- 練習ではできるのに、本番になると体が固まって力を出せない
- サーブの前に何を考えたらいいか分からず、いつもバタバタしてしまう
- 緊張する場面で気持ちの切り替えが上手くいかない
こんな悩みを解決します。
本番で力を出すカギは、プレーの前に決まった動作=ルーティンを毎回くり返すことです。
私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。
10年以上スクールで指導してきましたが、本番に強い選手ほど、サーブ前の動きがいつも同じです。
ルーティンは特別な才能ではなく、誰でも作れて、練習でだれでも身につけられる準備動作です。
ぜひこの記事を参考にしてみてください。
- 短くて毎回必ずできる、自分だけのルーティンの作り方
- サーブ前の8秒に収まる、具体的な動作の組み立て方
- 緊張する場面でも気持ちを切り替えるルーティンの使い方
それでは、ルーティンの作り方を順番に見ていきましょう。
ルーティンとは「本番で練習どおりの自分に戻すスイッチ」

まず結論からお伝えします。ルーティンとは、プレーの前にいつも決まった動作をくり返すことです。
- いつもと同じ動作で、体と心が「いつもの状態」に戻る
- 余計なことを考えるすきがなくなり、迷いが減る
- 緊張しても、動作をなぞるだけで自然と次のプレーに入れる
サーブの前に決まった回数ボールをつく、深呼吸をする、相手コートの一点を見る——こうした小さな動作の積み重ねが、ルーティンです。
サルくんそれって、ただのクセとは違うんですか?



クセは無意識だけど、ルーティンは自分で決めてやるもの。だから本番でも頼れるんだ。
本番で力を出せない選手の多くは、技術が足りないわけではありません。緊張で頭がいっぱいになり、いつもの動きを忘れてしまうのです。
練習では何も考えずにできていた動きが、本番では急にぎこちなくなる——これは、誰にでも起こることです。
原因は実力ではなく、心の状態にあります。
ルーティンは、そんなときに「いつもの自分」に戻すためのスイッチになります。決まった動作をなぞれば、体が自然と練習どおりに動き出すからです。



イツモノドウサガイツモノジブンヲヨビモドス
だからこそ、特別な日のためではなく、毎日の練習から同じ動作をくり返すことが大切なのです。
ルーティンが本番で力を発揮させる仕組み
なぜ、決まった動作をくり返すだけで本番に強くなれるのでしょうか。ここでは、その仕組みを2つの角度から見ていきます。
練習と同じ心の状態を、自分から作り出せる
人は、いつもと違う場面に立つと、体が勝手に身構えます。本番の独特の空気に飲まれて、呼吸が浅くなり、肩に力が入ってしまうんですよね。
ルーティンは、この流れを断ち切る働きをします。練習で何百回もくり返した動作をすると、体が「あ、いつものやつだ」と感じて、自然と落ち着いていきます。
ルーティンの本当の役割は、練習と同じ心の状態を、自分から呼び戻すことです。



環境は変えられないけど、自分の動きはいつもと同じにできる。そこが大事なんだ。
つまり、まわりがどんなに大事な試合でも、自分の中だけは「いつもの練習」に戻せるということです。
会場の広さも、応援の声も、相手チームの強さも、自分では変えられません。変えられるのは、自分の動作だけです。
ルーティンは、その「変えられる部分」に意識を集めるための道具でもあります。コントロールできないことに気を取られるほど、力みは強くなるからです。
考えすぎる前に、体が動き出す
緊張する場面では、頭の中に余計な考えがあふれます。「外したらどうしよう」「ここで決めなきゃ」——そんな思いが、体の動きをじゃまします。
ルーティンがあると、考える前に体が動き出します。決まった順番の動作へ意識を向けるほど、不安が入り込むすきは小さくなっていくからです。
「外したらどうしよう」という未来の心配ではなく、「今、ボールをつく」という目の前の動作に集中できるからです。
意識が今の動作に向くほど、頭の中は静かになります。



動作に集中していると、よけいなことを考えなくなるんですね!



