- つい大きな声で怒ってしまい、練習後に後悔する
- 怒らないとチームが緩む気がして、加減がわからない
- 怒鳴らずに強いチームなんて作れるのか、半信半疑
こんな悩みを解決します。
ポジティブコーチングの核心は、怒鳴る代わりに「次にどう動くか」という具体的な情報を伝えることにあります。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
10年以上スクールで指導してきた経験から、選手がいちばん伸びるのは、ミスを恐れず挑戦できる空気の中だと確信しています。
怒鳴らない指導は、甘やかしではありません。要求水準を保ったまま、伝え方だけを変える技術です。
ぜひこの記事を参考にしてみてください。
- ポジティブコーチングの正しい意味がわかる
- 怒鳴る指導で選手が伸びにくい理由がわかる
- 褒め方・注意の伝え方を明日の練習から実践できる
それでは、詳しく見ていきましょう。
結論:ポジティブコーチングは「甘やかし」ではない

先に結論からお伝えします。ポジティブコーチングとは、罰や恐怖ではなく、承認と情報で選手の行動を変えていく指導法です。
- できた行動を具体的に認める(承認)
- 直す時は人格ではなく動作を短く伝える(情報)
- 要求水準は下げない(基準)
大事なのは3つ目です。ニコニコして何も求めないことではなく、高い基準を保ったまま、そこへ導く言葉を前向きに変えるのがポジティブコーチングです。
昔ながらの「怒鳴って走らせる」指導と比べると、変わるのは伝え方だけで、求めるレベルはむしろ上がります。
選手を追い込む矛先が、人格や恐怖ではなく、具体的な動作の修正に向く。この違いが、チームの伸び方を分けていきます。
れおコーチ優しくすると、なめられてしまう気がするんですが…



優しさと基準の低さは別物だよ。基準は高く、伝え方は前向きに、なんだ。
怒鳴らない指導=要求しない指導、ではない。基準は高く、言葉は具体的に。
部活動の指導について国が示している指針でも、威圧的な言動によらない指導が求められています。怒鳴らない指導は、今や特別な流派ではなく指導の土台です。
出典:運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン(スポーツ庁)
なぜ怒鳴る指導では選手が伸びにくいのか


まず、怒鳴る指導の何が問題なのかを整理します。根性論への反発ではなく、上達の仕組みから見た理由が3つあります。
ミスを恐れてプレーが縮こまる
怒鳴られ続けた選手は、「うまくやろう」ではなく「怒られないようにしよう」と考え始めます。
すると、思い切ったスパイクや積極的なサーブが消え、失点しないための消極的なプレーばかりになります。挑戦の数が減れば、上達の材料も減ります。
わかりやすいのがサーブです。攻めたサーブを打ってミスした選手を怒鳴れば、次からは入れるだけの緩いサーブになります。
その場の失点は減るかもしれませんが、試合を決める武器は永遠に育ちません。指導者の一言が、選手の挑戦の上限を決めてしまうのです。



大事な場面ほど、選手の腕が縮こまって見えるんですよね…



それは技術の問題じゃなくて、ミスした後の空気を怖がっているのかもしれないね。
怒られないことが目的になり、考えなくなる
恐怖で動かされた選手は、指示を待つようになります。自分で判断して失敗するより、言われた通りに動く方が安全だからです。
練習中は動けているのに試合になると止まるチームは、判断の練習ではなく、指示に従う練習を積んできた可能性があります。
バレーボールは1秒ごとに判断が求められる競技です。指示待ちの選手が6人並んだコートは、想定外の場面で止まってしまいます。
恐怖で動いたプレーは、指導者がいない場面では再現されない。
バレーボールそのものを嫌いになる
いちばん深刻なのがこれです。練習がつらくてバレーボールを嫌いになってしまうのが、指導として最悪の結末だと私は考えています。
嫌いになった選手は、部活を離れた後、二度とボールに触りません。競技を長く好きでいてもらうことは、勝敗より大切な指導の成果です。



キライ ニ ナッタラ ソコデ オワリ
走り込みのしすぎなど、きつさそのものが目的になった練習も同じです。上達の実感と楽しさが残る練習設計が、結局はいちばん選手を強くします。
実践①:褒め方の基本は「変化を具体的に」


ここからは実践編です。まず、承認の技術から見ていきます。
結果ではなく変化と行動を褒める
「ナイスキー!」だけでは、選手は何が良かったのか学べません。褒め言葉には、再現するための情報を入れます。
「今のは助走の最後の1歩が速かったから、高く跳べたね」のように、行動と結果をつないで伝えると、選手はその動きを再現できるようになります。
レシーブなら「面を早く作って待てたから真っすぐ返ったね」、サーブなら「トスが毎回同じ高さだったから安定したね」という具合です。
上手な褒め方とは、うまくいった理由を選手の代わりに言語化してあげることだと言い換えられます。



褒め言葉に情報を入れる、という発想はなかったです!



