- 試合で負けた子に、何と声をかければいいかわからない
- 励ましたつもりが、子どもの機嫌を悪くしてしまう
- つい「なんでミスしたの」と責めて、あとで後悔する
こんな悩みを解決します。
試合後の声かけで大切なのは、アドバイスより先に気持ちを受けとめて、結果ではなくがんばりに目を向けることです。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
多くの選手を見てきて感じるのは、試合後のたった一言で、子どもが次に前を向けるかどうかが大きく変わるということです。
うまく言おうとしなくて大丈夫です。順番と型さえ知っておけば、声かけはぐっと楽になります。
ぜひこの記事を参考にしてみてください。
- 試合後にかけると逆効果なNGワードがわかる
- 勝った日・負けた日それぞれの正解の声かけがわかる
- 声をかける前に整えたい親自身の心構えがわかる
それでは、くわしく見ていきましょう。
結論:試合後は「共感が先、助言はあと」
先に結論からお伝えします。試合後の声かけは、次の順番を守るだけで大きく変わります。
- 共感する:まず気持ちを受けとめる
- がんばりを認める:結果でなく取り組みをほめる
- 待つ:アドバイスは求められてから
いちばんやってはいけないのは、子どもが悔しさで胸がいっぱいのときに、いきなりミスの分析を始めることです。
試合直後に一番効くのは、正しいアドバイスではなく、気持ちに寄り添う一言です。
負けた直後の子どもは、頭で理由がわかっていても、心が追いついていません。そこに正論を重ねても、追い打ちにしかなりません。
サルくん自分でもわかってるのに言われると、もっとへこんじゃうんだよね…。



そうだよね。だから最初は「悔しかったね」って気持ちに寄り添うだけでいいんだ。
順番を逆にしないこと。これだけで、同じ言葉でも子どもへの届き方はまるで変わります。
なぜ試合後の一言がこれほど大切なのでしょうか。それは、感情が高ぶっている場面ほど、かけられた言葉が心に強く刻まれるからです。
嬉しいときも悔しいときも、そのときの言葉は記憶に残りやすくなります。だからこそ、試合後の声かけは、日常のどんな声かけよりも子どもに影響を与えます。
次の章から、やりがちなNGワードとその理由を見ていきましょう。
試合後に避けたいNGワード
良かれと思ってかけた言葉が、子どものやる気を奪うことがあります。とくに気をつけたいものを整理します。
どれも、子どもを思う気持ちから出た言葉ばかりです。決して悪気があるわけではありません。だからこそ、無意識に口をついて出やすく、注意が必要なのです。
| NGワード | 子どもに伝わってしまうこと |
|---|---|
| なんであそこでミスしたの | 結果を責められている |
| もっと練習しないからだよ | 努力を否定された |
| 〇〇ちゃんはできてたよ | 他人と比べられて劣等感 |
| まあ次があるから(早すぎる) | 気持ちを流された |
| 気にするな | 気にしている自分を否定された |
「なんで」で始まる問い詰め
いちばん多いのが、「なんで」で始まる言葉です。理由を聞いているつもりでも、子どもには責められていると伝わります。
試合直後は、原因を冷静に語れる状態ではありません。「なんで」は、答えられない問いを突きつけることになります。



「なんで」は質問の形をした叱責になりやすいんだ。時間をおいてから聞こう。
他の子との比較
「〇〇ちゃんはできてたよ」という比較も禁物です。この一言は、やる気ではなく劣等感だけを子どもに残します。
比べる相手は、他の子ではなく過去のその子自身にしましょう。「前より粘れてたね」なら、同じ指摘でも前向きに響きます。



つい他の子と比べる言い方をしていました…気をつけます。



大丈夫。比べる相手を「昨日のその子」に変えるだけでいいんだよ。
早すぎるフォロー
「まあ次があるから」も、タイミングを間違えると逆効果です。まだ悔しさの中にいる子には、気持ちを流されたように感じられます。
前を向かせる言葉は、共感で受けとめたあとに使うから効きます。順番が命です。
「気にするな」という励まし
意外に思われますが、「気にするな」も避けたい言葉のひとつです。優しさから出た言葉なのに、子どもを追い込むことがあります。
本人は気になって仕方がないから苦しんでいます。「気にするな」は、その気持ちにフタをするように響いてしまうのです。



気にするなって言われても、頭から離れないんだよね…。



だよね。だから「気になるよね」って、まず気持ちを認めてあげる方がいいんだ。
気になる気持ちを否定せず、そのまま受けとめる。それだけで、子どもは安心して落ち込むことができます。安心して落ち込める子ほど、立ち直りが早いものです。
ここまで見てきたNGワードには、共通点があります。どれも、子どもの気持ちを飛ばして、いきなり結果や次の話に進もうとしている点です。
裏を返せば、まず気持ちを受けとめる一言をはさむだけで、これらの言葉は角が取れます。
「悔しかったね、でも最後まで走ってたね」のように、共感を先に置くのがコツです。
勝った日・負けた日の正解の声かけ
では、実際にどう声をかければいいのか。勝った日と負けた日に分けて、正解の型を紹介します。
負けた日:まず気持ちに寄り添う
負けた日は、共感からスタートします。「悔しかったね」「よくがんばったね」と、結果ではなく気持ちとがんばりを受けとめます。
具体的にほめられると、さらに届きます。「最後まで声が出てたね」「あの1本、拾おうとしてたね」と、結果に残らないプレーを拾ってあげましょう。