そのとおり。やることが決まっていると、頭がスッと静かになるんだ。
ここで1つ気をつけたいことがあります。ルーティンは結果を保証する魔法ではありません。
あくまで、自分の力を出しやすい状態に整えるための準備です。効果の感じ方には個人差があるので、過度な期待はせず、続けながら自分に合う形を探していきましょう。
ルーティンを作る4つのルール
ここからが本題です。自分だけのルーティンを作るときに、押さえておきたい4つのルールを紹介します。
- 短くする(長いと本番で続かない)
- 毎回必ずできる動作にする(道具や場所に左右されない)
- 練習のときから同じ動作をくり返す
- 自分がやりやすい形に少しずつ調整する
短くて、毎回必ずできる動作にする
1つ目のルールは、とにかく短くすることです。長いルーティンは、あわてている本番ほど省略しがちで、かえって自分を乱します。
サーブには8秒のルール(主審の合図から8秒以内に打つ)があるので、その中に自然に収まる長さにします。深呼吸1回とボールつき2回くらいが、ちょうどよい目安。
ルーティンは、3〜5秒で終わるくらい短くするのが続けるコツです。
そして、いつでも必ずできる動作だけで組み立てます。特別な道具や広い場所がいる動作は、本番で使えない場面が出てくるからです。



深呼吸や、ボールを見る動きなら、どこにいても必ずできるよね。
練習からくり返し、自分用に調整する
2つ目のルールは、練習のときから同じ動作をくり返すことです。本番だけ急にやっても、慣れていない動作は逆に落ち着きません。
毎日のサーブ練習で同じルーティンをくり返すと、本番では考えなくても体が勝手に動くようになります。これが、いざという場面での安心感につながるんです。



今日の練習から、毎回同じ動きでやってみます!



いいね。くり返すほど、その動作が自分のお守りになっていくよ。
最後に、できあがったルーティンは自分がやりやすい形に少しずつ調整します。人のまねから始めてもよいですが、しっくりこない動作は外して、自分に合う形に整えていきましょう。
調整のときは、1つの動作を変えたら、しばらく同じ形で続けてみます。毎回コロコロ変えると、せっかくの「いつもの動作」が安定しないからです。
数日くり返して、落ち着けるかを確かめます。落ち着けないなら、また少し変える——このくり返しで自分の形に近づきます。
大切なのは、毎回同じにできて、自分が落ち着けることです。正解は人それぞれなので、試しながら自分の形を見つけてください。



まねから入ってもいいんだよ。最後に自分がしっくりくる形へ整えられれば、それが正解。
私がスクールで伝えているのは、ルーティンは人から与えられるものではなく、自分で決めるものだということです。人に言われたとおりにやっているだけの動作は、迷いが出た場面で支えになりにくいからです。
深呼吸の回数も、ボールをつく数も、最後は自分で選んでみましょう。自分で決めた動作だからこそ、大事な場面で「これをやれば大丈夫」と思える拠りどころになります。
サーブ前のルーティンを組み立てる手順


ルールが分かったら、実際に組み立ててみましょう。ここでは、いちばん使う場面の多いサーブ前を例に、手順を紹介します。
この4つを、毎回まったく同じ順番でくり返します。順番が決まっていることが、心を落ち着けるポイントです。



オナジジュンバンガアンシンヲウム
深呼吸は、息を長く吐くことを意識します。吐く息を長くすると、自然と肩の力が抜けていきます。
ボールをつく回数は、2回でも3回でも構いません。自分が落ち着く回数を決めて、毎回その数を守りましょう。
サーブ以外の場面にも応用できる
このルーティンの考え方は、サーブだけのものではありません。レシーブの構えに入る前や、サーブを受ける前にも応用できます。
たとえばサーブを受ける前なら、軽くひざを曲げて構えをチェックし、相手のサーバーを見る——この流れを毎回くり返すだけで、心が整います。



サーブ以外でも使えるんですね。レシーブの前にもやってみます!