褒めるのはご機嫌取りじゃなくて、正解の動きを記憶させる作業なんだよ。
最初はできるところを探して褒める
初心者や新入部員は、できないところばかりなのが当然です。できていない点を数えるより、できるところを褒める指導から入るのがいちばん良い方法です。
入部して最初の数か月に受けた言葉は、その選手のバレーボール観の土台になります。最初こそ、意識して承認を多めにしてください。
構えの姿勢、声の大きさ、ミスの後の切り替え。結果が出る前の行動には、褒めどころが山ほどあります。
結果の前の「準備と変化」を褒めれば、褒めどころが見つからない選手はいない。
また、褒める場面と注意する場面では、場所の使い分けも効果的です。
頑張りや変化はみんなの前で認め、個別の修正点は近くへ行って本人にだけ伝える。この使い分けだけで、選手の受け取り方は大きく変わります。



みんなの前で注意された選手は、内容より恥ずかしさが残ってしまいますもんね。



そう。届けたいのは情報だから、いちばん届く場所を選ぶんだよ。
実践②:注意するときは「人格ではなく動作」を短く


ポジティブコーチングでも、注意やダメ出しはします。変えるのは、その中身と長さです。
感情の言葉を情報の言葉に置き換える
「何やってんだ」という言葉には、次のプレーに使える情報がゼロです。同じ場面で使える置き換えの例を紹介します。
| 感情の言葉 | 情報の言葉 |
|---|---|
| 何やってんだ | 今のは肘が下がってたよ。次は耳の横から振ろう |
| やる気あるのか | 1歩目が遅れてたね。ボールが出た瞬間に動こう |
| 何回言えばわかるんだ | もう一度確認しよう。どこが難しい? |
言い換えのコツは、怒りたくなった瞬間に「次のプレーで何をさせたいか」を先に決めてから口を開くことです。
言わせたい答えが浮かばない時は、まだ観察が足りていない合図です。その場合は何も言わず、次のプレーをもう一度よく見ましょう。
情報のない注意は、選手にとってただの雑音になってしまいます。口を開く基準を「情報があるかどうか」に置くと、声の質が安定します。



同じ場面でも、言葉にできる情報が全然違うんですね!?



選手に残したいのは恐怖じゃなくて、次の動き方なんだ。
伝えるのは「次の1つ」だけ
注意が長くなるほど、選手の頭には何も残りません。伝えるのは、今いちばん効く1つだけに絞ります。
ミスの直後は感情が動いているので、短く伝えて、詳しい修正は練習の区切りやミーティングに回すのも有効です。
そして、注意した内容が少しでも直ったら、その瞬間を見逃さずに「それ!今の動きだよ」と認めます。
注意と承認をセットにすると、選手の中で「直すと認められる」という前向きな循環が回り始めます。



チュウイ ト ショウニン ハ セット
怒鳴らずに規律を保つチームづくり


伝え方を変えても、チームの規律は保てます。むしろ、感情ではなくルールで運営する方が規律は安定します。
ルールを先に決めて、感情ではなくルールで正す
遅刻や道具の扱いなど、チームの約束事は選手と一緒に先に決めておきます。
破られた時は、怒鳴るのではなく「決めたルールとどうずれたか」を淡々と確認します。感情の爆発ではなくルールで正すから、選手も納得できます。
選手と一緒に決める、というのもポイントです。自分たちで決めたルールなら、指導者が見ていない場面でも選手同士で守り合うようになります。
感情で正すと顔色をうかがうチームに、ルールで正すと自分で動くチームになる。
その日の指導者の機嫌で基準が変わるチームでは、選手はプレーではなく顔色に集中してしまいます。ルールが安定の土台になるのです。
ミスと手抜きを区別する
挑戦した結果のミスは、責めずに情報で修正します。一方で、手を抜いたプレーや仲間を傷つける言動には、毅然と向き合います。
挑戦のミスは褒めて直す。手抜きと危険な行動には、静かに、はっきり向き合う。
この区別がはっきりしているチームは、思い切りのいいプレーと規律が両立します。
区別の伝え方も、あらかじめ決めておくと迷いません。挑戦した結果のミスには「ナイスチャレンジ、次はここだけ」と情報を添え、手を抜いたプレーには「今のは全力じゃなかったね」と事実だけを短く返します。
選手がいちばん知りたいのは、何をすると信頼を失うのかという線引きです。その線が毎回同じ場所にあるなら、要求が高くても選手は安心して思い切り挑戦できます。
選手同士の前向きな声を育てる
指導者だけが前向きでも、選手同士がミスを責め合っていては空気は変わりません。
ミスが出た時こそ「切り替え!」「次1本!」と声をかけ合う約束を、チームの文化として育てましょう。
最初は形だけでもかまいません。声の習慣が根づくと、失点の後の立て直しが目に見えて速くなります。指導者は、その声を出せた選手を見つけて褒めます。
プレーの上手さと同じくらい、仲間を立て直す声を評価する。その基準が伝わると、ベンチの選手まで含めたチーム全員に役割が生まれます。



ミスに寛容で、手抜きに厳しい。目指す姿が見えてきました!



その基準がぶれないことが、選手にとっていちばんの安心材料になるんだ。
承認と修正をどんな割合で使い分けるかは、別の記事で具体的な声かけ例つきに解説しています。
ポジティブコーチングのよくある質問
なお、ホワイトボードや作戦ボードがあると、感情ではなく情報で伝える習慣づくりに役立ちます。
🔎 パフォーマンスアップや日頃のケアに役立つ用品は、Amazonでバレーボール用品を探すと見つけやすいです。
まとめ:基準は高く、言葉は前向きに
ポジティブコーチングは、甘やかしではなく、承認と情報で選手を動かす技術です。怒鳴る回数が減るほど、選手の挑戦は増えていきます。
| 場面 | ポジティブコーチングの動き方 |
|---|---|
| 褒める時 | 変化と行動を具体的に、その場で |
| 注意する時 | 人格ではなく動作を、次の1つだけ |
| 規律を保つ時 | 感情ではなくルールで正す |
怒鳴る代わりに情報を伝える。それだけで選手の挑戦の数は増え、上達は速くなる。
私は元日本代表として、安心して挑戦できるチームの選手が、大舞台でこそ伸び伸びと力を出す姿を何度も見てきました。



まずは怒鳴る回数を数えることから始めてみます!



その一歩が、チームの空気を変える最初のサーブになるよ。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
コーチングやチーム運営については他にも記事を書いています。
気になるテーマがあればぜひ読んで参考にしてもらえたら嬉しいです♪
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