- 褒めてばかりだと、チームがゆるむ気がして不安になる
- 叱ると選手が萎縮して、プレーがさらに崩れてしまう
- 伝えたいことはあるのに、言葉がうまく届かない
こんな悩みを解決します。
バレー指導の褒め方・叱り方の目安は、褒め3に対して叱り1。そして叱る対象は人ではなく行動だけです。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
10年以上スクールで指導してきた経験から、声かけの割合を変えるだけで、チームの空気と選手の伸び方は大きく変わると感じています。
褒めて安心の土台を作り、直してほしいことは短くしぼって伝える。この順番を守るだけで、同じ言葉でも届き方が変わるんです。
ぜひこの記事を参考にしてみてください。
- 褒めと叱りの黄金比と、その理由がわかる
- 萎縮させずに伝わる褒め方・叱り方のコツがわかる
- サンドイッチ話法の組み立てと声かけ例がそのまま使える
それでは、くわしく見ていきましょう。
結論:褒め3・叱り1を目安に「行動」へ声をかける

先に結論からお伝えします。声かけの黄金比は、褒め3に対して叱り1が目安です。
褒めるのも叱るのも、対象は人格ではなく行動。
たとえばレシーブが乱れたとき、とり上げるのは1歩目が遅れたという行動だけです。行動なら選手は明日から直せますが、人格を否定されると直しようがありません。
れおコーチ強く叱ると、選手の頭が真っ白になってしまうんですよね…。



だから叱るのは行動だけなんだ。君自身を否定していないと伝われば、頭は真っ白にならないよ。
3対1は厳密に数えるための数字ではありません。大切なのは、褒める回数が叱る回数をいつも上回っている状態を保つことです。
叱る言葉は、褒める言葉よりずっと強く記憶に残ります。1回の叱りを受けとめてもらうには、ふだんから褒めて信頼の貯金を作っておくことが欠かせません。
この黄金比を土台にして、次の章から褒め方・叱り方の具体的なコツを見ていきます。
なぜ褒めるが先なのか:バレーを嫌いにさせないため
褒めを多めにする理由は、選手を甘やかすためではありません。バレーボールを嫌いにさせないためです。
私の指導現場でも、練習がきつい・叱られてばかりという状態が続いた選手は、上達する前に気持ちが折れてしまうことが多いと感じます。
練習がつらくてバレーが嫌いになってしまうのが、指導でいちばん避けたいこと。
始めたばかりの選手は、できないところばかりなのが当たり前です。だからこそ、できているところを見つけて褒める指導から入るのがいちばん良いんです。



褒められた後の選手は、次もがんばろうって顔になるんですよね。



その「またやりたい」の気持ちが、上達のいちばんのエンジンなんだよ。
褒められて安心できる場所では、選手は思い切ったプレーに挑戦できます。ミスを恐れて縮こまるチームと、のびのび挑戦するチームの差は、日々の声かけの割合から生まれます。
一方で、叱ることが悪いわけではありません。危険な行動や仲間を傷つける言動には、はっきり伝える場面も要ります。
部活動の指導について国が示している指針でも、威圧的な言動に頼らない指導が求められています。褒めを土台に置く声かけは、その考え方とまっすぐつながります。
出典:運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン(スポーツ庁)
つまり褒めと叱りは、どちらかを選ぶものではなく役割が違う道具です。次の章で、それぞれの使い方を具体的に見ていきましょう。
伝わる褒め方3つのコツ


褒め方にもコツがあります。ただ「うまい」「ナイス」をくり返すだけでは、選手の心に残りません。
- 結果ではなく、行動と変化を褒める
- 何が良かったのかを具体的に言う
- その場ですぐ褒める
コツ①:結果ではなく行動と変化を褒める
スパイクが決まったかどうかは、相手やトスにも左右される結果です。褒める中心は、選手自身が変えられる行動に置きます。
たとえば「今の助走、最後の2歩が速くなったね」のように、前より良くなった変化をとり上げます。



