9人制バレーの歴史|日本で独自に育った競技の歩み

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9人制バレーの歴史を解説するあげばコーチとサルくん
  • 9人制バレーがいつ、どこで生まれたのか知りたい
  • どうして日本だけ9人でやるチームがあるのか分からない
  • 6人制が主流になった経緯を整理しておきたい

こんな悩みを解決します。

9人制バレーは、日本に伝わったバレーボールが、日本の事情に合わせて形を変えていった競技です。

私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。

体育館で練習していると、となりのコートで9人制の試合が行われていることがあります。

コートに立つ人数が多く、ローテーションもない。同じバレーボールなのに、見え方がまるで違うんですよね。

ぜひこの記事を参考にしてみてください。

この記事を読むことで得られる3つのこと
  • 9人制が日本で生まれ育った経緯が分かる
  • 人数が16人から9人へ減っていった理由を理解できる
  • 6人制が主流になった今も9人制が続いている理由が分かる

9人制と6人制のルールの違いから知りたい方は、こちらの記事もあわせてどうぞ。

それでは、順番に見ていきましょう。

目次

結論:9人制は日本で独自に育ったバレーボール

9人制は、海外から完成した形で入ってきた競技ではありません。

日本に伝わったバレーボールが、日本の事情に合わせて少しずつ形を変えていった結果です。

9人制バレーの成り立ち
  • 1913年ごろにバレーボールが日本へ紹介された
  • 最初は1チーム16人という、今よりずっと多い人数だった
  • 人数を減らしながら、日本では9人という形に落ち着いた
  • 極東地域を中心に広まり、日本の全国大会として定着した

ここで押さえておきたいのは、9人制は6人制を変形させたものではないという点です。

順番はむしろ逆で、日本では9人制のほうが先に広まりました。6人制が主役になったのは、そのあとの話です。

サルくん

9人制のほうが先だったんですね。

あげば

そうなんです。だから9人制は「変則ルール」ではなく、独立した1つの競技なんですよ。

この順番を知っておくと、9人制の独特なルールにも理由が見えてきます。

ローテーションがないことも、ブロックの数え方が違うことも、6人制からの引き算ではありません。

16人制から9人制へ、人数が減っていった経緯

いちばん意外に思われるのが、最初の人数です。

日本に紹介された当初のバレーボールは、1チーム16人でプレーしていました。

人数が多かった理由

当時のバレーボールは、競技として勝敗を争うより、多くの人が同時に楽しめることを重視していました。

学校の授業や地域の集まりで、たくさんの人が1度に参加できる形が求められたのです。

人数が多い形が選ばれた背景
  • 1度に多くの人が参加でき、待ち時間が少なくなる
  • 1人あたりの守備範囲がせまく、初めてでもボールに触れる
  • 特別な技術がなくてもラリーが続きやすい

守る人数が多ければ、ボールは落ちにくくなります。

初めての人でもラリーが続くので、その場が盛り上がるという利点がありました。

バボット

人数ガ多イ=落チニクイ=初心者デモ続ク

競技になるにつれて人数が減った

一方で、人数が多いままだと困ることも出てきます。

コートの中が混み合い、誰がボールを追うのかがはっきりしません。

競技として整えていく中で、日本では人数を段階的に減らしていきました。そして1925年ごろに、日本独自のルールとして9人という形が定着します。

1927年には大日本排球協会が設立され、同じ時期に全国規模の大会も始まりました。

ここで、9人制は「学校のレクリエーション」から「競技」へと立場を変えます。

全国大会が始まり、日本の主流になった

9人制が日本に根づいた決め手は、大会の存在です。

1927年に男子の全国選手権が始まり、翌年には女子も加わりました。

戦後に一気に広がった

大きく広がったのは、戦後の時期です。

1946年に始まった国民体育大会では、第1回はバレーボールの9人制だけが行われました。

その後、1950年には天皇杯・皇后杯が下賜される大会へと格上げされています。

9人制が主流だった時代の特徴
  • 国民体育大会で行われるバレーボールは9人制だった
  • 実業団や地域のクラブが競技の中心を担っていた
  • 天皇杯・皇后杯がかかる大会として権威づけられた