そう、プレーの前ならどこでも応用できる。自分の頼れる動作を増やしていこう。
緊張する場面ほど、ルーティンが入り口になる
大事な場面ほど、頭は真っ白になりやすいものです。そんなときこそ、ルーティンが「次のプレーへの入り口」になります。
何をすればいいか分からなくなったら、まず深呼吸1回から。決まった動作を1つ始めれば、あとは体が自然と続きを動かしてくれます。
タイムアウト明けやセットポイントなど、空気が張りつめる場面ほど、ふだんの動作を飛ばして早く打ちたくなります。そんなときこそ、いつもの1動作を省かずになぞってみてください。
迷ったら、ルーティンの最初の1動作だけに集中する——これが、緊張を乗り越えるいちばんの近道です。
ルーティン作りでやりがちな失敗
最後に、ルーティンを作るときにやりがちな失敗を紹介します。先に知っておくと、遠回りせずにすみます。
長すぎる・複雑すぎるルーティン
いちばん多い失敗が、ルーティンを長く作りすぎることです。動作が多いと、あわてている本番ほど省略してしまい、リズムが崩れます。
8秒ルールもあるので、サーブ前は特に短くまとめます。動作は2〜3個までにしぼり、シンプルにまとめてみてください。



動作を増やしすぎると、それ自体が新しいプレッシャーになっちゃうんだ。
結果ばかりを気にしてしまう
もう1つの失敗が、ルーティンに結果を求めすぎることです。「この動作をやったのに外した」と感じると、せっかくのルーティンが不安の種になります。
ルーティンは、あくまで自分を整えるための準備です。結果ではなく、いつもどおりの動作ができたかどうかに目を向けましょう。



つい、決まるかどうかばかり気にしちゃいます…。



結果はコントロールできないからね。自分にできるのは、いつもの動作をやり切ることだけだよ。
本番だけ急にやろうとする
3つ目の失敗が、練習ではやらず、本番だけ急にルーティンをやろうとすることです。慣れていない動作は、かえって落ち着きません。
ルーティンの安心感は、くり返した回数から生まれます。毎日の練習で同じ動作を積み重ねたぶんだけ、本番で頼れる動作になっていくんです。
サーブ練習を10本やるなら、その10本すべてで同じルーティンをくり返します。
練習の1本1本が、本番での落ち着きを作る貯金になるからです。



練習でやっていない動作は、本番では他人みたいなもの。だから毎日くり返すんだ。
うまくいかない日があっても、動作を続けることに意味があります。くり返すほど、その動作はあなたの心強い味方になっていきます。
よくある質問
まとめ
バレーのルーティンは、本番で練習どおりの自分に戻すためのスイッチです。最後にポイントを振り返りましょう。
- 短く、毎回必ずできる動作にしぼる
- 練習のときから同じ動作をくり返す
- 結果ではなく、いつもどおりできたかに目を向ける
ルーティンは、一度で完成させるものではありません。練習でくり返しながら、自分に合う形に少しずつ整えていきましょう。
迷ったときは、最初の1動作から。決まった動きを始めれば、体が自然と次のプレーへ運んでくれます。



まずはサーブ前の深呼吸から、毎回くり返してみます!



いいね。続けるほど、その動作が本番のお守りになるよ。一緒に強くなろうね♪
この記事を書いた人:元日本代表として活動し、バレーボールコーチ4の資格を保有する上場雄也が執筆しています。
ルールや競技情報は日本バレーボール協会(JVA)・国際バレーボール連盟(FIVB)の公式情報を参照しています。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
メンタルについては他にも記事を書いています。
気になるテーマがあればぜひ読んで、参考にしてもらえたら嬉しいです♪
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