞めたいと言われたときのよくある質問
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
子育てとバレーの関わり方については他にも記事を書いています。
気になるテーマがあればぜひ読んで参考にしてもらえたら嬉しいです♪
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