つまり戦後しばらくの日本では、バレーボールといえば9人制のことだったわけです。

サルくん

6人制のほうが後だったなんて知りませんでした。

あげば

意外ですよね。日本の事情としては、こちらが本流だった時期があるんですよ。

極東式とも呼ばれた

9人制は、日本だけでなく極東の地域で広まりました。

このため「極東式バレーボール」と呼ばれることもあります。

世界の主流とは別の道を歩んだ競技が、この地域では正式な形として扱われていたことになります。

アジアの大会の前身にあたる国際大会でも、9人制が競技として行われていました。

日本の中だけの話ではなく、地域全体の標準として通用していたわけです。

サルくん

日本だけのルールではなかったんですね。

あげば

はい。だから9人制は、ローカルな遊びではなく国際大会の形式だった時期があるんですよ。

6人制に主役が移った理由

では、なぜ今は6人制が主流なのでしょうか。

理由ははっきりしていて、国際大会が6人制で行われるからです。

世界と戦うために形をそろえた

国際的な競技としてのバレーボールは、6人制で発展していきました。

日本が世界の大会に出ていくには、同じルールで戦える形が必要になります。

6人制へ移っていった流れ
  • 1958年に6人制の全日本総合選手権が始まる
  • 1962年に全日本都市対抗大会が6人制へ切り替わる
  • 1964年の東京での大会で6人制が競技として行われる
  • 学校の部活動でも6人制が基本になっていく

学校で教える形が6人制になれば、次の世代は6人制から始めます。

こうして競技人口の入り口が6人制に移り、主流が入れ替わっていきました。

サルくん

世界に合わせた結果だったんですね。

あげば

はい。ただし9人制がなくなったわけではありません。ここが大事なところですよ。

消えずに役割を変えた

主流から外れた競技は、そのまま消えていくことが少なくありません。

9人制がそうならなかったのは、6人制とは違う役割を持っていたからです。

6人制は、限られた人数で高さと速さを競う形に進んでいきました。ローテーションがあり、選手には複数の役割が求められます。

一方の9人制は、人数が多いぶん1人あたりの守備範囲がせまく、ポジションも固定されています。

2つの形が並び立った理由
  • 6人制…世界と戦う競技として、高さと速さを追う形に進んだ
  • 9人制…職場や地域で大人が続ける競技として、参加しやすさを残した
  • 求めるものが違うので、どちらかが不要になることはなかった

つまり、片方が勝ってもう片方が負けた、という話ではありません。

目指すものが違う2つの形として、それぞれの場所で続いてきたわけです。

2010年には国民体育大会の種別から外れましたが、そのあとも実業団やクラブの大会は続いています。

2015年には、実業団とクラブによる全国リーグも始まりました。

サルくん

役割が違うから、両方残ったんですね。

あげば

そのとおりです。同じ競技の中に、目的の違う形が2つあると考えると分かりやすいですよ。

年表で見る9人制バレーの歩み

ここまでの流れを、年表として整理しておきます。

出来事
1913年ごろバレーボールが日本に紹介される(当初は1チーム16人)
1925年ごろ人数が減り、日本独自のルールとして9人制が定着する
1927年大日本排球協会が設立され、全国選手権が始まる
1946年第1回の国民体育大会で9人制が行われる
1950年天皇杯・皇后杯が下賜される大会に格上げされる
1958年6人制の全日本総合選手権が始まる
1995年ブロックのあとの連続接触を認めるルール改正
2010年国民体育大会の種別から外れる
2015年実業団とクラブによる全国リーグが始まる