決まったかどうかより、何が良くなったか。ここを見てもらえると選手はうれしいんだ。
行動と変化を褒められた選手は、結果が出ない日でも自分の成長を感じられます。これが、あきらめずに続ける力につながります。



結果が出なくても、助走が良くなっていたら褒めていいんですね!
コツ②:何が良かったのかを具体的に言う
「ナイスレシーブ」だけで終わらせず、何が良かったのかをひと言足します。
「落下点に早く入れたから、面が安定したね」のように理由を添えると、選手は再現の仕方がわかります。
具体的に褒める=良い動きの答え合わせをしてあげること。
具体的に褒めるには、指導者がプレーをよく見ている必要があります。だから具体的な褒め言葉は、ちゃんと見てもらえているという信頼にも直結するんです。
コツ③:その場ですぐ褒める
褒めるタイミングは、良いプレーの直後がいちばん効果的です。時間がたつほど、どの動きのことか選手の記憶があいまいになります。
練習を止められない場面なら、短く「今の1歩目いいね」と声を飛ばすだけでかまいません。



ホメルハ ソクザニ ガ キホン
あとでまとめて褒めるより、小さくてもその場で伝える方が行動は定着します。給水の合間に補足すれば十分です。
萎縮させない叱り方3つのコツ


次は叱り方です。叱りは強い道具なので、使い方を間違えると選手を萎縮させてしまいます。
- 人ではなく、行動だけを叱る
- 1回に伝えるのは1つだけにする
- 感情のピークでは叱らない
コツ①:人ではなく行動だけを叱る
「やる気あるのか」「お前はいつもそうだ」は、人格への攻撃になりがちな言葉です。選手に残るのは反省ではなく、否定された記憶だけになってしまいます。
叱るときは、直せる行動を1つだけとり上げます。「今の場面、声を出さずに見送ったよね。次は先に呼ぼう」という形です。



「いつもそうだ」は、選手には全部ダメと聞こえてしまうんですね…。私もつい言いがちです。



そう感じさせたら、直してほしい1つも届かなくなる。だから行動だけにしぼるんだ。
行動をしぼって伝えると、選手は次に何をすれば良いかがはっきりします。叱りが指導に変わる境目はここです。
コツ②:1回に伝えるのは1つだけにする
ミスが続くと、あれもこれもと言いたくなります。しかし一度にたくさん伝えるほど、選手の頭には何も残りません。
叱るときは1回1テーマ。欲張った瞬間に、全部が流れる。
いちばん直してほしいことを1つ選び、残りは別の機会に回します。優先順位をつけるのは、指導者側の仕事です。
コツ③:感情のピークでは叱らない
こちらの感情が高ぶった状態で口を開くと、言葉は内容より感情の強さで伝わってしまいます。
イラッとしたときほど、ひと呼吸おいてから話しましょう。ワンプレー分だけ間を置くだけでも、言葉の選び方は変わります。



感情をぶつけるのは叱るじゃなくて、ただの八つ当たり。ここは自分に厳しくいきたいね。
また、みんなの前で1人を長く叱るのは避けたい対応です。伝える内容が同じでも、場所と長さで選手の受けとめ方は大きく変わります。
サンドイッチ話法の実践例


ここからは、褒めと叱りをひとつの声かけにまとめるサンドイッチ話法を紹介します。この記事のピーク章なので、そのまま使える形でお伝えします。
基本の組み立て:認める→直す→励ます
サンドイッチ話法は、直してほしいことを2枚の前向きな言葉ではさむ伝え方です。
たとえばサーブが乱れている選手には、こう伝えます。
「トスの高さはそろってきたね。打点が前に流れているから、トスを気持ち後ろに上げてみよう。フォームは良いから、そこだけで変わるよ」



直すところを伝えているのに、やる気が出る言い方ですね!