負けたのに、がんばりを見ててくれたんだって思えると救われるよ。



そうなんだ。負けた日ほど、プロセスを見ていた言葉が心に残るんだよ。
反省やアドバイスは、この日はぐっとこらえます。本人から「どうすればよかったかな」と聞いてきたら、そのとき初めて一緒に考えれば十分です。
負けた日にかける言葉で気をつけたいのは、慰めと励ましを急ぎすぎないことです。
「大丈夫、次があるよ」と早く前を向かせたくなりますが、まだ悔しさの中にいる子には届きません。
悔しさは、次への大切な原動力です。無理に消そうとせず、悔しがっている姿ごと受けとめてあげる方が、子どもは自分のペースで立ち直っていきます。
勝った日:結果より中身をほめる
勝った日も、実はほめ方にコツがあります。「勝ってえらい」だけで終わらせず、勝ちにつながった取り組みをほめましょう。
「サーブを最後まで攻めてたね」「苦しい場面で声を出してたね」と中身をほめると、次も同じ努力を再現しようとします。
勝ち負けそのものより、その中身のがんばりに目を向けると、子どもは結果に振り回されなくなります。
結果だけをほめ続けると、子どもは勝てない日に自分の価値を見失います。勝敗と存在を切り離しておくことが、長く競技を楽しむ土台になります。
勝った日ほど、次への課題をつい伝えたくなるものです。ですが、その日はまず勝利を一緒に喜んであげてください。
課題の話は後日でも間に合います。喜びを分かち合う時間を先に取る方が、子どもは次のアドバイスも前向きに受けとめられます。



勝った日は、まず一緒に喜ぶことを大事にします。



うん。喜びを共有した記憶が、また頑張る力になるんだよ。
どちらの日も使える魔法の一言
勝っても負けても使える言葉があります。それは「見てたよ、おつかれさま」です。
評価でも分析でもなく、ただ見守っていたと伝える一言。これだけで、子どもは自分の居場所を確認できます。



難しく考えず、「見てたよ」でいいんですね。少し気が楽になりました。



うん。上手な講評より、その一言の方がずっと子どもの力になるんだよ。
声かけがうまくいかない日があっても、落ち込まないでください。毎回完璧な言葉をかけられる親はいません。
大切なのは、日々の積み重ねです。試合のたびに気持ちに寄り添う姿勢が続けば、子どもは「この人は自分の味方だ」と感じ、少々の失敗は自然と埋め合わされます。
声をかける前に整えたい親の心構え
正しい言葉を選ぶ前に、実は親自身の心の状態が声かけを左右します。ここも大切なので触れておきます。
親の感情をそのままぶつけない
親も、子どもの試合を見れば感情が動きます。勝てば嬉しく、負ければ悔しい。それ自体は自然なことです。
ただ、その感情をそのまま子どもにぶつけないことが大事です。親のため息や不機嫌は、言葉以上に子どもを追い込みます。



子どもは親の表情をよく見ているんだ。言葉より先に、顔で伝わってしまうことがあるよ。
一度深呼吸して、自分の気持ちを落ち着けてから声をかける。それだけで、口から出る言葉は変わります。
とくに車での帰り道は、逃げ場のない空間で反省会が始まりやすい場面です。
試合直後の車内では、まず好きな音楽をかけたり、他愛のない話をしたりして、気持ちをほぐしてあげましょう。
子どもが自分から試合の話を始めたら、そのときに耳を傾ければ十分です。話したくなさそうなら、無理に触れないのも思いやりです。
落ち込みが長引くときは抱え込まない
多くの場合、試合の落ち込みは時間とともに回復します。ですが、様子には目を向けておきましょう。
食欲がない、眠れていない、笑わなくなった、バレーの話を避ける。こうした状態が長く続くときは、無理に励まさず、まず話を聴いてあげてください。
気持ちの落ち込みが続いたり、生活に支障が出たりしている場合は、家庭だけで抱え込まないでください。学校のスクールカウンセラーや、医療機関など専門家に相談することも、大切な選択肢です。



相談するほどでもない気がして、つい様子見にしてしまいます…。



早めに聞いてもらうのは、大げさなことじゃないよ。迷った時点で頼っていいんだ。
一人で抱え込まないことは、子どものためだけでなく、親自身を守ることでもあります。親に余裕がなければ、落ち着いた声かけは続けられません。
指導者や他の保護者と気持ちを分け合い、必要なときは専門家を頼る。そうやって支えの手を広げておくことが、結果として家庭に穏やかな空気をもたらします。
声かけは万能ではありません。心配な状態が続くときは、早めに専門家の力を借りましょう。
試合後の声かけまとめ
ここまでの内容を、最後に表で整理します。
| 場面 | かけたい言葉 | 避けたい言葉 |
|---|---|---|
| 負けた直後 | 悔しかったね/よくやったね | なんでミスしたの |
| がんばりを認める | 最後まで声出てたね | もっと練習しないから |
| 勝った日 | あの粘り良かったね | 勝ってえらい(だけ) |
| いつでも | 見てたよ、おつかれさま | 〇〇ちゃんはできてた |
共感が先、助言はあと。この順番を守るだけで、試合後の声かけは見違えます。
私は元日本代表として、勝った試合も負けた試合も数えきれないほど経験してきました。心に残っているのは、結果よりも、負けた日にかけてもらった一言です。
試合後の一言は、子どもの記憶に長く残ります。上手に言おうとせず、まずは気持ちに寄り添うところから始めてみてください。
今日の帰り道から、さっそく試せることがあります。それは、アドバイスをぐっと飲み込んで、「今日もおつかれさま」と笑顔で迎えることです。
小さな一言の積み重ねが、子どもにとっての安心になります。その安心が、次の試合に立ち向かう勇気を静かに支えていきます。



次に仲間が負けたときは、ぼくもまず「悔しかったね」って言ってみる!



いいね。その一言が言える人は、まわりを元気にできるんだよ。
試合後の声かけでよくある質問
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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