並べてみると、流れがはっきりします。

前半の40年ほどは9人制が日本の中心にあり、そのあとの主役は6人制へ移りました。

それでも9人制は消えず、別の場所で続いているというのが今の姿です。

バボット

主流ガ変ワッテモ競技ハ残ッタ

いまも9人制が続いている場所

9人制は、今も各地で行われています。

続いているのは、学校の部活動とは別のところです。

実業団・クラブ・ママさんバレー

9人制が行われている主な場所
  • 実業団のチームによる全国リーグや大会
  • 地域のクラブチームによる大会
  • ママさんバレーの大会(9人制が広く使われている)

いずれも、大人になってから続ける人が中心です。

人数が多いぶん1人あたりの負担が軽く、幅広い体力の人が同じコートに立てます。

これは、9人制が生まれたときの発想がそのまま生きている部分です。

バボット

負担ガ軽イ=大人ガ続ケラレル

仕事や家庭の予定がある人がチームを組むと、全員がそろう日は多くありません。

人数に余裕がある形なら、何人か欠けても練習や試合が成り立ちます。

ポジションが固定されている点も、大人が続けるうえでは大きな利点です。

自分の守る範囲と役割が毎回同じなので、久しぶりに参加した日でも動き方に迷いません。

サルくん

最初の考え方が今も残っているんですね。

あげば

そうなんです。人に合わせた形だからこそ、長く続く場所で使われているんですよ。

コートやルールは大会で確認する

9人制は、人数が多いぶんコートを広く使う規定があります。

一方で、大会によっては6人制と同じ広さのコートで行われることもあります。

数字を覚えるより、出場する大会の要項を確認するほうが確実です。

ルールの原本を確かめたいときは、日本バレーボール協会の公式サイトから案内をたどれます。

生涯スポーツとしてのバレーは、ほかにもいくつかあります。

よくある質問

9人制と6人制はどちらが先にできたのですか?

日本では9人制のほうが先に広まりました。日本に伝わったバレーボールが形を変えて9人制になり、6人制の全国大会が始まったのは1958年です。

なぜ最初は16人もいたのですか?

競技として勝敗を争うより、多くの人が同時に参加して楽しめることを重視していたためです。人数が多いとボールが落ちにくく、初めての人でもラリーが続きます。

9人制は今もどこかで行われていますか?

実業団やクラブチームの大会、ママさんバレーの大会などで行われています。学校の部活動では6人制が基本です。

9人制のコートは6人制と同じ広さですか?

人数が多いぶんコートを広く使う規定がありますが、大会によって扱いが異なります。出場する大会の要項で確認してください。

まとめ

この記事では、9人制バレーの歴史をお伝えしました。

要点をあらためて整理しておきましょう。

知りたいこと答え
日本への伝来1913年ごろ
最初の人数1チーム16人
9人に定着した時期1925年ごろ
全国大会の始まり1927年
6人制の全国大会開始1958年
今も行われている場所実業団・クラブ・ママさんバレー

覚えることは、そう多くありません。

9人制は、6人制の簡易版ではありません。日本でバレーボールが広まる過程で、その場にいる人が楽しめる形として育っていった競技です。

だから今も、大人になってから続ける場所で使われています。

人に合わせて形を変えてきた歴史が、そのまま今のルールに残っています。

なお、コートの広さや細かい規定は、大会や連盟によって違います。

出場を考えるときは、必ずその大会の要項を確認してください。

私は元日本代表として活動し、SVリーグで監督を務めることができるバレーボールコーチ4の資格を保有しています。

その立場から見ても、9人制は「続けやすさ」という点で6人制にはない強みを持った競技だと感じています。

サルくん

歴史が分かると、見る目が変わりますね!

あげば

そのとおりです。背景を知ってから見ると、1つ1つのプレーの意味が分かりますよ。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

6人制以外のバレーについては他にも記事を書いています。
気になるテーマがあればぜひ読んで、参考にしてもらえたら嬉しいです♪

ルールの違いをまとめて確認したい方は、次の記事もおすすめです。

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この記事を書いた人

バレーボール・ビーチバレーボール元日本代表。
バレーボールスクールを10年間運営。

【保有資格】
日本スポーツ協会公認バレーボールコーチ4

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