最初に事実を認めてもらえると、真ん中の指摘も素直に聞けるんだよ。
最初の「認める」は、お世辞ではなく事実を選ぶのがポイントです。うその褒め言葉は選手に見抜かれ、あとの言葉まで信用を失います。
最後の「励ます」は、期待だけで終わらせず次の行動につなげます。そこだけで変わる、と道筋を見せるのがコツです。
場面別の声かけ例
よくある3つの場面での実践例をまとめました。
| 場面 | サンドイッチ話法の声かけ例 |
|---|---|
| レシーブが乱れる | 「構えは低く保てている。1歩目だけ遅れているから、サーバーの腕を見て早く動こう。構えができてるから直りは早いよ」 |
| スパイクを打ち急ぐ | 「助走の力強さは十分。トスを待てずに突っ込んでいるから、離れて待つ位置を1歩下げよう。力はあるから合えば決まるよ」 |
| 試合で消極的 | 「守備の集中は続いていたね。迷って打たない場面が2回あったから、次は思い切って打とう。ミスの責任はベンチがもつよ」 |
そのまま使うより、目の前の選手の事実に置き換えて使ってください。事実が入った瞬間に、言葉は既製品ではなく自分への言葉になります。
なお、サンドイッチ話法は万能ではありません。毎回同じ型で話すと、選手は「褒められたら次は指摘が来る」と身構えるようになります。
サンドイッチ話法は、大事な指摘を届けたい場面にしぼって使う。
軽い修正ならその場でひと言、じっくり直したいテーマならサンドイッチ、と使い分けましょう。
なお、伝えたいことを言葉で渡すだけでなく、選手自身に気づかせたい場面もあります。そのときに使えるのが問いかけの技術です。
よくある失敗と直し方
最後に、褒め方・叱り方でよくある失敗を整理します。心当たりがないか、チェックしてみてください。
- ほかの選手と比べて褒める・叱る
- 過去のミスを蒸し返す
- 褒め言葉が全員に同じで軽くなる
1つ目は、比較です。「あの子はできているのに」という言葉は、褒められた側にも叱られた側にも良いことがありません。
比べる相手は他人ではなく、その選手の昨日までにします。先週より1歩目が速い、で十分伝わります。



誰かと比べられた選手は、比べられた相手のことまで嫌いになってしまうんですね…。



チームの中に上下を作ってしまうのが、比較のいちばんの副作用なんだ。
2つ目は、蒸し返しです。前も言ったよね、と過去を積み上げると、話が今の行動から離れてしまいます。叱りは今回の行動1つで完結させましょう。
3つ目は、褒め言葉のワンパターン化です。誰にでも同じ「ナイス」だけだと、選手は褒め言葉を聞き流すようになります。
選手ごとに見ている場所を変え、その子だけの事実を言葉にする。手間はかかりますが、ここが指導者の腕の見せどころです。
バレーの褒め方・叱り方でよくある質問
まとめ:黄金比は褒め3・叱り1、対象はいつも行動
褒めと叱りは、選手を伸ばすための役割が違う道具です。最後に全体を表で整理します。
| 項目 | やること | 避けること |
|---|---|---|
| 割合 | 褒め3:叱り1を目安に褒めを多く | 叱りが褒めを上回る状態 |
| 対象 | 直せる行動と変化 | 人格・才能の否定 |
| 褒め方 | 具体的に・その場で | 結果だけ・ワンパターン |
| 叱り方 | 1回1テーマで短く | 比較・蒸し返し・感情まかせ |
| 大事な指摘 | サンドイッチ話法で届ける | 型の使いすぎ |
褒めて信頼の貯金を作るから、いざという叱りが1回で届く。
私は元日本代表として多くの指導者を見てきましたが、選手が伸びるチームの共通点は、声かけに温度と基準の両方があることでした。
甘やかすのでも、締めつけるのでもない。行動を見て、行動に声をかける。今日の練習から、まず褒め言葉を1つ増やすところから始めてみてください。



選手同士でも、良いところを言葉にして伝え合えるチームにしたいです!



いいね。声かけの文化は、指導者と選手みんなで作るものだからね。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
バレーの指導・チーム運営については他にも記事を書いています。
気になるテーマがあればぜひ読んで参考にしてもらえたら嬉しいです♪
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